コタツ評論

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汽水のふたり

2003-01-06 01:07:05 | ダイアローグ
指についた女の血合いをシーツで拭い
煙草を探しにベッドを降りた
白い肢体をなぞりながら
窓のない部屋に煙の行方を追う
鈍色(にびいろ)の空に
一条の陽光(ひかり)が射し込めば
水面の白鷺は羽ばたき
薄暗い水床の鯉は揺れるだろう
河を下り海に出ると信じた女に
そう信じさせた男は呟く
「幸せか」
頷くことはわかっている
TVや冷蔵庫に電子レンジさえ備えた
この部屋にシーツを洗う洗濯機がないのを
わかっているように

(1/6/03)
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