極東極楽 ごくとうごくらく

豊饒なセカンドライフを求め大還暦までの旅日記

アキレスの矛

2011年09月27日 | 省エネ実践記



【二次電池というアキレス】

省エネでアルカリマンガン電池と格闘して足かけ1年間、メーカ側も改良を続
けている。地味に思えるけれどこれは大切な企業技術の知財蓄積行為であるこ
とに間違いない。例えば、正極に二酸化マンガン、負極に亜鉛、電解液にアル
カリ水溶液を用いたアルカリ電池は、汎用性が高く安価で広く普及しているが
負極活物質の亜鉛は、アルカリ電解液中で腐食して水素ガスを発生し、電池内
圧の上昇や漏液を引き起こす
。負極亜鉛の防食性を高めるため、負極活物質に、
亜鉛に少量のインジウム、アルミニウム、ビスマス等を含有させた亜鉛合金を
用いているが、亜鉛合金の表面全体にインジウム等を分布し亜鉛合金の水素過
電圧を高めるには、少量のインジウム等では十分な防食性をえられないが、そ
こでアルカリ電解液中に酸化インジウム等の防食剤を添加し、亜鉛表面にイン
ジウム等を析出させ防食性を高めているのが現状だ。


※P2011-165382「アルカリ電池」


【乾電池を使い切る】

二次電池は、充電して繰り返し使用できるが、使用状態における残容量がわか
らないと、いつまで使用できるか、またいつ充電するかのタイミングがわから
なくなる。とくに、単3電池等の規格電池は、一緒に複数本使用されることが
多く、また、予備電池としてさらに使用本数が多くなることがある。この状態
になると、各々の電池の残容量はますますわからなくなってしまう。残容量が
少なくなった電池を使用すると、使用している途中で完全に放電されて使用で
きなくなる。この弊害は、頻繁に充電して解消できるが、頻繁に充電するのに
は手間がかかる。また、ニッケル水素電池やニッケルカドミウム電池等のアル
カリ電池は、深く放電させないで頻繁に充電を繰り返すとメモリ効果が発生し
て実質的に放電できる容量が小さくなる
性質がある(『省エネ実践記 アルカ
リ乾電池の充電
』)。
 特開2005-151740

この欠点は、電池の残容量を検出して解消できる。たとえばラップトップパソ
コン等は、複数の電池をケースに内蔵してパック電池とし、このパック電池の
残容量を表示する機能を備えているが、残容量が表示される電気機器に使用さ
れるパック電池は充電のタイミングを正確に知ることができるがパック電池を
電源に使用する電気機器は専用設計のため装着しているパック電池が完全に放
電されると使用できなくなる。これに対して、単3電池等の規格電池を電源に
使用する電気機器は、仮に内蔵している規格電池が完全に放電されても、単3
電池等の規格電池に交換して使用できるが、電池の残容量を、簡単かつ容易に、
独立して検出でき、しかも残容量を検出した後、そのまま充電できる充電器が
なかった。



【符号の説明】

1…電池 2…充電回路 3…残容量検出部 4…残容量表示部 5…充電電
源部 6…充電スイッチ 7…充電制御部 8…充電表示部 9…回路動作用
電源 10…ケース 11…装着部 12…検出スイッチ 13…放電抵抗  14…電圧
検出部 15…放電スイッチ 16…放電操作スイッチ 17…メモリ解消スイッチ


[n=1のステップ]残容量を検出する装着部11に電池1が装着されたかどう
かを判別する。残容量を検出する装着部11に電池1が装着されないと、n=4
のステップにジャンプして電池1の充電を開始する。

[n=2のステップ]残容量を検出する装着部11に電池1がセットされると、
電池電圧を検出し、検出された電池電圧から残容量を「少」「中」「多」に区
分する。

[n=3のステップ]電池1の残容量を発光ダイオードの発光色で表示する。
残容量が「少」のときは赤色の発光ダイオードを点灯する。残容量が「中」の
ときは橙色の発光ダイオードを点灯する。残容量が「多」のときは緑色の発光
ダイオードを点灯して、残容量を表示する。残容量は、一定時間、たとえば5
秒間表示される。

[n=4のステップ]残容量を表示した後、電池1の充電を開始する。充電中
は、たとえば赤色の発光ダイオードを点灯して充電中であることを表示する。

[n=5のステップ]電池1が満充電されると、充電スイッチ6をオンからオ
フに切り換えて充電を終了する。




【市販のマルチチャージャーは妥当か】

さて、マルチチャージャー(上写真)がAZREX社(中国製)が¥6800程度
で通販されているが、これはREVEX社(日本製)のリサイクルチャージャ
ーが残量インジケータなしで先行販売されていたことと、前記、特許など先行
しているのでパクリではないかと思われる。それはさておいて、下表の単四の
アルカリ電池1本の値段が21円なので、約 324本分に相当し、
販売価格がいか
にも割高で、3,000~4,000円が妥当だと考える




価格の問題はメーカ努力に期待するとして、アルカリマンガン乾電池の性能も
上がり、日本製の乾電池としての‘アキレス’のパワーと品質には満足すべき
水準に達しているし、‘アキレスの矛’としての充電器の技術向上も相まって
省エネ奮戦記「乾電池と充電器編」は、実践報告を残すのみの段階にきた。




【時代はワイヤレス充電】

下図は三洋電機の「非接触式充電器」(P2010-193701A)の概説図。複数の二次
側機器を同時に非接触充電する充電器において、充電時間を安定化させるもの
で、一次側機器は、各々に二次側コイル及び二次電池を有する二次側機器2[
-1]~2[i+1]に対して個別に対応する第(i-1)~第(i+1)の
送電部を有する。第(i-1)~第(i+1)の送電部は、一次側コイルが巻
かれた一次側コア12[i-1]~12[i+1]を有する。各二次側機器内
の二次電池を充電する際、隣接する一次側コイルに励磁電流を交互に供給する
もの。つまり、第(i-1)及び第(i+1)の一次側コイルに励磁電流を供
給する一方で第iの一次側コイルへの励磁電流供給を停止する期間と、第iの
一次側コイルに励磁電流を供給する一方で第(i-1)及び第(i+1)の一
次側コイルへの励磁電流供給を停止する期間と、が交互に訪れるようにするこ
とで非接触で同時に充電できるシステムというわけだ。




このようにワイヤレスという『デジタル革命』の基本特性の第5則‘イレーイ
ジング’が静かにしかも着実に進行してきているのだ。このことは1つの現象、
事象に過ぎない。その意味で今日のブログテーマは“デジタル革命”としても
よかったと思う。




コメント
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