Creator's Blog,record of the Designer's thinking

フィールドワークの映像、ドローイングとマーケティング手法を用いた小説、エッセイで、撮り、描き、書いてます。

EOSな日60. 文化系のライフスタイル

2016年09月29日 | Okinawa
 いきなり沖縄からの帰り話になるが、ダイビングをしたあと18時間は飛行機に乗れない。だからいつも翌日の夕方便を予約してあるが、この日は午前中ゴザまでバスで出かけていたというのに、コザが予想外に近かったというのもあり時間は多いに余る。
 こういうときは本屋に飛び込み沢木耕太郎さんの246という日記を書いた文庫本を調達した。以後空港の待合室で、機内で、京都に向かう高速バスの中で読みふけり、まだ読み終わらない。暇なときに読むのには都合の良い本だ。短いパートで書かれてあるし、イラストも入っているから細切れで読んでも面倒がない。
 最初本を手にしたときは、また文化系の世界かと思っていたから嫌悪感があった。文化系というのは時間軸に沿うという一本調子でホントに文字とロジックの世界だ。僕なんか空間系だから、俯瞰できないと取り付けないし、第一表現するという行為が皆無だとあかん。たとえ表現行為があっても文字だけの文系の世界は、つまらんというわけだ。
 それにこの文庫本は、パソコンが登場する前の文化系が社会的に跋扈していた時代だから、いささかノスタルジックな昭和史でもある。そう出版社と新聞社と雑誌社が元気だった時代である。しかもワードプロセッサーが登場しだした頃という記述だから1980年代だということがわかる。こちらとしては時間つぶしには良いが、今時文化系は大学でも関心がなく他の領域と付けられたりして名称変更が頻繁に行われてきている。不人気学部だし、科研費もつかないから、大学人にとっても遠慮したい世界だ。
 沢木さんの記述に、毎朝仕事場にでかけ掃除をしてお茶をわかし紅茶をすすり、時には音楽をかけたりしてデスクに向かうが、肝心の文章は書けないというくだりが登場する。きちんと整頓してからデスクに向かうという発想がいかにも文化的であり、私のような芸術系とは全く違うなと思っていた。
 多分それは整理整頓しているうちに書こうとするプロットがどこかに飛んでいってしまうのだろう。そりゃ書けないでしょうね。なんか事務員あるいは、今では古典的な文化系の律儀なライフスタイルを見させられているようで面白かった。
 しかし、そうはいっても時間が迫る中で私も原稿が書けないことはあったから、身につまされる話でもある。そういうとき私はどうするかというと、執筆目標を多いに下げてかき始める。そしてさっさと終わらせて、旅に出ようという新たな別目標をかかげる。そうなると早くかたづけようという意識が働くのだろうか、まあ時間通りに終わるけだが、私が書くのは論文だから書き出す前に全ての解析が終わっているのでライターほど悩むことはない。どっちかと言えば理科系に近い世界なのだろう。

那覇市
EOS1DsMarkⅢ.EF16-35mm/F2.8 USM
ISO400,焦点距離33mm,露出補正-1/3,f4,1/200
コメント
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