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「太陽がいっぱい」で有名な作家パトリシア・ハイスミスの原作を
トッド・ヘインズ監督が映画化。
1950年代のニューヨークが舞台。
裕福な人妻キャロル(ケイト・ブランシェット)は、幼い娘へのプレゼントを
買いに行った百貨店で、若い女性店員テレーズ(ルーニー・マーラー)と出逢う。
キャロルは別居中の夫と娘の親権を巡って争い中、
テレーズは恋人からプロポーズされていたが、写真家になるという夢もあり、
踏み切れないでいた。
そんな二人が旅に出ることになり…
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同性愛は「忌むべき精神疾患」であった時代。
いわゆる性的マイノリティの人々は、どんなに生き辛かったことかと思います。
そんな中で視線を絡め合わせる女性二人が、何処でどう、恋に落ちるのか。
周囲からどんな風に叩かれていくのか。
行き詰まるような緊張感があります。
しかし、50年代の冬のNYを舞台にした画面の、なんと綺麗なこと。
NYの街並み、車、インテリア、音楽、そしてファッション、
どれもこれもうっとりするほどに素晴らしい。
毛皮のコートを上品に着こなすケイト・ブランシェットは圧巻です。
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パトリシア・ハイスミスはこの原作を匿名で書き、
30年以上たってから、自分の作品であることを告白したのだそうです。
町山智浩氏によると
”話はほとんど事実です。私はその当時、作家志望で、ブルーミングデールズ
っていう高級デパートで売り子をしていて。そこで買い物に来たキャサリン・シェン
という金持ちの奥さんに一目惚れしました”
と、パトリシアは語っていたらしい。
彼女自身、レズビアンであったのですね。
若い頃、彼女のミステリーを幾つか読みましたが、考えてもみませんでした。
それを知ると、映画の中の画面が、別の意味を持っていたようにも感じられて来る。
例えば、車の窓や店のガラス越しに彼女たちを映し出すシーンが
くり返しあるのですが、いつも曇っているのです。
その時代の、彼女たちを見る目を象徴していたのかもしれません。
公式HP http://carol-movie.com/
町山智浩『キャロル』を語る http://miyearnzzlabo.com/archives/32721