

ニジマスが消えた。常呂川源流、原生林のオショロコマとエゾイワナ。
201X-5-27(金) 晴れ
この日、近郊の渓流あちこちをさぐったが、最後に 常呂川最源流域に入った。

うっそうとした原生林の中を流れるだらだら川が、奇跡的にほんの数百mの区間だけ屈曲蛇行して流れ、蛇行部分には深いたまりが出来て魚がたまるポイントになっている。

付近の林道にはヒグマの糞が多く、親子クマもいて、とても緊張する釣り場である。

林道沿いのタンポポにはエゾスジグロチョウやキアゲハの春型が吸蜜していた。

期待して振り込むが、どうもいつもと違って魚が少ない感じ。
とても珍しいことに、少し前に釣り人が入った気配が感じられる。
いつもは必ず尺前後のエゾイワナが竿先を絞り込んでくれるのだが、この日は小型エゾイワナとオショロコマがかかったのみであった。

オショロコマは♀は淡い色調で赤点紋理は細かく常呂川水系の個体群の特徴を示すが個体数はさほど多くない。














強力台風の猛威の跡。

小型エゾイワナはいつもながら数が多くオショロコマを圧倒している感じ。











以前は多かったニジマスは最近激減、今日は一匹も見られなかった。
この日撮影させていただいた渓流魚たちは全て丁寧にもとの場所にリリースしました。

この水域は以前はおびただしい数のニジマスが見られたが、先見性のある地元自治体(置戸町)が生態系を破壊するとして放流を中止し、その後積極的な駆除(持ち帰り食べる)の効果か、最近は滅多に見かけなくなった。
釣り味最高のニジマスがいなくなり釣り人にはちょっと物足りないかもしれないが、貴重な原始生態系は、寸前で破壊・消滅をまぬがれたようで、これでいいのだと思う。
ニジマス放流に適した水域はほかにいくらでもある。
この水域は、ほとんどがだらだら渓流でたまりが少なく、もとよりニジマスの自然繁殖にあまり向いていないこともあり、ニジマスは最終的にきっと消えてくれると思う。

これとは真逆の方向で依然として自然豊かな渚滑川へ養殖ニジマス放流を続け、ごく些細な経済的効果と引き替えに北海道屈指の原始生態系をほこっていた渚滑川水系をニジマス川に置き換える作業に余念がないのが滝上町である。
その詳細と悲惨な自然破壊状況については本ブログで数限りなく紹介しているので重複を避ける。
ただ、いまや貴重な原始生態系はひとり滝上町やニジマス釣り愛好家たちだけの物ではないことにも、そろそろ気づいてほしい。
毛変わり時期の子キツネがじっとこちらを見ていたが、目が合うと逃げた。
最近はエサをねだって寄ってくる観光キツネが多いのだがここでは逃げてくれたのでホッとした。


