【北朝鮮の台湾化】
田中宇の国際ニュース解説(2012.1.13)が配信されてきたが見出し「北朝鮮の中国属国
化で転換する東アジア安保」が引っかかり眼を通す。結論から言うと、親中派の田中宇ら
しい文脈でまとめられているが、中国の外交をみるとに参考になる国は、北朝鮮、ベトナ
ム、台湾(二つの中国を容認しない中国にすれば準属国、内政扱いとなる)、アフリカ諸
国となる。最後のアフリカはかって冷戦構造の中で第三世界論として軍事・経済・イデオ
ロギーの輸出相手国だった。いずれも覇権主義的な視点から格下扱いの国々で、駐在する
漢民族などの行動を観察すればどのような地政学的な位相にあるかわかるはずだ。
金正日が死んでも北朝鮮の権力中枢が不安定にならないのは、事前に予測されていた。
金正日は08年に心筋梗塞で倒れて以来、中国式の経済改革を進める責任者である張成
沢と金敬姫(金正日の妹)の夫婦を、後継者の金正恩の摂政役に就け、自分の死後の
北朝鮮の安定維持を画策した。金正日の死後、金正恩が最高指導者を世襲し、張成沢
と金敬姫が摂政役に就く新体制が、日本のマスコミでも繰り返し報じられている。金
正日が画策した安定維持策は、今のところ成功している。6カ国協議の再開が近いと
いう予測も、ここから出てくる。(金正日が3人の息子のうち、長男の正男でなく三
男の金正恩を後継者に選んだのは、権力を握った時に自分勝手にやりたがらず、摂政
役の意見を素直に聞きそうな性格だったからなのかもしれない)
張成沢と金敬姫は、北朝鮮を中国の指導に沿って、中国型の社会主義市場経済の体制
にしていくことを目標にしている。彼らを摂政役として金正恩の政権が続く限り、北
朝鮮は中国の傘下で動き続ける。中国は、北朝鮮が輸入するエネルギーの90%、食料
の45%を供給している。中国は、北朝鮮が対中貿易で未払いを増やしても、北の中枢
が中国式の経済政策を採っている限り、北との貿易を切らない。逆に、金正恩が張成
沢らを失脚させて中国の言うことを聞かなくなると、エネルギーや食料の輸出を静か
に止め、北を制裁するだろう。北朝鮮は、中国の属国になっている。
田中宇『北朝鮮の中国属国化で転換する東アジア安保』
台湾は今夜に総統選挙の結果がでるが、中国からの圧力に対し民進党の蔡英文が善戦するの
かがポイントとなる。また、ベトナムは南沙諸島沖の地下資源争奪戦との最中であり、冊封
遺制の払拭もあり、貿易相手国に限定した距離間は当面堅持するだろう。問題の北朝鮮なの
だが、朝鮮民族の誇りを堅持(チェチェ主体思想運動)するなら丁度、台湾とベトナムの中
間的な位相に立つがその努力がいかなるものか、それを担う人材がいるかとなると甚だ疑わ
しい。だとすれば田中宇の指摘を咀嚼すれば、<北朝鮮の台湾化>という地政学的位相は充分
にありえるし、韓国(米国)の同意が得られれば、<北朝鮮復興特区>として、早ければ2022
年までに再生北朝鮮の出現もありうるだろう。ところで、“法衣下の鎧”である中国の軍事
拡張覇権を田中宇は過小評価しているのか、意図的に隠しているのかわからぬが、資本、官
僚と同じく、軍事それ自体に「自己増殖」はあっても「自己解体」というDNAを持ってい
ないという観点からすれば、このメルマガに記された見識は浮薄だと思われる。
よろこびは汚辱のかたちで 悪寒をおぼえ吐きだす澱のように
【リーダ不在時代の政治状況】
こんな時代だからこそ、英明なリーダを求めているのかもしれないなぁと反省する。内閣改
造が実施されたけれど、多くの勤労国民はハラハラしてみているというか、誰がやっても失
敗するのではないかと半信半疑で見ている。調整主体型の党派(=民主党)ではこの切迫し
た状況を打破するのは難しい。少々荒削りでも臨機応変に断行できるリーダに期待するムー
ドはあるが、これとて半信半疑だ。いわんや、テレビに出てコメントする評論家や解説者の
見識はすべて「×」だといっても過言でない。こんなとき吉本隆明の詩を読み返し、己を内
省する。
どんな遠くの気配からも暁はやつてきた
まだ眼をさまさない人よりもはやく
孤独なあおじろい「未来」にあいさつする
約束ににた瞬間がある
希望はよれよれの雲 足げにされてはみだした綿のように
けれどわたしのメモワール わたしのたたかい
それは十年の歳月をたえてやつてきた
わたしの同志ににたわたしの憎悪をはげますように
こころが温もつたときたたかわねばならぬ
こころが冷えたとき遇いにゆかねばならぬ
十年の廃墟を搾つてたてられたビルディングの街をすてて
まだ戦禍と死者の匂いのただよう死の国のメトロポールヘ
暁ごとに雲母のようにひかる硝子戸を拭いている死の国の街ヘ
戦禍によってひき離され 戦禍によって死ななかったもののうち
わたしがきみたちに知らせる傷口がなにを意味するか
平和のしたでも血がながされ
死者はいまも声なき声をあげて消える
かってたれからも保護されずに生きてきたきみたちとわたしが
ちがった暁 ちがった空に 約束してはならぬ
吉本隆明『死の国の世代ヘ-闘争開始宣言-』
食品リサイクル法は、大量消費・大量廃棄型社会から循環型社会への転換が急がれる状況の
中で、食品廃棄物等の排出の抑制と資源としての有効利用を推進するために2000年に制定さ
れた。食品の製造、流通、消費、廃棄等の各段階で、食品廃棄物等に係わるものが一体とな
り、食品廃棄物等の発生抑制に優先的に取組み、食品循環資源の再生利用および熱回収、食
品廃棄物等の減量、循環型社会の構築をめざす。法律整備上農林省縦割りとなっており、推
進上の合理性に欠けるきらいがあるが(縦串として環境省に統括されるべきもの)、実効性
評価という点で具体的にどういうものが整備されているのだろうと疑問に思いネット検索し
てみた。
かつて、廃食油から石けんをつくる運動にかかわっていきた経緯からリサイクル運動のむず
かしさを体験している。石けんという生活用品もなくなることはなくても香料や添加物を加
えるてユーザニーズに答えていく必要を痛切に感じている。販路を確保しなければ、専従体
制の確立も難しい。勿論、公共組織の支援へのアプローチや国政レベルの法整備も必要だ。
例えば、農事組合法人(モクモクてづくりファーム)は農業共同組合法で規定され、組合員
は原則農民と定められているが、日本のような高度分業社会では、生業は農業であっても、
副業?の会社勤めの所得の方が格段に多かったり、週4日制などであったら、持っている資
格を生かしてガソリンスタンドで働いたりもする。生業は連休や祝祭日で行っているケース
も多々あるから妙な線引きは実態にそぐわないし変えるべきだ。事業評価の基準化は、絶対
前提(会計簿記に相当する環境簿記などというふうな)だと考える。そこに付加価値増産運
動を両輪に展開させるべきだと思う。思うが、これも社会実験的側面が強く、事業化は大変
難しいと考える。
後は、事業主体者の直感や感性をもとにした情熱に依拠するしかないのだろうと考える。こ
れについては別途考えてみることにする。