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ドイツ侵攻下のワルシャワ動物園において、約300人のユダヤ人の命を救った夫婦。
実話を基にした物語。
レースのカーテン越しに明るい陽射しを浴びた寝室の場面から、話は始まります。
寄り添って眠る、幸せそうな若い母親と小さな男の子。
普通と違うのは、そのベッドの上にライオンの赤ちゃんが寝ていること。
母親は、自分の息子と同じようにライオンの赤ちゃんにも愛情を注ぎます。
アントニーナとその夫ヤンは、当時欧州で最大規模の動物園を経営し、
一人息子にも恵まれて幸せな日々を送っていました。
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1939年、ナチスドイツのポーランド侵攻によって戦争が始まり、平和な日々は一変。
動物園も爆撃を受け、ドイツ軍の指揮下に置かれ、動物たちは片っ端から銃殺される。
動物好きとしては、このシーンだけでも相当つらい。
ワルシャワのユダヤ人はゲットー(強制居住区)に閉じ込められたり、銃殺されたり。
夫ヤンは、ユダヤ人の親友が捕まったり、ゲットーの中での地獄絵を見たりしたことから
なんとか彼らを救おうと思う。
そして驚くべき方法で、それを実行するのです。
彼が連れて来たユダヤ人たちを地下に匿い、世話をするのは妻のアントニーナの役目。
いかに広い家とはいえ、そこにはドイツ軍指揮官もよく訪れる。
そうした時に地下で小さな子供が音を立てたり、緊迫のシーンの連続です。
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ゲットーの中は、悲惨な無法地帯。
年端も行かない少女がドイツ兵に輪姦されたり、死体が転がっていたり。
子供の良き指導者として、あのコルチャック先生も登場します。
ヤンは何度か彼に脱走を勧めるも、先生は子供と共に残るとそれを拒否するのですが。
この映画では描かれませんでしたが、結局ガス室送りだったのですよね。
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(左が映画の夫婦、右が実際の夫婦)
戦時中の話なのに、綺麗に描きすぎた嫌いはあると思う。
アントニーナはどんな時も美しく装っているし、
地下に匿われた人々はろくにお風呂にも入れなかったであろうに、割と身綺麗にしていたり。
それでも十二分に戦争の恐ろしさと、強い信念を持った夫婦の素晴らしさは伝わってきます。
上質な作品なのに、上映館が少ないのが残念です。
原題は「the zookeeper's wife」。
http://zookeepers-wife.jp/