NHKのBSのスイッチをたまたま入れると映画『グランブルー』が放映
されていたので慌てて録画。ダイビングに親しんできたリュック・ベッソ
ン監督が長年の夢だった"イルカに魅せられた潜水夫の物語"を、実在の天
才ダイバー、ジャック・マイヨールの協力を得て映画化。フリーダイビン
グの世界記録に挑む2人のダイバーの友情と軋轢、そして海に生きる男を
愛してしまった女性の心の葛藤を描く海洋ロマン。1988年に公開されたが、
2010年に『完全版 デジタル・レストア・バージョン』が見ることが出来
た。そして、フリーダイビング競技会場は、数年前の旅行先もシチリア島
はタオルミナときたからなにか得した気分になる。
【イタリア版食いしん坊万歳:パレルモ風いわしのパスタ】
Pasta con le sarde alla palermitana
具材:ブカティーニ 400g、イワシ 400g、野性のウイキョウ 400g、塩漬け
アンチョビー2尾、オリーブ油200cc、タマネギ1個、干しブドウひとつか
み,松の実、ひとつかみ、サフラン、塩、小麦粉、バター、パン粉)
作り方:このレシピは、シチリア料理、特に西シチリアの都市、パレルモ
の旗印。作る人によって考えに微妙な違いがある。ウイキョウを用いる(
野生は手に入れることは珍しい)。干しブドウは必ず種のないソルタナ品
種を使うこと。松の実はあらかじめ、熟した油に素早く通して、狐色にし
ておくこと。フライパンにオリーブ油 60ccを熱し、みじん切りにしたタマ
ネギを入れて炒める。アンチョビーはよく水洗いして塩抜きし、骨を取り
除いて細かく切り、タマネギに加える。アンチョビーの形がくずれてきた
ら、干しブドウと松の実を入れて火を止める。
ウイキョウは表面を掃除して、塩を入れたたっぶりの湯でゆでる。煮くず
れる直前までゆで、ゆで汁を他の器にあけて,水気を切る。イワシは、頭、
小骨、尾を取り除く。軽く小麦粉をまぶし、残りの油で揚げる。揚げ油に
はサフランをひとつまみ入れる。イワシの身が固くならないように、弱火
で手早く揚げること。揚げたイワシを切り、全体に塩を少々ふりかけてお
く。最後にウイキョウをゆでた汁でパスタをゆでる。これは香りを移すた
めで、上手に固めにゆで、それらを全部を合わせる。大きな浅鍋に、パス
タとソースを入れてよく混ぜ、さらにウイキョウを入れて混ぜる。最後に
揚げたイワシをパスタの上全体にゆきわたるようにのせる。この時、イワ
シの身をくずさないように注意すること。キューポラのような形に盛り付
け、数分おいてから食卓に供する。
イワシの風味がパスタの味と溶け合い、ウイキョウの香りが、海と陸との
風味を高める。古典的なヴァリエーションを一つ。耐熱皿にバターを塗り、
パン粉をまぶし、その中に上記のパスタを入れ、オーブンで数分間焼く。
こうすることで、全ての材料の味がよくなじみ,水気がとび、油っぽさが
なくなる。このように作っても、伝統的にイワシのパスタと言われている。
タオルミナではどんな料理を食べたのか忘れてしまっていて、当時のスナ
ップ写真を見ることなく、この料理のレシピが浮かんだが(元々、暗記力
が低いため?)、わたしのお勧めの一品だが、ここでウイキョウとはフェ
ンネルのこと。家庭菜園で育成しているが繁殖力も旺盛で家庭でも簡単に
栽培できるから便利だ。ウイキョウはヨーロッパでも中国漢方でも古くか
ら重要な薬用植物として利用されてきた。香りがよいので、ヨーロッパで
は葉と種子が魚料理に欠かせない、重要な食用ハーブでもある。苦味フェ
ンネル (コモンフェンネル) と甘味フェンネルという2種の汎用種があり、
甘味フェンネルは自生せず栽培のみである。スパイス名で呼ばれる場合、
苦味フェンネルが、フェンネルという呼び名でよく使われる。俗に「ダイ
エットによい」、「利尿作用がある」といわれているが、ヒトでの有効性
については信頼できるデータが見当たらないとされる。
【2つのニュース】
ところで、これも珍しく朝、新聞のヘッドラインに目をやると西日本JR
の福知山線脱線事故で業務上過失致死傷罪に問われ、1審・神戸地裁で無
とされたJR西日本の山崎正夫・前社長について、検察当局が控訴を断念
する公算が大きくなったいう。超過密ダイヤル・ドル箱路線と当時、心あ
る者なら事故を誘発するのではと噂されるほどだったのだから、内部でも
問題にされていたはずだと推測している。それを承知に乗っているのだか
ら利用者の責任でもあるのだとは(つまり、他の公共機関を利用すべきで
はないか)、言えるはずもないという立場にたてば責任は明確になるはず
だ。そういえば、福島原発事故も、使用料金の妥当性は兎も角、電気を使
用しているなら今回の事故は利用者にも責任あるのだと言えるはずもない
ということと同じだろうと。それを承知を経営するのであれば、せめて、
ATSでも設置して運用すべきだったし、後者では、自家発電装置の地下
設置の判断やベント用配管は鋼管でなかったことや高精密バグフィルタ除
染装置がなかったことなど、わたしたちの生活思想を深化すれば解決でき
ることだったと思える。
もう一つは、米国コダックの破綻記事だ。コダックは創業後、機能性に優
れた商品を次々に開発して業容を拡大、写真用フィルムの世界最大手にな
りカメラもヒット。米映画産業も技術面で支えた。世界中の業界を主導す
る米国の代表的な企業として、コダック株は2004年まで70年以上もニュー
ヨーク株式市場のダウ工業株30種平均の構成銘柄で「20世紀における伝統
的な米国の企業ブランド」であった。コダックは51億ドルの資産に対し負
債は68億ドル。フィルム事業の売上高が落ち込んだことに加え、この10年
はデジタルカメラ・プリンター分野でキヤノンや米ヒューレット・パッカ
ード(HP)に後れを取り財務状況が悪化したというが、『デジタル革命』
に乗り遅れたことが致命傷となった。これも、わたしたちの生活思想を深
化すれば理解できることだ。
【転写シート法の応用】
このように細かいことに拘ればいくらでもあるわけで、そこはバランスな
のだが、そのバランスも個々の生活思想に裏打ちされたあるいは、感覚に
より変わってくるのだが、デジタル革命は、旧来の大量生産方式をも乗り
越えオーダーメイドも可能にする。その例の一つがTシャツへのダイレク
トプリントだ。例えば、機能性インクは今後益々改良進化し生産システム
を変えていく。その分野として有機半導体、有機EL、有機薄膜太陽電池
などの有機エレクトロニクス分野や燃料電池やホログラムシートなどのフ
ァインエレクトロニクスが有望視されている。
そんなことを考えていたら夜更けになっていたというわけだ。芥川賞や直
木賞も決まったし金正男の暴露本も出版されたが、時間は限られている。
思えば「倉廩(そうりん)実ちて則ち礼節を知り、衣食足りて則ち栄辱を
知る」(『管子』)との二千六百数十年からの問い掛けにも未だ、わたし
たちは、もやもやしてと答えられずにいるかのようだ。