江戸時代の日本は、普通の国だったことは、以前(5月29日分)に述べました。
しかし、明治以降、江戸時代が一種の暗黒の時代だったように思い込まされてきたように思います。
明治維新を「日本の夜明け」と呼んだのも、江戸時代があたかも暗黒の中にあったように思わせるためのものであったようです。
実際の江戸時代は平穏でありながら、身分差別とか切捨て御免、一揆と飢餓の時代のように思い込んできたようです。
なぜ、このようになったのかと言うと史家が独特の歴史観で江戸時代を見ていたからです。
つまり、日本は天皇が統治するべき国だという考えで歴史を判断していたのです。
江戸時代は封建社会であり、その悪い面のみを取り上げていたためです。
普通の出来事は記録に残っていませんが、特異なもののみが記録に記載されており、その特異なものだけを取り上げていたのです。
今日の絵は、”城北公園の菖蒲” F8号
歴史の本では、統計的なことはほとんど無視して、特定の現象、出来事だけが全体とは関係なく、説明してあるのです。
例えば、米の値段が高騰して、庶民が米問屋の打ちこわしをしたと言う事件についての記述があれば、まるで江戸時代を通じて米価が高騰し続けて、庶民は打ち壊しばかりに追われていたということになってしまうのです。
つまり、米の高騰したことは書いてあっても、下がったことは書いていないのです。
実際に全国規模で打ち壊しが起こる程、米価が高騰したのは、265年間を通じて、思い切り長く見積もっても10年はないということだそうです。
(石川英輔著、大江戸開府四百年事情を参照させて頂きました)