Zooey's Diary

何処に行っても何をしても人生は楽しんだもの勝ち。Zooeyの部屋にようこそ!

「生きる Living」

2023年04月06日 | 映画

1952年の黒澤明監督の名作が、70年の時を経てカズオ・イシグロの脚本でイギリス映画として復活。
ごく若い頃に観た黒澤作品は大筋だけ覚えているが、詳細は綺麗に忘れて鑑賞しました。



1953年、第二次世界大戦後、復興途上のロンドン。
ウィリアムズ(ビル・ナイ)は役所の市民課に勤めるお堅い公務員。
妻に先立たれ、同居している息子夫婦とはあまりしっくり行っていない。
役所では山積みの書類の下で、情熱もなく淡々と事務処理をし、陳情を受けても他の課に廻すだけ。
そんなある日、癌で余命半年と宣告され…



あまりにも有名な黒澤作品が、どんな風にリメイクされるのか楽しみにしていました。
戦後でありながら綺麗なロンドンの街並み、郊外のみずみずしい緑。
山高帽にピンストライプのスーツにこうもり傘、いわゆる英国紳士のウィリアムズ。
陳情に訪れる婦人たちも、綺麗にドレスアップしている(黒澤作品では、普段着の着物姿の主婦たち、その一人は菅井きんだったような…)。
この辺は、戦勝国と敗戦国の違いでしょうか。
そして陳情のたらい回し案件や、人の手柄を上が平気で横取りする役所の体質は、洋の東西を問わないのかと驚きました。



前作については大筋でしか覚えていないのですが、とても重く切ないイメージであったような。
それに比べて本作は、最後に希望の光もあり、少し軽やかに、さわやかになったような気がします。
それでも、生きるということの普遍性を問いかけた作品であることに何ら変わりはない。
余命宣告を受けて初めて自分の「生」に向き合った男が、何をしたのか?
最後のブランコに揺られるシーンで彼の顔に浮かんだのは、微笑みだったのか悲しみだったのか?
ここで泣かせよう!というあざとさはなく、思ったほどの感涙はありませんでしたが、ラストの若い警官とピーターとの会話のシーンにじんわり来ました。

公式HP 


コメント (4)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 余分なものがない分、シンプル! | トップ | 無信心者の「マタイ受難曲」 »
最新の画像もっと見る

4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
こんにちは (mika)
2023-04-07 15:37:41
『生きる』は黒澤明の没後20年記念作品
として2018年にミュージカル化したものを
観劇しました。映画も見たのですが…私も
ストーリーと最後の唄だけしか覚えていなくて…
ミュージカルvaは主役の渡辺寛治を
市村正親&鹿賀丈史のWキャストでした。
丁度コロナ禍での上演でしたので…
生きるを問われてる様でした。
音楽があった分気持ち的に救われましたが…
切ないというか…前向きな気持ちになれる様な
なれない様な…紙一重なので…
とても評判が良く2020年に再演今年は3度目の
上演予定です。
返信する
mikaさま (zooey)
2023-04-07 23:42:22
ミュージカルでもやっていたのですね。
あれをどうやってミュージカルに?と不思議な気がします。
あの「ゴンドラの唄」も使ったのかしらねえ?
イギリス版は、黒澤版をとてもリスペクトしている様が
至る所で感じられましたよ。
悲しいけれど、前向きな気持ちで観終わることができました。
返信する
Unknown (nana)
2023-04-08 14:16:11
この映画は早々にチェックしていました。
脚本がカズオ・イシグロ氏ですね。
希望の光が見えて、後味がさわやかなら良い映画だと思います。
ただ県内では水戸でしか公開がないのでちょっと残念です。
返信する
nanaさま (zooey)
2023-04-08 23:09:53
脚本がカズオ・イシグロ、主演がビル・ナイと聞いて
もう楽しみにしていました。
希望の光は小さいのですけれど、確実にあります。
上映館が少ないのが残念ですね。
映画館によっては上映回数も少ないのでお気をつけください。
返信する

コメントを投稿