コタツ評論

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蒼い影

2015-04-29 23:29:00 | 音楽
今夜は、日米地位協定改訂を記念して、プロコル・ハルムの「青い影」をお届けします。

Procol Harum - A Whiter Shade of Pale, live in Denmark 2006


1967年の曲ですから、いまから48年前。このじいさんがあの有名なオルガン前奏を弾き、歌い、曲も書いたゲイリー・ブロッカー、1945年生まれのイギリス人です。

HSAS - Whiter shade of pale - Live


このイカスボーカルは「寿司さしみ」君です。

Liza Veiga - A Whiter Shade Of Pale


「彼女」の嘆きが伝わってきます。ポルトガルのソプラノ歌手です。

Whiter Shade of Pale / Hop Special - Roland Alphonso


スカでやるとこうなります。いまは亡き先輩、ナベさんにそっくり。

THE DELLS-WHITER SHADE OF PALE


ジョー・コッカーが R&B にアレンジしてさらに有名になった曲ですが、これはソウルバージョンです。

King Curtis - A Whiter Shade of Pale


下品ですが、ユニークです。

さて、歌詞が難解として知られています。ま、私は英語が不案内なので、難解も南海ホークス(知らないか)もないのですが、音としては、冒頭の「ファンダンゴ」と3行目の「シシー」が耳に残りますね。たぶん、彼女の名前が「シシー」というのだろうと当たりをつけて聴いていました。意味不明としては、”As the miller”と "One of sixteen vestal virgins" がとくにそうですね( karaさん、ご多用のところ恐縮ですが、気が向いたら訳してくださいませんか?お願いします)。

いくつかの解説を読むと、彼氏の戦死(ベトナム戦争)を聞かされた彼女の蒼ざめた顔を前にして、彼氏の友人であり、やはり戦場に赴くことが決まっている、じつは彼女を好きな僕視点の歌のようです。反戦歌なんですね。「地球規模で米軍の後方支援」にあたる自衛官の恋人が蒼ざめることのないよう祈るばかりです。

「Y子さんはなんらかの事件に巻き込まれた可能性もあるとして、警察は慎重に捜査を進めています」とTVアナウンサーは強姦殺人事件を報じます。被害者の人権と遺族感情を配慮して、迂遠な言いまわしをするわけです。しかし、「これでアメリカの戦争に日本が巻き込まれる怖れが高まった」というメディアの、やはり迂遠な言いまわしには、どんな配慮があるのでしょうか?

「後方支援」に「戦争参加」以外の意味を見出すのは難しいから、国民感情をいたずらに刺激するのを避けたかったのかもしれません。

与党提案の新たな安全保障関連法案を「戦争法案」と呼んだ社民党の福島瑞穂副党首に対して、自民党は「不穏当」と発言の修正を求めていましたが、先日、福島発言を衆院予算委の議事録に記録すると決めて各党に伝えました。日米地位協定の18年ぶりの改訂を見越して、自民党が率直になったことは評価できます。

A Whiter Shade of Pale

We skipped the light fandango
Turned cartwheels 'cross the floor
I was feeling kinda seasick
But the crowd called out for more
The room was humming harder
As the ceiling flew away
When we called out for another drink
The waiter brought a tray

And so it was that later
As the miller told his tale
That her face, at first just ghostly,
Turned a whiter shade of pale
She said, 'There is no reason
And the truth is plain to see.'
But I wandered through my playing cards
And would not let her be
One of sixteen vestal virgins
Who were leaving for the coast
And although my eyes were open
They might have just as well've been closed

And so it was that later
As the miller told his tale
That her face, at first just ghostly,
Turned a whiter shade of pale

And so it was that later


(敬称略)
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コナー”ノートリアス”マクレガー

2015-04-24 01:00:00 | ノンジャンル
ここから先は流血注意です。

7月11日、ラスベガスで総合格闘技 UFC フェザー級タイトルマッチが行われます。挑戦するコナー・マクレガーは必見。これほど美しい身体と美しい直線を描くパンチを見たことがありません。名前からして、もちろんアイルランド人。受けて立つブラジル出身のジョセ・アルドは、「パウンド・フォー・パウンド」の呼び声も高い、死角なしの最強チャンプです。その無慈悲なほどの手数足数をスェーバックで躱して、コナーの腕が伸びるような一撃必殺のパンチやキックが突き刺さるのを期待しています。あるいはUFCのモハメッド・アリといわれるほどの口達者とハンサムな顔が流血と屈辱にゆがむかもしれません。どちらにしろ、名勝負になることは間違いありません。

Conor "Notorious" McGregor


Jose Aldo Highlights 2014


ジョゼ・アルド「コナー・マクレガーの挑発は気にならない。彼のことは研究済みだ」
http://sadironman.seesaa.net/article/416523911.html

チャンピオン、なかなか渋いですね。コナー、ちょっと勝てない気もしてきました。

(敬称略)
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海の彼方へ

2015-04-23 00:22:00 | 音楽
今夜はボビー・ダーリンです。

Bobby Darin - The Great Performer - Legends In Concert


冒頭の「ビヨンド・ザ・シー」"Beyond the Sea"は、シャルル・トレネが歌った代表的なシャンソン、「ラ・メール」"La Mer"が元歌です。最近では、ジョン・ル・カレ原作のイギリス映画「裏切りのサーカス」のエンディングで、「ラ・メール」が効果的に使われました。歌っているのはフリオ・イグレシアスでした。ちなみに、同映画では、MI6(イギリス諜報部=サーカス)のクリスマスパーティでは、宿敵ソ連の国歌を諜報部員たちとその家族が大合唱する場面もありました。

検索してみると、「ラ・メール」を歌うヨーロッパの歌手は数多いのですが、「ビヨンド・ザ・シー」には、これといったフォロワーは出なかったようです。続く各曲では、シナトラのように、エルビスのように、レイ・チャールズのように、エルトン・ジョンのように多彩に歌いながら、しかしほかの誰でもなく圧倒的にチャーミングなボビー・ダーリンだからかもしれません。

いつかどこかで聴きおぼえのある、おなじみのあの曲、このメロディを大ヒットさせたのは、じつはボビー・ダーリンでした。50~60年代のロックンロールやナイトクラブシーンの彼は、いま聴いても少しも古臭くなく、完成されたスタイルを感じさせます。まるで生まれたときから、ボビー・ダーリンだったかのようです。

最近、彼の伝記映画「ビヨンド the シー 夢見るように歌えば」(2004)でケビン・スペイシーがボビー・ダーリンを好演しました。風貌が似ているだけでなく、玄人はだしの歌を披露して感心しましたが、そこが逆に小物感を漂わせてしまったようで残念でした。ボビー・ダーリンはスター歌手やエンターティナーという評価を越え、アメリカ音楽のひとつのジャンルとして伝説化しつつあるようです。「ビヨンド・ザ・シー」には、そんな彼のスケールの大きさがすでにうかがえるのではないでしょうか。

"Beyond The Sea"

Somewhere beyond the sea
Somewhere waiting for me
My lover stands on golden sands
And watches the ships that go sailing

Somewhere beyond the sea
She's there watching for me
If I could fly like birds on high
Then straight to her arms
I'd go sailing

It's far beyond the stars
It's near beyond the moon
I know beyond a doubt
My heart will lead me there soon

We'll meet beyond the shore
We'll kiss just as before
Happy we'll be beyond the sea
And never again I'll go sailing

I know beyond a doubt
My heart will lead me there soon
We'll meet (I know we'll meet) beyond the shore
We'll kiss just as before
Happy we'll be beyond the sea
And never again I'll go sailing

No more sailing
So long sailing
Bye, bye sailing...

(敬称略)
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顔文一致

2015-04-16 23:59:00 | 3・11大震災
先日、福井県の高浜原発の再稼働について、福井地裁は被告の関西電力に対して、6人の市民原告が求めた運転差し止めを認める仮処分を出しました。http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150414/k10010047951000.html

樋口英明裁判長は、昨年5月にも、やはり福井県の大飯原発の運転差し止め判決を出しているため、この4月の異動で名古屋家裁判事に「左遷」が決まったように、再稼働賛成側からは忌避される一方、反対側からは英雄視されています。

樋口英明裁判長、厳めしい六法全書のお顔です


再稼働にゴーサインを出した原子力規制委員会の田中俊一委員長は、さっそく、「重大な事実誤認がある」「世界で最も厳しい規制を緩やかすぎるとは」というコメントを出しました。

しかし、大飯原発の耐震が1260ガルでも運転差し止めを出したのに、さらに低い700ガルの耐震の高浜原発の運転を認めるわけがなく、今回の差し止め仮処分はほとんど予測されていたはずなので、田中委員長の口調は冷めたものでした。

田中俊一委員長、原子炉規制法と同じく、融通が効くお顔です


原発と法律それぞれの専門家の判断と決定に、ここでは立ち入るつもりはありません。ただ、大飯原発の判決文と今回の高浜原発の仮処分決定文を読んでみると、樋口英明裁判長が論理的で明晰な文章の書き手であることがわかります。

というわけで、今回は名文鑑賞のお時間です。平明かつ達意の文章とはこういうものだと中学の教科書に載せたいくらいです。以下は、大飯原発の判決文から。http://blog.goo.ne.jp/mayumilehr/e/c23cee97b8aefb95b510b0505f9c6072

他方、被告(関西電力)は、本件原発の稼動が、電力供給の安定性、コストの低減につながると主張するが、当裁判所は、極めて多数の人の生存そのものに関わる権利と、電気代の高い低いの問題等とを、並べて論じるような議論に加わったり、その議論の当否を判断すること自体、法的には許されないことである、と考えている。このコストの問題に関連して、国富の流出や喪失の議論があるが、たとえ本件原発の運転停止によって、多額の貿易赤字が出るとしても、これを国富の流出や喪失というべきではなく、豊かな国土と、そこに国民が根を下ろして生活していることが国富であり、これを取り戻すことができなくなることが、国富の喪失であると、当裁判所は考えている。

ただし、高浜原発の再稼働はやがて認められると予測されます。被告の関西電力は、当然、この仮処分に即時抗告という不服申し立てを行うはずで、その際は「左遷」された樋口裁判長に代わり、べつの裁判官が担当するからです。
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茄子のパスタ

2015-04-14 00:01:00 | 食べ物
じっさいはもっと入念ですが、はしょって書きます。

1. オリーブ油で大蒜と唐辛子を炒める(弱火)
2. ベーコンとエリンギを加えてさらに炒める(弱火)
3. 輪切りにした茄子をべつのフライパンで油焼きする(中火)
4. ホールトマトの缶詰を開け、1/2+3 に加えて煮詰める(弱火)
5. マギーブイヨンと塩胡椒でソースの味を調える
6. アルデンテのパスタを投入して大きく混ぜてからめる(強火)


熱々のやつを、フォークに巻き巻きして、口いっぱいに頬ばる。
「じつに、不味い!」
いったい、なにがいけないんだろう?
上手くいったためしがない。

こんなことでは、「ゴッドファーザーPART1」でファミリーが抗争中、クレメンザが立て籠もりのメンバーに振るまった「マンマの味」である「ミートボールスパゲッティ」など、一生食べられそうにありません。



(敬称略)
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