格差階級社会をなくそう

平和な人権が尊重される社会を目指し、マスゴミに替わって不正、腐敗した社会を追求したい。

「原点への回帰」を強調した小沢一郎民主党元代表

2011-07-29 19:34:45 | 植草一秀氏の『知られざる真実』


「原点への回帰」を強調した小沢一郎民主党元代表




民主党の小沢一郎元代表が7月27日、自由報道協会主催の記者会見に出席した。記者会見に先立って、オランダの政治学者であるカレル・ヴァン・ウォルフレン氏との対談も公開中継された。
 
 ウォルフレン氏は本ブログでも何度も取り上げている政治学者で、日本政治の深層を鋭く抉り出してきた気鋭の学者である。
 
“Character Assassination”と表現される「人物破壊工作」が、欧米では政敵を攻撃するために用いられることを指摘し、日本では小沢一郎元代表に対して、異常に激しい人物破壊工作が徹底して長期間継続して実行されてきたことを著書で明らかにされている。
 
 菅直人氏が内閣不信任決議案可決の瀬戸際に追い込まれたのが6月2日である。間もなく2ヵ月の時間が過ぎ去ろうとしている。菅直人氏はこの決議案上程に際して、民主党代議士会で辞意を表明したが、不信任決議案が否決されると態度を一変させ、いまも総理の椅子にしがみついている。
 
 菅直人氏は手を変え品を変え、総理の椅子にしがみつくための小手先の策を弄しているが、主権者国民は菅直人氏の言動を冷ややかな視線で見つめている。



主権者国民の多数は「脱原発」に賛成の考えを有しているが、菅直人氏に対する支持は皆無に近い状態になっている。本当に「脱原発」を推進しようとするなら、少なくとも電力会社には、原子力損害賠償法の規定に沿って、応分の責任を求めなくてはならない。
 
 東京電力が法律の規定に沿って応分の責任を負うことになると、東電は100%破たんする。東電を法的整理しなければならなくなる。菅政権は法律の規定だからこれを遵守するのではなく、東電を守らねばならないから法律を変えてしまい、過去の事案に改正した法律で対応するという、法治国家の根幹を揺るがす行動を平然と取り続けている。
 
 電力会社は、今回のような事故を引き起こせば会社が破たんする現実を突き付けられれば、原発事業に対して、少しはまともな対応を示すことになる。事故を発生した際の責任が重ければ、巨大リスクを伴う原発事業から撤退するとの判断も生まれて来るのである。
 
 このような当然の施策も取らずに、「脱原発」を叫んでみたところで、誰も信用しないのだ。



菅直人氏は退陣の3条件を掲げた。この条件が整えば、首相を辞任する以外に道はない。憲法に保障された権利だとして解散権を主張しているが、この期に及んでの解散は政治の私物化以外の何者でもない。
 
 小沢元代表は、菅内閣に対する内閣不信任決議案の再提出はあり得るとの見解を示したが、これは西岡武夫参議院議長の見解とも一致する。菅直人氏がこれ以上、総理の椅子にしがみつく場合には、内閣主信任決議案を再提出することが強く求められる。
 
 主権者国民はポスト菅体制を真剣に考察しなければならない。
 
 岡田克也氏はこの政局を党内政局に利用する姑息な姿勢を示している。天下の大道、正道を踏み外し、ひたすら自己の政治的な利害だけを優先して行動するこの人物が民主党幹事長職に留まっていることが、日本政治を腐らせているひとつの原因になっている。
 
 菅直人氏の退陣問題と民主党マニフェストを絡ませるべきでない。野党との交渉においては、赤字国債法案と首相辞任を交換条件にすればよいわけで、赤字国債法案と民主党マニフェストの放棄とは交換条件にならない。
 
 なぜなら、民主党マニフェストは、主権者である国民が2009年8月総選挙において、今後の日本政治の基本方針として採用したという、極めて重大な意味を有しているからである。2009年8月の主権者国民の選択はいまも効力を有しており、それを一介の幹事長が葬り去ることは明らかな越権行為である。
 
 与党が首相辞任を確約し、それでも野党がマニフェストを放棄しないなら赤字国債法案を通さないと主張するなら、そのまま放置すればよいのだ。赤字国債法案が可決されなければ政府機能はマヒする。そのとき、マヒの原因が国民から政権を委ねられていない野党が、与党がマニフェストを放棄しないから赤字国債法案を通さないことにあると主権者国民が知れば、非難の矛先は必ず野党である自民党と公明党に向かう。
 
 与野党協議では、筋の通った正統性のある対応を示すべきであるのに、岡田克也氏は正道を踏み外し、個利個略で動く。幹事長職にもっともふさわしくない人物である。



小沢元代表は民主党代表選について、「原点回帰」を強く主張した。6月16日に開かれた「小沢一郎議員を支援する会」と「日本一新の会」が主催するシンポジウム「小沢一郎と新しい日本の政治」に講演者の一人として出席させていただいた際、私は「日本の新しい政治の考え方」と題して「原点回帰」の重要性を強く訴えた。
 
 その内容は、本ブログ6月18日付記事
「シンポジウム「小沢一郎と新しい日本の政治」開催」
に記述しているので、ぜひご高覧賜りたい。
 
 その際、私は三つの原点回帰を提示した。民主主義の原点への回帰、政権公約の原点への回帰、そして、日本政治構造刷新の重要課題への原点回帰である。
 
 民主主義の原点への回帰とは、主権者国民からの信託のない政権に正統性はないということだ。この点は菅直人氏も認識はしているはずだ。だからこそ、2010年7月参院選を政権への信託を問う選挙と位置付けたのだ。結果は、「不信任」だった。したがって、この時点で菅直人氏は辞任しなければならなかったのだ。このことは本人が一番よく知っていることだろう。
 
 政権公約の原点への回帰も重要である。民主党政権は、天下りなどの政府支出の無駄を排除して国民の生活を第一とする政策を公約として掲げた。子ども手当、高校授業料無償化、高速道路料金無料化、農家個別所得補償などだ。これらの政策方針を主権者国民は支持している。
 
 十分でなかったのは天下り根絶などの政府支出の無駄排除である。
 
 この公約の原点に立ち帰ることが重要である。
 
 日本政治構造刷新の重要課題への原点回帰とは、米官業政電の利権複合体=悪徳ペンタゴンが支配する日本政治構造を刷新することだ。
 
①米国の言いなりになる政治
②官僚が支配する政治
③大資本と政治屋が癒着する政治
 
を根絶し、
 
主権者国民が支配する政治=国民の生活が第一の政治
 
を確立することこそ、政権交代の実現によって達成すべき目標である。
 
 政権交代は手段であって目標ではない。政権交代の実現によって、日本政治の構造を変革することが目標なのだ。



こうした視点に立って、ポスト菅体制を考察しなければならない。

 ネット上の世論調査では、次期首相候補ナンバーワンは小沢一郎氏である。主権者国民は小沢一郎政権の実現を待望している。だが、直ちに小沢一郎氏が前面に登場するのかどうかは、小沢元代表の戦術、戦力に依るものであるから、慎重に状況を見守る必要がある。
 
 何よりも重要なことは、民主党の実権を「正統民主党」が「悪徳民主党」から奪還することである。そのためには、民主党内の小沢一郎氏グループと鳩山由紀夫氏グループが結束し、「正統民主党」が民主党の過半数を掌握することである。
 
 不正な代表選が行われないように、代表選前に民主党執行部を交代することが強く求められる。両院議員総会を開催して、代表選の前に党執行部を交代させ、公正な代表選を行うことが求められている。





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組織ぐるみ悪徳九電のガン松尾新吾会長の居直り

2011-07-29 05:47:50 | 植草一秀氏の『知られざる真実』



組織ぐるみ悪徳九電のガン松尾新吾会長の居直り




原発の稼働再開をめぐって開かれた公開放送の住民説明会で、会社ぐるみで偽装メール送信を指揮し、企業体質が問われている九州電力が、経産相の意向に対して反旗を翻し、居直る姿勢を示している。
 
 このような常識はずれの企業や企業経営者を通常は攻撃するマスゴミも、その多くが明確な批判を展開していない。
 
 客観的に評価して、九州電力の責任は甚大である。東電が福島原発で重大な原発爆発事故を引き起こし、日本全体、さらには全世界に甚大な被害を与えている。
 
 この事故を踏まえれば、新たな原発の稼働に際して、慎重の上にも慎重な検討を積み重ねるべきことは当然である。とりわけ、地域住民の理解と協力なしに原発の再稼働などあり得ない。
 
 その住民との交渉の場である住民説明会の場で、やらせメールを企業ぐるみで指揮し、公開番組を人為的に歪めた責任は計り知れない。
 
 九電の最高責任者および関連した幹部職員の引責辞任は免れないというのが、常識の判断である。
 
 海江田経産相が提示した社長辞任の必要性は、単なる大臣所見ではなく、国民世論を代表する見解である。しかし、九州電力の実際の権力者は真部利應社長ではなく松尾新吾会長である。したがって、真部社長と松尾会長の引責辞任が求められるのが当然だ。
 
 ところが、7月27日に開かれた取締役会では、社長辞任も会長辞任も決定されなかった。取締役会後に開かれた記者会見では、松尾会長が、
 
「九州電力はとりわけ信頼できる会社だと思われている」
 
と言ってのけて、開き直り、居直りの傍若無人の行動を繰り広げた。



真部社長が7月19日に辞任届を松尾会長に提出したことを明らかにされたが、この事実でさえ、記者会見開始から1時間半後までの長期間、隠蔽され続けてきた。
 
 世の中を甘く見て、自ら襟を正す姿勢を失った企業。日本の企業風土は地に堕ちたと言って差し支えないだろう。九州電力のがんは松尾新吾会長の姿勢に存在することが誰の目にも明白になった。
 
 正しい道が行われるには、この会長を必ず引責辞任に追い込むことが必要だ。こうしたせめぎ合いにおいて、正義が破れ、悪徳が栄える実績が積み上げられれば、この世は闇になる。
 
 一方で、電力会社のぬるま湯体質を生み出す原因が政府の側にあることを見落とせない。
 
 日本には原子力事故が発生した際の損害賠償について定めた法律が存在する。東電の福島原発事故に伴う損害賠償問題に対して適用できる法律はこの法律以外に存在しない。
 
 したがって、損害賠償のあり方を具体的に定めるに際して、この法律を適用すべきことは言うまでもない。
 
 ところが、この法律に沿って処理を進めると東電は破たんし、東電の法的整理が必要になる。そこで、菅政権は事後的に法律を改正し、法律改正前に発生した事案を、事後に改正した法律で処理することを進めている。
 
 法治国家の大原則を無視した言語道断の対応であり、議会はこのような政府の横暴を正すべき役割を担っている。ところが、驚くべきことに、議会野党である自民党や公明党も、この反法治国家の施策を積極推進しているのだ。



原発マネーにまみれた悪徳民主党と自民・公明の連合体が、電力会社の責任を排除し、不正に電力会社を救済し、原発ビジネスを擁護しようとしている。
 
 菅直人氏は「脱原発」を掲げながら、法治国家の根幹を踏みにじる東電救済策を積極推進しているのだから、その言葉のすべてを信用するわけにはいかない。
 
 海江田経産相は九州電力に襟を正すことを求める前に、自らの襟を正すべきである。相手が巨大な政治力を持つ電力会社であろうとも、法治国家である以上、法の支配を貫かなければ、この世のすべてが、情実に流れ、社会の力関係で決定されることになる。
 
 福島原発事故の直後に発生した焼き肉チェーン会社は、食中毒事故発生の影響で会社解散に追い込まれている。焼肉屋は解散で当然だが、電力会社は救済の理屈は、正当な考察からは導かれない。
 
 このような天下の正道に反する行動が政府、そして民間企業で横行することが、日本中枢だけでなくにほんそのものの崩壊をもたらしているのだ。本を質せば、菅直人氏のペテン居座りが、日本社会から矜持を失わせる原因になっているのだ。
 
 このまま進めば、日本社会は世界で最弱の社会に変質することになるだろう。





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