コタツ評論

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好きのち嫌いときどき雨

2002-03-28 18:12:19 | ダイアローグ
バレンタインチョコ
届いたかしら
あれ高かったの
ホワイトデーを
楽しみにしていたのに
部屋にいなかったね

会えないと気が狂いそうだし
会っているともっと苦しいの
2度と会いたくないくらい
あなたとはずっと話したかったけれど
電話しなかったのはそういうわけ
気をわるくしないでね

踊りやドライブにも誘ってくれない
黙りこくって時計ばかり気にしている
もうダメかもしれないって思ってる
はじめて会った頃と
あたしは何も変わっていないはずなのに
彼が変わってしまったのね

冷たくされても
あなたと会っていても
彼を思わずにはいられない
もう好きとか嫌いとかじゃなくて
愛しているの
津波なの

好きというなら
あなたの方が彼よりずっと好き
いまは前ほど好きになれないけれど
でも憎んだりしていない
彼なんか影も形もなかった頃から
あたしたちはあたしたちだったから

裏切ったなんて思っていない
あなたも苦しんでいたし
お互いに辛かったんだから
あなたはあたしによくしてくれた
あたしにはもったいない友だち
ずっとそう思ってきたの

何度も泣くだろうけれど
彼を忘れることはいつかできるはず
でもあなたと別れるのはいやなの
だからさっきから鳴っている電話に出て
彼にちゃんといってほしいの
もう2度と電話しないでって

彼に捨てられた上に友だちまで失うなんて
あたしの手紙やプレゼントを2人で眺めるなんて
あたしを思い出にするなんて
そんなのひどすぎる
友だちならできないはず
あたしがそう叫びかけたとき

雨に濡れた彼が入ってきた
あなたの髪が風に揺れ
瞳に火がついた

(3/28/02)
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犬っころ

2002-03-21 12:39:00 | ダイアローグ
犬っころ

あなた心ってその耳の上にあるって思ってない?
じゃ誰かを好きになると胸がときめいたり
何かこみ上げてきてあわてるのはなぜ?
心って内臓にもあるのよ頭や脳だけじゃない
あなたのその間抜けな一物は内臓器官なの
外に飛び出しちゃった心の一部なのよ
女のオマンコは内臓そのものよね
だから男よりずっと心で感じるの
でも心に入られるのって苦痛でもあるのよ
たいていの女が優しくしてねというわけ

話を元に戻すと
あなたが女心がわからないのは
あなたのせいばかりじゃなくて
そんなわけで
もともと心を感じる機能が男は女より劣っているのよ
それを補うために脳で考えようとするのね
可哀想なものね

心はここにあるのに
あなたはいつもそれに触れているのに
彼女の心がわからないとあなたはいう
彼女はね、なぜあなたがわからないか
それがわからないのよ、わかる?

聞こえていたよ
狭い2DKだからな
またくだらないご託を並べていたんだろ
あのお喋りが
話半分に聴いておけよ
俺が思うに
お前がまずいのは
女と犬っころは同じだ
それをいつまでたっても弁えないことだ
女と犬っころとの違いはな
犬っころは口紅を塗らないくらいなもんだ

お前は犬っころを拾ったのをときどき忘れちまう
そのくせ拾うときに何を思ったかをいつまでも覚えていて
グジグジ考えこみ自分を責めている
そんなことより拾ってしまったことが大事なんだ
その前後に何を考えたか、ではなくな
拾ったら、お前の傍に居つくもんだ
居ついたら、面倒みてやらなくちゃならん
拾ったのを後悔しているんなら
捨てるしかない、わかるか?

お前は拾われた犬っころが喜んでいると思えず
後悔しているのではないかといつも気にしている
それだけならまだしも
犬っころに拾われてよかったか
それで幸せなのかとしょっちゅう訊いている
俺なんかよりずっと利口なはずなのに
お前の頭には砂が詰まっているのかと思うよ
そんなことは一目見りゃあわかるじゃないか
黒光りした鼻を鳴らして懸命に尻尾振って
切なそうにお前を見上げているだろうが

お前はそれを見かけだけだと納得せず
心の裡を知りたがり探ろうとしている
犬っころは何がいけないのかわからず
自分の尻尾を追いかけてぐるぐる
気が狂ったように回ってる
俺にいわせれば苛めているだけだ
もしそれが狙いだとしたら
お前はゾッとするやつだと思わなくちゃならない

さらにお前がややこしいのは
犬っころに自分を捨ててくれと頼んでいることだ
それを対等な関係と勘違いしている
それはな、ただ自分が犬っころになろうとしているだけだ
俺もお前も犬っころにはなれない、なりたくてもな
俺はなりたくもないが
彼女はお前が拾ってきた犬っころなんだ
お前が選んだんだよ、犬っころが選んだんじゃない
手招きして頭を撫でて腹をさすって
俺の処に来いといったのはお前だろ?

くだらないことをいうな
彼女は人間で犬っころじゃないのは当たり前だ
犬っころは人間じゃない
でも、女は犬っころなんだよ
傍に置くことも捨てることもできないなら
いっそ俺がきれいさっぱり殺してやろうか
いま家に一人でいるんだろ

心配するな本当に殺しはしないさ
ただな、彼女に電話しろよ
俺がいまから行くってな
2時間ほどここで待っていろよ
まあ、俺にまかせておけ
悪いようにはしないから

(3/21/2002)
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