二十余年ぶりに観ました。
上品で余韻が残る、英国の格調高い文芸作品、という印象を持っていたのですが…
1985年イギリス映画、アカデミー賞3部門受賞。
E・M・フォスターの同名小説を映画化した名匠ジェームズ・アイボリー監督の出世作。
”20世紀初頭、まだ封建的思想の色濃いイギリスの名家の令嬢ルーシー(ヘレナ・ボナム・カーター)は、フィレンツェ旅行に赴いた際、ホテルの眺めのいい部屋を譲ってくれた情熱的な青年ジョージ(ジュリアン・サンズ)とやがて恋に落ちていく。
しかし帰国後、彼女は名門の紳士と婚約するはめになり…。”(amazonより)
久しぶりに観て驚きました。
確かに叙情的な文芸作品ではあるのですが、今観ると、往年の少女漫画、或いはソープ・オペラ(昼メロ)そのものの世界。
旅先のイタリアの麦畑での情熱的なキス、イギリス貴族の豪華な邸宅、令嬢や奥方の美しいドレス、屋敷に飾られた豪華な調度品、全編を彩るプッチーニのオペラ曲。
そして、この映画の登場人物は、誰一人として働いていない!
ルーシーが恋をする相手ジョージは労働階級という説もあるようですが、それでも、働かずにイタリア旅行したり、別荘を簡単に買ったりする財力はあるのですから…
更に、ルーシーが初めて恋を知り、彼女なりに悩んで、名家の青年セシルとの婚約を破棄するのですが、それも親がかりなのです。
鼻持ちならないセシルのことを、ルーシーの母親も弟も嫌っていたし、最後にルーシーがジョージとの結婚を決意するのも、ジョージのお父さんに説得されてなのです。
若い女性の自我の芽生えとその成長を描いたなんて言ったって、所詮、お嬢様の、親の掌の中でのささやかな反乱にすぎないじゃん、と今の私は思ってしまうのです。
それにもうひとつ。
今回借りたDVDは、近年出た「完全版」というので期待したのですが、あの有名な「水浴び」のシーンに、やはり滑稽な修正が施されていました。
世の中には悪質な卑猥画像が氾濫しているのに、男3人の他愛ない水浴びシーンを”修正”する必要があるのか?
理解に苦しみます…
ジェームズ・アイボリー監督という人は、この他にも「モーリス」「ハワーズ・エンド」「日の名残り」などの美しいイギリス文芸映画を撮っているのですが、実はカリフォルニア生まれのアメリカ人なのですね。
それも不思議な話です。
という不満は色々と出てきましたが
やはり綺麗な映像、知的な会話、シニカルな冗談などが散りばめられた英国映画、 久しぶりに堪能しました。
☆4
「眺めのいい部屋」
上品で余韻が残る、英国の格調高い文芸作品、という印象を持っていたのですが…
1985年イギリス映画、アカデミー賞3部門受賞。
E・M・フォスターの同名小説を映画化した名匠ジェームズ・アイボリー監督の出世作。
”20世紀初頭、まだ封建的思想の色濃いイギリスの名家の令嬢ルーシー(ヘレナ・ボナム・カーター)は、フィレンツェ旅行に赴いた際、ホテルの眺めのいい部屋を譲ってくれた情熱的な青年ジョージ(ジュリアン・サンズ)とやがて恋に落ちていく。
しかし帰国後、彼女は名門の紳士と婚約するはめになり…。”(amazonより)
久しぶりに観て驚きました。
確かに叙情的な文芸作品ではあるのですが、今観ると、往年の少女漫画、或いはソープ・オペラ(昼メロ)そのものの世界。
旅先のイタリアの麦畑での情熱的なキス、イギリス貴族の豪華な邸宅、令嬢や奥方の美しいドレス、屋敷に飾られた豪華な調度品、全編を彩るプッチーニのオペラ曲。
そして、この映画の登場人物は、誰一人として働いていない!
ルーシーが恋をする相手ジョージは労働階級という説もあるようですが、それでも、働かずにイタリア旅行したり、別荘を簡単に買ったりする財力はあるのですから…
更に、ルーシーが初めて恋を知り、彼女なりに悩んで、名家の青年セシルとの婚約を破棄するのですが、それも親がかりなのです。
鼻持ちならないセシルのことを、ルーシーの母親も弟も嫌っていたし、最後にルーシーがジョージとの結婚を決意するのも、ジョージのお父さんに説得されてなのです。
若い女性の自我の芽生えとその成長を描いたなんて言ったって、所詮、お嬢様の、親の掌の中でのささやかな反乱にすぎないじゃん、と今の私は思ってしまうのです。
それにもうひとつ。
今回借りたDVDは、近年出た「完全版」というので期待したのですが、あの有名な「水浴び」のシーンに、やはり滑稽な修正が施されていました。
世の中には悪質な卑猥画像が氾濫しているのに、男3人の他愛ない水浴びシーンを”修正”する必要があるのか?
理解に苦しみます…
ジェームズ・アイボリー監督という人は、この他にも「モーリス」「ハワーズ・エンド」「日の名残り」などの美しいイギリス文芸映画を撮っているのですが、実はカリフォルニア生まれのアメリカ人なのですね。
それも不思議な話です。
という不満は色々と出てきましたが
やはり綺麗な映像、知的な会話、シニカルな冗談などが散りばめられた英国映画、 久しぶりに堪能しました。
☆4
「眺めのいい部屋」