珍しく夫と一緒に映画を観て来ました。
ジャズ好きな夫が私を誘ったのは、あの伝説的ジャズ・ピアニストの生誕90周年を
記念して作られたというドキュメンタリー映画です。
「時間をかけた自殺」とも言われたエヴァンスの51年の人生とその音楽を
様々な証言、映像、写真の記録によってたどったというもの。
渋谷の小さな映画館アップリンクは、仕事帰りに駆け付けたであろうスーツのオジサンたちで満席。
1929年、ニュージャージーの裕福な家に生まれたビルは、兄ハリーと共に
子どもの頃からピアノに親しんで育つ。
大学で音楽を学んだ後、2年間兵役につき、その後ニューヨークに出て音楽活動を開始する。
マイルス・デイヴィスのバンドに加わったりして名声を博して行くが
兵役時代に味を覚えた麻薬から離れられないでいた。
ビル・エバンス・トリオの一人のスコットの突然の交通事故死、
妻エレインの自殺(これはビルが愛人を作ってエレインを捨てようとしたせいと映画では言っていた)、
生涯に渡って仲が良かった兄ハリーの拳銃自殺。
傷つきやすい男の周りでこれだけのことが起こったら…
ビルの直接の死因は「肝硬変ならびに出血性潰瘍による失血性ショック死」ということですが
時間をかけた自殺、と言われるのも分かるような気がします。
ビル・エバンスというと、端正で知的な雰囲気のこんな表情を思い出しますが
実は麻薬の常習により歯がボロボロで、笑顔を見せられなかったのだそうです。
しかし彼の紡ぎ出した音楽は、あまりにも美しい。
兄ハリーの幼い娘デビーの為に作った「ワルツ・フォー・デビー」は
あまりにも甘く優しく、ジャズに疎い私ですらよく聞き馴染んだ曲です。
Bill Evans - Waltz For Debby
この曲が初演されたというNYのビレッジ・バンガードは
グリニッチ・ビレッジのビルの地下にある、小さな古いライブハウスです。
映画の中にも出て来たその店内は、彼が活躍した頃も今も殆ど変っていない。
私がそこに行ったのは、1985年と2015年のどちらも8月。
映画自体は淡々としたドキュメンタリーで、特にジャズ好きでもない私には
面白いとは言えない作品でしたが、あのうだるように暑かった夏の日の
熱気にあふれたライブハウスの匂いを思い出していました。
グリニッチ・ビレッジのビルの地下にある、小さな古いライブハウスです。
映画の中にも出て来たその店内は、彼が活躍した頃も今も殆ど変っていない。
私がそこに行ったのは、1985年と2015年のどちらも8月。
映画自体は淡々としたドキュメンタリーで、特にジャズ好きでもない私には
面白いとは言えない作品でしたが、あのうだるように暑かった夏の日の
熱気にあふれたライブハウスの匂いを思い出していました。
映画公式HP http://evans.movie.onlyhearts.co.jp/