A Challenge To Fate

私の好きな一風変わった音楽を中心に徒然に綴ったページです。地下文化好きな方は見てやって下さいm(_ _)m  

不失者@心斎橋クラブクアトロ 2011.1.14 (fri)

2011年01月16日 02時18分53秒 | 灰野敬二さんのこと
まさかの不失者=灰野敬二vo.g/工藤冬里b/高橋幾郎dsの再演。大阪だけどこれは観るしかない、とライヴ友達のfykさんの運転する車で行くことにした。

fykさんの友人でアングラ音楽行脚で滞日中のカナダ人Clinton氏も加わり、13日深夜に東京を出発。Clinton氏は6週間の日本滞在で18本のライヴを観ると言う。何とも羨ましい旅だ。
14日7:30大阪着。Clinton氏をホテルへ送り、私たちは車で仮眠。12:30に起きてさっそくレコード屋巡り。○か×、Time Bomb、Hanky Punkyなどアメリカ村周辺の店でレコ漁り。どの店もCDよりもアナログのレア盤が多いが値段的には東京と余り変わらない。特に収穫もなく時間つぶしに終始した。

開場時間が迫り、心斎橋パルコの8Fのクラブクアトロへ。新生不失者の2009年の東京公演は新宿JAMだったから、キャパは2倍の会場だ。観客にはLSD Marchの道下氏、テニスコーツの植野氏の姿も。客層は比較的若めで女性客も3割くらい。私はいつものように最前列の灰野さんの真ん前で観たのだが、開演直前に後ろを見るとそこそこお客さんが入っていていい雰囲気だ。ヴァイオリンの悲しげなメロディーのBGMとお香の煙。最近では灰野さんのバースデイ・ライヴと年末のオールナイトでしか味わえない演出だ。これから始まる灰野マジック・ワールドを期待させる。

珍しくほぼ定刻にステージに登場。というのもこの会場は23:00までに機材を撤収しなければならないので開演が押すと演奏時間が短くなってしまうのだ。左から工藤さん、幾郎さん、灰野さんの並び。ステージが広いのでどんなに暴れても大丈夫だ。灰野さんのギターのつま弾きからライヴがスタート。幾郎さんの独特な間のあるドラムと跳ねるような工藤さんのベースが重なる。実際に工藤さんは飛び跳ねながら演奏していた。爆発しそうなエネルギーを内包しつつそれを押さえ込んだ禁欲的な演奏である。舌が痺れるような張りつめた緊張感。灰野さんは歌詞の束をめくりながら情念のヴォーカルを聴かせ、その合間にシャープな音色のギターを織り込む。3人の創り出す宇宙にひとり投げ込まれたような浮遊感と冷ややかな感触。10分前後の曲を10曲余り。昔からのレパートリー「おまえ」も演奏してくれて感激。曲と曲の間に灰野さんが歌詞を示しながらふたりに指示を出す場面も。不失者ではドラムとベースはいわゆる"リズムセクション"ではない。それぞれが灰野さんと対等な関係で独自のタイム感を持った個性ある"楽器"なのだ。相当綿密なリハーサルを経てきたに違いない。日本一冷徹なロック・トライアングルであろう。
2時間半一瞬も気を抜けない演奏を目の当たりにした。滅多に灰野さんの演奏に接することのない大阪の観客は拍手も忘れて呆然としている。最後の曲が終わると、灰野さんが「ありがとう。感謝します」とMC。会場の都合でアンコールはなし。

楽屋へ行くと灰野さんが上機嫌で「裏切らなかっただろう?」とひとこと。ビデオ・カメラが数台撮影をしていたのでライヴDVDをリリースするのかと尋ねたら、灰野さんの記録映像を制作しているのだと言う。それは楽しみ。灰野さんは翌日東京へ帰るが、幾郎さんと工藤さんはそのままベアーズに出演、大阪でもう少し稼いで行くとのこと。灰野さんは「ライヴに乱入しようか」と冗談を飛ばすほど機嫌が良かった。この日の演奏に相当満足したに違いない。それ故の「感謝します」というMCだったのだ。

運転したfykさんは殆ど二日連続徹夜で相当疲れただろうが、はるばる大阪まで行った甲斐のある素晴らしいライヴだった。2011年のベスト・ライヴは決まりかな!?

大阪で
体験したよ
凄いもの

動画では照明の関係か、なぜか灰野さんの服が黄色く映っていますが、本当は勿論黒なのでご了承下さい。

コメント (6)
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