A Challenge To Fate

私の好きな一風変わった音楽を中心に徒然に綴ったページです。地下文化好きな方は見てやって下さいm(_ _)m  

【転がり続ける演奏体】UH(内田静男+橋本孝之)@国分寺giee 2020.9.6 (sun)

2020年09月09日 00時41分10秒 | 素晴らしき変態音楽

2020年9月6日 (日)  東京・国分寺Live cafe giee
「UH」 内田静男(b) 橋本孝之(as,harm)

オープン19:00 スタート19:30
¥2500+ドリンクオーダー

【UH(ユー)】(2017年~)
◆内田静男(b):80年代より触媒夜、滲有無にて活動し、さまざまなユニットやソロの活動でインプロヴィゼーションを行う。
◆橋本孝之(as,harm) :.es 、kito-mizukumi rouber などのユニットやソロでジャンルを縦横無尽に横断する音楽家として独自の存在感を放つ。

----------------

UH初のワンマンライヴ。会場は橋本孝之が昨年夏2019年7月27日にやはり初めてのソロ・ワンマンライヴを開催した国分寺のLive Cafe giee。たった1年後とはいえ新型コロナウィルス感染症で大きく様変わりした世界で、再びこのようなストイシズムの極北の体現者の単独コンサートが行われ、11人とはいえソールドアウトしたという事実は、世の中一般の表面上の変化に関わらず、好きなくとも14人(11人+UHの二人+gieeのオーナー)の表現欲求の核心には何の変化もないことの証明である。表現者とはウィルスに負けるようなヤワな生き物ではないのである。

 #1085 橋本孝之 Solo Improvisation 2019年7月27日(土)東京・国分寺giee

先ほどストイシズムの極北と書いたが、この日の国分寺の地下ライヴバーgieeの空気は求道者の思念の冷気に凍える極寒地ではなかった。その真逆で、ここでしか体験できない音楽の交感を求める同好の志が発する期待感が仄かな微熱となって心を潤ませる希望の土地であった。

セミアコースティックベースとハーモニカで始まった。内田の十八番のドローン/アンビエント・スタイルの通奏低音の上に、橋本の口唇とハーモニカのメタルボディの軋轢と摩擦の飛沫が飛び散り、HighとLowが交錯する立体的な音像を組み立てる。動と静が入れ替わる波の間でふたつの音が衝突と合体をし続ける。

橋本がアルトサックスに持ち変えても、両者の距離は接近と離別を繰り返す。絞り出すハイトーンのサックスに寄り添うようなフレーズをベースが奏でる。と思うと我関せずと一人歩き続けたり、立ち止まって地面を掘り始めたり、空中遊泳を試したり、何をしても自由な空気が両者を包み込む。それが自己完結しないのがUHらしさと言えよう。

休憩を挟んだ第2部ではアルトとベースの二人遊びはより振幅を広げ、全力疾走と完全停止の間に無限大の可能性があることを詳らかにする。演奏者や聴き手だけでなく、二人の身体活動から生まれる音たちも心のエネルギーの満ち引きを楽しんでいる模様。前半1時間、後半40分、延べ約2時間のコンサートは静かな称賛の拍手で幕を閉じた。

UHとして活動を始めて4年目になるので、お互いの手の内はある程度知り尽くしていると思われる。同じパートナーと何度もコラボレーションすることは、下手をすると予定調和やマンネリに陥る危険を伴う。しかしUHの二人の表情や演奏姿勢には常に新鮮な歓びの脈動しか感じない。それはおそらく二人がユニットとして完成形を求めていないからであろう。何かを目標にしたとたん、演奏体としての限界が設定される。次こそは、という自己規制の罠にはまる。それを避けるには、ただ転がり続けるだけしかない。UHの二人は無意識のうちに自然体で転がることを身につけたのだろう。そんな"Natural Born Roller"ぶりが聴き手の心をも解放するのである。 

音楽の

表現の果て

見たくない

▼UHの次回のライヴは『盤魔殿殿Presents NEO UNDEGROUND vol.1』にて剛田武とコラボレーション。*定員になりましたので予約は締め切りました。

【新たなる地下音楽を求めて】新イベント『盤魔殿 presents NEO UNDERGROUND vol.1』9/27(sun)渋谷Edge Endにて開催!!

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする