コタツ評論

あなたが観ない映画 あなたが読まない本 あなたが聴かない音楽 あなたの知らないダイアローグ

邦題には砲台を向け放題だが

2012-05-20 00:34:00 | レンタルDVD映画


いま映画を観るなら、アカデミー外国語映画賞受賞作が狙い目です。以前に、同賞受賞作のアルゼンチン作品「瞳の奥の秘密」を紹介しましたが(続きを書くつもりが放置したままですが)、この映画は候補作品です。米アカデミー賞の質は、外国語映画賞が担保しているといって過言ではないくらい優良です(ただし、「おくりびと」を例外として)。

できれば、下の公式サイトものぞかず、まったく予備知識なく観てほしいものです。そのほうが衝撃が大きい。私も、TUTAYAの新作5枚1000円につられて、適当に選んだ一枚でした。驚愕の結末が用意されていますが、見事などんでん返しにだまされた、そんな風に快哉する人はまずいないでしょう。この作品が近過去を扱った現代映画であることに、この主題を娯楽作品にできることに、私は衝撃を受けました。

原題INCENDIES(インセンディーズ)は、フランス語の火事・感情の爆発・動乱・戦乱の意味を指すそうです。なるほど、すべてに当てはまります。戯曲が原作だそうですが、鮮やかな導入部だったプールの場面は、舞台では困難なはず。謎解きには不可欠な設定だけに、舞台ではどうなっているのか、気になります。結局、なんのかんのと予備知識を差し上げました。ご容赦。

灼熱の魂
http://shakunetsu-movie.com/pc/

女の掌には塩がある

2012-05-15 00:39:00 | ノンジャンル

サンドイッチに禁物は水気。パンは軽くトーストしたほうがよい。


最近、BLTサンドイッチを上手く作れるようになった。ツナサンドもなかなかいける。これまでずっと美味くなかったのに、どうしてか不思議。作り方を変えたわけではなく、パンとベーコンの質を上げたくらい。外食するのに比べれば、パンやベーコンくらい、高いものを選んでもたかが知れている。

昔、ちょっといいなと思った女史。忙しいから、作りだめしたサンドイッチを冷凍しておき、朝晩、解凍して食べているといったのを聴きとがめ、結婚したらそんなものを食わせられるのかと潮が引くように気持ちが冷めた。結婚する気などちっともなかったくせに、妙なことを思ったものだ。

いまから思えば、そのサンドイッチを食っておけばよかった気もする。サンドイッチはなかなか奥が深いのである(深くないか、おれが不器用なだけか)。

子どものころ、田舎のばあちゃんちで夏休みを過ごし、市民プールに行くとき、ばあちゃんはいつも梅干の紫蘇をまぶしたおにぎりを持たしてくれた。海苔も巻かず、具も入らない、質素なおにぎりだった。あるとき、おふくろから比べると、きれいだった叔母が帰ってきていて、ばあちゃんに代わってサンドイッチをつくってくれた。

細かく刻んだ、ハムとキューリやキャベツなどの野菜をマヨネーズで和えたのがはさんであった。紫蘇おにぎりに比べると華やかで、そのせいかとても美味かった。思い出して、たまに自分でつくってみるが、これがちっともうまくない。おにぎりと同様に、女の手でつくるからおいしいのかもしれない。ばあちゃんの紫蘇おにぎりも、やはり、いまつくってみると、ちっともうまくないからだ。こちらが子どもだったせいばかりでもなく、たぶん女の掌には塩があるからだろう。

訂正露西亜

2012-05-14 00:52:00 | レンタルDVD映画
「ゴッドファーザーPARTⅠ」の終盤、ドン・バルジーニにそそのかされ、裏切るテシオ(エイブ・ヴィゴーダ)ですね。「長いつきあいじゃないか」とファミリーの相談役トム・ヘイゲン(ロバート・デュバル)に命乞いします。「長いつきあいじゃないか」という言葉が似合う渋いテシオでした。



過去ログのなかでもアクセスが多く(といっても数10カウントですが)、拍手を5つもいただいているのに、間違いを見つけました。お詫びして訂正いたします。

2009/2/19 17:57 「ゴッドファーザー」  レンタルDVD映画
http://moon.ap.teacup.com/chijin/383.html

先日、CATVで3部作を放映していました(「ゴッドファーザー」は繰り返し放映しているのに、「仁義なき戦い」は一度も無料放映されていないのは残念)。

訂正①
まず、殺し屋アル・ネリ(リチャード・ブライト)がバチカンへ大司教を暗殺に向かうのは、PARTⅡではなくPARTⅢでした。しかし、ほんとうに、ⅠとⅡに比べてⅢは落ちるなあ。Ⅲでは、アル・ネリも列車以外の場面では影としての精彩がなく、とくに、マイケルではなく妹のコリーの命令に従うところなど、愚かしくさえみえます。コッポラは「極道の女たち」でも観たのかしら。

訂正②
ローマへ向かう車中、アル・ネリが膝上においた小箱の中身は、チョコレートではなく、ビスケットでした。しかし、ビスケットを食べるときは、カシャカシャと咀嚼するはず。ネリの唇をすぼめて食べる仕方は、どうみてもチョコレートでした。ドン・アルトベロ(イーライ・ウォラック)をエクレアのようなクリーム菓子で毒殺するのですから、ここはチョコレートであるべきしょう。

ただ問題は、拳銃を隠すほどに、チョコレート箱は底上げできないこと。三段四段とビスケットを重ねる詰め合わせ箱はあるが、チョコレートは一段がふつうで、ビスケット箱のように拳銃を隠せるほど深底ではありません。以上をコッポラに問い合わせたところ、あれはビスケットとチョコレートのミックス詰め合わせなのだ、という明快な答えが返ってきました。東京風月堂のお中元とかもらったことがあったのかしら。

PS:アル・ネリ役のリチャード・ブライトは、2006年にニューヨーク市内で交通事故により亡くなっていました。どうりでその後見かけないわけだ。合掌。http://www.cinematoday.jp/page/N0007906

(敬称略)

日米間に絆はあるか?

2012-05-09 08:11:00 | ノンジャンル
日米間の結婚が破綻したとき、子どもの「連れ去り問題」が起きている。アメリカ市民の子どもが日本へ連れ去られるのは、アメリカにとっては拉致問題である。今後、アメリカは、日朝間の拉致事件と同様に、米日間の拉致問題として扱っていく。

そう発言したキャンベル次官補に対して、会談した増元家族会事務局長は、ただちに「同列視」に不快感を示し、その場で発言に抗議した。さすがに適切な対応だと思う。明らかに理不尽な、愚弄に等しい発言内容には、ただちに拒否と抗議をするのが正しい対応だ。

だが、すでにこの2月、外務省はアメリカ側から同様な勧告を受け、これを「持ち帰り」にしていたようだ。外務省と政府が、何らかの対応策を採っていたのかいないのか不明だが、いずれにしろ拉致被害者家族会を矢面に立たしたのは、重大な失策だろう。

アメリカが日米間の子ども「連れ去り問題」と日朝間の拉致問題を「同列視」する姿勢を示すことは、北朝鮮の拉致問題に対して日米間の齟齬を露呈させる結果となる。当然、北朝鮮は拉致問題解決の優先順位を大きく下げ、眼中にないことにするだろう。

増元家族会事務局長と同様に、政府と外務省は、キャンベル発言にただちに抗議し、メディアは発言の非を鳴らすかと思いきや、そんなことはいっこうに起こらない。いまわが国では「絆(きずな)」が流行中だが、北朝鮮に拉致された人々と残された家族の「絆」については、人々の関心から失われたらしい。

拉致被害者家族会が不快感 キャンベル氏発言に対し
http://sankei.jp.msn.com/world/news/120508/amr12050814350005-n1.htm

米で薄れる拉致問題への関心 ハーグ条約未加盟に不満 キャンベル発言背景
http://sankei.jp.msn.com/world/news/120508/amr12050820550007-n1.htm

今宵はアデル

2012-05-09 03:23:00 | 音楽
今年グラミー賞に輝いたイギリスのR&B歌手 Adele です。歌詞がすばらしいです。タイトルは対訳サイトにリンクしていますので、どうか言葉を追いかけながら聴いてみてください。

Someone Like You (Live) Itunes Festival 2011

Never mind, I'll find someone like you
気にしないで あなたみたいな人をまた見つけるから



Rolling In The Deep (Live at the BRIT Awards 2012)

They keep me thinking that we almost had it all
ずっと考えているの もう少しですべてを手に入れられたのにって



Set Fire To The Rain (Live At The Royal Albert Hall

But I set fire to the rain
でも、私は雨に火をつけたの