☆search/サーチ
前に観たときもどきどきしたけど、また観ても似たようなどきどきを感じさせる。お父さんが家の中でパソコンに向かい、ネットだけを便りに娘の行方不明の真実にたどり着いていこうとするのは、その発想からしておもしろい。考えつきそうで考えつかない。母親の死から仲の好いはずの父親ジョン・チョーとの間に溝ができてくるんだけど、それを父親が知っていくのが娘のパソコンを調べていくうちに偶然に出くわすていうのがいかにも現代的だね。SNSのパスワードの再発行とか、グーグルマップの巧みな使い方とか、とにかく現代的でないと自分では解決できないってあたりがまた上手い。アニーシュ・チャガンティ、初監督とはおもえないテンポの良さだけど、編集っていうより画面の使い方が上手いんだな。娘を見つけ出そうとのめり込んでゆく父親を過激にするかたわらで伏線をちょっとずつ張ってて、まあ、犯人がちらりと出てきたりとか、動機につながるものがあるのに見過ごされてたりとか、マリファナを吸わせてた叔父つまり弟をあてうまにしながら娘の心を語らせたり、その一方で、まるで関係のないネットユーザーが横槍を入れてきたり、赤の他人の反応や意見や事件を餌にした押し売りまでも横行して、ひっちゃかめっちゃかになってくる。それはつまり、事件の全貌がささいなことまでネットにさらされながらも大切なことは見落とされてしまってるっていうネットワーク時代への皮肉になってるってのが見事だとおもうんだよね。けど、容疑者をひとりひとり発見させてそれをネットで連絡して潰しながら真実に迫っていくくだりはほんと上手で、さらに音楽が興奮してくる動悸と同期するようでまた良い。なんといっても最後のどんでん返しの崖のニュース中継が上手すぎる。