ドクターズ・オブ・マッドネスの3枚のLPを入手し、解説書によりバイオもある程度理解した筆者が次に興味を持ったのは、ドクターズのメンバーそれぞれのバンド外活動だった。だが、21世紀以降にパンクの先駆者として評価されはじめたドクターズは、当時は知る人ぞ知るB級バンド的扱い。メンバー個々の活動を報じる記事やニュースがあるわけない。だから行き当たりばったりの出会いを求めるしかなかった。「バック・フロム・ザ・デッド」を共作したジ・アドヴァーツのTVスミスのバンド、エクスプローラーズのアルバムでベースの(コリン・)ストーナーの名前を発見した。そしてヴォーカルのキッド・ストレンジのソロ・アルバムを見つけることになる。
●リチャード・ストレンジ『リチャード・ストレンジのライヴで立身』
Richard Strange – The Live Rise Of Richard Strange (PVC Records – PVC 7917 / 1980)
(1984.11.30/¥1000/お茶の水Second Hands)
それにしてもサングラスにハットのスカした男がドクターズのキッド・ストレンジであることをどうやって知ったのだろうか。同じ頃ニューロマンティック系でスティーヴ・ストレンジという妖艶な化粧のシンガーがいて紛らわしかったが、キッドとは別人だと知っていた。ストレンジ姓が他にも居るとは思えないので、リチャード=キッドと思い込んだのか、もしくは雑誌か何かで知ったのか、今となっては分からない。また、バックトラックを録音したテープレコーダーを携えてニューヨークに乗り込みソロ・ライヴを敢行したミュージシャンのことを渋谷陽一か誰かのラジオ番組で聴いた覚えがあるのだが、リチャード・ストレンジだったかどうか思い出せない。そんなわけで筆者にとっては妙なデジャヴ感を伴うアルバムなのである。
肝心なサウンドについては、昔聴いた時はドクターズの緩急に富んだ曲調とはだいぶ印象の違う"普通の"ポップソングに聴こえてしまい、かなり落胆したのは事実。プログレやパンクの先進的なアーティストが、80年代に入ったとたん保守化してエレポップ系の無個性な音楽に堕落してしまうことが多かったので「キッド・ストレンジよ、お前もか!」と裏切られた気分がした。しかし今聴き直すと、生のバンドでヴァイオリンが入ればもろドクターズになる曲が殆どだし、独特のワーキングクラス訛のヴォーカルは、陰花植物の妖しい香りが濃厚。"ロック歌手リチャード・ストレンジが大統領になる"という誇大妄想全開のコンセプトは、パラノイアロックの系譜を引き継いでいる。1曲目のイントロにクルト・ワイルの「三文役者」とワーグナーの「トリスタンとイゾルデ」が流れるのは、後に俳優になるストレンジの役者魂の目覚めであろう。レナード・コーエン、トム・ウェイツ、ルイス・フューレー、ニック・ケイヴなどデカダンス香るシンガーの仲間入りするトルヴァドール(吟遊詩人)の記念アルバム。
Richard Strange - I Won't Run Away
VIDEO
●リチャード・ストレンジ『リチャード・ストレンジの驚異の出世』
Richard Strange – The Phenomenal Rise Of Richard Strange (Virgin – V2203 / 1981)
(1986.11.10/¥450/渋谷Scond Hands)
ライヴ録音の1stソロは正直言ってダイナミズムに欠け、生バンドじゃなくテープのカラオケ歌唱は一抹の空しさが漂ってきた。この2ndソロ作のジャケットのジゴロぶりが板についたポートレートは、コストダウンのためA/B面でポジ/ネガ使い回し。ジャケのチープさで損をしているが、スタジオ録音の本作の方が、真のリチャード・ストレンジ像をヴィヴィッドに伝える作品だと言うことはご明察の通り。哀愁のあるフォークギターが導く立身出世譚は、一見誰でも考えつくようで居て、誰も実現できないこんがらがった青春群像を歌にする、その覚悟は聴き手自身に心臓の鼓動を意識させる。罪は罪と認める勇気、それが無いとこの世界に生きて行くのは難しい。
Richard Strange - The Phenomenal Rise of Richard Strange
VIDEO
ドクターズ
初日は今夜で
明後日渋谷Last Waltz
【ドクターズ・オブ・マッドネス来日公演いよいよ今夜スタート】
“ゴッドファーザー オブ パンク” from London!!
Doctors of Madness Japan Tour 2016
日程
9/3(土)新代田FEVER (イベント出演)
9/5(月)渋谷ラストワルツ
9/7(水)京都西院ウーララ
9/8(木)京都西院ウーララ
9/11(日)新宿JAM
チケット予約、お問い合わせ
sisterpaul@jcom.home.ne.jp
https://www.facebook.com/sisterpaul
https://twitter.com/MACKii1234
★9/3(土) 新代田FEVER "ROCK市ROCK座"
フリマ15:00~、ライブ16:00~
前売り3,000円 当日3,300円
※イベント出演。プロモーションでショートライブを行います。
★9/5(月) 渋谷ラストワルツ
18:30オープン/19:00スタート
前売り¥3500/当日¥3800 (+1drink)
*チケットご予約の方全員に缶バッジプレゼント
<共演>
Cuddly ToyZ
キンキーサロン
DJ: Tsuneglam Sam & Keiji Ronson
★9/7(水) 京都西院ウーララ
18:15オープン/18:45スタート
前売り¥3500/当日¥3800 (+1drink)
*チケットご予約の方全員に缶バッジプレゼント
<共演>
カチコチ虫
HONEY MAKER
リキッドスクリーン
DJ: マーチン(夜想)
★9/8(木) 京都西院ウーララ
18:30オープン/19:00スタート
前売り¥3500/当日¥3800 (+1drink)
*チケットご予約の方全員に缶バッジプレゼント
<共演>
Hamah Moh
Baby Dolls
DJ: メリケン
★9/11(日) 新宿JAM
18:00オープン/18:30スタート
前売り¥3500/当日¥3800 (+1drink)
*チケットご予約の方全員に缶バッジプレゼント
<共演>
Flashlights
Anisakis
BabyBlue
DJ