コタツ評論

あなたが観ない映画 あなたが読まない本 あなたが聴かない音楽 あなたの知らないダイアローグ

ナメんなよ

2021-12-29 23:36:00 | ノンジャンル
詩は文芸の最高峰であり、詩人は職業ではないことだけでも気高い人達だと思ってきた。茨木のり子はそんな私の憧憬に応えてくれない。

ファンや好きな人には大変申し訳ない。どうか捻くれ者の戯言と聞き流してほしいのだが、正直にいえば相田みつをと変わりないと思う。

説経じみた元気の押し付けと、それを無闇にありがたがる需要のあり方などはよく似ている。

その上、「女性ならではの視点」といった文脈で朝日新聞やNHKでその「凛とした」人物像と共に語られるとき、ほとんどゾッとする。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20211228/k10013406381000.html

もちろん、茨木のり子その人に、受容のされ方にまで及ぶ責任はないのだが、よく引用される『わたしが一番きれいだったとき』など、当然のように非戦や反戦と絡められると、素朴にも程があると作品にまでケチを付けたくなる。

むしろ、この秀逸なパロディこそが、軽やかに茨木のり子を再現しているように思うのだ。

DJ薄着 @usgi
わたしが一番きれいだったとき
街々はがらがらで
あたらしい人とは会えず
行きたい場所には行けなくて
鼻に綿棒なんかを突っ込まれたりした


(止め)
 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

クリスマスですが

2021-12-24 23:22:00 | 音楽
「ほんと、うるさいわよねえ、あのジングルべえ」
市原悦子が云ったTVドラマがあった。弥次郎兵衛や安東仁兵衛のような「べえ」が可笑しかった。

そんな舌打ちしたくなるほど騒々しいけれど賑やかな、かつてのクリスマス風景は街から消えました。ずっと静かだけれどもの寂しい、今のクリスマスには似合う歌かもしれません。

ジョン・レノンの「イマジン」と並ぶポール・マッカートニーの名バラードです。二人の対照的な個性がよく出ました。今夜はおなじみのアンジェリーナ・ジョーダンでお届けします。



翻訳はDeeplですが、なぜか女言葉になっているところだけ手を入れました。

Yesterday
All my troubles seemed so far away
Now it looks as though they're here to stay
Oh, I believe in yesterday

昨日
すべての悩みは遠くにあるように思えた
今、それは彼らがここに滞在しているように見える
ああ、私は昨日を信じる

Suddenly
I'm not half the man I used to be
There's a shadow hanging over me
Oh, yesterday came suddenly

突然に
私は以前の半分の男ではない
影が垂れている
ああ、昨日は突然やってきた

Why she had to go
I don't know, she wouldn't say
I said something wrong
Now I long for yesterday

なぜ彼女は去らなければならなかったのか
私は知らない 彼女は言わない
私は何か間違ったことを言った
今、私は昨日を懐かしく思う

Yesterday
Love was such an easy game to play
Now I need a place to hide away
Oh, I believe in yesterday

昨日
恋なんて簡単なゲームだった
今、私は隠れる場所が必要です
ああ、私は昨日を信じる

Why she had to go
I don't know, she wouldn't say
I said something wrong
Now I long for yesterday

なぜ彼女は去らなければならなかったのか
私は知らない 彼女は言わない
私は何か間違ったことを言った
今、私は昨日を待ち望んでいる


イエスタデイといえば、サッカーファンならイニエスタを、ジャズファンなら「イエスタデイズ」を思い浮かべるものです。

"sequestered" 以外は翻訳が不必要なほど簡単な言葉遣いですが、この歌詞をビリー・ホリディが歌うとどれほど "insane" になるか、ということです。これもDeepl翻訳です。



Yesterdays,
Yesterdays,
Days I knew as happy,
Sweet sequestered days,
Olden days,
Golden days,
Days of mad romance and love,

Then gay youth was mine,
Truth was mine,
Joyous, free and flaming life,
Forsooth, was mine.
Sad am I,
Glad am I,
For today I'm dreaming of
Yesterdays.イエスタデイ

イエスタデイ。
幸せだと思った日々
甘く隔離された日々。
昔のこと。
黄金の日々
狂おしいほどのロマンスと愛の日々。

その時、私の青春は輝いていた。
真実は私のものだった。
楽しくて、自由で、燃え上がるような人生。
私のものだった。
私は悲しい。
嬉しい。

今日も私は夢を見ている
イエスタデイ


(止め)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

元気になる歌01

2021-12-16 23:41:00 | ノンジャンル
圧倒的なビリー・プレストン です。作詞作曲のジョージ・ハリソンとエリック・クラプトンのギター、ドラムはリンゴ・スター、ピアノはポール・マッカートニーです。ビリー・プレストン以外はほんのなめるだけ、アップにしないところが上品です。



コーラスに「ハリクリシュナ」の言葉が出てきます。ジョージ・ハリソンがインドに傾倒したのは有名な話ですが、ヒンディーのハリー神を讃える言葉であり、歌ということになります。

ただし、ビリー・プレストンが歌うと黒人教会のノリになるせいか、ほとんどの観衆はこの歌の「マイロード」に、やはりキリストを重ねているようにみえます。舞台上のポップスターたちもまた伝説のアイドル(偶像)として信仰に近い存在ですから、この場では宗教色はごく希薄になり、信仰だけが共有されているといえます。

ビートルズの「ミソッカス」であったジョージ・ハリソンですら、そういう歌をつくってしまうところが、ビートルズの革新性ということかもしれません。

(止め)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

目からウロコ

2021-12-09 00:27:00 | 新刊本
衆院議員が新潟裏金騒動の泉田氏と星野氏の関係性を解説
https://www.tokyo-sports.co.jp/entame/news/3840560/

「例の件について問題は何故二人が喧嘩したかではなくむしろ、何故知事時代は蜜月でいられたかでしょう」(米山隆一)

例の件とは、先の衆院選の比例復活で再選された自民党の泉田議員が選挙期間以前に、新潟県政のボスである星野県議から、「当選するには、2〜3000万円の裏金が必要」と要求されたとツイッターで暴露したことから始まった、「喧嘩」のことです。

前新潟県知事である泉田議員と県連のボスとして知られる星野県議、この二人についてよく知るはずのやはり元県知事で先の衆院選で当選したばかりの米山議員が解説しています。

そういう場合、たいてい二人の業績や人柄、エピソードなどを通じて語るものですが、米山議員は新潟県政の構造に踏み込んで解き明かします。

韓国映画の名作「オールドボーイ」のセリフを思い出します。

「なぜ、15年も監禁されたのかよりも、なぜ突然解放されたのかを考えてみるべきだ」

米山議員は医師でもあり、作家の室井佑月さんと結婚して話題にもなりました。もしかしたら、この映画を観ていたので思いついたのかもしれません。

新潟の自民党政治について、政治家10人に話を聞いて回ったとしても、その構造について話してくれる人は一人いるかいないかでしょう。その生態系に及ぶところまで話してくれる人なら、100人に一人でしょう。米山議員の解説は生態系をもイメージさせる優れた分析です。なんと、東スポの記事です。

冨田宏治氏が喝破「大阪で維新を支持しているのは貧困層を憎悪する中堅サラリーマン層」
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/298204://

先の衆院選で第3党にまで躍進した維新の謎を解き明かしていますが、同時に大阪と大阪人の現在をよく知るために役立ちます。

維新支持層の中心は30代後半から50代の中堅サラリーマン層です。第2の経済都市なので、大企業の関西支社や大阪支店が集積している。全国から転勤族も含むサラリーマンが集まり、相当な数になる。都構想をめぐる15年の住民投票で、ガチの支持層を実感しました。-

周囲はタワーマンションだらけ。ラフな格好ながらどう見ても中堅サラリーマン風の男性が三歩下がって歩く奥さん連れで三々五々やって来て、維新の運動員に次々に合図を送って投票所に吸い込まれていく。一日中こんな光景を見続けたんです。愕然としましたね。/articles/view

/要するに、彼らは転勤族なんです。専業主婦の奥さんや子どもとタワマンで暮らすような勝ち組。維新の主張は絵に描いたような新自由主義改革なのだから、彼らが支持していると考えた方が分かりやすい。それこそ、目からうろこでした。

自民党、立憲民主党、共産党が減らした計30議席をそっくり取った形なので、維新独り勝ちに映る。投票率上昇分の票が自民党に行かず、野党共闘にも向かわず、維新に途中下車したようには見えますね。

地方議員に支えられた圧倒的な組織力です。大阪府下の府会議員、大阪市議、堺市議、市町村議員は239人。対する立憲は20人、連合大阪推薦まで広げても68人。地方議会に強い共産党は142人です。

この記事は触れていませんが、大阪に赴任する転勤族ははたして「勝ち組」なのか、という疑問が浮かびます。大阪の経済的地位が沈下し、経済規模では横浜より下であることを考えれば、タワマンに住むエリートと言えるかどうか。

ほんとうのエリートは「大阪なんか」に赴任しない、じつは二番手三番手ではないかと考えてみると、彼らコアな維新支持層である新自由主義者の陰影が窺える気がします。ゲンダイ記事です。

(止め)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする