極東極楽 ごくとうごくらく

豊饒なセカンドライフを求め大還暦までの旅日記

微生物工場→植物工場

2011年09月12日 | 新弥生時代

 




【価値を高めるコンニャク】




蒟蒻はコンニャクイモに含まれるコンニャクマンナンという
多糖を糊化しアルカリ(水酸化カルシウム水溶液)を用いて
凝固させたもの。独特の食感を示す。一度凝固させたこんに
ゃくは水溶性を持たず、強い弾力を示す。またカロリーが極
めて低く食物繊維が豊富という理由もあって、ダイエット食
品としても人気がある。なお独特の臭みがあり調理に際して
は一度煮込んで灰汁抜きをするが、今日では灰汁抜きの必要
ないこんにゃくも見られるという。コンニャクは96~97%が
水分。水分を除くと主成分はグルコマンナンで、グルコマン
ナンはグルコースとマンノースが2:3~1:2の比率で重合した
多糖類の一種でコンニャクマンナンとも呼ばれ、ヒトの消化
管ではほとんど消化されず腸内微生物により一部脂肪酸に変
換されて利用される。また代表的な食物繊維で、血糖値や血
中コレステロールを下げる効果や免疫増強活性があると言わ
れている(ごくとうごくらく『豆腐と蒟蒻』、
2010.12.22/
こんにゃく物語』、WEEF[食と文化])。



マンナンライフの誤飲窒息死亡事故がいまも続いているニュ
ース見て不思議に思ったのがこの記事を書く動機だ。理由は
は簡単だ。『なぜ、ゲル化できないのか?』もう少し言うと
『なぜ、チキソトロピー(揺変性)にしないのか?
』という
ことになる。力を受け続けると粘度が次第に低下し液状にな
る。また、
静止すると粘度が次第に上昇し最終的に固体状に
なるというものだ。



【符号説明】
A:水和ゾル B:液体供給ポンプから圧送される凝固液
C:アルカリゾル D:麺線成形されたアルカリゾル
E:長尺状の麺線 F:定寸カットされた麺線 1:原料攪
拌から水和を行うペール缶形状の容器 2:水和ゾルを目皿
まで圧送する吸上げ式ポンプ 3:凝固液を注入する液体注
入ポンプ 3a:凝固液を水和ゾルの中心部に注入するノズル
4:インラインミキサ 4a:インラインミキサーのタービン
5:アルカリ反応工程を取る為のチューブ 6:目皿




ところで、上の特開 2011-172553「低カロリー麺類の製造方
」は製麺時に貯留された水和ゾルを圧送し、タービンの高
速回転により凝固液と混合し、一定時間アルカリ反応させる
ことでゾルの流路が全て密閉状態にして、目皿から熱水中の
コンベアまで垂下沈降させ、コンベアによって移送し茹上げ
ること麺線切れの問題を解決した発明例である(下図は類似
新規考案)。

ざっくりとネット上で下調べした感じだが、こんにゃく成分
(合成物もふくむ)をパウダー処理(粒子の大きさ、pHなど)
する際、若しくはその他の添加物との調合際に工夫をこらす
ことで、チキソトロピー特性を変化させることが可能だ。
下図はその製法の新規考案の一例だが、すでに、(1)低カ
ロリー(2)食物繊維による整腸作用(3)医療向けゲル化
食品飲料などの市場に応用展開しているが、着色、食感など
の工夫では、世界の健康・食品・医療市場(想定売上額は日
本ベースに7倍程度掛け合わせれば算定できる)が期待でき
る。もっと、面白いのは従来の食料品、麺類などの代替商品
開発だと思っている。

下図は物体のゲル状態またはゾル-ゲル状態変化を観測する
散乱光観測システムの発明事例。

【符号の説明】

1 物体 2 コヒーレントな照射光 3 光源 4 表面反射
散乱光 5 透過反射散乱光 6 スペックルパターン 7
観測面での結像 8 物体面での結像 9 二次元映像認識手
段 10 開口絞り、偏光フィルター、バンドパスフィルター
などの光学補助部品 11 集光レンズ、拡散レンズ等の光学補
助部品、12 フーリエ変換レンズ、偏光フィルター、バンド
パスフィルターなど光学的変換・制限用光学補助部品
13 線状またはスポット状など光軸変換レンズやスリット板
等光軸形状変換・制限用光学補助部品



【手のひらサイズの植物工場】



2008年に常識を覆すことが発見される。「乳酸は、徹生物の
細胞外に排出される」と教科書に書かれているが、乳酸が細
胞内でバイオポリマー中に取り込まれるという珍現象が起き
た。これは生物史上初めてのことである。これは、ポリ乳酸
PLAなどの「乳酸ベースポリマー」が微生物細胞内で生合成で
きる→乳酸ポリマーを再生可能原料から"一気通貫で生合成
できる微生物工場の開発に成功。これでバイオプラスチック
の大量生産システムの道が開けそうだ。



今回の研究開発では文字通り「瓢箪から駒」のように3元コ
ポリマーP(96%LA-co-1%3HB-co-3%3HV)(下表の右"LA96")
が合成されたが、厳密には化学構造は異なるが、熱的物性や
ステレオコンプレックスという機能においてほぼ同等の性質
を示す(ステレオコンプレックスは、PLLAとPDLAの両光学異
性ポリマーを等モル混在して共結晶化させることで熱融解温
度が向上し、PLAの低耐熱性を改善する手法)。生合成される
LA96は光学純度100%のD体のポリマーで、化学合成PLLAと
ブレンドし共結晶化することで、化学合成PLLAと同等の融点
上昇を引き起こすことが判明する。特に、酵素特有の厳密な
光学異性体認識(エナンチオマー選択性あるいはキラル認識特
異性:100%D体)が、LPEにも色濃く反映していた点だ。LPEの
高い光学異性体認識能は、化学触媒に対して優位な点であり、
光学的に均一なポリマーを合成できる。また、基質特異性が
広いというオリジナル酵素の性質も継承しており、LPEを利用
することで多様なモノマーを共重合化した多元乳酸コポリマ
ーを合成できるメリットがあるという。
 
LPEの発見から、乳酸ポリマー生産用の微生物工場が稼働し、
微生物工場第1号機は、大腸菌をモデルプラットフォームだ
が、例えば、糖の資化能力が活発なアミノ酸発酵菌であるコ
リネ型細菌でもそれは可能だという。今回の研究開発は非化
学合成プロセスのバイオ合成プロセスという新しいプロセス
開発に繋がる。現状は、実バイオマス(ススキなどの非可食植
物)の原料からバイオポリマーの生産へ移期で、バイオポリマ
ー生産の場も微生物工場から植物工場へ移ろうとしていると
している。



 

見上げれば 月赤々と 降り注ぎ われと芒を ことしも染める 


早いものだ、もう秋なのかと。この歳でも焦りは禁物と軒先
で、たばこに火をつけ、別れゆくものたちを数え紫煙に漬る。
もう季節は秋なのだと。
 


 



 

コメント
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