◎モンスターズ 地球外生命体(2010年 イギリス 94分)
原題 Monsters
監督・脚本・特撮 ギャレス・エドワーズ
◎蛸かい?!
実はまるで期待してなかったんだけど、ところがどっこい、おもしろかったわ~。
機材準備のために1万5000ドル(本日のレートの1ドル=106円として159万円)しか掛けてないとか、まじか!?っていう驚きもさることながら、直接製作費が50万ドル(5300万円)とかって、ありえない安さじゃん!とはいえ、一説には130万ドル(1億3780万円)ともいう。結局、膨らんだのね。
たしかに出演者は、まともな台詞のある役はホイットニー・エイブルとスクート・マクネイリーしかいないし、スタッフだって10人足らずのメインだけだったらしいけど、それでも安すぎる。そんじゃ、なんでそんなに予算が膨らんだのかっていえば、画面を見ればわかる。膨らむだろ、あのCG。凄いぞ。
いやまじ、宇宙蛸との戦いが繰り広げられたとおぼしき瓦礫の山やらメキシコの樹海やら河川やらに見立てられたロケ地を探してさらにそこでほぼオールロケして、それも3週間もだよ、それで5000万ちょいの製作費だなんて、どうやったらこれだけの作品が撮れるのか教えてもらいたいもんだ。1億3000万かかるのは当たり前だし、それでもよく撮れたよね。邦画じゃ、できない。
ま、こういう作品を観てると、とどのつまり、映画の製作費でいちばん掛かるのは美術代と人件費なんだってことがよくわかる。すんごいオープンをぶっ建てたら巨額の予算は懸かるし、有名な役者を並べたらそれだけでキャスト費が嵩む。で、そんなもん要らん!っていっちゃえるのが才能なんだね、たぶん。この映画にはそれがあったっていうことなんだろな。
けど、世の中、ほんとに好い加減な噂が蔓延するのは、130万円の製作費とかって話、いやほんと、それこそありえないから。なんで、誰もが疑問におもわないんだろな。まあそれはそれとして、音響も凄いが、音楽もよかったね。すくなくとも『ゴジラ』よりこっちの方がおもしろかったわ~。
あ、あとちょっとだけ書いておくと、地球外生命体による感染警戒地区に指定されて、アメリカ市民の立ち入りが厳禁されている場所のことだ。メキシコとの国境地帯になる。そう、これ、もう何十年も問題になってる不法移民の広がってるありさまそのままなんだよね。断言するのはよくないかもしれないけど、良質な映画ってのは主題を前面に押し出さないで、どこかでちゃんと描きながらも表面的にはあっさりしててエンターテイメントに徹してるような感じでいることなんだっておもうんだけど、そういうところがこの作品にはあるような気がする。
だから、マヤのピラミッドの向こうに見える現代アメリカの万里の長城は、なおさら凄い。