
昨日の朝日の夕刊。
「命のメッセージ、教科書にーナチス収容所の子らが描いた絵」と題した記事。
野村路子氏の「フリードルとテレジンの小さな画家たち」というエピソードが
小学校の教科書に載ることになったのだそうです。
テレジンというのは、チェコにあったナチスドイツの収容所。
ここに10~15歳の子ども達が1万5千人いたが、生き残ったのは150人であったと。
子どもたちは、親から離され、子どもの家と呼ばれる建物のなかで生活していた。
劣悪な環境、希望のない日々。
食事は、朝、コーヒーと呼ばれる茶色い水。
昼、ピンポン球くらいの小麦粉の団子が一つ入った薄い塩味のスープ。
夜は、塩味のスープと小さな腐りかけのジャガイモか、固いパンが一切れ。
飢えや寒さ、親に会えない淋しさ、なれない労働の疲れや死の恐怖に怯えていた
子どもたちが笑顔を取り戻したのは、
ウィーン生まれのユダヤ人画家フリードル・ディッカーが、
そこで絵の教室を開いたからだといいます。
”フリードルは子どもたちに、絵に必ず名前を書くように指導していた。”
新聞記事にはそれだけしか説明がなかったのですが
野村氏の「テレジン命のメッセージ」というHPにその訳が書いてありました。
「絵を描いたら、ちゃんと名前を書きましょうね。
あなたたちにはみんな名前があるのよ。
ドイツ兵から番号で呼ばれ、“おまえらは人間以下のブタやウジムシだから、
名前はないのだ”って言われているけれど、それは違うわ。
お父さんやお母さんが、あなたたちを愛してつけてくれた名前があるのよ」
そうフリードルは子どもたちに言っていたのです。
新聞記事には、子どもたちが描いたという二つの絵が載っていました。
ひとつは、青い空に蝶が羽ばたく絵(上)。
もうひとつは、なんとも悲しい絵。
白い絵の真ん中に小さく、今まさに首を吊られようとしている人。
胸にはユダヤの象徴ダビデの星…
ネット上では見つからなくて、その絵を紹介できないのが残念です。
初めて「夜と霧」を読んだ時。
「シンドラーのリスト」「ライフ・イズ・ビューティフル」「ベント堕ちた饗宴」
「縞模様のパジャマの少年」などの映画を観た時にも衝撃を受けましたが
この一枚の絵のインパクトも凄いものがあります。
こんな悲しい絵を子どもが描くような世の中にだけは
なってほしくないなあ…
「テレジン命のメッセージ」http://homepage3.nifty.com/teresien/index.html#Index