A Challenge To Fate

私の好きな一風変わった音楽を中心に徒然に綴ったページです。地下文化好きな方は見てやって下さいm(_ _)m  

深遠なるチェンバー・ジャズ~山下洋輔「ディライトフル・コントラスト」

2011年02月24日 00時49分39秒 | 素晴らしき変態音楽
1988年にセシル・マクビー(b)、フェローン・アクラフ(ds)と結成して以来、一度もメンバー交代することなく、日本国内はもちろん世界各地で意欲的に演奏活動を続けてきた山下洋輔ニューヨーク・トリオの「トリプル・キャッツ」以来3年ぶりのニュー・アルバム。今回は金子飛鳥率いるストリング・カルテットとの共演作。

2月26日に69歳の誕生日を迎える洋輔さんだが、富樫雅彦、高柳昌行、佐藤允彦、吉沢元治等と共に1960年代に日本のフリージャズの第一世代として活動を開始して以来、精力的な海外ツアー、筒井康隆、唐十郎、タモリなどの多彩な人脈、そして玄人はだしの文筆活動で、"フリージャズ"のアンダーグラウンドなイメージを払拭してきた功績は大きい。1980年代以降のポスト・フリージャズ時代に入ってからはフリージャズに拘らずスタンダードや童謡、クラシックなど幅広い音楽性を消化した独自の活動を続けており、性格も音楽もかなり丸くなったとはいえ、目を離せない存在だ。

スイング・ジャーナル誌の休刊をはじめ、ジャズをめぐる状況は決してよくないが、洋輔さんや坂田明さん、豊住芳三郎さんなどベテランの活躍には若いミュージシャンや音楽ファンが鼓舞されるものがある。

実際この新作では、25歳の女性ピアニスト/作曲家/編曲家、挾間美帆嬢との共作を4曲収録し、若い才能を取り入れることで自らの音楽を新鮮に生まれ変わらせている。"ウィズ・ストリングス"的リラクゼーションを追求したムーディーな曲もあるが、1曲目の「チェイス」からピアノ・トリオとストリングスが火花を散らすスリリングな緊張感のある作品になっている。悪魔的な旋律を奏でるストリングスは、まるでユニヴェル・ゼロやアール・ゾイのような暗黒チェンバー・ロックを想わせ、レコメン系ロック・ファンにもアピールするに違いない。
緊張と弛緩、動と静、天国と地獄、そういったサウンドの対比が素晴らしく、タイトル通り「Delightful Contrast=心地よい対照」を描いた傑作である。10月から始まる飛鳥ストリングスとのツアーは見逃せない。
Jam Rice HP

洋輔さん
69(ロック)歳を迎えて
熱く燃ゆ

ジャズの深淵はまだまだ探求され尽くされてはいない。

これは珍しい! キヨシローとの共演。2001年放映。二人とも若い。



コメント (3)
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