極東極楽 ごくとうごくらく

豊饒なセカンドライフを求め大還暦までの旅日記

冬風邪とマスク

2012年01月10日 | WE商品開発

 

【曇り止め衛生マスク】

とどめないというのはこういうことかもしれない。養生のため珍しく早く寝
て朝起きて、喉の痛みがとれない。風邪薬を飲み作業に移りタイピングを始
めると彼女がマスクをすると良いのよと、ホットミルクティーを運んでくる。
ダメだよ、メガネが曇るからさと口をついたのだが、待てよこれは商品開発
した方が先決かなと止せば良いのにと思いつく。ひどい性格だよな、最優先
する仕事があるというのにと、ミルクティーを飲み干すと半日もかけて一応
の解答をたたき出す。つまりは3つのアプローチの最適バランスだというこ
とがわかったから、あとは市場調査という前段階だと、うんそういうことだ。


そもそも、日本では大正年代に始まる。当時のマスクは、真ちゅうの金網を
芯に布地をフィルターとして取り付けただけのもので、「工場用マスク」と
して粉塵よけとして始まる。このマスクが、1919(大正8)年のインフルエン
ザ(スペイン風邪)大流行をキッカケに注目を集める。その後徐々に普及し、
関東大震災後、内山武商店から発売された「壽マスク」が、商標登録品第1
号に認定され、マスクの改良もすすみ、金網をセルロイドに変えたものやフ
ィルター部分にべッチンや皮などを使用したものが現れる。昭和に入り、イ
ンフルエンザが再び猛威をふるった1934年にマスクは大流行する。インフル
エンザがはやるたびに、マスクの出荷量も爆発的に増加。枠のない布地だけ
のものや、布地にガーゼが使われるようになるなど、マスクは次第にその形
を変えていき、現在の平型マスクの形になったのがわたしが誕生した年だ。
その次の普及流行は、林野政策と物流政策との複合汚染と考えられている花
粉症や科学技術の進展による農薬・抗生物質などの化学物質汚染などのアレ
ルギー症の蔓延によるものだった。

現在のマスクの形状は、大きく分けて3タイプあり、1つはマスクの代名詞
ともいえる「平型マスク」。2つ目は、立体的になるプリーツ構造を採用し
た「プリーツ型マスク」。3つ目が顔のラインに沿った形状で密着性を高め
た「立体型マスク」。形状や素材の利点を活かしたこれらのマスクには、そ
れぞれに多くの特徴があり、使用目的はもちろんのこと、付け心地や顔との
密着性などを考慮したマスク選びをすることで、捕集や飛散防止といったマ
スクの効果を格段に高めることができる。

この場合の基本的な考え方として、(1)衛生マスクと接触部との密着する
力(Fcont)がマスク内側内圧(Pin)より充分に大きいことと(2)マスク
エレメントの通気抵抗(ΔPelem)の大きさに大きく依存し次の条件次第で
呼吸漏れが生じるものと考えている。

        Fcont > Pin            ・・・(1)
        ΔP elem ∝ P in          ・・・(2)

実際には、前者の接触圧力(=密着力)は、耳かけとの張力を主要因として、
顔との間の隙間の有無や状態、マスク素材や形状が関係するでしょうし、後
者では除塵・除菌捕集に使われる不織布などのフィルタ材の設計にかかわり、
機能能力を高めれば、普通にはΔPelemは大きくなる。
それ以外に、眼鏡その
ものに曇り止めを施すという根本的なものもある。大きな括りで考えればこ
の3点にどのようにアプローチするのかが知恵の絞りどころと考える。



マスクの機能は、外部から吸い込まれるアレルゲンとなる花粉、ダニ、ハウ
スダスト、車の排気塵、病原菌、ウイルスなど有害異物の除去にある。さま
ざまなサイズ、形状、飛散状況、作業環境があり、到底1枚の不織布シート
物等で除去対応できるないと考えるのが常識にそった考え方。異物からのバ
リヤ性能だけを高めると、通気度の著しい低下を招き、息苦しさを伴ない、
バリヤ性と呼吸性のバランスを用途ごとに取れるものでなければならない
いうのが主機能だ。

例えば、連続一枚の不織布基材として、ポリエチレン/ポリウレタン芯鞘繊
維で、目付け重量が50g/m2の伸縮性スパンボンド不織布(LINOTEC FEVELOPME
NT GMBH社製)を用いて、マスク原形を打抜き、顔面覆い部に、内層不織布と
して、目付け重量20g/m2、通気度39cc/cm2/secの帯電処理を施したポリプロ
ピレン製メルトブロー不織布を積層し、最内層不織布で
、目付け重量35g/m2
のポリプロピレン/ポリエチレン芯鞘短繊維でサーマルボンド不織布を積層
して立体形マスクを形成。

 尚、ポリエチレン/ポリウレタン芯鞘スパンボンド不織布の引張り最大伸
びが
、縦方向方向329%、横方向方向312%、荷重緩和後の残留伸びは縦方向
で31%、横方向で38%で、優良な伸張性と回復性および縦横バランスを示し
耳かけ部の材質として適用している。また、顔面覆い部の積層部分は、不織
布基材とともに、顔面覆い部の下辺、上辺の外周部分および耳かけ部との境
界部分を各々エンボスラインで縁取し、層間が固定されて一体化している。
 さらに、顔面覆い部の上辺には襟部を設け、襟部の中央上部に半円形の小
切り欠き部を設け、襟部の底にはエンボスラインを敷設し着用時に内側に折
り込めるようにする。さらに、顔面覆い部の中央部分に、横方向に連続した
リブを敷設し、リブは、積層不織布全層に形成させる。このマスクは、積層
不織布のフィルタ効率は77%で、圧力損失は75Pa。この値は、衛生マスク/
医療用マスクとして十分なバリヤ性を備えているという。 さらに、外層表面
に光触媒(太平化学産業製チタンアパタイト複塩、商品名:PHOTOHAP PCA-100
化学式:(Ca、Ti)10OH)3(PO46)をアクリルバインダにて2g/m2を添着し
殺菌力を高めることができ、このことは、繊維や薄膜材表面に殺気力、付着
力の機能強化処理(コーティングなど)を行えばさらに差圧を60Pa以下に逓
減できる可能性を示唆してるといえよう

メガネレンズの曇りどめと方法として(1)上図のような縁部材の構造で対
応(2)下図のようい肌密着性を有するジェルで対応、そしてより根本的な
(3)メガネ自身の曇りどめ(下図の写真をクリック)3つ方法が考えられ
る。「曇り防止マスク及びマスクの縁部材」(特開2011-19894)はマスクの
上縁に取付けて着用した場合に鼻の形状になじんで隙間を無くすことが出来
る縁部材を提案している。発明の逆U字状の断面の縁部材は柔軟な材質で、
その内部に針金などで曲げることが出来る芯材を埋着し、そして両側片の間
にマスク上縁が嵌る隙間を形成しさせてその機能性を発揮する。この逆U字
条断面でマスク上縁を挟み込むことで簡単に取付け出来、好きなときに取外
しすることができ、市販のマスクに着脱自在で、新聞や雑誌を読む際にのみ
老眼鏡を掛ける人にとっては老眼鏡を掛けない時、縁部材を取外してマスク
を着用することができ、縁部材はシリコンなどの材質で肌当りが良く、マス
クの掛け心地は良好であると共に位置ズレが防止されるという。

肌密着性を有するジェルでの対応例として、通気フィルタとしてのマスク本
体の周辺部に無端形状の形状維持体を配置し、形状維持体の顔面当接側に肌
密着性のジェル層が形成されているマスクが提案されている(「マスク」特
開2011-10903)。上図のように形状維持体は、マスク本体側とジェル層側の
夫々に対応して配置し、両側の形状維持部材によって挟まれた可撓部材とか
ら構成すれば、変形性が良く、形状維持体を、装用者の顔の形状に良く合わ
せた無端形状に変形して維持されるという。

眼鏡レンズ自身の曇り止め加工で対応として、親水性コーティング加工法が
ある。これは特定のコーティング適用(例えば、防汚特性、洗浄容易特性、
自己洗浄特性、曇り止め特性のあるコーティング表面)に使用するというも
ので、無機酸化物ネットワークを含むコーティング層と、親水性の本質的に
完全に加水分解されたオルガノシリケート(水ガラス)を含む液体組成物で
コーティング層するというもの。この多層コーティングは、(1)無機酸化
物ネットワークを含む第一層と(2)その第一層の少なくとも一部の上に適
用された第二層とを備え、親水性で少なくとも1つの液体組成物から堆積さ
れる。この液体組成物は、本質的に完全に加水分解されたオルガノシリケー
トを含まれるものだという。 

このように、高性能な機能をもった衛生医療マスクが、息苦しくなく、マス
クどめの圧迫もなく、メガネレンズも曇らなくて、使い勝手が良いにするに
はもう少し改良がいる。総合的な環境との関わりの中でマスクだけで対応で
きないことは自明だとしても、日本人の几帳面な、繊細な努力という付加価
値はいずれ世界の標準として普及していくことだけは確かなようだ
。 

 

【イタリア版食いしん坊万歳:マスの詰物、カルトジオ風】

具材:マス(約1.5kg)1尾、生シイタケ200g(あるいはぬるま湯に戻した状態
で同量の干しシイタケ)、エシャロット2本、タマネギ2個、ニンニク2片、
二ンジン1本,セロリの茎1本,バター80g、赤ワイン1/2本、パセリ、小麦
粉、コショウ、塩



作り方:マスを掃除して腹わた、頭、中骨、エラなどを取り除く。ただし、
背側の身は切り離さない。タマネギ1個、エシャロット2本、パセリ、シイ
タケ(干しシイタケを使う場合はぬるま湯で戻しておく)のみじん切りと塩、
コショウ、半分の量のバターとよく混ぜておく。材料がよく混ざるまで練っ
たら、マスの腹腔の中に詰める。それを魚専用の鍋かかなり大きめの他の容
器に入れ、まわりに残りのタマネギ、ニンジン、セロリを小口に切ったもの
を入れ、具がかぶる程度に赤ワインをひたひたに注ぎ、中火にかけてゆっく
り煮る。最後にマスを、あらかじめ熱くしておいた皿の上に盛る。鍋に残っ
た汁を濾して再び火にかけ、バターと小麦粉をふりかけてソースに濃度をつ
ける。マスにこのソースをかけすぐに食卓に供する。

コメント
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