A Challenge To Fate

私の好きな一風変わった音楽を中心に徒然に綴ったページです。地下文化好きな方は見てやって下さいm(_ _)m  

MoE/灰野敬二 & His Heavies@渋谷LUSH 2017.4.11 (tue)

2017年04月14日 02時18分41秒 | 灰野敬二さんのこと


MoE JAPAN TOUR
LIVE MoE / 灰野敬二 & His Heavies

●OPEN 19:00 / START 19:30 
●ADV 3000 / DOOR 3500 (+1D )



ノルウェーのヘヴィ・ドゥーム・ハードコア・トリオ「MoE(モー)」の4回目の来日ツアー。昨年秋にヨーロッパでリリースされた最新アルバム『Examination of the Eye of a Horse(馬の目の検査)』の日本全国流通リリースにあわせて北海道から四国まで全国10公演の最終日は渋谷LUSHにて灰野敬二との対バン。それぞれ実験音楽の活動もしているMoEのメンバーは以前から灰野のファンで共演の機会を望んでいたという。遂に実現した対バンライヴに灰野はロックトリオ「灰野敬二& The Heavies:で臨んだ。生憎の春の嵐が吹き荒れる最悪の天気で動員は少なかったが、一期一会の貴重なライヴ空間が現出した。
Norway Heavy Doom Hardcore 諾威重量運命鋼鉄核『MoE モー/Examination of the Eye of a Horse 馬の目の検査』

●MoE


Guro Skumsnes Moe: Bass, vocals/Joakim Heibø Johansen: Drums/Håvard Skaset: Guitar。
先行はMoE。一見素朴な女性のGuroがベースを持ってステージに上がったとたん悪魔に取り憑かれたような形相で叫びを上げる。彼女の重低音爆撃ベース、ノイズを完全にコントロールするHåvardのギター、ハードコアと変態ビートを同時に叩き出すJoakimのドラムが三つ巴で繰り広げるヘヴィロックはありとあらゆる表情をぶち込んだ人間性の三重構造螺旋体。予測のつかない展開はいつまで聴いても飽きることが無い。セックス・ピストルズ「アナーキー・イン・ザ・UK」の解体的カヴァーも鬼畜。


●灰野敬二 & His Heavies


灰野敬二:vocals, harmonica/川口雅巳:Guitar/片野利彦:Drums
THE HARDY ROCKSのメンバー二人とのトリオは2016年11月にスーパーデラックスで披露された。今回は新ユニット名を冠してのステージ。究極のHeavyを追求するユニットである。"BEST OF THE HARDY ROCKS"といえるセトリだが、音数が少ない分、アレンジの骨組みがダイレクトに発揮され、シンプルかつヘヴィな痺れるビートが炸裂する。灰野のブルースハープがヴォーカル以上の説得力で迫り来る。所謂ロッケンロールのスタンダード・ナンバーばかりなので、MoEのメンバーや西欧人のオーディエンスが驚くと同時に感動していた。

Set List:
1. End of the Night (The Doors)
2. Born To Be Wild (Steppen Wolf)
3. Money (Barrett Strong, The Beatles)
4. Summertime Blues (Eddie Cochran)
5. In My Room (Walker Brothers)
6. Wild Thing (The Troggs)
7. Five To One (The Doors)
8. Satisfaction (The Rolling Stones)


●MoE+灰野敬二


MoEに灰野がAir Synthでコラボレーション。ハードコア・パラノイアック・ロックにエレクトロニクスはよく似合う。途中からノイズ・インプロヴィゼーションに突入、Guroがフロアに降りてきてスクリーム・パフォーマンス。灰野のチャルメラが世界の終わりを告げる喇叭のように鳴り響く。ヘヴィロックと実験音響の新たな命が芽を吹くことが楽しみになる。

次回はより実験音楽へのチャレンジに期待したい。

ノルウェーと
日の出流る国の
ランデヴー

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【鹿鳴館に萌ゆ】ネクロ魔/ヤナミュー/ゼアゼア/クロタン@目黒 鹿鳴館 2017.4.9 (sun)

2017年04月13日 01時25分50秒 | ガールズ・アーティストの華麗な世界


メグロSICK@目黒 鹿鳴館
前売2500 当日3000
開場17:30 開演18:30
※オープニングアクト18:20

春野さ子(OA)
NECRONOMIDOL
ヤなことそっとミュート
CLOCK & BOTAN
There There Theres



この日は大塚近辺のライヴハウスで「YOIMACHI2017」というサーキットライヴイベントが開催され多数のバンドやアイドルが出演、ネクロ魔やブクガ、じゅじゅやモ!と言った推しのグループも出るのでそちらに行く選択肢もあったが、朝の11時から夜の8時までの長丁場はかなりダメージがあるので、無難なところで夜の目黒の濃いドルイベに参戦することと相成った。にしても筆者のここ2年間の現場活動で、新宿ロフトや目黒鹿鳴館といったロック系ライヴハウスの訪店回数が激増しているのはどういう訳だろう?自問自答してみれば曾ての「ロック」が「アイドル」に場を奪われた現状に歓びの念を禁じ得ない自分の深層心理に深く絞首する次第である。同時に曾ての「燃える闘魂」が「萌えるヲタ心」に座を空け渡した賛状に深い歓喜の溜め息を吐く羽目に成り果てた、日曜日の夜のランデブーを心から堪能した今宵で在った。ROCK MAY KAN(鹿鳴館)と名付けた経緯はいずれ近い将来、明らかにされることを切に願う。90年代ジャパメタの聖地として毎夜メタラーが集合し片腕を挙げてシンガロングした現場にドルヲタが詰めかけより過激なモッシュやリフトを繰り広げていられることが、もうひとつの驚異かもしれない。

●CLOCK & BOTAN


クロックさんとボタンさんの二人組かそれ以上のグループかと思ったら、元ベルハー(BELLRING少女ハート)の柳沢あやののソロユニットだった。4/2にデビューしたばかりのひとりアイドル。ベルハー時代より歌がうまい気がする。キレのあるダンスやアコギ演奏も見せ新たな魅力を発揮。生誕記念に風船が舞うカラフル現場と化した。

CLOCK & BOTAN - Gloomy



●NECRONOMIDOL


2017年一発目の月城ひまりお披露目ライヴ以来のネクロ魔in鹿鳴館。ダークウェイヴ「SARNATH 」やドゥームメタル「END OF DAYS」やがこれほど似合うベニューは他に無い。しかしハイライトはMCを無事務めた夜露ひなの気の弛みで曲紹介を失念し「ケ、」で始まった「KERES THANATOIO」であった。火がついた魔ヲタの「ITHAQUA」シンガロングに気持ちが籠る。

20170411 NECRONOMIDOL × 偶想Drop 2マンライブ hirari hira hira 曲衣装交換 新宿アンチノック



●ヤなことそっとミュート


WWWワンマン以来のヤナミューのネクロ魔対バンは久しぶり。筆者の推しがそろい踏みのオレ得現場だが、推し連続は少々キツい。モッシュ&リフト続出の最前地帯を上手くかわしてバンドサウンドにマインドサーフする。ネクロ魔の魔ダンスの後だけに、ダイナミックな振り付けが眩しい。ネクロ魔瑳里と夜を過ごし、ヤナミューなでしこと朝を迎える、と妄想すると萌え増し必至である(そして午後はコショージと)。

ヤなことそっとミュート 2017.04.04 @ 新宿LOFT



●There There Theres


ゼアゼアを観るのは2回目。しかし力を使い果たしたオレは抜け殻に成って後方から眺むるのみ。しかしながら、柳沢あやの(現クロタン)と朝倉みずほ、そして推していた甘楽が抜けたベルハーは決して抜け殻ではない。カイとれーれ(有坂玲菜)を中心に新メンバー3人を迎えゼアゼアゼアーズに改名したのはベルハーよりもベルハーらしい新世界を構築する野望への第一歩であった。

There There Theres - RadicalHead


鹿鳴館
ROCK MAKER
緑目逝かん



▼オレ得過ぎる!こんなに幸せでいいのだろうか。。。
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灰野敬二×竹澤悦子@相模原 常福寺 2017.4.8 (sat)

2017年04月11日 01時47分57秒 | 灰野敬二さんのこと


常福寺ライブ -be-「Memento mori 死を想え」

開場18:00 開演18:30
3000円(要予約)
灰野敬二(ギター・パーカッション・歌)
竹澤悦子(箏・笙・パーカッション・歌)

神奈川県相模原市にある臨済宗の常福寺は約700年まえ、鎌倉時代末期に建立された由緒ある寺院。この本堂で23年前から「常福寺ライブ」と題して舞踏、現代音楽、講演会のイベントが開催されている。下北沢Lady Janeが制作を担当していることもありジャズや実験音楽のミュージシャンの出演も多い。今年は灰野敬二と田中悠美子のデュオが予定されていた。ところが田中が直前に持病の悪化で出演できなくなり、急遽箏・三味線奏者の竹澤悦子がピンチヒッターとして出演することになった。丁度桜が満開の日で、午前中の雨も止み、少し肌寒い風の吹く中、本堂の戸をすべて開け放ち、境内の桜の木や竹薮がライトアップされた幻想的なムードの中、住職の指導に依る座禅に続いて二人の初共演が始まった。



灰野はエナジーチャイム、タンバリン、シンバルなどパーカッションを演奏。ステージを降りて本尊の前で舞踏の動きでシンバルを打ち鳴らす。竹澤は2台の箏をメインに、笙や小さな玩具類をアトランダムに鳴らし、物質的な器楽演奏だけでなく呼吸するような有機的な音の流れ和創り出す。試算を交わすことは無いが、二人の間の風通しの良さは、クリエイティブな視点から見た交感度の高さを表している。灰野がギターに持ち替える。繊細な音量の爪弾きは桜の花が散るように、風に舞って広がって行く。竹澤の謡はオペラを思わせるよく響く声で、その雄々しさに思わず喘ぎ声が漏れるほど。灰野の叫びが同時発声し、仏の住処の何処かに存在している言霊を召喚する呪文になって、散った花が踏みにじられて端から抜け殻の塵芥(ゴミ)へと変貌するのを横目に睨んで歩き続ける。激しく萌えアガる桜の仄かな光に集いし、音楽の精と極みを同時に味わえる歓びを。



終演後は出演者と観客が弁当を片手にしあわせな夜桜鑑賞会へと変幻した。


常福寺ウェブサイト

桜咲く
ウズラの卵
古都の春

本日!
4月11日(tue)渋谷LUSH
MoE Japan Tour 2017


OPEN 19:00 / START 19:30 
ADV 3000 / DOOR 3500 (+1D )
LIVE
MoE
灰野敬二 & His Heavies


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組原正×多田正美/鈴木放屁×橋本孝之/ヒグチケイコ×Hiroshi Mehata/今井和雄×Shogo Haraguchi@大久保ひかりのうま 2017.4.7(fri)

2017年04月10日 01時32分07秒 | 素晴らしき変態音楽


「第三回天下一Buzz音会 -披露”演”-」
・今井和雄 (g) x Shogo Haraguchi (b/pedals)
・ヒグチケイコ (vo/p) x Hiroshi Mehata (electronics/vo/g)
・鈴木放屁 (T.sax) x 橋本孝之 (A.sax)
・組原正 (g/vo/electronics) x 多田正美 (prepared.p/perc)
open 19:30 start 20:00
2000円 + D



東京地下音楽シーンの新天地として定着した大久保ひかりのうまでの"天下一Buzz音会"と題されたイベント。会場に入るとスーツを着た若者がいるので、間違って新入社員歓迎会に来てしまったかと勘違い。スーツの二人は実験音楽グループGaiamamooのShogo HaraguchiとHiroshi Mehata。主催者のHaraguchiが各演奏者を紹介しては拍手を煽る。地下音楽イベントにしては派手な演出だな、と思ったが、後になってイベントタイトルやフライヤーの体裁が「結婚披露宴」のパロディだったことに気が付いた。鈍感なリスナーでお恥ずかしい限り。

●今井和雄 x Shogo Haraguchi


マージナル・コンソートのメンバーではあるが、筆者にとっては高柳昌行の意志を継ぐ「Oneman Mass Projection(ひとり集団投射)」プレイが印象的な今井和雄のギター演奏は、2012年に「阿部怪異」との対バンで、藤川義明(as)、井野信義(b)、本田珠也(ds)との「集団投射」で観て以来。鎖やガラス瓶、金属板など異物を使いながら、自らの10本の指と6本のギターの弦との摩擦熱をダイレクトに音に転化するプレイは、今井の胎内で共振して歪んだ表情を表出する。その波動に対峙するHaraguchiのベースは幾多のエフェクターに濾過されて空間の歪みを助長する。共演という名の共犯者。
阿部怪異/集団投射@渋谷WWW 2012.11.29 (thu)

●ヒグチケイコ x Hiroshi Mehata


長身のヒグチの細い肢体は蜘蛛を思わせる。トロンボーンのホーン部を銜えたヴォイシングは国籍不明のスパイ映画のナレーションのよう。鍵盤に襲いかかる両手両足にピアノがマゾヒスティックな叫びを上げる。一方赤いジャズマスターを低く構えたMehataは、クールな表情でカオスパッドの地響きと電子ノイズをアンビエント空間に放出する。緊縛と解放の鬩ぎ合い。

●鈴木放屁 x 橋本孝之


70年代半ばから地下音楽の闇で活動するフリージャズグループ日本天狗党の鈴木放屁のテナーは遠慮を知らぬ欲情したオス象の雄叫び。メス象ならばあっさり強姦(やら)れるところだが、橋本孝之は羊歯植物の螺旋アルトで受け流す。「象さんそれはいけないわ、動物と植物では種族が違う、目合(まぐわ)う訳にはいきませぬ」「あらあら羊歯さん、連れないことを言わないで。種族は違えど男と女、愛に垣根はありゃしない」「象さんしっかり見ておくれ、私は生娘(おとめ)じゃありません、羊歯に雌雄はないのです」「望むところよお羊歯さん、両性具有と性交(や)ることが、子象の頃から夢だった」といった会話が繰り広げられたかどうか。いけない妄想サックスアピール。

●組原正 x 多田正美


多田正美も今井と同じマージナル・コンソートのメンバーではあるが、筆者にとっては『地下音楽への招待』の園田佐登志のインタビューでたびたび名前の出る実験音楽グループGAPのメンバーとして印象的。前回の天下一Buzz音会で対バンしたグンジョーガクレヨンの組原正のラブコールで実現した二大巨頭コラボレーション。ギターとヴォイスをPCとエフェクターで変調して異形サウンドをクリエイトする異形の姿態の組原に、多田は蓋やカバーを外した半解ピアノと玩具シンセを全身を使って叩くように撫でるように抓るように禁めるように虐めるように弄くる。二体の壮年演奏家の年齢を無視した演奏が、時代と場所と時間が無意味な地平に導いた。無次元空間タイムワープ。

背後に投射された多田撮影の山野の映像の中に一瞬天狗と羊歯植物が見えた気がした。

バズる時
バズーカ砲の
バズり合い

Masayuki Takayanagi & Kaoru Abe - Mass Projection (1970)
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【告示】P.S.F. Records 生悦住英夫氏追悼 CDリリース&関連イベント情報

2017年04月08日 02時22分42秒 | 素晴らしき変態音楽

Twitter、Instagram→@kanakoshirokuro

P.S.F. Records 生悦住英夫氏追悼 
CDリリース&関連イベント


P.S.F.レーベルの主宰者、東京都明大前のレコードショップ モダーンミュージックのオーナーである生悦住英夫(いけえずみひでお) さんが2月27日の午前に御逝去されました。

P.S.F.は80年代初頭より多数の個性派アーティストを擁し、他の追随を許さない日本の伝説的アンダーグラウンドレーベルとして君臨し230枚を越えるタイトルをリリースし続けました。P.S.F.でのリリースを契機に海外へ進出したアーティストは数知れず、世界の前衛音楽通には特に知られた存在でした。モダーンミュージックは、ポストパンクとして台頭したニューウェーブ全盛の当時に我関せずと、独自の価値観とセンスで良いと思うものだけを集めた極めて風変わりなショップでした。インターネットの無い当時は色々な情報源や人の出会いの場所でもありました。

病床の生悦住氏を励ます為にP.S.F.のアーティストが有志で集い、未発表音源を集めたオムニバスアルバムを現在製作中です。5/24にDisk Union DIWよりリリースを予定しています。御存命中には間に合いませんでしたが、サイケデリックロック、アシッドフォーク、フリーミュージック満載の強烈で最期のPSF作品をお楽しみにしていて下さい。ひょうひょうとして旅へ出た彼もあの世でオムニバスの完成を楽しみにしていることでしょう。にやにやして、またもや我々に辛口の批評をして下さることを祈りつつ。

合掌 P.S.F.所属アーティストより

公式サイト http://p-s-f.tumblr.com/


●CDリリース


『V.A./Tokyo Flashback P.S.F. 〜Psychedelic Speed Freaks〜』

2017年5月24日発売 FJSP271/272(2CD) 2,800円+税

Psychedelic! Speed! Freaks!!
P.S.F. Records最期のアルバム

Acid Mothers Temple & The Melting Paraiso U.F.O/White Heaven/Ghost/High Rise/不失者/灰野敬二/マヘルシャラルハシュバズ/Ché-Shizu/Reizen/.es/ヒグチケイコ/今井和雄/静香/近藤秀秋/川島誠/Overhung Party/長谷川静夫/浦邉雅祥/にせあぽりあ/à qui avec Gabriel/平野剛/KIM DOO SOO
22組のアーチストによる全未発表オムニバス

発売元diskunion/DIW 03-3511-9955

●ライヴイベント


5月23日(火) 高円寺 ShowBoat http://www.showboat1993.com/
P.S.F. Records 生悦住英夫氏追悼ライブ
~キム・ドゥス東京公演」


18時30分開場、19:00時開演 
前売2500円、当日3000円 (plus drink)

出演: キム・ドゥス、Indian Sonnie(ゲスト)、川口雅巳ニューロックシンジケイト、馬頭將器(The Silence, ex: Ghost)、冷泉




6月25日(日)六本木SuperDeluxe
Tokyo Flashback PSF 発売記念
~Psychedelic Speed Freaks~
生悦住英夫追悼ライブ


開場 15:30 / 開演 16:00
料金 予約3000円 / 当日3500円 (ドリンク別)
*入場料はご遺族へのお見舞金となります

出演:
灰野敬二 + 今井和雄
マヘルシャラルハシュバズ
Ché-SHIZU
馬頭將器 + 荻野和夫 (The Silence, ex:Ghost)
三浦真樹(ex: 静香)X横山玲
成田宗弘 (High Rise)
川島誠
à qui avec Gabriel
ヒグチケイコ
長谷川静男
.es
冷泉
平野剛

予約 https://www.super-deluxe.com/room/4292/


●ギャラリー展示企画

6月11日(日)〜 6月18日(日)南青山Art & Space ここから
Modern Music / P.S.F. Recordsの軌跡

80年代より日本の最も先鋭的な音楽を紹介し続けてきた生悦住英夫が、2017年2月27日、筋萎縮性側索硬化症(ALS)のために死去しました。享年68歳。
時代や状況に求められた回答のような音楽ではなく、自己の律の赴くままに奏でられた自然体の音楽を世界へと発信し続け、日本の前衛音楽の新たな鉱脈を見出し、世界中のサイケデリック、即興、ノイズ、アヴァンギャルド・シーンに多大な影響を及ぼし続けてきたP.S.F. Records / Modern Music 生悦住英夫の仕事を、200タイトルを超えるCDやLPのジャケット、G-Modernの展示などにより振り返ります。

入場無料
月〜土 12:00〜20:00/日 12:00〜19:00(最終日は18:00まで)/会期中無休
Art & Space ここから
〒107-0062 東京都港区南青山2-27-20-2F
tel 03-6434-7547
http://www.cococara-minamiaoyama.com

いない人
いる人たちが
いる限り

Psychedelic Speed Freaks Live 1986, pt. 1
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【ゴス系女子図鑑】#3 ポルカドット(水模様)のイエスタデイ『ストロベリー・スイッチブレイド』

2017年04月07日 01時51分50秒 | ガールズ・アーティストの華麗な世界


赤いリップに花柄リボン、水玉模様のコスチュームに黒いアイシャドウの二人娘。苺飛出しナイフという物騒な名前は青春ネオアコオバンド・オレンジ・ジュースのエドウィン・コリンズが命名したという。英国メディアではロバート・スミス(ザ・キュア)の花嫁と呼ばれ、ネオサイケ界の根暗男子がこぞって黄色い阿鼻歓声を浴びせたと言われる。ヒット曲「ふたりのイエスタデイ(Since Yesterday)」は全英TOP5ヒット、その勢いでデビューアルバムもそこそこヒットした。日本ではテレビCMに起用されたり「世界紅白歌合戦」に出演したり思い出を作り、86年音楽性の不一致であえなく解散した。

Strawberry Switchblade -- Since Yesterday


当時大学生で根暗を気取っていた筆者にとってニューウェイヴィーなゴスロリ女子は格好の愛好の対象であった筈だが、何故か余り聴いた覚えが無い。恐らくピコピコテクノサウンドに我慢がならなかったのだろう。そんな訳あり女子よりもキラキラのサブカル女子(戸川純)を愛好しつつ、数年後に現れた派手なニュ−ウェイヴ女子バンドWe've Got A Fuzzbox and We're Gonna Use It、通称Fuzzboxに心惹かれでレコードを買ったが、正直聴いた感想はゼロに近い。



聴き直すこともなく、再発盤を聴く気がない薄情なヲタに中指立てる気持ちも薄れた頃突然メンバーのひとり、ローズ・マクドールの来日が発表になった。ローズはストロベリー・スイッチブレイド解散後、CoilのDrew McDowallと結婚し、Coil、Current 93、Death in June、サイキックTV、Non、Felt、Megas等の作品に参加し、Sorrow、Spellといったユニットでも活躍していた。ゴス系から本当のゴシック宗教集団に入信してネオフォークシンガーとして知られる。現在58歳だが、魔女か妖精のような水森亜土的アラフィフ女子の風貌はかなりイイ。

Rose McDowall - Since Yesterday (Live @ Barrowland Ballroom, Glasgow, 21/11/14)


趣味性の高い演目は、好き者をリピートさせることで回り出す。もしかしたら日本のアイドル界の手法を用いて現在そのプロジェクトへ向けて注力している真っ最中かもしれない。打刻時間を正確にトレースしても時間の巻き戻しは不可能、それならば日常と視点を入れ替えて、人形目線でゴシック建築の水玉寺院へ向かうとしよう。

ふたりはイエスタデイ
ネクラなトゥデイ
ときめきトゥモロー



<英国音楽/VINYL JAPAN presents
【 ROSE McDOWALL from STRAWBERRY SWITCHBLADE 】
●2017 JUL 07 (fri) 高円寺 HIGH
●2017 JUL 08 (sat)下北沢 251
07(fri) Doors Open 18:30/Show Starts 19:30
08(sat) Doors Open 18:00/Show Starts 19:00
Ticket in advance 6,200yen (inc VAT)
plus one drink charge at door each venue


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灰野敬二/ワナナバニ園/Transkam/Avant-garde Dance/Music Ensemble(カムラアツコ)@渋谷・公園通りクラシックス 2017.4.2(sun)

2017年04月06日 01時29分56秒 | 灰野敬二さんのこと



"春 の入口"
Space Raaga Echo/Wananabani-en/Transkam/Avante-garde dance/music ensemble-カムラアツコ(Vo+Electorics, Key) 、にら(Gu)、レンカ(Dance)、めみハーロ(Dance)/Bloom-Creation/Haino Keiji

4月2日(日) 渋谷 公園通りクラシックス
open: 3:30pm / start: 4pm.
charge: \3000

渋谷公園通りの一等地のビルの半地下駐車場の角にある渋谷クラシックスは木の床の温かみを活かしたアコースティックの響きに定評がある。クラシック系/アコースティック系/シンガーソングライター系/アンビエント系/ジャズ系など響きを好む音楽家にはうってつけの場に違いない。渋谷公会堂やパルコが建替え中の公園通りの注目スポットしてして脚光を浴びることはまさか無いだろうが、好事家ならば一度や二度は覗いて見て貰いたい。四月馬鹿の翌日にこの場に集った個性派たちのヲタ心は決して物販Tしか着るものが無く、春はオーネット・コールマンを気取って白いスーツでも着てみたいものだ。昨年7月に大久保ひかりのうまで「夏の憂鬱」というイベントを企画したBloomの企画のタイトルは「春の入り口」。桜が一気に開花しそうな季節に似合う百花繚乱なイベントとなった。
灰野敬二/Bloom-Creation/吉本+レンカ+池田etc.@大久保ひかりのうま 2016.7.18(mon)

●Transkam


前回に続き出演のポストロック/ノーウェイヴ系三人組。卵形の照明機器を並べたステージは派手ではないが幻想的でサウンド同様オブジェ感がある。クールなハンマービートから激烈なギタープレイに変幻するカタルシスは、多分にオルタネイティヴ/ポストパンク的。

●Avante-garde dance/music ensemble
:カムラアツコ(Vo+Electorics, Key) 、にら(Gu)、レンカ(Dance)、めみハーロ(Dance)


元水玉消防団、ハネムーンズのカムラがロンドンから来日し、異形人のにら&レンカ、ダンサー仲間のめみハーロとのユニットで出演。ニューウェイヴ的なエレクトロニクスにハネムーンズで天鼓とのデュエットで鳴らしたヴォイスフォーマンスを聴かせ、ギターのアンビエント感と二人の女子ダンサーの百合の絡み合いのコミカル感を包み込む。

●ワナナバニ園


熊田央 (ドラムス)、ALI (Fender Bass)、種石幸也 (5弦 Bass)、尾上祐一 (回擦胡、リボンコントローラ)の4人組インストバンド。2ベース+ドラムのダンサブルビートと自作電気楽器のヘンテコサウンドが真剣/冗談の垣根を突き破る。脱力するバンド名を含め、プログレ界のゆるキャラバンドと呼んでみたい。

●灰野敬二


二週間で6公演の最後となる灰野のステージはハーディガーディソロ。この会場の秀逸な音響効果を最大限に活かしたサウンドスケープは、悪夢に魘された10数年前のハーディガーディ体験の記憶を呼び覚ます。しかし50分強一瞬たりとも集中力を失うこと無く耳を澄ませていれたことは、筆者のリスナー力の向上の証であろう。

インストの
ロックバンドも
面白い

<灰野敬二ライヴ・スケジュール>

4月8日(土) 神奈川県相模原市 臨済宗 常福寺
常福寺ライブ -be-「Memento mori 死を想え」

開場18:00 開演18:30
3000円(要予約)
灰野敬二(ギター・パーカッション)
田中悠美子(太棹三味線・大正琴)



4月11日(火) 渋谷LUSH
MoE Japan Tour 2017


OPEN 19:00 / START 19:30 
ADV 3000 / DOOR 3500 (+1D )
LIVE:
MoE
灰野敬二



4月16日(日)香川・高松TOONICE
GIGA NOISE3 四国高松編


OPEN 12:30/START 13:00
前売3500円/当日4000円
灰野敬二 (東京)
山本精一 (大阪)
ドラびでお (東京)
Bernhard (BR-Laser)(オーストラリア)
齋藤久師
沼田順 (東京)
トキノマキナ
NOISECONCRETE x 3CHI5 (名古屋)
DJ-SPEEDFARMER(北九州)
花園distance (東京)
spaceship airguitars (大分)
spacegrinder (愛媛)
crapnet (愛媛)
cowbells (愛媛)
森田理論 (高知)
夙川木彫倶楽部 (香川)
c o n c e p t (香川)
藤谷治季(香川)
おおはまひかるオーケストラ (香川)
MANISDRON (岡山)
Fuuri (イモスケ & 川井 & span21) (香川)
imagenos (岡山)
chise (岡山)
P.O.V (大分)
44 (香川)
壊れたホテル (香川 & 岡山)
ザキヤマヘイコー (徳島)
datamusik (香川)
ipppen (香川)


5月3日(水・祝) 高円寺ShowBoat
灰野敬二 生誕記念公演


詳細は近日中に発表


5月13日(土) 新宿JAM
Nightclub of Particulates


開場 19:00 開演 19:30
料金 前売3500円 当日4000円(共に1ドリンク600円別)
渚ようこ(演奏:花園臨界実験所 (ギター・ベンジャミン・オイカワ、ベース・的場慎太郎、オルガン、ピアノ・たけやん(鍵盤屋)、ドラム・長谷革ナオヤ)
躍り子・デリシャスウィートス
灰野敬二( 本イベントの為に「哀秘謡」を再結成。メンバー未定)
DJ:DJ2741



6月12日(月)東京・六本木 Super Deluxe
『WAIT UNTIL DARK』


open 19:30/start 20:00
前売り 3000円/当日 3500円(ドリンク別)

灰野敬二
Giovanni Di Domenico
石橋英子
Joe Talia


6月25日(日)東京・六本木 Super Deluxe
Tokyo Flashback P.S.F. 発売記念
~Psychedelic Speed Freaks~
「生悦住英夫氏追悼ライブ」


open 15:30 / start 16:00 3.000 Yen adv / 3.500 Yen door (ドリンク別)
*入場料はP.S.F. Records 創始者、生悦住氏のご遺族へのお見舞金となります
予約受付中

灰野敬二+今井和雄
マヘルシャラルハシュバズ
Ché-SHIZU
馬頭將器+ 荻野和夫 (The Silence, ex:Ghost)
三浦真樹+横山玲
成田宗弘 (High Rise)
川島誠
à qui avec Gabriel
ヒグチケイコwith ルイス稲毛
長谷川静男
.es
冷泉
平野剛



7月3日(月)東京 新代田 Fever
SUMAC Japan Tour 2017

open 18:30 / start 19:00
前売 \4,500 / 当日 未定 (ドリンク代別)
問い合わせ: Fever 03-6304-7899

SUMAC
SUMAC with 灰野敬二
ENDON
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【地下音楽入門】第4回:阿部怪異~関西地下音楽の雑種交配から産み落とされた闇鍋音楽

2017年04月05日 01時28分39秒 | 素晴らしき変態音楽


東京で地下音楽の胎動が起こった70年代後半、大阪・京都に置いても特異な地下音楽が発生していた。その詳細な経緯と歴史に関してはJOJO広重、美川俊治他著『非常階段 A STORY OF THE KING OF NOISE』や加藤デヴィッド・ホプキンス著『Dokkiri! Japanese Indies Music 1976-1989 A History and Guide』に詳しいので参照いただきたい。

東西の地下音楽の間には一風変わった交歓模様があった。当時東京の現場「吉祥寺マイナー」と京都の現場「どらっぐすとぅあ」の間を行き来して橋渡し役をしたという工藤冬里の言葉を借りれば「ノイズのコンサートをやって、録音したテープを彼らのところに持っていくと、翌日にはどらっぐすとぅあで、「ナイズ」とかいうパロディ・バンドの録音が完成して、それがまた送られてくるみたいな、そういう対抗(笑)。だから、こっちが何かやると、向こうがパロって、っていう交流があった」という。

80年代初頭にピナコテカからカセットのみでリリースされていた作品『阿部怪異』が、アルケミーレコードから35年ぶりに初CD化された。このアルバムもそのような交歓から産まれたに違いない。同じ関西のユニット『リフォーム』もピナコテカでカセットリリースされており、元マイナー店長で同レーベルのオーナー佐藤隆史が関西シーンに興味を持っていたことも確か。ちなみにピナコテカレコードは(中略)主として資金的な問題と機動性の優先から”(アマルガム#8)カセット作品を制作した。コクシネル&サイイングPトリオ(東京)、阿部怪異(関西)、リフォーム(大阪)、スレドニ・ヴァシュタール(北海道)といった日本の地下音楽に加えて、LAFMS(ロサンゼルス・フリー・ミュージック・ソサイティ)のジョン・ダンカンやトム・レッション、フランスのPPP(Ptôse Production Présente)といった海外アーティストの作品も含まれる。実際のリリースには至らなかったものの、当初は『LAFMSライトバルブ・マガジン』や『YPCインターナショナル・サンプラー』といった海外レーベルとのコラボ作品がカセットでリリース予定されており、世界的なコミュニケーション・ツールとしてカセットが選ばれたことがわかる。(松崎順一編著『ラジカセforフューチャー』掲載「めくるめく地下音楽 幻のカセットレーベルをめぐって/剛田武」より)

その一方で東京に比べて規模が小さいこともあり、関西の地下音楽家同士の交歓はよりプライベート且つ濃厚だったと想像される。どらっぐすとぅあ常連の自宅で行われていたHIDEガレージコンサートを始め、上記の東京のパロディ音源の制作も、常連仲間の密かな楽しみの一環として行われていたのではなかろうか。”どらっぐすとぅあ、そして(天王寺のライヴハウス)マントヒヒに巣食っていた変なバンドの面々が緩くセッション的に集まって音を出していた集団(T.美川『阿部怪異』ライナーノーツより)”「阿部怪異」をその延長と考えていいかどうかは当事者に聞いても答えが出ないだろうが、このアルバムで聴ける演奏には、個性も好みも様々なメンバーがそれぞれの趣味志向を可能な限り発揮して思う存分楽しむポジティヴなエナジーが溢れている。その一因は、いくつかのライヴレコーディングやスタジオ・セッションをカットアップして繋ぎ合わせた手法によることは確かだが、工藤冬里が「京都の方は東京に比べてみんな仲がいい」と羨ましがっていたという特有の交歓姿勢の現れでもある。

アルケミーレコード通販購入特典のCDRに収録された1980年4月13日大阪・蛍池クルセードでのライヴでは「ワンツースリーフォー!」のカウントで数十秒で演奏が切り替わる<人力カットアップ演奏>が展開されている。これは2012年11月29日渋谷WWWでの30年ぶりの再結成ライヴでも披露された演奏手法。メンバーそれぞれがカウントを担当することで、参加者意識の共有と過剰になりがちな自意識の平準化が図られる結果になった。

演奏の端々に、吉祥寺マイナーを思わせるサウンド(白石民夫のフリークトーン、浜野純の高速ギターカッティングなど)を聴き取ってほくそ笑む関東地下音楽愛好家も居るに違いない(俺だ)。また電子音楽(シュトックハウゼン)やジャーマンロック(ファウスト、タンジェリン・ドリーム)、『NO NEW YORK』やインダストリアルの影響が濃厚に感じられる一方で、ジャズ的要素が殆どないことは、関西シーンの成り立ちに権威主義的なジャズやフリージャズとの距離があったことを仄めかしている、と断定するのは下衆の勘ぐりかもしれないが、あながち的外れではないような気がする。



Profile
阿部怪異:
美川俊治 electronics(非常階段、インキャパシタンツ)
林直樹 key(NG) 
猪狩亘 ds(Metaphysics、Eel Ghost)
海保有子 b(非常階段、イラスト)
JOJO広重 g(非常階段)
岡俊行 ds(非常階段)
八太尚彦 syn(ジュラジューム)
藤本勝士 g(ペコちゃんはエロティックス)
坂本葉子 sax(LD50)
森田聖 b(リフォーム)


京都どらっぐすとぅあの常連客により1980年頃結成。1980年4月13日蛍池クルセード、1982年6月26日天王寺マントヒヒ、1983年3月6日京都dee-bee'sと合計3回のライヴ活動、それ以外にスタジオ・セッションを数回行った。その時々で参加メンバーは異なっており、ライヴでは、ワン、ツー、スリーの掛け声でぐしゃぐしゃの即興を開始、30秒程度でパタッと終わり、すぐに違うメンバーの掛け声で次ぎに行くという展開で、途中にやや長尺のインプロを挟みつつ、掛け声がメンバーを一巡したら演奏終了というようなことをやっていた。リリース作品はピナコテカレコードからカセット『阿部怪異』と、フランスのPtôse Production Présenteのコンピレーション・カセット『Assemblee Generale 3』(1曲提供)のみ 。2012年11月にJOJO広重(g)、T.美川(electronics)、吉田達也(ds)、Isshee(b)で一度限りの再結成ライヴが行われた。

阿部怪異 Live@渋谷WWW 2012.11.29 (thu)

阿部怪異/集団投射@渋谷WWW 2012.11.29 (thu)
アルケミーレコード公式サイト
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【私の地下ジャズ愛好癖】黒い稲妻サックス『ブラック・アーサー・ブライス』のチェロ&チューバ愛。

2017年04月03日 02時39分48秒 | 素晴らしき変態音楽


筆者がジャズに興味を持ちジャズ雑誌を読むようになった80年代初頭、大型新人として売り出されていたのがアーサー・ブライスだった。毎号メジャーのCBSソニーが広告を打っていたと記憶する。ジャケットの雰囲気からフュージョンの一種だと思い聴かず嫌いしていたら、行きつけの吉祥寺のジャズ喫茶A&Fで『イリュージョン』のLPを聴いて、想像と全く異なるハードコアジャズに驚いた。ラフトレードのアルバムでニューウェイヴ界隈で人気を博したギタリスト、ジェームズ・ブラッド・ウルマーのギターも凄いが、何よりもチューバの導入に驚いた。ブラスバンドの最後列右端で不器用にルート音を繰り返すチューバが、ブラック・アーサーのブライトなサックスをドライヴさせる動力源として行進する。チューバにこれほどスピード感があるとは思わなかった。メジャー・デビュー前はNYロフトジャズの注目株だった事実にも親しみを覚え、お気に入りになり、ジャズ喫茶でリクエストすることも増えた。しかし90年代以降後徐々にニュースが減り「あの人は今」的な存在になった。ここ数年筆者自身のジャズ回帰に伴ってレコードを買い集め聴き直していたのだが、つい先日の3月27日カリフォルニア州ランカスターの自宅で死去したことが発表された。10年以上前からパーキンソン病を患い、4年ほど前から症状が悪化していたとのこと。享年76歳。第一線を退いていたので、大々的な追悼が成される様子はないが、筆者にとってはアイドルの一人。謹んで追悼の意を表したい。

●Arthur Blythe ‎– The Grip (1977 India Navigation ‎– IN-1029)


Arthur Blythe (as)
Abdul Wadud (cello)
Steve Reid (trap-ds)
Muhammad Abdullah (perc)
Ahmed Abdullah (tp)
Bob Stewart (tuba)

ブラック・アーサーの初リーダー作。ロフトジャズ系カタログの宝庫インディア・ナヴィゲーション・レーベルからのリリース。当時既に37歳の遅咲きの花だが、チューバ、ベースを含みトラップドラムとパーカッションで通常のドラムの居ないセクステット編成は異彩を放つ。ブラックパワーの復権の意味合いのあるロフト・ムーヴメントの中では思索性が最も高い部類に入る。室内楽を思わせるアンサンブル重視の演奏の中、自在に歌うアルトサックスはフリージャズと言うよりも仕掛けられた構造主義者の悪巧みの罠。

●Arthur Blythe ‎– Illusions (1980 Columbia ‎– JC 36583)


Arthur Blythe (as)
Abdul Wadud (cello)
Fred Hopkins (b)
Bobby Battle (ds)
Steve McCall (ds)
James Blood Ulmer (g)
John Hicks (p)

メジャー第3弾。洗練されたジャケットはフュージョンと間違えても仕方が無い。J.B.ウルマーのギター入りは半分だけだが、特にA1「ブッシュ・ベイビー」はウルマーの生涯ベストプレイのひとつに数えられる。ウルマーが不参加のB1「マイ・サン・ラ」のスピリチュアルな響きは昇天もの。本作、『Blythe Spirit』(82)、『Elaborations』(83)で最初の活動のピークを迎えた。

Arthur Blythe: Montreux 1981


結局1980年代前半の人気に匹敵する絶頂は訪れないままアーサーは逝ってしまったが、どの作品にも明るく大らかなサックスの黒い稲妻の蠢く気配と傷が刻み込まれている。

逝く先は
天国地獄
それ以外

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【実録!灰野敬二の三日間 2017.3.25-30】ドラびでお/若林美保/吉田達也/KERA/BOBO/なるけしんご/ニンニ/川口雅巳/山崎怠雅/藤井政英/鳥井賀句

2017年04月02日 01時21分08秒 | 灰野敬二さんのこと


レジデンツとサーストン・ムーアが同時に来日する一方で、フィロソフィーのダンスと成瀬瑛美(でんぱ組.inc)とヤなことそっとミュートがそれぞれワンマン、NECRONOMIDOLがタイツアー、Maison book girlがレコ発リリイベを行い、前衛音楽とアイドル両方の愛好家である筆者にとっては多忙極まりない日々とオーヴァーラップして、灰野敬二が二週間に6日ライヴを行うという地下音楽愛好家でもある筆者にはアンビリーバブルな3月最後の数日間を過ごした。なんとか完走し無事四月バカを迎えられた記念として、目覚ましく目紛しく目出度い三日間の思い出が風化しないうちに写真と文章で認(したた)めておくことにしやう。ほんの僅かな時間だがこの胸のトキメキを少しでも感じてもらえれば地下音楽愛好家冥利に尽きると宣(のたま)わったら佐渡大袈裟だろうかしら。
サーストン・ムーア+灰野敬二@渋谷duo MUSIC EXCHANGE/+吉田達也@新宿MARZ 2017.3.22&23
【実録!ヲタ活週間 2017.3.19-26】フィロのス/ブクガ/えいたそ/ネクロ魔/ヤナミュー

●ドラびでお+若林美保+灰野敬二+吉田達也@秋葉原CLUB GOODMAN 2017.3.25(sat)


3月25日(土) 秋葉原CLUB GOODMAN
<レーザーギター復活記念LIVE!!>
開場 19:00 / 開演 19:30
予約 ¥2,800/当日¥3,300(+1drink)
【出演】
ドラびでお
若林美保
灰野敬二
吉田達也

ドラびでおこと一楽儀光が、昨年末ライヴイベント中の火事で消化器を浴びて使用不可能になったレーザーギターの修理資金をクラウドファウンディングで集め、無事復活した感謝のイベントを開催。ドラ☆美保としてコンビを組むダンスパフォーマー若林美保に加え、灰野敬二と吉田達也をゲストに迎えたスペシャルライヴ。灰野と吉田は急病で来日キャンセルしたチャールズ・ヘイワードからの指名でピンチヒッターとしてサーストン・ムーアと共演したばかり。ニュアンスは異なるが、英米日の前衛音楽家から慕われる存在であることは確か。観客の多くはレーザーギターの為に資金援助をしたパトロンなので、会場は前衛音楽の復活を祝う平和なムードが漂っていた。



半年ぶりでレーザーギターの演奏方法を忘れてしまったと語るドラびでおだが、パートナーの若林のロープダンスにあわせて演奏するうちに完全に勘を取り戻し、激烈なレーザー光線と共に高速度で回転する万華鏡のようなサウンドの嵐を創り出す。エロスそのものの若林の姿態がサウンドとレーザーに輝きを増す。



灰野と吉田とドラびでおのトリオで始まった2ndセットは、左にドラびでおのレーザーギター、右に灰野のエレクトロニクスとチャルメラを配し、真ん中の吉田の頭上からレーザー光線が後光のように投射される三位一体の曼荼羅の様相を呈した。若林が両手の先からレーザーを発射しながら加わり、妖艶かつ魔術的な視覚聴覚マッサージ空間に聴き手の魂を導き入れた。


●灰野敬二+KERA+BOBO+なるけしんご/ニンニ@代官山 晴れたら空に豆まいて 2017.3.27(mon)


3月27日(月) 代官山 晴れたら空に豆まいて
ニンニ企画「なるけのじかん」
開場19:00 / 開演19:30
チケット:前売3,500円 / 当日3,800円 / 早割3,000円(2月中)
上記全て別途ドリンク代600円
出演:
ニンニ
Special Session
灰野敬二(不失者、THE HARDY ROCKS)
KERA(有頂天、ケラ&ザ・シンセサイザーズ、No Lie-Sense etc.)
BOBO
なるけしんご(ニンニ、ti-ti.uu)

THE HARDY ROCKSのベースを担当するなるけしんごの生誕ライヴ。なるけのバンド「ニンニ」に加え、なるけがギターで参加するケラ&ザ・シンセサイザーズのケラとドラマーのBOBO、そして灰野がスペシャル・セッションで参加。ケラと灰野は初共演。バンドブームの寵児と地下音楽の帝王の出会いは何を生み出すのだろうか。



なるけ(g)、みんみん(org)、かみむー(ds)の3人組。ニンニとはムーミンのキャラクターの名前。その名の通りファンタジックなインストサウンドが心地よい。音数が少なく感情の起伏を押さえたストイックなサウンドの中で、ドラムが肌理細かく表情を変えて行く。静寂の中に夢が溶け出す世界はドゥルッティ・コラムを思わせる。灰野も大いに気に入ったようで「最高のプログレッシヴロック」と表現したという。



灰野、BOBO、なるけのトリオのセッションでスタート。タイトなエイトビートとルート音中心のベースの上で灰野のギターが暴れる演奏は、テン年代後半に何度かライヴをした元裸のラリーズのリズムセクション(Sammy & Doronco)と灰野のトリオを思わせた。かなりロック的なパワーに溢れたフリーな演奏。ケラが加わるとなるけがギターに持ち替え歌謡曲とケラシンセの曲を演奏。灰野がエフェクティブなギターでオブリガード風に絡む。天真爛漫なケラの歌と暗闇から漂う灰野のギターが融合し、天使と悪魔が握手する光景を幻視した。

Set List
1. 夜明けの歌
2. シャープさんフラットさん
3. 尾崎放哉の句 自由律の句
4. 見上げてごらん夜空の星を
5. リスト




●Ephemeral Rock?(灰野敬二・川口雅巳・山崎怠雅)/藤井政英@新宿SOUL KITCHEN 2017.3.30(thu)


3月30日(木) 新宿SOUL KITCHEN
灰野敬二 25名完全限定予約制LIVE
KEIJI HAINO SPECIAL LIVE!

19時開場、20時開演
CHARGE:2500円+2DRINK1000円
オープニングアクト:藤井政英(ExYBO2、飢餓道 ETC)
出演:Ephemeral Rock?(灰野敬二・川口雅巳・山崎怠雅)

ロック評論家でありミュージシャンでもある鳥井賀句がオーナーを務めるロックバー、ソウルキッチンは様々なミュージシャンが出演するライヴバーでもある。THE HARDY ROCKSの山崎怠雅や川口雅巳も出演していたが、諸事情で4/29に閉店することになった。鳥井は70年代後半に高円寺でブラック・プールというロックバーを経営しており、日本のパンクや地下音楽の重要な場として機能した。灰野はその頃鳥井と知り合って以来、ことあるごとに交流してきた。ソウルキッチン閉店前に初出演が実現したのは灰野からの餞(はなむけ)の意味があるのかもしれない。



狭い店内にキャパオーバーの観客で身動きができない状況だが、全員ロック好きの気持ちが通じ合い和やかな雰囲気の中、サポートアクトの藤井政英が登場。アコギとエレキの弾き語りに時折プリセットのリズムトラックがかぶさる。軽くビブラートした深い声はマーク・ボランを思わせる。妖しいアイシャドーのストリート・シンガーの風貌はルー・リードやボブ・ディラン、ブリジット・フォンテーヌなどのレコードが壁に飾られたこの店によく似合う。



川口と山崎がギター、灰野はハーモニカとヴォーカル。全曲英語のカバーソング。二本のギターが流れるように絡み合う美しいアシッドフォークと、ブルースハープが軋みヴォーカルが叫ぶブルージーなナンバーが奏でられる。至近距離で観る灰野のパフォーマンスから、音だけでなく「気」がストレートに伝わり、一瞬も気を抜くことが出来ないほど。全13曲90分に亘る演奏は慈愛と熱情に満ちた濃厚な真剣勝負だった。

Set List
1. Indian Summer(The Doors)
2. So Alone(Johnny Thunders)
3. 黒い花びら(水原弘)
4. Cosmic Dancer(T.Rex)
5. Satisfaction(The Rolling Stones)
6. As Tears Go By(The Rolling Stones)
7. Song To The Siren(Tim Buckley)
8. Money (Barrett Strong)
9. Summertime Blues(Eddie Cochran)
10. Strange Fruit(Billie Holiday)
11. In My Room (Scott Walker)
12. Spy(The Doors)
13. Soul Kitchen(The Doors)



音楽を
力の限り
聴き続けたい

<灰野敬二ライヴ・スケジュール>

4月2日(日) 渋谷 公園通りクラシックス
"春 の入口"


open: 3:30pm / start: 4pm.
charge: \3000

出演:
Space Raaga Echo
Wananabani-en
Transkam
Avante-garde dance/music ensemble
-カムラアツコ(Vo+Electorics, Key)
-にら(Gu)
-レンカ(Dance)
-めみハーロ(Dance)
Bloom-Creation
Haino Keiji




4月8日(土) 神奈川県相模原市 臨済宗 常福寺
常福寺ライブ -be-「Memento mori 死を想え」

開場18:00 開演18:30
3000円(要予約)
灰野敬二(ギター・パーカッション)
田中悠美子(太棹三味線・大正琴)




4月11日(火) 渋谷LUSH
MoE Japan Tour 2017


OPEN 19:00 / START 19:30 
ADV 3000 / DOOR 3500 (+1D )
LIVE
MoE
灰野敬二




4月16日(日)香川・高松TOONICE
GIGA NOISE3 四国高松編


OPEN 12:30/START 13:00
前売3500円/当日4000円
出演:
灰野敬二
山本精一
他多数

5月3日(水・祝) 高円寺ShowBoat
灰野敬二 生誕記念公演


詳細は近日中に発表


5月13日(土) 新宿JAM
Nightclub of Particulates


開場 19:00 開演 19:30
料金 前売3500円 当日4000円(共に1ドリンク600円別)
渚ようこ(演奏:花園臨界実験所 (ギター・ベンジャミン・オイカワ、ベース・的場慎太郎、オルガン、ピアノ・たけやん(鍵盤屋)、ドラム・長谷革ナオヤ)
躍り子・デリシャスウィートス
灰野敬二( 本イベントの為に「哀秘謡」を再結成。メンバー未定)
DJ:DJ2741




6月12日(月)東京・六本木 Super Deluxe
『WAIT UNTIL DARK』


open 19:30/start 20:00
前売り 3000円/当日 3500円(ドリンク別)

灰野敬二
Giovanni Di Domenico
石橋英子
Joe Talia




6月25日(日)東京・六本木 Super Deluxe
Tokyo Flashback P.S.F. 発売記念
~Psychedelic Speed Freaks~
「生悦住英夫氏追悼ライブ」


open 15:30 / start 16:00 3.000 Yen adv / 3.500 Yen door (ドリンク別)
*入場料はP.S.F. Records 創始者、生悦住氏のご遺族へのお見舞金となります
予約受付
公式HP

灰野敬二+今井和雄
マヘルシャラルハシュバズ
Ché-SHIZU
馬頭將器+ 荻野和夫 (The Silence, ex:Ghost)
三浦真樹+横山玲
成田宗弘 (High Rise)
川島誠
à qui avec Gabriel
ヒグチケイコwith ルイス稲毛
長谷川静男
.es
冷泉
平野剛

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