さて8月27日のブログで、「ZEISSの空気51. 建築物を上すぼまりにしてはいけません」と書いた。トップ画像のように望遠レンズで撮れば傾きが少なく歪曲収差の少ない構図になりますが、それでは建築物の正面が入らない。そこでどうすれば建築物の正面から撮れるか、あるいは正面に機材を構えたがどうしてもレンズを上に向けざるを得ない、といったことについて解説しておきました。
特別な意図がない限り、建築物を左右はもちろん上下にすぼまるような撮り方をしてはいけません、というのがこのブログの主旨だ。つまり撮影機材を上下・左右・前後に傾けないで撮影すること、それが基本の第一歩。
じゃあ、どうすればよいかは以下の事例で説明します。
事例1.焦点距離の短い超広角レンズを使うこと。
先ずは超広角レンズを使うこと。事例1は、撮影日が違うが同じ被写体を同じ位置から撮影したものだ。左側が28mmの画角、右側が10mm(APSサイズ換算15mm)相当の画角である。京都市のような狭い空間で後ろに下がれない場合は、焦点距離でこれだけ違うので超広角レンズが必要になるということ。そして歪曲収差が少ないこと。
事例2.トリミングすること。
左側が撮影画像であり、これをトリミングしたのが右側画像である。撮影するときに、あらかじめ左右に余計な要素をあえて入れておくこと。そして水平・垂直を意識して撮影すれば、超広角レンズでは、必ずといってよいほど道路が盛大に写る。それでよいのである。
撮影後に、中心の建物の水平・垂直を維持しつつ、右下あるいは左下からトリミングラインを縦横比を崩さずに、主題となる建物に近づけてゆけばよい。それにフォトグラファー的な見方をすれば、画面から余計な要素を排除したいとする意識からも、ベターな方法だ。
それに特別のソフトを使わないので簡単な方法ですが、画像を小さくするのだから、画質は少しだけ荒くなると考えた方がよい。
事例3.ソフトのアオリ機能を使うこと。
どうしてもレンズを上に向けないと画面に入りきらない建築物は、結構多い。そうした場合は。とりあえず写しておきたい部分を撮影しておいて、あとでソフトのアオリ機能をつかって、水平・垂直を引き出せばよい。画像では、左側がとりあえレンズを少し上へ向けて撮影したものであり、右側がソフトで修正後の画像である。
画面の端部をみると修正画像は周囲が、補正量によってカットされるので、可能ならば余白を入れて撮影しておくこと。またこの場合、画面上を手前に起こしたような案配で修正されるが、上部が少し上へ伸びている。まあそれは眼をつぶるほかないだろう。この場合でも水平だけは維持して撮影する必要があります。水準器がついている機材もありますが、なければ目測で十分でしょう。
ソフトには、撮影機材に内包されたものもあれば、後処理で補正する場合とがある。私の場合は、Photoshopで後処理補正をしている。すこし形が変形するが、それは微差として気にしないこと。今はデジタル画像だから、ソフトで容易に補正できる時代になっている。
こうした方法を一歩進めるとフィルム時代からの方法であるアオリレンズを使うことになる。当然価格は高いし、ニコンとキャノンからしか発売されていないが商品撮影で多用されている。
またスマホのパノラマモードは、一点からグルッと回すので物理・工学的には画像が歪みます。だから撮影機材で私は建築物を撮影しています。使っているソフトは全てPhotoshopです。
さて、このブログがアップされる頃には沖縄にいますので、1週間ほど、このブログはお休みします。
■トップ画像.京都市祇園
NikonDf+AF-S NIKKOR 28-300mm f/3.5-5.6G ED VR
ISO6400,焦点距離200mm,露出補正-0.33,f/8,1/13
■事例1.京都市祇園
左側
NikonDf+AF-S NIKKOR 28-300mm f/3.5-5.6G ED VR
ISO12800,焦点距離28mm,露出補正-1,f/5.6,1/40
右側
SONY α6000、E10-18mm,F4.0
ISO5000,焦点距離10mm,露出補正0,f/4,1/60
■事例2.京都市祇園
SONY α6000、E10-18mm,F4.0
ISO100,焦点距離10mm,露出補正-0.33,f/8,1/60
■事例3.京都市祇園
SONY α6000、E10-18mm,F4.0
ISO640,焦点距離14mm,露出補正0,f/8,1/60