明日から盆休みです。お出かけではない人にお勧めの動画は、話題の最新映画でもなく、大谷翔平のエンゼルス中継でもなく、ウクライナの戦況でもなく(実際、この数週間、アメリカ人にとって最大の話題だったらしい)、アンバー・ハードとジョニー・デップの名誉棄損裁判中継動画です。
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Netflixやアマプラの視聴時間が激減しただろうと思わせる、抱腹と仰天の場面の連続。アンバー・ハードの暴力に耐えかねていたジョニー・デップが、ついに離婚を決意する直接のきっかけになった、自分のベッドに見つけたあるモノとは?
アンバー・ハードのウソを暴き、問い詰めていくカミーユ・バスケス弁護士の質問の見事さ、というか、日本の記者会見を見慣れた日本人としては、これが当たり前なんだよなあと呆然とします。また、二人とも発音が明瞭なので、英会話の勉強にもなります。
ウソつきの根性悪のカネに貪欲な、しかし頭の悪い浅知恵の大根女優を演じきったアンバー・ハードがすばらしい主演女優を務めています。名優ジョニー・デップが「アンバー、あまりにヒドイ演技だよ」とつい視線を向ける助演も含めて、数々の個性豊かな証人が次々に登場します。
「シザーハンズ」の繊細な美青年、「パイレーツ・オブ・カリビアン」の狂騒的なまでに饒舌な海賊を演じたジョニー・デップが、鈍重な印象でほとんど失語症を疑わせるほどもたつく語り口ながら、ユーモアのある切り返しもできるなど、新境地をみせているところも映画ファンにはたまりません。
いまは対立していますが、アンバーとジョニーの二人とも、けっして幸福な生い立ちとはいえず、どこか魅かれ合った、共振するところがあったのではないかと思わせる、二人が登場する証人尋問も見どころの一つです。
たぶん、少なからぬ映画脚本家がこの裁判中継を見て、「こんな脚本書けるもんか!」と自らの才能に限界を思い知らされて、頭を抱えたことでしょう。
ジョニー・デップって、なかなかいい奴なんだな、と思うでしょう。どんなに美しくとも、アンバー・ハードはとても好きになれそうにないし、いっしょに暮らすには大変な女性だなと驚きながら、けれどそう嫌いにもなれないなと思ったなら、あなたとは友だちになれそうです。
(止め)