Creator's Blog,record of the Designer's thinking

フィールドワークの映像、ドローイングとマーケティング手法を用いた小説、エッセイで、撮り、描き、書いてます。

ドローイング938. 小説:小樽の翠847.小樽冬物語

2024年12月01日 | field work

 12月だ。小樽は空は冬の気配が濃厚だが、まだ雪は降らない。それが過去の記憶を思い出す。
 冬、アチキは一時仕事で小樽に通った。水瓶座の翠と出会ったのは房ちゃんの店だった。当時翠は駅前の喫茶店の任されオーナーをして、夜は房ちゃんの店でバイトをしていた。
 最初翠と出会ったときから相性がよく、人の来ない店で閉店まで飲んでいた。それから酔った勢いで翠の家でセックスをした。それが翠との最初だった。多分人生の表と裏をみてきた房ちゃんから「いいひとよ!、ゲット!!」といわれたのかもしれない。
 翠は16歳でマサヒロ君を生んていた、初体験が初出産だった。子供の面倒は、孫が出来たと喜ぶパパ達が面倒をみて育て、翠は高校に復帰し、それから看護学校にいった。翠のパパは美術の先生であり、ママは英語の先生だったという実家の性分もあったのだろう。
 翠の子供マサヒロ君が小学1年生になる頃、パパと知り合いのツカモッチャンが先生をしている小学校の美術室を遊び場にしていた。だから美術とデザインは超早い幼児教育だったし幼少期から美術の才能を発揮していた。
 それにツカモッチャン家の7人の子供達が美術室に遊びに来ていた。玲香、一太郎、小太郎、美希、明菜、翼、小春だ。マサヒロ君が学校でおもらしをしたときは玲香姉ちゃんが後始末をして、パンツを探し取り替えてくれた。だからマサヒロ君は、今も玲香姉ちゃんには頭が上がらない。そんなマサヒロ君とツカモッチャン家の子供達は、いまも仲良し組だ。
 マサヒロ君は、高校をでる頃には美大で教えることは全部勉強しちゃったから、市内にデザイン事務所を立ち上げ自立してしまった。そして札幌の美大へサングラスをかけ突っ張ったバイク族みたいな格好で非常勤講師もしている。本人に言わせると石原裕次郎の若い頃を参考にしたというのだが・・・。今は結婚して二人目の子供を制作中だ。
 その後翠は経験をかわれて市内の大病院の看護師に復職した。その頃からコロナ過に見舞われたんだった。それでも萎えることなく、みんな元気に暮らしている人達だ
 アチキは毎週名古屋の大学が仕事場だ。だから小樽から通勤している。もうじき冬休み前だから大学も休みにはいりつつある。
 そして病院勤務をしている翠は・・・、
翠「もうじき冬だよーーん。家に籠もってじっくり愛し合う季節だよーん」。
「つまり冬は、それぐらいしかやることがない!」。
翠「それが冬の暮らし方よーーーーん。だから雪国のカップルはベッドの相性が大切なんだ」。
そういって翠は出勤していった。
 小樽は、海洋性気候に属し夏は涼しくすごしやすい。 冬は、降雪量は多し、道内内陸部に比べると寒暖の差は小さい。12月初めは最高気温3°、最低気温-3°と記憶している。これが中旬になると最高気温0°、最低気温-7°となり、北海道の山間部と比較すれば遅まきながら雪が降り始める。もちろん家の暖房はすでにフル稼働している。
 「冬は愛し合う季節かーーー。寒いから布団に籠もって二人の体温で温まり合う昔のDNAが今も活きている。そのためか雪国の女達の表情をみると、夕べも沢山愛された後の充実感が伝わってくるようだ。それが雪国の女の魅力らしい。
・・・
 さてアチキは、オイルタンクの点検が終わったので街へでよう。
入船の交差点へ坂道を降りてゆく。
今にも雪が降り出しそうな天気だけど、これがなかなか降らないんだな。
正面に神佛湯の看板が見える。
しばしば翠と訪れ、温かい家族風呂で翠とラブラブする。これは冬の楽しみだね。
・・・
灯油屋の軽トラが通り過ぎる。
スーパーにゆくと雪かきのスコップが沢山置いてある。
食料品売り場は鍋のコーナーができている。
翠から夕飯の食材を買ってくるように頼まれていた。
石狩鍋ですかね・・・。
鮭に大根に里芋は必須。
あとは安ければ蟹だよな。
ついでに増毛の酒とウィスキー・・・。
街は冬ごもりの支度で少し忙しそうだ。
つまり熱い鍋と酒で暖まりながら、冬の長い時間を女を愛するための準備といったらよいか。
それが小樽冬物語!!!。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« エッセイ797. 北陸新幹線敦... | トップ | ドローイング939. 小説:小樽... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

field work」カテゴリの最新記事