コタツ評論

あなたが観ない映画 あなたが読まない本 あなたが聴かない音楽 あなたの知らないダイアローグ

日弁連の発表によれば

2021-10-09 22:01:00 | ノンジャンル



上がイワシの丸干しと梅干で199円也の「昭和初期弁当」ならば、下がいわば「令和初期弁当」のウインナ弁当200円である。ローソン系店舗で大ヒットしているそうだ。

私が中学生の頃、級友(男子)の弁当の9割は、毎日、魚肉ソーセージ炒めと卵焼きに決まっていた。上記にならえば、「昭和中期弁当」である。

「昭和初期弁当」に比べれば、まがい物とはいえ、肉に卵なのだから、それだけ「豊か」になったわけで、「昭和中流弁当」といえるかもしれない。

もちろん、昭和初期の学生やお父さんの弁当が「貧しい」といえるのはカロリー面のことで、梅干しやタクワン、佃煮が自家製だとすれば、丁寧な暮らしの産物を味わっていたといえるだろう。

私たちの「中流」とはたぶん貧相なものに過ぎなかったのだが、誰もが似たような弁当の中身だったから、とりたてて不満などは抱かなかった。

あれから50余年、ご飯少なめのウインナ弁当200円の実物を見たときは、ちょっとした衝撃だった。今どきの若者や働き手はこんなものを食わねばならないのか。来るところまで来たという思いがした。



コメント欄にもあるように、歌詞をひっくり返したり、ノイジーなバックバンドといい、パンクみたいだ。しかし、まさか、岡林信康再評価なんてことにはならないだろう。私たちは貧相ながらも「中流」の「豊かさ」を感じていたからこそ、「暗い歌」を好んだのかもしれない。現在のような、ほんとうに「暗い時代」に向かっていくときに、岡林信康の歌を聴きたいとは思わないだろう。



(止め)
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今夜は、泣かないで

2021-10-01 23:29:00 | ノンジャンル
聴覚障害者の赤ちゃんが、初めてママの声を聞いた心が温まる瞬間


泣くのを堪えているように見えます。何という美しい言葉なのだろう、i love you とは。「ありがとう。わかっています。あなたにもずいぶん心配をかけて済まなく思っています」ひき結んだ唇から、そんな老紳士然とした言葉が漏れ聴こえそうです。眼前の女性への慈しみに滲んだ涙を裾で拭う指へ、男の含羞がうかがえます。

孫娘が認知症の女性に人形を渡す。でもこんな反応は予想外していなかった


はじめて赤ちゃんを抱いた童女のように口を開いて驚き、すぐに笑みに変えて喜びを露わにします。あやす手つきや抱き替える腕は手慣れたものです。ほんのわずかにもおかしな言動はありません。彼女にも、ほんとうに愛し愛されたときがあったのです。Hello Ilove you と話しかけ、語りかけられた日々が。

(止め)
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