報道自由度ランキング、日本は72位 3年連続で順位落とす
http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/jnn?a=20160421-00000000-jnn-int
2010年 10位 鳩山民主党政権
2011 22位 菅・野田民主党政権
2012 53位 安倍自民党政権
2013 59位 〃
2014 61位 〃
2015 72位 〃
鳩山政権では最高10位まで上げたが、安倍政権になってからどんどん下げて72位。このランキングの推移から、「安倍自民党政権によって日本の報道の自由がどんどん脅かされている」とメディアは読むのですが、元広報PR屋の見方はいささか違います。
まず、日本の「報道の自由」という問題に入る前に、この「国別報道自由度ランキング」そのものが、国境なき記者団の広報PR活動の一環なのだという前提を踏まえておかねばなりません。世間にタダの物がないようにニュートラルという立場もないのです。
安倍政権になって72位にまで下落したことより、鳩山政権がなぜ歴代最高の10位を獲得したか、そこがポイントその1です。民主党に政権交代して鳩山首相が誕生してから、記者会見の場にそれまでありえなかった画期的なことが起きました。
新聞社や放送局の記者に独占されていた記者会見場に、週刊誌の記者や外国人記者も入場を認められ、政府首脳や官僚に自由に質問ができるようになったのです。また、フリーランス記者やミニコミの市民記者にも門戸を開こうとしました。
記者クラブの根強い抵抗などもあり、開かれた記者会見は定着したとはいえなかったのですが、外国人記者クラブの会見以外にも外国人記者の質問の機会が増えたことへ、国境なき記者団が高評価を与えるのは当然でしょう。
ほかにも、ネットへ政治家が登場するのも民主党政権からでした。鳩山首相をはじめ、民主党の幹部がネット放送局やニコニコ動画のイベントなどに出演することも相次ぎました。これも政治を市民に近づける新たな試みとして特筆すべきことでした。
いずれも、安倍自民党政権では顧みられませんでした。記者会見は大手マスコミ記者だけが質問する排他的な場に戻り、ネットへのアプローチも、民主党(民進党)へのネガティブキャンペーンに活用する方向に舵を切っています。あきらかに「報道の自由」は後退しました。
しかし、広報PR活動の側面からみれば、安倍内閣は歴代内閣中、最高位のランクを獲得するのは間違いありません。72位は広報担当の世耕弘成内閣官房副長官たちのマスコミ対策が功を奏したことを示すランクものかもしれません。ランクだからこそ相対的に読むのがポイントその2です。
国連特別報告者「政治的意図が反映されている」 慰安婦問題の教科書記述で
http://www.sankei.com/politics/news/160419/plt1604190052-n1.html
もちろん、国連特別報告者が指摘する通り、安倍内閣の官邸サイドから直接間接の「圧力」はたぶんあったでしょうが、政権に有利な情報を広め、不利な情報を抑えようとするのは当たり前。権力はメディアを操ろうとし、ジャーナリズムは操られまいとする、そうしたせめぎ合いこそが、「報道の自由」を担保しているはずです。
不利な情報を抑えようとする、広報PR活動の半分については、民主党政権はほとんどマスコミ対策に得点を上げられず、結果的に無策といえるものでした。少し考えればありえないことが、事実として流布され、いまではほとんど通説化しているほどです。
当時の鳩山首相が沖縄の米軍基地の「県外移転」を口にするや各方面から袋叩きに遭ったとき、自民党のひも付きマスコミや御用評論家たちが、「ルーピー鳩山」を大合唱するにまかせました。福島第一原発の事故があたかも菅直人首相による「人災」であったかのようなデマが流布されても、ほとんど拱手傍観していました。
第二次安倍内閣の発足以来、今日まで、各種世論調査で安倍首相が高支持率を維持している要因の一つとして、やはり内閣官房の広報PR活動への傾注を数え上げるべきでしょう。少なくとも民主党内閣とは違って、彼らは仕事をしています。
マスコミ幹部が安倍首相をはじめ、自民党幹部との「会食」にいそいそと応じ、政府の審議委員などの役職に喜々として名を連ねているのですから、取材現場や編集の「萎縮」とは、懐柔された幹部に対する「配慮」や「忖度」と言い換えられるべきで、それまでも「報道の自由」の範疇に入れるのは、あまりに恥ずかしい。
この「恥ずかしい」が、ポイントのその3です。きれい事も汚れ仕事も表裏一体の広報PR活動なのですが、こういう「成功例」に出くわすと、やはり恥ずかしくなります。「むちゃくちゃでんがな」と天を仰ぎたくなります。
原発報道「公式発表で」…NHK会長が指示
http://mainichi.jp/articles/20160423/k00/00m/040/126000c
「原発については、住民の不安をいたずらにかき立てないよう、公式発表をベースに伝えることを続けてほしい」
http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/jnn?a=20160421-00000000-jnn-int
2010年 10位 鳩山民主党政権
2011 22位 菅・野田民主党政権
2012 53位 安倍自民党政権
2013 59位 〃
2014 61位 〃
2015 72位 〃
鳩山政権では最高10位まで上げたが、安倍政権になってからどんどん下げて72位。このランキングの推移から、「安倍自民党政権によって日本の報道の自由がどんどん脅かされている」とメディアは読むのですが、元広報PR屋の見方はいささか違います。
まず、日本の「報道の自由」という問題に入る前に、この「国別報道自由度ランキング」そのものが、国境なき記者団の広報PR活動の一環なのだという前提を踏まえておかねばなりません。世間にタダの物がないようにニュートラルという立場もないのです。
安倍政権になって72位にまで下落したことより、鳩山政権がなぜ歴代最高の10位を獲得したか、そこがポイントその1です。民主党に政権交代して鳩山首相が誕生してから、記者会見の場にそれまでありえなかった画期的なことが起きました。
新聞社や放送局の記者に独占されていた記者会見場に、週刊誌の記者や外国人記者も入場を認められ、政府首脳や官僚に自由に質問ができるようになったのです。また、フリーランス記者やミニコミの市民記者にも門戸を開こうとしました。
記者クラブの根強い抵抗などもあり、開かれた記者会見は定着したとはいえなかったのですが、外国人記者クラブの会見以外にも外国人記者の質問の機会が増えたことへ、国境なき記者団が高評価を与えるのは当然でしょう。
ほかにも、ネットへ政治家が登場するのも民主党政権からでした。鳩山首相をはじめ、民主党の幹部がネット放送局やニコニコ動画のイベントなどに出演することも相次ぎました。これも政治を市民に近づける新たな試みとして特筆すべきことでした。
いずれも、安倍自民党政権では顧みられませんでした。記者会見は大手マスコミ記者だけが質問する排他的な場に戻り、ネットへのアプローチも、民主党(民進党)へのネガティブキャンペーンに活用する方向に舵を切っています。あきらかに「報道の自由」は後退しました。
しかし、広報PR活動の側面からみれば、安倍内閣は歴代内閣中、最高位のランクを獲得するのは間違いありません。72位は広報担当の世耕弘成内閣官房副長官たちのマスコミ対策が功を奏したことを示すランクものかもしれません。ランクだからこそ相対的に読むのがポイントその2です。
国連特別報告者「政治的意図が反映されている」 慰安婦問題の教科書記述で
http://www.sankei.com/politics/news/160419/plt1604190052-n1.html
もちろん、国連特別報告者が指摘する通り、安倍内閣の官邸サイドから直接間接の「圧力」はたぶんあったでしょうが、政権に有利な情報を広め、不利な情報を抑えようとするのは当たり前。権力はメディアを操ろうとし、ジャーナリズムは操られまいとする、そうしたせめぎ合いこそが、「報道の自由」を担保しているはずです。
不利な情報を抑えようとする、広報PR活動の半分については、民主党政権はほとんどマスコミ対策に得点を上げられず、結果的に無策といえるものでした。少し考えればありえないことが、事実として流布され、いまではほとんど通説化しているほどです。
当時の鳩山首相が沖縄の米軍基地の「県外移転」を口にするや各方面から袋叩きに遭ったとき、自民党のひも付きマスコミや御用評論家たちが、「ルーピー鳩山」を大合唱するにまかせました。福島第一原発の事故があたかも菅直人首相による「人災」であったかのようなデマが流布されても、ほとんど拱手傍観していました。
第二次安倍内閣の発足以来、今日まで、各種世論調査で安倍首相が高支持率を維持している要因の一つとして、やはり内閣官房の広報PR活動への傾注を数え上げるべきでしょう。少なくとも民主党内閣とは違って、彼らは仕事をしています。
マスコミ幹部が安倍首相をはじめ、自民党幹部との「会食」にいそいそと応じ、政府の審議委員などの役職に喜々として名を連ねているのですから、取材現場や編集の「萎縮」とは、懐柔された幹部に対する「配慮」や「忖度」と言い換えられるべきで、それまでも「報道の自由」の範疇に入れるのは、あまりに恥ずかしい。
この「恥ずかしい」が、ポイントのその3です。きれい事も汚れ仕事も表裏一体の広報PR活動なのですが、こういう「成功例」に出くわすと、やはり恥ずかしくなります。「むちゃくちゃでんがな」と天を仰ぎたくなります。
原発報道「公式発表で」…NHK会長が指示
http://mainichi.jp/articles/20160423/k00/00m/040/126000c
「原発については、住民の不安をいたずらにかき立てないよう、公式発表をベースに伝えることを続けてほしい」