格差階級社会をなくそう

平和な人権が尊重される社会を目指し、マスゴミに替わって不正、腐敗した社会を追求したい。

ストロカーン氏事件と国策捜査・国策裁判問題

2011-07-02 21:55:55 | 植草一秀氏の『知られざる真実』

ストロカーン氏事件と国策捜査・国策裁判問題

性的暴行容疑で逮捕、拘留され、NYで軟禁状態に置かれているIMF前専務理事で次期フランス大統領の有力候補であったストロカーン氏に対する軟禁が解かれたことが報道されている。訴追自体が取り下げられる可能性が高まっている。
 
 被害を訴えた女性の供述に不自然なことがあり、事件全体が謀略であったとの疑いが浮上している。
 
 事件発生当初から、仕組まれた謀略ではないかとの憶測が存在したが、真実は当事者でなければ分からない。第三者は事件捜査およびその後の公判、そして当事者の説明を聞いて判断するしかない。
 
 日本でも痴漢事件で、まれに被疑者が無罪を獲得できることがある。しかし、それは、基本的に奇跡に近く、いかに被疑者が無実を訴えても、警察、検察、裁判所は、被害者とされる人物の供述だけを信用して、確実な証拠が存在しない中で、流れ作業のように有罪判決を示してゆく。
 
 ストロカーン氏が無実であり、同氏の名誉が回復されるなら、極めて喜ばしいことだが、この種のニュースに接したときに、私たちが考えなければならないことがある。
 
 それは、ストロカーン氏が仮に冤罪であるとして、その冤罪の事実が、今回仮に明らかにされるとしたとき、それは被害者とされる女性の通信等を捜査当局が傍受するなどして、「被害者」女性の疑わしい行動がたまたま浮かび上がったからにすぎないからだ。
 
 逆に言えば、被害者側がより注意深く行動し、謀略のしっぽをつかまれるようなことをしなければ、このままストロカーン氏は犯罪者として、記録に刻まれてしまう可能性が高かったということだ。

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国内の痴漢事件で冤罪を公式に認められたケースでも、それは、奇跡に近い偶然の産物であることが多いのが現実だ。
 
 犯人として捕らえられ、刑罰も執行された後で、たまたま真犯人が別の人物であったことが判明したケースもある。
 
 痴漢として逮捕、拘留されたが、その後、被害者とされる側の人物が、狂言を演じていたことが判明して、疑いが解かれたこともある。
 
 被疑者が無実を主張し、再現実験を行ったところ、物理的に犯行を実行することが不可能であるとの立証が実現した場合に、裁判所がこの立証を認めるケースがまれにある。
 
 それでも、ほとんどの裁判官は検察の僕(しもべ)であり、検察官の主張を覆そうとはしない。ごくまれに、正義感のある裁判官が事件を担当することになったときに、このような奇跡が生じるだけなのだ。
 
 つまり、とりわけ日本では、有罪だとされ、制度上はその有罪が確定している場合でも、本当は冤罪である事件が多数存在しているのである。
 
 逆に言えば、ケースは少ないかもしれないが、本当は罪を犯しているのに無罪とされるケースがある。また、これよりははるかに多く存在するのは、犯罪が成立しているにもかかわらず、警察や検察が罪を問わないことだ。被疑者の所属する機関や会社と警察、検察当局が癒着しているケースでは、犯罪が不問に付されることが少なからず存在する。
 
 刑事司法では、
「10人の真犯人を逃しても、1人の無辜(むこ)を処罰するなかれ」
という、「無辜の不処罰」が重視されるのが、そもそもの大原則だ。基本的人権根の尊重の視点から、無実の人間が犯罪者に仕立て上げられることは、絶対にあってはならないことなのだ。
 
 このことを、明文の規定としてはっきり示しているのが、1789年の「フランス人権宣言」である。罪刑法定主義、無罪推定原則、法の下の平等、Due Process of Law(適法手続き)の厳格な適用、基本的人権の尊重、などが明確に規定されている。

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明治維新後、日本の新しい法体系と行政制度が構築された。このなかで、巨大な影響力を発揮したのが大久保利通と江藤新平である。詳述はできないが、「国権」を重視した大久保に対して、江藤は「人権」を重視した。「国権」の巨大な力から人民を守るための制度の重要性を、的確に理解したのが江藤だった。江藤は、行政権から独立した司法権の確立を目指した。
 
 大久保にとって江藤は最大のライバルであり、明治六年政変に伴う江藤新平の下野の機会に乗じて、大久保は江藤惨殺の暴挙に進んだのである。このときに大久保が用いたのが、秘密警察的手法、行政権力による、警察、司法権力の独占である。
 
 結局、明治を支配したのは大久保利通になった。大久保が構築した人権軽視=国権重視の思想は脈々と現代日本に引き継がれている。現代日本の警察、検察、裁判所制度は、大久保利通による権力独裁の流れを汲んでいる。人民の権利擁護、人権尊重の概念は極めて希薄である。
 
 その発想は、
「10人の無辜を処罰しても、1人の真犯人も取り逃がすなかれ」
というものだ。
 
 警察、検察がこの姿勢で活動する限り、冤罪は今後も発生し続ける。

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さらに重大な問題は、警察や検察に、犯罪が成立しているのに、その犯罪を処罰しない裁量権が付与されていることだ。このことは既述した。警察、検察の権力の源泉がここにある。
 
 刑事事件が発生したときに、犯罪が存在するのに、これを不問に付す権限が警察、検察に付与されているのだ。これを「起訴便宜主義」と呼んでいる。
 
 この巨大裁量権が警察、検察の権力の源泉であり、これが警察、検察の天下り等の巨大利権と直結している。
 
 さらに、警察と検察には、犯罪が存在しないのに、犯罪をねつ造する裁量権も付与されている。警察、検察、裁判所が連携すれば、よほど決定的な反証が示されない限りは、無実の人間を犯罪者に仕立て上げることができる。
 
 検察と裁判所がくるになって、防犯カメラ映像の隠滅容認や、法廷証人の決定的証言無視を、平然と実行する。
 
 政治的な目的の下で、こうした警察、検察、裁判所権力が活用されることを、「国策捜査」「国策裁判」と呼んでいる。
 
 だから、私たちは、警察、検察、裁判所を、絶対に絶対視してはならないのだ。最近の多くの事例により、ようやく、この重大な真実が、一般大衆に少しずつ知られるようになってきたが、まだまだ十分に浸透しているとは言い難い。
 
 政治に絡む人物の刑事事件問題は、常に、こうした醒めた視点からの再吟味が不可欠である。
 
 日本が近代国家になるためには、どうしても、この警察、検察、裁判所制度を、根底から刷新しなければならない。警察、検察、裁判所制度の近代化なしに国家の近代化はあり得ない

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邪悪な消費税増税謀略1Rダウンの財務省をKOせよ

2011-07-02 06:14:12 | 植草一秀氏の『知られざる真実』

邪悪な消費税増税謀略1Rダウンの財務省をKOせよ

菅政権が強引に進めてきた「社会保障と税の一体改革」の政府与党案が6月30日に決定された。
 
 焦点の消費税について、「2010年代半ばまでに段階的に消費税率を10%まで引き上げる」ことが盛り込まれた。
 
 しかしながら、決定は政府・与党の社会保障改革検討本部におけるもので、閣議決定はされない。
 
 経済環境との関連では、「経済状況の好転」を増税実施の「条件」とすることも盛り込まれた。
 
 財務省は、「2015年度までに消費税率を10%まで引き上げる」ことを閣議決定することを目論んでいた。しかし、民主党および国民新党から強い反対意見が噴出し、閣議決定はできず、また、「経済状況の好転」が実現しなければ増税は実施できない内容での決着になった。
 
 菅直人氏自身も、6月28日の両院議員総会で、退陣までの課題に、税制改革を盛り込まなかった。増税案の強行は菅直人氏自身が取り下げた感が強い。
 
 このことは、菅直人氏が総選挙を視野に入れていることの裏返しでもあると考えられる。総選挙を実施するとなれば、現時点での消費税増税提案は、間違いなく選挙に不利に働く。
 
 また、過去の経験を詳細に検討すれば、現局面での増税提案は、まさに自爆テロ行為そのものであり、菅直人氏もようやくこの点に気が付いた可能性がある。
 
 増税に執着しているのは与謝野馨氏だが、誰も与謝野氏の姿勢を高くは評価しない。

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2009年8月の総選挙以来、消費税問題は常に国政の中心テーマであり続けた。主権者である国民は、この問題についての基本的な考え方を明示して、今日まで進んできている。
 
 日本の主権者国民が、現段階での消費税増税方針に強く反対している理由は、大きく二つある。
 
 第一は、未曽有の災害に見舞われて、日本経済が戦後最大の危機に直面している現状では、増税よりも先に経済の立て直し、被災地の復興が優先されるべきであると判断していることだ。
 
 復興に向けての経済対策を検討もせず、増税だけを検討する政府なら、主権者国民はそんな政府に確実に不信任を突きつける。
 
 第二の理由は、消費税増税の前に、官僚利権を切ることを国民は要請していることだ。これが、2009年8月総選挙での鳩山由紀夫民主党と主権者国民との約束だった。
 
 財務省は、日本政策投資銀行、国際協力銀行、日本政策金融公庫の、いわゆる財務省天下り御三家への天下りを遮断しようとしない。
 
 トップのポストだけ、お飾りの民間人を据えて、副社長の官僚OBがすべての実権を掌握している。
 
 東京証券取引所への天下りも復活させた。横浜銀行、西日本シティ銀行は、財務省の植民地とされ続けている。
 
 最近では、大和総合研究所やみずほ総合研究所トップに財務省官僚OBを送り込み、税制改革の経済効果試算などに圧力をかけようとしていることが見え見えである。
 
 人類を滅亡させかねない原発事故を引き起こしながら、政府はまだ、経産省から電力会社および原子力関連団体への天下り全面禁止を決定していない。
 
 本当にどうにもならないずぶずぶの癒着構造である。
 
 主権者国民は、現下の経済状況を踏まえて、増税よりも経済再生が優先されることを明確に認識し、他方、増税論に入る前に、官僚利権の根絶が絶対に不可欠であるとの認識を明確にしているのだ。

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偏向NHKのノーコン解説者である大越健介氏は、消費税問題の決着がつかない理由を、
 
①菅首相の求心力の低下
②増税を口にしたくない議員心理
 
などと、ふざけたことをほざいていたが、公共の電波を低質な情報で占有することは、懲戒の対象と言っても過言ではない。
 
 NHKの解体的改革が急務である。NHK放送にスクランブルをかけて、放送受信希望者のみが視聴できる方式に変更するべきだ。同時に、NHKの運営を、視聴者代表から組織される「放送委員会」に委ねる制度変更を実施するべきだ。この改革を前進させるためには、主権者国民による放送受信料支払い拒否運動が必要である。
 
 消費税増税論に強烈な反対が存在するのは、繰り返しになるが、
 
①震災後の日本経済の現状を踏まえ、経済再生策が優先されるべきこと
②消費税増税論議に入る前に官僚利権を根絶することが不可欠なこと
 
が最大の理由なのだ。
 
 NHKはふざけた解説で、ゴールデンタイムのニュースの時間を浪費するべきでない。
 
 そして、この消費税に対する基本判断は、総選挙および参院選の際に最重要争点として掲げられ、その上で主権者国民が示した判断に基づくものであり、堅固な正統性に裏打ちされている。
 
 主権者に対する背任行為を平気で実行できる与謝野馨氏のような老害議員が、官僚利権と癒着して、大きな顔をして絶叫しようと、このような鉄面皮議員の声には正統性のかけらも存在しないのだ。
 
 消費税論議を大きく前に進めるため、官僚機構と刺し違えてでも、天下り根絶に突き進むなどの行動を、与謝野氏が示すなら、主権者は与謝野氏の声に耳を傾けるだろう。しかし、与謝野氏はひたすら官僚利権を擁護するだけでしかない。
 
 実効性に乏しい政府与党決定が生まれたが、それでも、俗悪な官僚どもはバンパイアのように、主権者国民に重税を押し付けるために、ありとあらゆる策謀を仕掛けてくる。十分な警戒が不可欠だ。
 
 主権者国民と国民の生活を第一と考える「民主党正統」議員、そして、これと連携する有志の議員が力を合わせて、卑劣な増税案を粉砕し、適正な経済復興政策を実現してゆかねばならない。

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