日本の国はここがおかしい

将来の希望を失いつつある日本。国民が安心して生活できる国になるにはどうすればいいか

財政破たんを考える その7 特別会計

2016-05-24 10:20:47 | 財政
まとめでも記載した通り、ここ数年で手を打たない
限り日本の財政は破綻する、というほど切羽詰まっ
てはいないが、このまま放置すれば20年程度で日
本の財政は危機的状況に陥る。

財政再建の為には継続的に収入を増やし支出を減ら
すことが必要であるが、ここでは支出を考えてみる。

日本の予算はいくらか、という質問をすれば多くの国民
は96兆円という一般会計の金額を思い浮かべる。

しかし、日本の実際の予算額は特別会計403兆円を加
えた499兆円にも達します。(会計間の重複を含む)

この内、国民の代表である国会議員が審議するのは一
般会計だけですから、日本の予算の大部分は国民の
チエックを受けないところで使用されていることになりま
す。

民主主義国家の予算は最低限以下の三つを見たし
ている必要があります。
公開の原則:国民に公開されなければならない。
明瞭性の原則:国民にとってわかりやすくなければな
          らない
事前議決の原則:会計年度の始まる前に国会の議決
           を得なければならない

この意味で言えば日本は国民主権の民主主義国家
ではなく、その本質は官僚主権国家であると断言で
きます。

単一予算主義の例外は、他の先進国では多いとこ
ろでも0.5倍程度と言われており、一般会計の4倍
もの特別会計を持つ国は異例です。

特別会計については無駄遣いの温床とか、官僚利
権の為の予算とか様々なことが言われています。
実態は知りようがありませんが、少なくとも特別会計
についても一般会計と同様に国会で審議すべきでは
ないでしょうか。

予算を削減する時に96兆円にすぎない一般会計の
中から削減できる項目を捜すのではなく、特別会計
を含む499兆円から削減できる項目を精査するのが
当然の対応です。

政府や官僚が財政危機を認識しているのであれば、
最初に手をつけるべきは特別会計であり、まず特別
会計と一般会計を合算し、国会で国民の目に見える
ように審議すべきです。



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財政破たんを考える その6 ここまでのまとめ

2016-05-23 10:09:18 | 財政
1000兆円と言われる日本の借金は懸念する必要
があるか否か。ということで考えれば問題と言わざ
るをえない。

国には1000兆円の借金だけでなく、640兆円程度
の資産もある。しかし、いざという時に簿価で売却で
きる資産は130兆円程度であり、その他の不動産や
出資は簿価で売却できる可能性は低く、資産を控除
すれば日本の財政は健全という考えには賛成できな
い。

一方、日本全体で見れば、日本は世界最大の債権
国であり、国の借金も国内でほとんど賄っており、問
題ではない、という見解がある。しかし、国全体を見
れば健全でも、国家財政は不健全という例は少なか
らず存在し、最終的に革命やクーデターで政府が倒
れ新しい政府が誕生し、そのどさくさの中で政府の借
金は強制的に解消されてきた過去を考えれば、放置
しても問題ないとは言えない。

消費税を増税しないと国債が暴落するとか、このまま
放置すると金利が上昇すれば財政は持たない。とい
う警鐘が盛んに叫ばれ、それが景気低迷下の増税
路線を選択させ、日本経済更なる低迷を招いてきた。
しかし、本当に財政再建は経済成長を犠牲にして増
税しなければならないほど緊急性があるのだろうか。

国債が暴落するかという点に関しては、国債保有の
主体が国内機関投資家や金融機関であり、円建て
の運用資産の中から選択するということになれば量
的・質的に国債以外に適切な運用手段はなく、日銀
購入が継続すれば需給面から暴落になることは考え
にくい。

一方、投機筋の仕掛けによる一時的な暴落について
は十分に可能性がある。国がこれに対し迅速に対処
する体制整備を怠れば、隙をつかれ国債相場が混乱
する可能性は否定できない。

金利暴騰についても、短期金利については日銀の
コントロールが可能なので、問題は物価と設備投資
であるが、現状では資源価格の継続的な上昇や、
設備投資の収益率拡大は世界的にも日本単独でも
困難であり、数年以内という期間を前提とすれば、
長期金利の上昇可能性は少ない。しかし金利上昇
リスク対策として50年から100年固定金利の超長
期債への切り替えも検討すべきである。

税収と支払利息の面で財政状況を考えると、現在税
収の17.5%程度を占める利払い費が20%を超える
ところまで達するには社会保障費の年間増加予定額
3.4兆円と国債増加額22兆円を合わせた25.4兆円ず
つ毎年国債残高を増やすとしても18年かかる。

結論を言えば、急激な金利上昇や大幅な税収減が長
期化しない限り、日本の財政破たんには長くはないが、
後少し時間が残されている。

この状況で、景気後退のリスクを冒してまで、経済低迷
期に増税を強行することは政策として正しい選択とは
言えない。

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財政破たんを考える その5 後何年で日本の財政は危機状態に陥るか

2016-05-20 10:30:09 | 財政
一応、税収の20%以上が利払いに消える段階を財
政の危機的状況と仮定すれば、日本は後何年でこ
の状態に達するだろうか。

年間35兆円程度の新発債が発行され、13兆円程度
が償還されているので、毎年22兆円国債残高が増加
し発行金利を0.3%と仮定すると年間で利払い費は
660億円増加する。

毎年同額増加したとして、税収56兆円で利払い費が
28年度概算の9.8兆円から11.2兆円に達するのは
金利上昇がなければ21年かかる。。(実際は新発債
より償還債の金利が高いので、利払い増加額はこれ
より少なくもっと先になる。)

一方、社会保障費の増加については年平均3.4兆円
程度が見込まれている。これを全て国債発行で賄うと
すれば、毎年25.4兆円国債残高が増加するとして、
利払い費は762億円増加する。

この場合は18年かかることになる

利払い能力という点で考える限り、急激な金利上昇や
大幅な税収減が長期化しない限り、日本の財政破た
んには長くはないが、後少し時間が残されているようで
ある。


つづく

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燃費不正の影に見える国土交通省の無責任

2016-05-19 10:00:21 | 官僚
三菱自動車だけでなくスズキでも燃費測定での不正
が発覚した。

世界で日本の外貨稼ぎ頭である自動車産業への不
信感が高まれば日本経済にとって大きなダメージで
ある。

調査が進めば他の企業にも波及する可能性は誰に
も否定できない。

この事件に対しては、風通しが悪く、法律よりも企業
内部の風潮を重視する日本企業独特の体質が原因
であるが、もう一つの原因である官庁(国土交通省)
の無責任体質を忘れてはいけない。

官庁はどこでもそうだが、規制(今回は燃費測定方
法)を定め企業に対しその規制を遵守するよう要求
する。

しかし、多くの場合規制内容は重箱の隅をつつくよう
な内容となっており、コストや手間、事業面でその通
り遵守するのが困難な内容となっている。

その結果企業側は融通をきかせてその規制をクリヤ
ーすることになり、規制官庁はそれを薄々知りながら
も問題が表面化しない限り、それを黙認することにな
る。

規制に対しては数年に一度の検査が実施されること
も多いが、検査官の能力や不正発見意欲はそれほど
高くなく、多くの場合はささいな不備を指摘するだけに
留まり、大問題になるような大きな不備や不正が発見
されることはない。

もし、今回のような不正が発見されたとしても規制官
庁は、我々はきちんとすべき内容を通達しているが、
企業が不正を行いその事実を隠ぺいしていたにすぎ
ない、と責任を全て企業に押し付け、自らは何の責任
も負わない。

日本のあらゆる分野で、実施困難、あるいはコストば
かりかかる規制が大量につくられるのは、企業側がそ
の規制を回避する工夫を自主的に行い、規制官庁が
それを黙認しているからである。

そして特定企業に対しその逸脱を黙認するか否かの
裁量権が官僚の力の源泉になっている。

もし、企業が絶対にその規制を遵守しなければならな
いとすれば、企業からの不満が爆発し規制自体を現
実的な内容に変更しなければならなくなる。

しかし、なあなあ文化の日本では、官庁は現実的では
ないが理論的には批判されない完璧な規制を作り、
企業は実際的に運用可能なようにその規制を勝手に
解釈して運用する。

官庁はその企業の勝手な運用を問題が表面化しな
い限り黙認している。

企業の責任は勿論重大であるが、官庁の責任はより
重い。


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財政破たんを考える その4 金利が上昇すれば

2016-05-18 11:00:45 | 財政
国の借金が多くても、今は低金利だから問題ないが、
金利が上昇すれば大変なことになる。

これは日本の財政危機を強調する立場の者から良く
聞く話である。これについて考えてみよう。

平成27年度の利払い費は8.8兆円であり、税収56
兆円の15.7%を占める。ピーク時点の平成3年度は
11兆円であり、税収60兆円の18.3%よりはましで
ある。ちなみに27年度のアメリカの利払い費は3027
億ドルで社会保障税を除く歳入の12%

日本国債はほとんどが固定金利なので、金利が上昇
しても既発行債の利払いには影響はなく、単に金利が
上がったから利払い負担が増えるということはない。

しかし、日本の国債は固定金利の10年債が主流であ
るが、原則60年償還を前提としており、償還時期に借
換債を発行して借換される。ちなみに平成27年では
116兆円程度の借換債発行が予定されていた。

だから、金利が上昇し、新発債や借換債を償還前の
国債より高い金利で発行しなければならないと利払い
は増加することは間違いない。

利払いが税収の何%に達したら、その国の財政が破
たんしたと言えるのか明確な基準は見当たらないが、
20%を超えれば危機的水準と言わざるをえないだろう。
つまり、現在利払い費が税収の15%を超える日本にと
って長期金利が上昇することが危機であることは否定
できない。

それでは本当に長期金利が上昇するリスクは高いの
だろうか。

日銀が国債を購入し続ける限り、投資的な仕掛けを除き
国債の需給関係で国債価格が低下し長期金利が上昇す
るリスクは低い。

可能性があるのは、将来の短期金利の推移や物価変動
長期資金を投じて行う設備投資の収益などについての
「予想」に基づく金利の上昇である。

短期金利については日銀のコントロールが可能なの
で、問題は物価と設備投資であるが、現状では資源
価格の継続的な上昇や、設備投資の収益率拡大は
世界的にも日本単独でも困難であり、数年以内とい
う期間を前提とすれば、長期金利の上昇可能性は少
ない。

しかし、10年20年という期間を前提にすれば、何らかの
方法で税収と利払いのバランスを改善することが必要で
あることは否定できない。

当面考えられる手段としては、国債の償還期間を10年
ではなく長期化することである。

低金利の今の内に50年から100年程度の固定金利
債券に変更することに成功すれば、将来の長期金利
上昇リスクへの備えになる。

既にアイルランド等の国が100年債を発行している。


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