極東極楽 ごくとうごくらく

豊饒なセカンドライフを求め大還暦までの旅日記

最新アルツハイマー病事情

2014年01月23日 | 新弥生時代

 







         北を指す雲よ大熊に到りなば待つ人多し声こぼしゆけ

               
                            佐藤祐禎      


     
                       

 

 

【成熟に向かう新弥生時代(2)】

●セルロース系バイオエタノール生産と発酵細菌のメタボリックエンジニアリング

森林間伐材、建築廃材、稲藁・籾殻、古紙・廃紙などの未利用バイオマス資源、すなわち
セルロース系産業(一般)廃棄物の排出量は年間5千万トンにも達しているが、これらバ
イオマスのエネルギー源としての利用は、地球規模での二酸化炭素バランスを崩さないこ
とから「カーボンニュートラル」とされ、温室効果ガス削減に貢献するエネルギー資源と
し期待されている。このような事情の下、未利用のセルロース系やリグノセルロース系バ
イオマス資源からバイオ燃料としてエタノールを製造し、製造したバイオエタノールをガ
ソリン添加用含酸素化合物や化成品合成原料として、さらには地域の熱源および電力源と
して利用することが提案、研究されてきた。しかし、セルロース系やリグノセルロース系
バイオマス資源を直接分解・発酵してエタノールを生産する発酵菌は自然界に存在しない
そのため、代謝工学(メタボリック・エンジニアリング)技術と細胞表層提示技術を用い
てセルロースおよびヘミセルロースの酸処理糖化液に混在するセルロース部分分解物(セ
ロオリゴ糖)、キシロース、マンノースを同時にエタノールに発酵転換できる発酵菌を創
製するとともに、育種発酵菌を触媒素子とした連続発酵装置を組み込んだ革新的な省エネ
ルギー型高効率転換プロセスの構築が期待されていた。

出典:セルロース系バイオエタノール生産のための発酵細菌のメタボリックエンジニアリ
ング、Metabolic engineering of ethanologenic bacteria for cellulosic bioethanol
production、2014年 vol.72 NO.1/キーワード:セルロース系バイオエタノール、SSCF(
Simultaneous Saccharification and Co-Fermentation、代謝工学、Zymomonas mobilis、
Zymobacter palmae

特開2010-158170
図1 染色体DNAへのmanA組み込み手順


そこで、鳥取大学の簗瀬英司教授らのグループは、先に、ペントースを資化することがで
きないザイモバクター(Zymobactor)属の微生物に、キシロースイソメラーゼ、キシルロ
キナーゼ、トランスアルドラーゼおよびトランスケトラーゼから選ばれる少なくとも1種
の酵素をコードする外来遺伝子を導入することにより、ペントースからエタノールを生産
できる形質転換微生物の創製に成功ししている。また、マンノースを含有する原料からの
エタノールの効率的な生産のために、ホスホマンノースイソメラーゼをコードする外来遺
伝子をザイモモナス(Zymomonas)属細菌の染色体に組み込み、安定したマンノース発酵
性を付与した組換え微生物の創製にも成功している。この発明は、草本系はもとより、特
に木質系のセルロース系、リグノセルロース系バイオマス資源からの糖化液中に存在する
セロオリゴ糖、キシロース、マンノースを同時にエタノールに発酵転換してエタノールを
生産できるグルコース・マンノース・キシロース並行発酵性菌を創製し、食糧や飼料と競
合しない木材を原料とした実用に適したバイオエタノールの革新的な省エネルギー型高効
率転換プロセスを開発した。

 

ところで、ザイモモナス属の細菌は、テキーラの醸造菌として知られており、伝統的な醸
造用酵母と比較してエタノール発酵速度と生産性が3倍~5倍も優れており、単位菌体当
たりのエタノール生産性も酵母に比べて優れている。しかしながら、ザイモモナス属の細
菌は、セルロース系やリグノセルロース系バイオマス資源の糖化液中に存在するマルトー
スやキシロースをエタノールに発酵することはできないが、
ザイモモナス属の優れたエタ
ノール生産性に着目し、グルコース・マンノース・キシロース並行発酵性菌を創製するこ
とでそれを可能とする。つまり、ザイモモナス属の細菌は、テキーラの醸造菌として知ら
れ、伝統的な醸造用酵母と比較してエタノール発酵速度と生産性が3倍~5倍も優れ、単
位菌体当たりのエタノール生産性も酵母に比べて優れているが、ザイモモナス属の細菌は
セルロース系やリグノセルロース系バイオマス資源の糖化液中に存在するマルトースやキ
シロースをエタノールに発酵することはできない。

1)エシェリヒア・コリ(Escherichia coli)由来のホスホマンノースイソメラーゼをコ
 ードする遺伝子を相同組換え法によるダブルクロスオーバーによって染色体上のレバン
 スクラーゼ遺伝子内に組み込み、かつ、エシェリヒア・コリ由来のキシロースイソメラ
 ーゼ、キシルロキナーゼ、トランスアルドラーゼおよびトランスケトラーゼをコードす
 る遺伝子を含有するDNA断片をベクターに結合させてなる組換えDNAを導入したザ
 イモモナス・モビリス(Zymomonas mobilis)であるグルコース・マンノース・キシロー
 ス並行発酵性菌、

2)レバンスクラーゼ高産生株を宿主株とする上記、1)記載の発酵性菌、
3)宿主株がザイモモナス・モビリス ZMcs(FERM P-21341)である上記、2)
 記載の発酵性菌、

4)ザイモモナス・モビリス ZM mx42(FERM P-21342)である上記、3)記載
 の発酵性菌、

5)セルロース系および/またはリグノセルロース系バイオマス資源の糖化液を、固定化
 担体に固定化した請求項1記載のグルコース・マンノース・キシロース並行発酵性菌と
 接触させて発酵させ、得られる発酵液からエタノールを回収することを特徴とするエタ
 ノールの製造方法、

6)発酵性菌が、ザイモモナス・モビリス ZM mx42(FERM P-21342)である
 上記、5)記載のエタノールの製造方法、

7)バイオマス資源が木質系バイオマス資源である上記(5)記載のエタノールの製造方
 法、

8)固定化した発酵性菌を充填したリアクターに、糖化液を連続的に導入して発酵性菌と
 接触させ、発酵液を連続的に収集し、エタノールを回収する上記、5)記載のエタノー
 ルの製造方法等で実現することを特徴とする。

 

過去20年の間で、バイオエタノール製造プロセスは SHF (Separated Hydrolysis and
Femlentation)からSSF(Simulaneous Saccharification and Femlentation)、そして、
SSCF 
へと改良されきた。これらのプロセス改良はセルロース系バイオエタノール価格を
穀物由来エタノール価格に近づけている。ブラジルのサトウキビからのバイオエタノール
価格は 0.23~0.29 $/L.、EUの砂糖大根と米国のトウモロコシからのバイオエタノール価
格は、0.29 $/Lと0.53 $/Lと報告されている。これら第1世代バイオエタノール価格に比
較して、
2011年に発表された NREL報告書では、コーンストーバを原料としたエタノール
販売価格(MESP)を 0.57 $/Lと設定。今後のセルロース系エタノール製造価格の基準に
なると
されている。このエタノール価格を達成するためには、さらなる発酵菌の強靱(
Robust)化とともに、バイオマス前処理物の酵素糖化に使用するセルラーゼ酵素カクテル
の高活性化と低コスト製追加重要な鍵と考えているという。


出典:セルロース系バイオエタノール生産のための発酵細菌のメタボリックエンジニアリ
   ング、バイオサイエンスとインダストリー 2014年 VOL.72 NO.1(Metabolic engin-
     eering of ethanologenic bacteria for cel lulosic bioethanol production)

鍵語:セルロース系バイオエタノール、SSCF(Simultaneous Saccharification and Co-
   Fermentation、代謝工学、Zymomonas mobilis、Zymobacter palmae


 

● 一滴の血でアルツハイマー病の診断

国立長寿医療研究センター認知症先進医療開発センターと豊橋技術科学大学らの研究グル
ープは、独自の半導体イメージセンサを用いて血液や尿に含まれる成分を簡単・迅速に検
査する技術を確立。
マイクロビーズと豊橋技術科学大学が開発した微小な電位の変化を検
出できる半導体イメージセンサを組み合わせて、抗原抗体反応により検査を行うす。マー
カーが特定できている病気について、1滴の血液や尿で簡単・迅速に検査が可能となる。
この技術の具体例として、アルツハイマー病の原因物質とされるアミロイドβペプチドの
高感度検出に成功したと公表した。

 

近年、アルツハイマー病の発症メカニズムの全容が明らかにされつつあり、例えば、発症
初期の20年前にはその原因となるアミロイドβの蓄積が始まり、細胞から排出されて凝
集したアミロイドβは不溶性のため脳内に蓄積し、アルツハイマー病に特徴的なアミロイ
ド斑を形成。通常、細胞内に作られた異常、あるいは過剰なアミロイドβは、「自食」に
より分解、リサイクルされ、これにより生体の恒常性が維持されているが、自食機能の欠
失はアミロイド斑の蓄積阻害、神経細胞死、記憶障害を誘起→分解されず細胞内に残った
アミロ
イドβは強力な毒性を持つことや、アミロイドβを破壊する投薬や記憶機能・空間
学習能力に関わる海馬体萎縮予防法などの研究開発が進んできている。

 
さて、今回の発明は、糖、または、糖由来する糖残基を含むアミロイドβ結合性材料で、
この糖または糖残基は、アミロイドβの13番目のアミノ酸残基であるヒスチジン残基(
His13)または14番目のアミノ酸残基のヒスチジン残基(His14)と特異的に
結合する特徴を有すアミロイドβ結合性材料であり、また、
糖のヒドロキシ基のうち、少
なくとも1つがヒドロキシ基より強い酸性を示す官能基で置換される官能基が、
スルホ基、
スルホ基の塩、または、カルボキシル基で、六員環構造を有し、
記糖残基は、水素結合ま
たは静電的相互作用によってHis13またはHis14の側鎖に結合する
ミロイドβ結
合性材料は、センサ素子に固定化するためのリンカー部を有することを特徴とし、
金属か
らなる空隙配置構造体を備えるセンサ素子(空隙配置構造体)の表面に、このアミロイド
β結合性材料が固定化される特性を有す。





 

※ How can an almost invisible windmill charge your cell phone ?


自治会の役員引継ぎ会での話。太陽光発電モジュールが、この間の四日市の事故なども
り出荷待ち状態が3月まで続くと関連企業に働く出席者がそう話す。その彼に、設置
後に性能低下はないのかと、2011・03・11以前に、太陽光発電施工事業を持ちかけ、断ら
れた出席者の質問に、それは心配ないと答えていた。しばらくその話の輪に割り込み耳
を傾けていた。それにしても随分、様変わりしたねぇ~。電力の完全自由化も近づいて
いる。ここで打ち込んでいる“新弥生時代”も、"ポスト・メガソーラー時代"も、結局
は、知らず知らずにバイアスをかけ、あるいはタブーや思考停止に陥っているのだと再
自省することになった。それはさて置き、巻頭の「北を指す雲よ大熊に到りなば待つ人
多し声こぼしゆけ」の作者は、2013年3月12日、避難先のいわき市の病院で亡くなられ
たという。

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする