ネクロ魔 「暗黒1日店長計画」
第二夜「スナック 白夜」
自由が丘 コラソンBAR ルチャリブレ
暗黒系アイドルユニット・ネクロ魔ことNECRONOMIDOLのメンバーが日替わりでバーの店長を務めるネ申企画。ノンスモーク/ノンアルコールの筆者としては常に割り勘負けする定めではあるが、推しメンにお酌してもらえる機会を逃しては魔ヲタの男が廃ると参戦。限定15名という枠は、2000年代初頭に灰野敬二や工藤冬里や大友良英ら地下音楽家が出演した新宿ゴールデン街の「裏窓十人劇場」を思わせるが、狭いカウンターに頭を垂れてひたすら音楽に集中したあの頃と打って変わって、萌える心を包み隠さず開示して、目と耳と口で美少女の微笑の微妙な美味をマッタリと味わえる一期一会のトキメキ空間であった。
「ネクロ魔白塗り」でググると当ブログ記事がトップに出てくる瑳里ちゃんが店長を務める「スナック白夜」は、【同じ空間にいる人が全員白塗り】という彼女の夢を叶える為に参加者全員白塗りが義務。至近距離で瑳里ちゃん自ら化粧を施してくれる歓びは、目を瞑ることにより自虐の快感にすり替わり、完成した自分の白塗り姿をスマホに映して悦に入るナルシストの集いは、白夜の筈がいつしか倒錯のワルプルギスの夜へと変幻した。その刹那に筆者の頭に浮かんだのは30余年前に噂を耳にした『時の葬列』という異端の宴であった。
【白塗りの一夜のBGM】
瑳里ちゃんが影響を受けた白塗りはおそらくヴィジュアル系バンドやアングラ劇団だと思われる。しかし年齢が倍以上の筆者にとっては白塗り=異端のロック/パンクというイメージが強い。そこでオレが白塗りの夜のDJやるならこれだよな、という珠玉のアルバムを選んでみた。若き白塗リストの皆様に、ぜひ参考にしていただきたい。
●ボブ・ディラン『激しい雨』
1975年秋から始まった“ローリング・サンダー・レビュー”ツアーの模様を収録した1976年発表のライヴ・アルバム。白塗りのディラン、予定調和一切なしのライヴの緊張感、興奮、高揚感、すべてが詰まったロック史上最高峰のライヴ盤のひとつ。
白塗りのロックと言えば筆者の世代にとってはKISSが代表格だが、仮面ライダーショーの怪人のようなガジェット感は日常の中で印象が失われていった。むしろ旅芸人のジプシー風のディランの白塗りに非日常の浪漫を感じて憧れていた。
Bob Dylan - One More Cup Of Coffee (Live 1975 )
●ルー・リード『トランスフォーマー』
ルー・リードが1972年に発表したソロ・セカンド・アルバム。ヴェルヴェット・アンダーグラウンドを脱退した彼が、デヴィッド・ボウイとミック・ロンソンの協力を得て制作。グラム・ロックの最重要作として、また彼の名を世に知らしめた代表作としても評価が高い名盤。
ルー・リードを知ったのはパンクの頃かその前か、記憶が定かではないが、ヴェルヴェット・アンダーグラウンドのバナナを初めて聴いた時は、可愛いポップソングの裏に流れる醒めた視線に汚れた心を射抜かれそうで顔を覆いたくなった。白塗りすれば正体がバレなくて済む。
Lou Reed - Walk on the wild side ( Original Footage 1973 Audio Remasterd High Quality )
●遠藤ミチロウ THE END『0(ゼロ)』
遠藤ミチロウが最後のバンドとして結成した“THE END” 。最初に向かった先は“0”、そこにはドアーズの音楽があった。ミチロウの音楽的原体験の一つでもあるドアーズの楽曲を、手練れのメンバーとともにこの二十一世紀に蘇らせることを試みた、初音源となるミニ・アルバム。自身の終着点を見据えながらもアグレッシブに原点回帰 してみせたミチロウが提示するのは、かつて通過したフォーク、パンク、ニューウェーブ、それら全てを内包した、現代のサイケデリック・ ミュージック。2015年作品。
白塗りロックはパンク/ニューウェイヴの時代に成熟したと言っていい。豚の頭を客席に投げ入れてスキャンダラスな話題を振りまいたTHE STALIN時代から、白塗りは遠藤ミチロウのトレードマークに。ディラン的なナチュラル白塗りがパンクを主張する。
ミュージシャン遠藤ミチロウに密着!映画『お母さん、いい加減あなたの顔は忘れてしまいました』予告編
●オートモッド『セレモニー』
「TOKYO DARK CASTLE」のオーガナイザーであるGENET(ジュネ)が1980年に結成し、フロントマンとして活動を続けるバンド。80年代当時盛り上がりを見せていた、日本のポジティブパンク・シーンを牽引する形で1985年にメジャー・デビュー。AUTO-MODの解散を最終目的とした13回限定のシリーズ・ギグ「時の葬列」を主催し、1985年11月3日に後楽園ホールにて「時の葬列・終末の予感<最終夜>」を行い解散。
『徳の葬列』の首謀者であるジュネは、ヴィジュアル系/ゴス系の元祖と呼んで間違いない。初めて観たのは1979年6月23日吉祥寺マイナーでのMARIA023の多分デビューライヴ。そのときジュネが白塗りだったかどうか覚えていないが、対バンで出たSYZEやミラーズに比べ、とてもロンドンっぽいキッチュさを感じた。
AUTO-MOD - 世紀末キャバレー live clip
●ザ・ウィラード『グッド・イヴニング・ワンダフル・フィエンド』
本作はキャプテン・レコードの第1弾として85年にリリースされ、2万枚という当時としては驚異的なセールスを記録。インディーズ音楽の可能性を一気に押し広げ、シーンを活性化させた日本ロック史におけるエポック・メイキングな重要作。ポップな疾走感をたたえたハードパンク・サウンド、独自の美意識に貫かれた世界感は今もなお、追随を許さない孤高のウィラード・ワールド。ジャンルを越えて影響を受けたバンド・キッズは計り知れない。
ラフィン・ノーズ、有頂天と並ぶ80年代インディーズ御三家のザ・ウィラード。格好付けた海賊白塗りメイクが鼻について聴かず嫌いをしていたが、ラフィンとの対バンライヴをどこかの大学の学園祭で観て、完成度の高い演奏に驚いた覚えがある。現在の評価が他の2者に比べ低いのは、セックス・ピストルズとクラッシュに対するザ・ダムドの評価の低さに似ている。ザ・ダムドが映画『地獄に堕ちた野郎ども』で再評価される今、ウィラードの名誉回復を期待したい。
The Willard - Stinky Vice/Outlaw
●山下洋輔トリオ,ジェラルド大下,大駱駝艦『嵐』
ジャズと舞踏の競演! ヨーロッパ進出直前の、麿赤児率いる大駱駝艦公演に、(鯨の鳴き声との共演で名を馳せた)パーカッショニスト、ジェラルド大下を加えたカルテット(山下洋輔/坂田明/小山彰太)で挑んだライブ録音を80分に編集したアルバム。サン・ラ&ヒズ・アーケストラに通じる大スペクタル一大絵巻的傑作。足音、うめき声、唸り、などが、A・アイラー「ゴースト」のカバーまで含む演奏の音と同じ比重で記録され、70年代の熱い息吹を感じることが出来る高テンション作品。
山下洋輔トリオのデビューLP『DANCING古事記』は69年に学生運動のバリケード内でのゲリラ演奏を収録した問題作だったが、アングラ度ではこの2LPがサバを抜く。現物を手に入れるまで、この白塗りがジェラルド大下だと思い込んでいた。暗黒舞踏家および白猫座の参考書的一枚。
バリケードの中のジャズ 山下洋輔トリオ
ネクロ魔は
世界を救う
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⇒暗黒系アイドルNECRONOMIDOL 新メンバーオーディション〜日本のアンダーグラウンドから世界を狙う野望を持っている方