コタツ評論

あなたが観ない映画 あなたが読まない本 あなたが聴かない音楽 あなたの知らないダイアローグ

ダニエル・ウエリントンが欲しいんでね

2015-05-12 22:51:00 | 音楽
カラオケで歌うのはまっぴらごめんだが、歌っているのを聴くのはけっして嫌いじゃない。もちろん、歌い手によるのだが、未知の名曲を教えられたり、グッとくる歌唱に出会うことだってある。きわめてまれなことなのだが。

それに、カラオケもLIVEのうちだから、意外な選曲や歌唱に、「人に歌あり、歌に人あり」と感じ入ることさえある。

深夜に飲んだくれて、人もなげなギャハギャハ笑いと乱暴なヤロー言葉で周囲の顰蹙を買っていた茶髪の不良娘二人が、山口百恵の「秋桜」なんて嫁ぐ娘と母の一場面を涙ぐみながらか細く歌ったり、小銭入れに小さく折りたたんだ5千円札を入れていそうな、いかにもうだつの上がらない貧相な中年男が、豊かな声量と安定した音程でミスチルのナンバーを歌い上げて、美少年だった面影と合唱部の実力の片鱗をみせたり、長い不倫の末にようやく結ばれたという初老の夫婦が、人目を忍ぶわずかな逢瀬に二人で聴き入ったという思い出の歌が、春日八郎の「お富さん」だったり、なかなか楽しいものです。

いい味出してますね。歌はね、中年になってからですよ。



出だしは、まあ、これくらいならどうというほどでは、と思うでしょ。どうか最後までつきあってください。驚くから。



沖縄諸島とカリブ地域をのぞけば、かの国のアマチュアの音楽レベルの高さに比肩する国や地域はそうはないと思えます。



オリンピックは賞味期限をとっくに過ぎただけでなく、あまりに莫大な金がかかりすぎて、各国持ち回り開催が不可能になりつつあります。次の世界的イベントは、世界紅白素人のど自慢大会しかありませんね。いまなら、2万円でこの企画売ります。

(敬称略)
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まれなあれ

2015-05-10 18:55:00 | 今週の箴言
1918年(大正7年)、97年前に書かれたときにはもちろん、今日いよいよまれな文章といえます。

僕は精神が好きだ。しかしその精神が理論化されると大がいは厭になる。理論化という行程の間に、多くは社会的現実との調和、事大的妥協があるからだ。まやかしがあるからだ。
 精神そのままの思想はまれだ。精神そのままの行為はなおさらまれだ。生れたままの精神そのものすらまれだ。
 この意味から僕は文壇諸君のぼんやりした民本主義や人道主義が好きだ。少なくとも可愛い。しかし法律学者や政治学者の民本呼ばわりや人道呼ばわりは大嫌いだ。聞いただけでも虫ずが走る。
 社会主義も大嫌いだ。無政府主義もどうかすると少々厭になる。
 僕の一番好きなのは人間の盲目的行為だ。精神そのままの爆発だ。しかしこの精神さえ持たないものがある。
 思想に自由あれ。しかしまた行為にも自由あれ。そして更にはまた動機にも自由あれ。「大杉栄評論集」(岩波文庫)



「杉よ! 眼の男よ!」という中濱哲の詩があります。膝に抱いているのは長女の魔子です

思想に行為に動機に自由あれ、というまれな組織論です。「不自由あれ」という精神主義を笑っています。思想を縛りつけ、行為をあげつらい、動機を詮索する、知性主義に立ち向かう批判です。思想を行為を動機を尋ねず、問わず、共働を結ぶのに少しの問題としない、人間の自由な精神を鼓舞した言葉です。近代日本に大杉栄がいたことが、もっともまれなことかもしれません。

(敬称略)

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演歌界最強

2015-05-05 23:20:00 | 音楽
マニー・パッキャオVSフロイド・メイウェザー・ジュニアの「世紀の一戦」は、パックマンが善戦したようで、再戦が待たれます。パッキャオと同じく、軽量級アイドルから、中量級演歌歌手まで勝ち上がった、今夜は長山洋子です。現在のところ、演歌界の「パウンド・フォーパ・ウンド」ではないでしょうか。

名曲です。賛同してくれる人は少ないでしょうが。

捨てられて  


こんな明るくて楽しい演歌がもっと聴きたいですね。

嘘だといって


津軽三味線の名手でもあります。

長山洋子 「じょんから女節」


声が出るのよ、巧いのよ、と歌い上げるスケールの大きな曲より、だからこそ、こういうこじんまりとした歌をもっと歌ってほしいものです。

暖簾


あっけにとられた後、腹を抱えて笑いました。怪曲です。

悦楽の園


長山洋子がどれほど才能豊かな歌手であり、民謡のグルーブ感をわがものにしているか、歌手を比べるのは邪道ですが、圧倒的に勝っています。

風雪ながれ旅 - (坂本冬美 - 長山洋子)


ソーラン渡り鳥 中村美律子・長山洋子


(敬称略)
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