(ゲッツ板谷著 鴨志田穣写真 西原理恵子絵 100円)
『タイ怪人紀行』に引き続き名著。
ブックオフは当然、諸団体とたいていの人から評判がよくないわけだが、かつてゲッツ板谷、鴨志田穣、西原理恵子がそうだったような、いま下流と線引きされている少年少女がふらりと立ち寄り、100円マックと天秤にかけてこの本を買う光景を想像してみると、ブックオフもそうわるくないと思う。100円でタイ人やベトナム人の色や匂いや音を感じる旅に出かけられるのを、彼らは知る。なかにはこれくらいなら自分でも書けそうだと思い、書きはじめる子が出てくるだろう。歩きながら本を読む子だ。クソみたいな仕事に舌打ちしながら、バカみたいな遊びに興じながら、その合間に本を読んでいく子だ。何かのために、何かに向かって本を読むのではなく、天井を見上げるのに飽きたときに本に手を伸ばす子だ。100円ならいいかと小銭だけのポケットを探る子だ。新聞記者や作家や大学教授には、けっしてできない旅ができる子だ。どこかへ出かけなくても、日々旅をしているように足下がおぼつかず、視線が定まらない子だ。誰とも話したくないのに、誰かの心からの笑顔を見たい子だ。
『タイ怪人紀行』に引き続き名著。
ブックオフは当然、諸団体とたいていの人から評判がよくないわけだが、かつてゲッツ板谷、鴨志田穣、西原理恵子がそうだったような、いま下流と線引きされている少年少女がふらりと立ち寄り、100円マックと天秤にかけてこの本を買う光景を想像してみると、ブックオフもそうわるくないと思う。100円でタイ人やベトナム人の色や匂いや音を感じる旅に出かけられるのを、彼らは知る。なかにはこれくらいなら自分でも書けそうだと思い、書きはじめる子が出てくるだろう。歩きながら本を読む子だ。クソみたいな仕事に舌打ちしながら、バカみたいな遊びに興じながら、その合間に本を読んでいく子だ。何かのために、何かに向かって本を読むのではなく、天井を見上げるのに飽きたときに本に手を伸ばす子だ。100円ならいいかと小銭だけのポケットを探る子だ。新聞記者や作家や大学教授には、けっしてできない旅ができる子だ。どこかへ出かけなくても、日々旅をしているように足下がおぼつかず、視線が定まらない子だ。誰とも話したくないのに、誰かの心からの笑顔を見たい子だ。