A Challenge To Fate

私の好きな一風変わった音楽を中心に徒然に綴ったページです。地下文化好きな方は見てやって下さいm(_ _)m  

ミシェル・カミロ × 上原ひろみ/ケニー・バロン・トリオ/fox capture plan@東京国際フォーラムHALL A 2016.9.4 (sun)

2016年09月06日 07時56分11秒 | こんな音楽も聴くんです


15th TOKYO JAZZ FESTIVAL

JAZZ IS HERE
Sep. 4 (Sun) Evening Open 16:30 / Start 17:30

ジャズの伝統と歴史を受け継ぐ、次世代のアーティストたちが集合!新感覚ジャズロックのfox capture plan、大御所ケニー・バロンはNYの歌姫グレッチェン・パーラトをゲストに、そして今年の最終ステージにはミシェル・カミロと上原ひろみが登場。

東京JAZZは2002年の第1回に観に行った。東京スタジアム(現・味の素スタジアム)で開催され、屋根の無いアリーナ席に灼熱の太陽が照りつけ、値段の高い特別シートの客が全員日陰に避難していた。フューチャージャズのニルス・ペッター・モルヴェルやクラブ系のU.F.O.や小林径が出演したことと、ウィエン・ショーターがコルトレーンに捧げるスピリチュアルな演奏をしたのを覚えている。それ以降は上原ひろみが出る時だけ単発で行く程度。ICPオーケストラが出た2014年は画期的だったが行きそびれた。同じ時期にJazz Artせんがわが開催され、そちらを優先することも多い。今年も当初は行くつもりは無かったが、上原ひろみがミシェル・カミロとデュオをすると知って行く気になった。

●fox capture plan


岸本亮(p)、カワイヒデヒロ(b)、井上司(ds)
偉大なるミュージシャンたちが築いてきたジャズの歴史と伝統。その精神は今、しっかりここにあって、受け継がれている。 ジャズをルーツに自分たち世代の音楽をつむぎ続ける、現代版ジャズロックをコンセプトにすえた音楽界注目No.1のグループ。
ジャズピアノトリオの編成を軸にポストロック、ドラムンベース、ダブステップ等の要素を取り込んだ音楽世界は今までにない感覚!


タワーレコードでよく展開されている日本人男子のピアノトリオ。30代前半の3人のプレイはひたすらエネルギッシュ。特にドラムの竹を割るように切れ味のある叩きっぷりが小気味いい。時にエフェクトを使うベース、大胆に鍵盤の上を走り回るピアノのスピード感はフジロックにも抜擢される理由がよくわかる。というかロックフェスの方が彼らの主戦場と言えるのではないか。ミッド/スローテンポのナンバーになると普通のピアノトリオに聴こえるのが惜しいが、若い世代のジャズの期待の星だ。

fox capture plan / 疾走する閃光



●ケニー・バロン・トリオ with special guest グレッチェン・パーラト


ケニー・バロン(p)、グレッチェン・パーラト(vo)、北川潔(b)、ジョナサン・ブレイク(ds)
アコースティック・ジャズ・ピアノの最高峰、巨匠ケニー・バロンが自身のトリオにニューヨークの現代ジャズシーンで絶大なる人気を誇る歌姫をゲストに夢の共演!

今年で73歳のケニー・バロンの何処が次世代だ、と目くじらを立てるのは少し我慢して演奏に集中してみよう。年輪の刻まれたピアノタッチは若いもんには真似出来ないし、ベースの渋いながらも派手さのあるフレーズはジャズる心が無ければ不可能。それにしても巨漢のドラマー凄すぎる。飄々とした表情で適当に腕を振り回しているように見えながら、出てくるリズムの非常識なまでの逸脱感はメインストリームをアンダーグラウンドに転化していまいそうな異形を発揮する。ジョナサン・ブレイク(40歳)のプレイを感じていると、ジャズの主役はドラムだという忘れかけていた信念に火をつけようかという気持ちになっている。ゲストのバーラトはクリスタルな歌声がクールな美形シンガー。

Jonathan Blake / Kenny Barron - Rio das Ostras JAZZ FESTIVAL 2012



●ミシェル・カミロ × 上原ひろみ


ミシェル・カミロ(p)、上原ひろみ(p)
※上原ひろみ ザ・トリオプロジェクトでの出演予定でしたが、アンソニー・ジャクソンとサイモン・フィリップスの健康上の理由により、ミシェル・カミロと上原ひろみの出演に変更になりました。

思い返せば2008年の東京JAZZで上原とカミロの対バンを見て両者の凄まじさに舌を巻いた。⇒東京JAZZ "Dramatic Night"@国際フォーラムA 2008.8.30 (sat) 2014年の13th 東京JAZZにふたりのデュオで出演した時は観なかったので、今年メンバーの不調で急遽再共演することになったのは筆者にとってはラッキーだった。長年の友人でありライバルであるふたりの緊張感と安心感が同居するステージは、客席を巻き込み会場全体をワープさせるトリオの演奏とは異なり、観客を意識しない二人だけの空間を創造する独特の時間軸に支配されている。オーディエンスは恰もガラス張りの部屋で繰り広げ荒れる二人の秘事を覗く証人としてこの場に存在する。悦楽の表情の睦み合いが激しい愛撫に変わり、瞳孔が開きっぱなしの絶頂に導かれるままに覗きの興奮も高まる。果てた後の熱狂は溜りに溜ったリビドーの解放に他ならない。こうしてトラウマを克服した観客は自己統一性を取り戻し、それぞれ生きる希望を胸に社会生活に戻って行くのである。サイコセラピーならぬ「カミロセラピー」「ひろみセラピー」の神髄であった。

Billie's Bounce / Michel Camilo x Hiromi (13th Tokyo Jazz Festival)


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