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極東極楽 ごくとうごくらく

豊饒なセカンドライフを求め大還暦までの旅日記

もうひとつの万能細胞作製手法

2014年01月31日 | 新弥生時代

 

 

●成熟に向かう新弥生時代(3)


【もうひとつの万能細胞作製手法】

もうひとつの万能細胞作製手法がこの日本で発明されたというニュースが届く。哺乳類
の発生過程は、着床直前の受精胚の中にある未分化な細胞は、体のすべての細胞に分化
する能力(多能性)をもっているが、生後の体の細胞(体細胞)は、細胞の個性付け(
分化)が既に運命づけられており、血液細胞は血液細胞、神経細胞は神経細胞などの一
定の細胞種類の枠を保ち、それを越えて変化することはない。いったん分化すると自分
の分化型以外の細胞を生み出すことはできず、分化状態の記憶を強く保持している。

 

今回、理研らの共同研究グループは、マウスのリンパ球などの体細胞を用いて、こうし
た体細胞の分化型を保持している制御メカニズムが、強い細胞ストレス下では解除され
ることを見いだし、この解除により、体細胞は「初期化」→多能性細胞に変化すること
を発見。この多能性細胞は胎盤組織に分化する能力をも有し、ごく初期の受精胚に見ら
れるような「全能性」に近い性質を持つ可能性を意味する。この初期化現象は、遺伝子
導入によるiPS細胞(人工多能性幹細胞)の樹立と異質もので、初期化現象を刺激惹起
性多能性獲得STAP)、初期化された細胞をSTAP細胞と名付けたSTAPの発見は、細胞の
分化状態の記憶の消去や自在な書き換えを可能にする新技術の開発につながる画期的な
手法で、今後、再生医学のみならず幅広い医学・生物学に貢献する細胞操作技術を生み
出すものと期待される。

 

 

成体に見られる体細胞は、特定の細胞種へ分化が進んだ細胞であり、その分化状態につ
いては固定されている。一方、初期胚に存在する内部細胞塊は未分化で、成体に存在す
る全ての細胞へ分化する能力(多能性)を有している。ES細胞、iPS細胞は多能性を持
つ幹細胞である。

 

今回の研究成果で、多様な幹細胞技術の開発に繋がることが期待され、単に遺伝子導入
なしに多能性幹細胞が作成できるだけでなく、刺激惹起性多能性獲得STAP)は全く新
しい原理に基づくものであり、iPS細胞の樹立とは違い、STAPによる初期化は非常に迅
速に起こり、また、iPS細胞では多能性細胞のコロニーの形成に2~33週間を要すが、
2日以内にOct4が発現し、3日目には複数の多能性マーカーが発現していることが確認
され、効率も非常に高く、生存細胞の3分の1~2分の1程度がSTAP細胞に変化する。

一方で、こうした効率の高さは、STAP細胞技術の一面にすぎず、STAPという新原理のさ
らなる解明を通して、これまでに存在しなかった画期的な細胞の操作技術の開発を目指
すが、「細胞の分化状態の記憶を自在に消去したり、書き換えたりする」ことを可能に
する次世代の細胞操作技術であり、再生医学以外にも老化やがん、免疫などの幅広い研
究に画期的な方法論を提供する(上図参照)。さらに、体細胞自身の持つ内在的な初期
化メカニズムの存在は、試験管内のみならず、生体内でも細胞の若返りや分化の初期化
などの転換ができる可能性をも示唆する。理研の研究グループでは、STAP細胞技術のヒ
ト細胞への適用を検討するとともに、STAPによる初期化メカニズムの原理解明を目指し
研究推進する。




【植物の抗環境ストレスへの新手法】

理研では、新万能細胞作製手法の発見だけでなく、植物の抗環境ストレスへの新手法を
発見したことを公表している。それによると、乾燥や高塩濃度などの環境ストレスは、
植物の成長や生産性に悪影響を及ぼすが、アブシジン酸やサイトカイニン、ストリゴラ
クトンSL)など、さまざまな植物ホルモンがストレス応答経路で協調して働く。
SLは
カロテノイド由来の化合物の1種で、発芽の促進、植物やカビの寄生の促進、腋芽(葉
の付け根にできる芽)の成長阻害による枝分かれの抑制に働く。モデル実験植物のシロ
イヌナズナとイネで、SLの合成酵素遺伝子とシグナル伝達遺伝子は同定するが、ストレ
ス応答におけるSLの機能は分かっていなかった



図2 低SL変異体と野生型にSLを与えた結果

A:環境ストレスにさらさずに土壌で育てた低SL変異体(上)と野生型(下)のシロイ
   ヌナズナ。
B:SLを与えた結果。Aの水遣りを止めて乾燥させると同時に、5μM のSL(右)あるい
  は水(左)を葉にスプレーする。その結果、低SL変異体、野生型ともに、SL処理し
   た 個体だけが生き延びる。
C:SLを与えた際の生存率。SLを与えなかった個体(水を与えただけの個体)に比べ、
  SLを与えた個体は高い生存率を示す。
 

共同研究グループは、シロイヌナズナのSLの合成を阻害した低SL変異体と、SLのシグナ
ル伝達を阻害したSLシグナル変異体を用いて、乾燥ストレスと塩ストレスの耐性テスト
を行う(下図参照)。その結果、低SL変異体とSLシグナル変異体は乾燥と塩ストレスに
感受性を示す(弱くなる)。これは、SL量の減少やSLシグナル伝達の阻害がストレス応
答に影響していることを示す。さらに、この低SL変異体のストレス耐性の低下は、SLを
与えることで元に戻る(上図参照)。また、野生型のシロイヌナズナにSLを与えるとス
トレス耐性が向上す(上図)。これらの結果は、SLが乾燥と塩のストレス耐性を増大さ
せる制御因子であることを裏づける



図1 低SL変異体とSLシグナル変異体の乾燥・塩ストレス処理

 

A:環境ストレスにさらさずに土壌で育てたシロイヌナズナ。左上は低SL変異体、左下
   はSLシグナル変異体、右は野生型。
B:乾燥耐性テストの結果。Aの水遣りを止めて乾燥させると、野生型は生き延びるが、
   両変異体のほとんどは枯死する。
C:塩耐性テストの結果。Aに塩水(200mM NaCl)を与えると、野生型は生き延びるが、
   両変異体のほとんどは枯死する。
D:乾燥・塩ストレス処理での生存率。野生型に比べ、両変異体は低い生存率を示す。

今回の成果は、環境ストレスに適応するため植物が複数のホルモン応答経路を協調して
発達させてきたことを示唆する。ホルモン間の相互作用がどこでどのように起きるかを
突き止めることは、学術的に価値がある。また応用研究の観点から、SL処理により植物
のストレス耐性を増強できることを示し、環境ストレスの対抗への新たな道を切り開く
ことに成功する。SLを利用したストレス耐性植物の開発には、SLの大規模な生産コスト
を抑える必要があり、今後、産業的視点での研究が鍵となる。遺伝子工学によるSL生合
成やSLシグナルの遺伝子操作は、乾燥や高塩濃度のストレス耐性作物開発に有望なアプ
ローチである。




●都知事選 ツイッターで原発問題が浮上

毎日新聞と立命館大(西田亮介准教授)は東京都知事選(2月9日投開票)でのネット
選挙の共同研究で、ツイッター(短文投稿サイト)利用者のツイート(つぶやき)を調
べた。政党や党首の支援を受ける主な4候補で、名前に関連づけてつぶやかれているテ
ーマを分析したところ、どの候補についても政策テーマでは「原発・エネルギー」が最も
多かったという。つまり、ネット上での都知事選をめぐる原発問題への関心の高さが浮
かび上がっているのではと報じている。


●農薬マラチオン混入事件が明らかにされつつある

私怨的食品テロの可能性があるマルハニチロホールディングスの子会社アクリフーズ群
馬工場の農薬マラチオン混入事件で、偽計業務妨害容疑で逮捕された契約社員阿部利樹
容疑者が群馬県警の調べに対し、関与を認めたことが29日分かった。また、阿部容疑者
は昨年10月3~7日にマラチオンを混入した疑いがもたれている。群馬県警は6袋の
製造日から、阿部容疑者が同年11月まで1カ月以上、混入を続けていた可能性がある
とみている。捜査関係者によると、阿部容疑者の勤務日が一致したのは、アクリ社の分
析で2~5600ppmのマラチオンが検出されたピザ、フライ計6袋が製造された同
年10月12日~同年11月5日の6日間。A(朝)~C(夜)と1~3の7パターン
の文字列を製造日に加えた商品番号で管理する2時間ごとの製造時間と従業員のシフト
表を対照した。

 
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