NHK広島制作の『サンドウイッチマンの病院ラジオー広島篇』を先ほど視た(2/23日 8:15~9:15)https://www.nhk.jp/p/hospital-radio/ts/4LP7MJWPN9/
そういうラジオ番組があるわけではなく、不定期のTV番組である。サンドウィッチマンの二人が各地の病院に出向き、仮のラジオスタジオをつくり、入院や通院患者、その家族など5人くらいを招いてインタビューする。
TVやラジオのトーク番組に芸能人や著名人をゲストに招き、最近の活動や心境を聞き、ゲストのリクエスト曲をかけるのと同じだ。病院ラジオでは、ゲストはその病院の患者ということになる。
今朝の広島篇では、広島赤十字・原爆病院を訪ねたせいか、がんや白血病、被爆の患者たちがゲストだった。診断されたときの気持ちやその後の経緯、現在の様子を、最近、膀胱がんのステージ1を公表した、サンドウイッチマンの伊達と相方の富沢が聴いていく。
収録日は病院の生番組のように、院内の患者や看護婦など医療関係者はリアルタイムで聴取できる。仮設ラジオスタジオ前のスピーカーや、専用のスマートフォンアプリを経由して聴く仕組みだ。
今回は、深刻だったり厄介な病気が多かったが、「闘病」を語るというシリアスな感じはない。病気が生活の一部となった人たちの暮らしや家族、あるいは学校や勉強、将来の夢の話だ。
入院経験ある人なら、患者同士が集まる休憩所で交わされる会話を思い浮かべればよい。「たいへんでしたね」「よくがんばったな」といった同情や激励の言葉を口にするが、病気はお互い様だから、挨拶くらいの軽く明るい口調になる。
漫才と同じように、患者ゲストの話に突っ込んだり、まぜ返したりするサンドウイッチマンのトークは、病気や患者というよりその人自身を話題にしているという姿勢だ。病院での患者同士の話も同様で、どんな人で何をしてきたか、これからどうするのか、病院の「世間話」も同じなのだ。
入院患者同士なら、たいていはひと通り自分語りはしている。処方される薬や食事などから病名はわかっているし、その症状に本人や家族の一喜一憂も見聞している。あるいは、見舞客の出入りやその会話を小耳にはさんだりして、仕事内容だけでなく、地位や性格、人望まで、隣近所のベッドなら自ずとおよそわかってしまうものだ。
家族や世間から切り離された孤独で暇な患者同士のお互いさまという関係性と、何十年来の友人くらいしか持ちえない知見があってこそ、休憩所の「世間話」は成り立っている。サンドウイッチマンの二人には、病院の仮のスタジオでそれを自然にできているようにみえる。
二人の芸と個性のおかげでもあるだろうが、その裏には番組スタッフが本人はもとより、医師や看護師など医療関係者、家族や友人など見舞客への取材やインタビューが入念に行われているためだろう。形は軽快なトーク番組だが、実際はドキュメンタリ番組なのだ。
本人とのトークの後には、感謝の言葉を捧げられた妻の反応が映し出される。「ひさしぶり」と看護士と会話が弾む、子どもを失くした母親の姿も追う。延べ数十人、延べ1か月はかかる取材と準備を通した信頼関係があってこその「世間話」である。
NHKらしい、NHKでしかできない良心的な好番組だ。残念ながら、この番組はNHKのオリジナルではない。ベルギーで制作されたドキュメンタリー番組『Radio Gaga』の日本版だそうだ。また、ホスピタルラジオ(Hospital radio、病院ラジオ)というイギリスを中心に英語圏で広く浸透しているボランティア活動があり、病院内または近郊に小さな放送スタジオを実際に作り、院内のベッドサイドのイヤホンなどを利用して、音楽やニュースなどを提供しているそうだ。1926年から始まり、2022年時点にホスピタルラジオ連盟(HBA)に登録している放送局は170件前後という。https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9B%E3%82%B9%E3%83%94%E3%82%BF%E3%83%AB%E3%8
「ゲスト」のリクエスト曲は、やはり人生を見渡すようなスケールの大きい、そして抒情的な曲が多い。誰でも知っている流行歌より、あまり知られていない歌が多い気がする。人と曲に、なるほどと頷いたり、意外に思ったり。TVやラジオの一般的なトーク番組のゲストに劣らず、患者ゲストの話はおもしろい発見も少なくない。
患者と病気という背景によるものというより、出演する芸能人や著名人が身につけているようなフランクさ、世界と自分を測っている態度といったものが、引き出されているからだろう。やはり、病院の「世間話」である。
でもさ、サンドウィッチマンってはじめて知った。サンドイッチマンってずっと思ってた。ウィッチのウィにアクセントがきて話し難くない?喫茶店やレストランで、「サンドウィッチください」って注文してる?インチキ英語みたいで、なんだかなあ。
止め