「Songs In The Mirror」というイベント。青木智幸(UP-TIGHT)、坪内和夫(シベールの日曜日)、寺島暁子(あみのめ)、seven(SEVEN Z, Los doroncos)という通好みの面子が揃った好企画。 イベント・タイトル通りそれぞれが「歌」を大切にした演奏を聴かせた。ペンギンハウスはいつもより若い女性のお客さんが目立つ。一体誰目当てなんだろう。
最初が浜松のUP-TIGHTの青木智幸氏。深いリバーブをかけたアコギ一本の弾き語り。空間を黒く染めていくような味わい深いヴォーカルが印象的。ヴェルヴェット・アンダーグラウンドのカヴァーも1曲、ダークなアシッド・フォークを聴かせた。青木氏の作るメロディは精神の奥まで染み込むようなヴァイブレーションを放っている。ダークだけど眩いサイケデリックな感触が心地よい。
2番目はシベールの日曜日の坪内和夫氏。バンドは全員メンバー・チェンジをしたらしい。この日はB,Dsとのトリオだったが覚醒的なギター・プレイとヴォーカルが光る素晴らしい演奏。トリオの持ち曲が3曲だけなので後半2曲はエレキの弾き語り。シベールのCDで聴かれる、ライヴに比べ穏やかでフォーキーなサウンドで夢幻の世界を聴かせてくれた。このメンバーが新しいシベールなのか尋ねたら「どうなんだろうね~」とはぐらかされた。この後も8/30新宿紅布、9/8新宿Motion、9/15高円寺Showboatとこの新メンバーでのライヴが続く。特にShowboatは元HIGHRISEの成田宗弘氏率いるヘヴィー・サイケ・バンド、Green Flamesとの共演だからお薦めだ。
3番手は紅一点、元Doodles、現あみのめの寺島暁子嬢のエレキ・ギター弾き語り。儚げな歌声と幻想的なメロディーが夢見心地にさせてくれる。工藤礼子さん以来受け継がれる独特の浮遊感を持った女性アシッド・フォークである。
トリはSEVEN Z、los doroncosのギタリストseven氏。長年アンダーグラウンド・シーンで活動するベテランだ。ソロで数曲披露した後呼び込んだのがDs氏とGの三浦真樹氏。いわずと知れた元不失者、静香の伝説のギタリストである。生で観るのは初めてなので興奮した。モザイクのように絡み合う2本のギターがとても幻惑的。ジェファーソン・エアプレインの「トゥデイ」やジャズ・スタンダード「マイ・ファニー・ヴァレンタイン」を含む演奏はこの日最もサイケデリックだった。
鏡の中の歌、それは左右が逆転した異世界の歌なのである。
言葉には
魂宿ると
人は言い
あまりの気持ちよさに普段なら一杯で止めるお酒をおかわりしてしまった。