A Challenge To Fate

私の好きな一風変わった音楽を中心に徒然に綴ったページです。地下文化好きな方は見てやって下さいm(_ _)m  

デザイナーの死を乗り越えて~MEG「PRECIOUS」

2008年09月20日 00時30分51秒 | ガールズ・アーティストの華麗な世界
MEGちゃんの中田ヤスタカ氏プロデュースのシングル第4弾がリリースされた。今回もエレクトロ至上主義のポップなサウンドと歌を聴かせてくれる。最近の女の子を"見た感じよりプライドと沸点は高くて"と詩的に表現しているのが印象的だ。
今回のジャケットとPVはYUKIや宇多田ヒカルのCDやPV、コカコーラ、ナイキ、ラフォーレなどの宣伝で活躍する女性デザイナー、野田凪さんとのコラボレーションであり、MEGちゃんのイメージにファンタジックでコミカルな要素を加えている。
その野田さんがCD発売直前の9月7日に急逝していたことが判明した。鎮痛剤の誤飲が原因とのことである。まだ32歳という若さだった。MEGちゃんとの今後のコラボレーションも期待されていただけに残念だ。

天国の
ポスター創れ
デザイナー

ここのところ人の死についてばかり書いている気がする。



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トニー・コンラッド×灰野敬二@六本木 Super Deluxe 2008.9.17 (wed)

2008年09月19日 00時21分38秒 | 灰野敬二さんのこと
トニー・コンラッドは60年代から活動する音楽家/映像作家である。これまで前衛作曲家ラ・モンテ・ヤングやヴェルヴェット・アンダーグラウンドのジョン・ケール、ファウストなどとも共に活動してきた。勿論ソロ活動も行い独自のミニマル・ミュージックを創造したり、「The Flicker」を始めとする映像作品を作ってきた。
日本では特にファウストと共演した「Outside The Dream Syndicate」が幻の名盤として語られ、マニアックなロック・ファンに名前を知られてきた。
彼がこの度横浜トリエンナーレ参加のため来日し、その機会に灰野さんと初共演した。奇跡の共演を観ようと会場は150人近く入り大盛況。若い人が多い。
コンラッドの音楽性から想像していた通り、灰野さんはギターは弾かず電子楽器とエスニックなアコースティック楽器を使った。
生で見るコンラッドは68歳にしては若く見える風貌で、ビール腹(失礼!)と中折れ帽がトレードマーク。表面を黒く塗ったヴァイオリンで変化の少ないロングトーンの通奏低音を奏でる。
1万円札を草笛の要領でビーッと鳴らして登場。お札をヴァイオリンの弓で弾いたりもする。
第1部は灰野さんは発信器、ヴォイス、エアシンセ、ハーディーガーディーを演奏。特にハーディーガーディーとヴァイオリンの共演はどちらも擦弦楽器なので、蝸牛が二匹匍匐し絡み合うようなドローン音響が心地よい。
第2部は灰野さんが様々なパーカッションを中心にビヨンビヨンという創作弦楽器などを使用。オリジナルの歌も聴かせる。コンラッドはヴァイオリンの他にミシン(!?)や金属線で繋いだ缶にコンタクトマイクを付け演奏。かなり二人の息が合ってきたようでドローン音響の中にも人間臭いビート感が生まれる。灰野さんは相当気に入ったのだろう、終わる時間になってもコンラッドに演奏を促していた。最後もコンラッドがお札をビーッと鳴らして終了。80分を超える熱演だった。
第1部はダークな呪術性に、第2部はトライバルな即興性に満ちた演奏。まさに天才同士の出会いを間近に経験した夜だった。

コンラッド
灰野踊らす
ビール腹

私の隣にキャメロン・ジェイミーが座っており演奏が終わると大声で喝采していた。



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9月16日はグラム・ロックのヒーロー、マーク・ボランの命日

2008年09月18日 01時27分43秒 | ロッケンロール万歳!
またもやロック・ミュージシャンの死亡ネタで恐縮だが。

今話題の「20世紀少年」のタイトルの元ネタになり、映画版の主題歌にもなっている「20th Century Boy」は1973年に日本でレコーディングされたT.Rexのヒット曲であり、そのヴォーカルがマーク・ボランである。ゆら帝の坂本氏のフェイヴァリット・ギタリストでもある。
1968年にギターとパーカッションのデュオ、ティラノサウルス・レックスとしてデビュー。同じ組み合わせに初期頭脳警察がいる。
悪魔崇拝や妖精伝説を歌った世界が当時のヒッピー文化と適合してカルト的な人気を誇った。私はT.Rexよりティラノサウルス・レックスのほうが好きである。
1970年にT.Rexと改名し4人組のエレクトリック・バンドとなる。折からのグラム・ロック・ブームの中心バンドとして活躍し数々のヒット曲を放った。
マーク・ボランは悪魔崇拝に凝っており、本物の魔術師について修行していたという。そして言ったのが「僕は30歳まで生きられないだろう」という言葉。その予言は実現し、30歳の誕生日の2週間前、1977年9月16日に愛人の運転する自動車の事故であの世へ逝ってしまった。下手な予言はしない方がいい。

電気の武者
30前に
あっけなく

9月7日はザ・フーのキース・ムーン(1978)、9月18日はジミ・ヘンドリックス(1970)の命日である。
何だかロック基礎講座みたいになってきたなぁ。



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ピンク・フロイドのリック・ライト氏を悼む

2008年09月17日 00時05分45秒 | 素晴らしき変態音楽
ピンク・フロイドのオリジナル・メンバー、リック(リチャード)・ライトが9月15日癌の為にこの世を去った。65歳だった。
ピンク・フロイドは1965年にシド・バレット(vo,g)、ロジャー・ウォーターズ(b)、リック・ライト(kbd)、ニック・メイスン(ds)の4人で結成された。バレットの作るシュールな歌詞と捻くれたポップ・サウンド、サイケなライト・ショーにより、ロンドン・アンダーグラウンド・シーンの代表バンドとなる。この時代のピンク・フロイドの影響力はアメリカのヴェルヴェット・アンダーグラウンドと並ぶもので、80年代以降のニューウェイヴやネオ・サイケ、シューゲイザーなどに多くのフォロワーを生む。
1968年ドラッグ問題で精神に異常をきたしたシド・バレットが脱退。デヴィッド・ギルモア(g)が参加し、プログレッシヴ・ロックの雄として活躍する。特に1973年の「狂気」は世界中で大ヒットし、プログレを超えてピンク・フロイドの名を世界に轟かせた。
フロイドのサウンドは同じプログレのクリムゾンやイエスとは違いテクニック志向に走ることなくサウンド全体の浮遊感や幻惑性を大切にしたものだったので、よりソフトなサウンドを好むファンにも受け入れられたのだろう。
私は80年代半ばの来日公演を観たが、ステージ上の円形スクリーンに映し出される幾何学模様の映像と会場に360度に置かれたスピーカーからのサラウンド・サウンドがとても印象的だった。
かつてのロックの大物が次々鬼籍に入る中、リック・ライト氏の冥福を祈りたい。

吹けよ風
呼べよ嵐
リックのために

彼等の曲「吹けよ風、呼べよ嵐」はプロレスラー、アブドーラ・ザ・ブッチャーの入場テーマ曲としても人気だった。



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灰野敬二@横浜トリエンナーレ 2008.9.15 (mon)

2008年09月16日 12時42分54秒 | 灰野敬二さんのこと
9月13日~11月30日横浜の3カ所の開場で芸術祭"トリエンナーレ"が開催されている。オノ・ヨーコ、小杉武久、田中泯、勅使川原三郎、ヘルマン・ニッチェ、トニー・コンラッド、マイク・ケリー、ポール・マッカーシーなど50人以上のアーティストが参加、最新の現代芸術を展示している。
その中でパフォーマンスも行なわれ、この日は灰野さんがアメリカの映像作家キャメロン・ジェイミー作「JO」の上映と一緒に即興演奏するというパフォーマンスを行なった。実はこのパフォーマンスは2006年10月にアメリカで行なわれている。
流石大規模な芸術祭だけあって、200人以上の観客が集まり広いホールが立ち見状態。ギター・アンプを4台並べ、灰野さんはステージ下手で映像のモニターを観ながら演奏する。映画の伴奏というからテレミン中心のエレクトロな演奏を想像していたら何と爆音ギター演奏だった。余りの大音量に途中退散する観客の姿もちらほら。
映像は前半がジャンヌ・ダルクに関するドキュメンタリー、後半がホットドッグ大食い競争を逆回しにしたもの。余り面白くないし、この映像のサウンドトラックに灰野さんを起用した意図も不明だ。しかし映像と関係なく激しいアクションで爆音を鳴らす灰野さんを観ていると灰野さんの異種格闘技に於ける演奏の姿勢が感じられて興味深い。
トリエンナーレの展示を観たが、ビデオ作品が多く、ヘルマン・ニッチェ(牛の臓物を人間の身体に塗りたくる)、マシュー・バーニー(ブリッジをした女性がおしっこをする)のような激ヤバな映像もあって楽しめた。タージマハル・トラヴェラーのドキュメンタリー映像も良かった。
お近くに住んでいたらぜひご覧になることをお勧めする。
横浜トリエンナーレ HP

映像は
人の心を
抉り出す

灰野さんは期間中あと2回パフォーマンスを行なうそうだ。

映像はキャメロン・ジェイミーがアメリカのパンク・バンド、メルヴィンズと共作したもの。こういうのなら判り易い。



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来日したが行かなかった~ファウスト「ファースト・アルバム」

2008年09月15日 01時03分54秒 | 素晴らしき変態音楽
クラウト・ロック(ドイツの70年代前半のアヴァンギャルドなアンダーグラウンド・ロックの総称。クラウトとはドイツの家庭料理、酢漬けキャベツのこと)の中でも謎の多いバンドがファウストである。他のバンドとの交流が殆どなく、北ドイツのヴュメにある廃校で共同生活を送り、1971年メジャーのポリドールからレコード盤も含め透明なセルロイドのジャケットの「ファウスト」でデビュー、翌年真っ黒な中にシュールなイラスト集を挿入した2nd「ソー・ファー」、1973年UKヴァージンに移籍して新聞紙を模したジャケットの「テープス」をシングル盤と同じ値段の99ペンスでリリース、同年楽譜ジャケットの4th「IV」を出し翌年解散。
1stアルバムはサイケなギターロック、童謡めいたユーモラスなコーラス、列車や風の音、男女の会話など様々な要素をコラージュしたもので、音楽すべてを盛り込んだような珠玉の名作だ。全編に人工的な哀感が漂っており私の"無人島レコード"である。
私がこのレコードを聴いたのは1980年日本で最初に出来た三鷹の貸レコード店"黎紅堂(れいこうどう)"でだった。それまでプログレ専門誌Fool's MateやMarquee Moonの記事でしか見たことのなかったこのレコードが貸レコード屋第1号店にあったというのは驚きの事実だが、私はビートルズの「オール・ユー・ニード・イズ・ラヴ」とローリング・ストーンズの「サティスファクション」のコラージュから始まるこのレコードを一聴するなりその非人間的な音楽の豊潤さにすっかり魅了されてしまった。
そんなファウストは90年代に復活し、1997年に初来日、新宿リキッドルームで演奏し、発煙筒を焚いて煙だらけにしたという。
それから11年、つい先日再来日。しかし私は観に行かなかった。私にとってのファウストは70年代にスタジオに籠り切って作り上げられた音響芸術なのである。亡霊めいた地に足がついていないところが魅力なのだ。普通の肉体を持った人間だとは思えないのである。
今回の来日では日本のサイケ・バンド、マーブルシープとの公開レコーディングも行なったという。気が向いたらそのCDでも聴いてみようと思う。

幻は
幻のまま
それでいい

実はお金がなかったというのが真実なのだが(笑)。



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柔らかなタケミツ~Aureole Trio「Toru Takemitsu Flute Music」

2008年09月14日 00時31分17秒 | 素晴らしき変態音楽
オーレオール・トリオは1987年に結成されたフルートとハープとヴィオラからなるアメリカの女性トリオである。バンド名は光輝、栄光を意味する。ケルト伝統音楽やバロックから現代音楽まで幅広いレパートリーを持っている。
このCDはDisk Unionで偶然安く手に入れたもの。武満徹のフルート作品を女性ならでのソフトでイマジネーションたっぷりなプレイで聴かせる好盤だった。日本人の作曲家では最も有名で硬派なイメージの武満だが、このようにヒーリング感覚溢れる演奏もありだなと思った。隠れた名演。
Aureole Trio HP English

栄光の
トリオが奏でる
タケミツを

他にも女性が演奏する武満を聴いてみようと思う。

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スズキコージ原画展@青山ブックセンター本店

2008年09月13日 00時12分35秒 | アート!アート!アート!
絵本作家/イラストレーターのスズキコージ氏の新作絵本「ブラッキンダー」の原画展。彼の名前は知らなくてもその作品は見たことがある人は多いだろう。カラフルな色使い、奇妙な登場人物、シュールな物語は子供のものだけにしておくのは勿体無い。60年代から活動している人だからサイケやヒッピーの影響も受けたであろう。細かく描き込まれたイラストは不思議なトリップ感がある。
実際、渋さ知らズのCDジャケットを一貫して手掛けてもいるのだ。
書店の一角で落ち着いては見られないが9月16日(火)までだからこの3連休に渋谷方面に行く人は足を伸ばしてみるのも良いだろう。青山子供の城の近く。
スズキコージ HP

絵本には
危ないマジック
棲んでいる

私はイギリスのパッチワーク・エレファント、エルマーの絵本が大好きである。

スズキコージ氏制作風景



象のエルマー



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Symphonic NEW YORK@渋谷オーチャードホール 2008.9.10

2008年09月12日 00時37分13秒 | こんな音楽も聴くんです
バーンスタイン生誕90周年、ガーシュウィン生誕110周年を記念して、ニューヨークをテーマに贈るコンサート。前半がバーンスタイン、後半がガーシュウィン。私の目当ては後半に「ラプソディ・イン・ブルー」でピアノを演奏する山下洋輔だ。
沼尻竜典指揮・東京フィルハーモニー交響楽団の演奏は弾けるような勢いのある演奏でなかなか良い。
バーンスタインはオペラ歌手を迎えて「ウェストサイド・ストーリー」を中心に演奏されたが私にとってはあくまで前奏。ゆっくり熟睡させてもらった。
休憩後ガーシュウィンの演奏が始まる。19歳のシンガーソングライター清水翔太が登場して2曲歌う。フル・オーケストラをバックに歌うのはさぞや気持ちよかっただろう。
そしていよいよ洋輔さんの登場。今日は白のスーツ姿だ。翔太君と1曲「サマータイム」を共演。洋輔さんは割と大人しく伴奏に徹していた。
続いて本日のハイライト、洋輔さんが2000年から演奏している「ラプソディ・イン・ブルー」。この曲は"のだめカンタービレ"のテーマで使われすっかり人気の高いスタンダード(クラシックでもスタンダードっていうのかな)になった。
私が最初にこの曲を聴いたのはザ・レジデンツの"Great American Composers Series"の中の一枚でスーザとガーシュウィンをカップリングしたLPでだった。25年近く前の作品だが、彼等の畸形的で人間的抑揚のないエレクトロニクスの解釈が未だに頭の中に残り一種のトラウマになっている。
今回の洋輔さんは肘打ちも繰り出してジャズ的な遊びの多いこの曲をさらにやんちゃに彩る。ニューヨークらしい色彩感と喧騒に満ちた活き活きとしたプレイにすっかり感服した。やはり洋輔さんは凄い。

ラプソディー
日本で言えば
狂詩曲

奇しくも明日はアメリカ同時多発テロの七回忌だ。合掌。



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P.アンリと並ぶ仏電子音楽~パルメジャーニ「L'Oeuvre Musicale En 12 CD」

2008年09月11日 00時26分11秒 | 素晴らしき変態音楽
ベルナール・パルメジャーニ。フランスの電子音楽家である。ピエール・アンリと同じ1927年生まれだから今年81歳の重鎮である。
2005年に<東京の夏>で来日しているが、一般的な知名度はいまひとつ。
元々ラジオやテレビの音響技師として仕事をし、同時にパントマイムをやっていたという変わり種である。音楽制作に携わったのはアンリより遅く、1960年ピエール・シェフェールが設立したラジオ・フランスの国立視聴覚研究所音楽研究部門(INA-GRM)に参加、クセナキスら作曲家たちの助手を務め始めてからである。
そのINA-GRMから突然リリースされた回顧録的な12枚組CDボックス。1964~2006年の作品が収録されている。タイトルは"CD12枚の音楽制作作業"という意味(そのまんま!)。全部聴いたわけではないが、大作志向で聖書や文学からの引用の多いアンリに比べ、同じミュージック・コンクレート、エレクトロ・アコースティックでも10~20分程度の小品が多く、よりコンパクトで明快な電子音響は、もしかするとアンリよりも親しみ易いかも知れない。勿論60分近い大作もあるが。初期にはフリージャズと電子音の共演なんて心躍る試みもしている。
アンリにせよパルメジャーニにせよ、フランスらしいユーモアと洒脱趣味を内包した音響であるが、ある意味非常にヤバい世界なので万人にはお勧めしない。しかし半世紀に亘るアヴァンギャルド音楽に興味がある人はぜひ聴いてみて欲しい。
ディスク・ユニオンなら12枚組で11,000円。豪華な解説書(仏・英語)も付いているし、一枚あたりにすれば決して高い買い物ではない。

フランスの
電子音楽
クールだな

それにしても12枚聴き通すのにいつまでかかることか。楽しみでもある。



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