A Challenge To Fate

私の好きな一風変わった音楽を中心に徒然に綴ったページです。地下文化好きな方は見てやって下さいm(_ _)m  

【灰野敬二 新ライヴ決定】7/23(月) 東京 KOENJI HIGH『灰野敬二 エレクトロニクス&ハーディ・ガーディ・ソロ』

2018年05月15日 00時44分56秒 | 灰野敬二さんのこと


KOENJI HIGH 10周年企画として、KOENJI HIGHで初の灰野敬二ソロ・ワンマン・ライヴを開催する。ソロ、グループ、コラボレーションなど多様な形態で国際的に活動を展開し、様々な楽器・機材の性能を独自の演奏技術で極限まで引き出す灰野のパフォーマンスの中でも、特異性が際立つエレクトロニクスと、楽器の特殊性ゆえに滅多に観ることの出来ないハーディ・ガーディを中心としたライヴは、音楽の秘密を露にする貴重な体験となるに違いない。

KOENJI HIGH 10th ANNIVERSARY
灰野敬二 エレクトロニクス&ハーディ・ガーディ・ソロ
7/23 (mon)
KOENJI HIGH

open/start 19:00/19:30
adv/door 4300円/4800円+1D

-Live-
灰野敬二
http://www.fushitsusha.com

-チケット-
5/27~ KOENJI HIGH店頭、e+
KOENJI HIGH EVENT PAGE

-入場順-
1.KOENJI HIGH店頭
2.e+
3.当日券

灰野敬二 Hurdy Gurdy Solo@PIT INN 2013/09/12 Keiji Haino


灰野敬二 Electronics Solo@O-Nest #1 2014/05/12 Keiji Haino


秘められた
音楽の秘密
暴き出す

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【えいたそモダニズム】Episode 19『王道チャイルド』ビートルズ/ストーンズ/ジミヘン/パープル/クリムゾン/クラプトン/エアロ/ガンズetc.

2018年05月13日 01時57分58秒 | ガールズ・アーティストの華麗な世界


「でんぱの神神」DVD第10弾発売記念シークレット"神"イベント&オリジナル特典お渡し会
2018年5月5日(土)
ご集合及びご整列時刻:11時30分/開演:12時30分(終演予定 14時30分)

五月五日のこどもの日に恒例のDVD購入者特典イベント。根本凪と鹿目凛が加入して7人組になって初めて。新メン二人の当惑ぶりが面白い相変わらずの内容は無いけど超楽しいイベントだった。ゲーム大会では最下位だったえいたそ☆成瀬瑛美さんが最後のダーツでまさかの大逆転で優勝。えいたそ推しの手に優勝特典「祝ビリテン!おめでとうござい枡(マス)!!」をもたらした。やはり瑛美は福の女神だった。



イベント終了後の特典会で前回のテーマ「成層圏」のミッションを成し遂げたオレに対して瑛美から「難しかったのにさすが、よくやった!」とお褒めの言葉を賜った。そして今回のテーマは?と問うと、考えて来たのか迷うことなく「チャイルド」と答えてくれた。「バッチリさ、こどもの日だからね」と言いながら名残惜しくも別れを告げた。瑛美の子供好きはでんぱヲタには知られている。特に幼女を見つけると声を掛ける不思議なお姉さんぶりは番組でも取り上げられた。


しかし時間が経つにつれて、何故英語なのかが気になってきた。恐らく「子供」はピンキー☆藤咲彩音さんのキャッチコピーの一部だから、たとえ名もないヲタクの妄想であれ、勝手に使っちゃ申し訳ないというメンバー思いの瑛美の真心が理由のひとつかもしれない。しかし瑛美の真心はそれほど単純じゃない。真意を明らかにする為にも真心を込めて妄想分析するしかない。

【えいたそモダニズム】Episode 19『王道チャイルド』

瑛美の口から「チャイルド」という言葉が出た途端にオレの頭の中には数曲のチャイルド・ソングが木霊した。それは何故かモノクロームの懐かしい記憶を呼び起こした。30余年前、未だ女子の手を握ったこともない純情な頃に聴いた「チャイルド」ソングの数々を発表順に辿ってみよう。

●ザ・ビートルズ『リトル・チャイルド』


1963年11月22日リリース。ザ・ビートルズ2作目のイギリス盤公式オリジナル・アルバム『ウィズ・ザ・ビートルズ』のA面5曲目に収録された。レノン=マッカートニーの作。ボーカルはジョン・レノンとポール・マッカートニーのコーラスによる。ジョンはハーモニカ・ソロも担当している。このハーモニカ・ソロはジョンの全キャリアの中でも最も熱のこもったものであり、ドライヴ感のある演奏を聴くことができる。

筆者が洋楽ロックを聴きはじめたのは1975年中1の頃だが、ビートルズの名前はその前から知っていた。中学のクラスメイトにビートルズ好きがいたが、筆者は「ビーチ・ボーイズの方がビートルズより先だぜ」と対抗していた。彼に『ホワイト・アルバム』を聴かされたがピンと来なくて『ペット・サウンズ』の方が凄いと豪語していた。『サージェント・ペパーズ』とちゃんと聴いてショックを受けるのは10年後大学3年だった。初期ビートルズのガレージロックもカッコいい。

The Beatles - Little Child - Lyrics



●ローリング・ストーンズ『チャイルド・オブ・ザ・ムーン』


1968年3月リリース。「ジャンピン・ジャック・フラッシュ」(Jumpin' Jack Flash) は、1968年に発表されたローリング・ストーンズの楽曲。作詞・作曲はミック・ジャガーおよびキース・リチャーズ。「サティスファクション」と並び、グループの代表曲の一つとされる。シングルのB面に収録された「チャイルド・オブ・ザ・ムーン」も、当時の日本のファンの間では「B面にしておくのがもったいないほどの傑作」と評価された。

大抵の場合ビートルズの対抗馬とされるローリング・ストーンズも筆者は余り聴かなかった。中学時代聴いていたラジオ番組「オール・ジャパン・トップ20」でジングル的に使われていた「黒くぬれ」と、ディーヴォやレジデンツがカヴァーした「サティスファクション」の2曲は心の名曲だが、アルバムは『サタニック・マジェスティーズ』しか所有していない。サイケ時代は嫌いじゃないが、ミック・ジャガーのユルい歌い方があっていない気がする。

The Rolling Stones Child Of The Moon HD



●ダイアナ・ロス&シュープリームス『ラヴ・チャイルド』


1968年9月リリース。ホーランド/ドジャー/ホーランドのモータウン離脱に伴って、新生シュープリームスとして新たな魅力を打ち出すことに成功、ダイアナ・ロスのソロも視野に入れ始めた1968年発表の意欲作。全米2位となった「ラヴ・チャイルド」他を収録。

ブラック・ミュージック、特にソウル/R&Bは苦手なジャンル。ファンクやヒップホップやラップもダメ。家にある黒人音楽は、ジャズを除くとチャック・ベリーとレニー・クラヴィッツしかない。モッズが好きなモータウンやノーザンソウルも聴く気がしない。ガールズグループはシュープリームスよりもロネッツが好き。ミュージック・レイシスト(音楽人種差別者)と呼ばれるかもしれない。

Diana Ross and The Supremes - Love Child [Ed Sullivan Show - 1968]



●ジミ・ヘンドリックス『ヴードゥー・チャイルド (スライト・リターン)』


1968年10月リリース。ジミ・ヘンドリックスの最高傑作と謳われ、ロック史上に永遠に残る名盤『エレクトリック・レディランド』。彼が全米チャートでNO.1を獲得した唯一のアルバムでもある。ロック、ブルース、サイケデリック、ファンク、ジャズ、ソウルなど様々な音楽性を取り入れ、融合させ、それらの間をシームレスに行き来する中から生み出された新たな音楽世界は、彼の偉大なる到達点を示すもの。ギター・プレイも本作にて絶頂期を迎えている。

中学3年生の卒業前にエレキギターを手に入れた。ジョニー・ウィンターに憧れてグレコのファイアーバード・モデル。ストラトキャスターを持っていたクラスメイトはトレモロアームでジミヘンの真似をしていたが、筆者は「アームを使うのは邪道」と言って、ファイアーバードに付いていたトレモロアームを取り外して売ってしまった。高校時代に映画『ウッドストック』のジミヘンのアメリカ国歌を観てアームの凄さを知り、大学に入ってから友達のストラトを譲り受けワウファズ&アームでギュワギュワやる羽目になる。

Jimi Hendrix Voodoo Child, Live at Stockholm '69



●サリアンジー『チルドレン・オブ・ザ・サン』


1969年1月リリース。当時、弱冠15歳だったマイク・オールドフィールドが19歳の実姉サリー・オールドフィールドと結成したフォーク・デュオ、サリアンジー唯一の作品。ペンタングルのノーザン・ジョセフがプロデュースを担当し、テリー・コックス、レイ・ウォーレイ等も参加。フルート、チェロ、ハープシコード等の古典楽器を駆使したファンタジックなフォーク・サウンドを展開。後のマイク・オールドフィールド作品のプロトタイプといえる一枚。

たぶん中学1年生の頃レコード店で流れていた繰り返しの多い曲が気に入って、親に頼んで買ってもらったのが映画『エクソシストのテーマ』のシングル盤。音楽担当はマイク・オールドフィールド。解説に載っていたサリアンジーというグループ名に惚れて、音を聴く前から好きなグループになった。大学時代に再発されたこのアルバムを聴いて、想像以上にファンタジックなサウンドに萌えまくった。サリー・オールドフィールドのソロ・アルバムはほとんどリアルタイムで購入した。

The Sallyangie- Children Of The Sun (1968)



●キング・クリムゾン『ムーンチャイルド』


1969年10月リリース。ザ・ビートルズの実質的ラスト・アルバム『アビー・ロード』を抜いて全英No.1を獲得したデビュー・アルバム『クリムゾン・キングの宮殿』。天才ギタリスト、ロバート・フィリップを核としたキング・クリムゾンはこの作品によって、70年代を象徴する音楽ジャンルであるプログレッシヴ・ロックの中心的な役割を担うとともに、それ以降のロック・シーンに多大な影響を与え続ける存在へと駆け上ることになった。

中2の頃に冨田勲のレコードでシンセサイザーが好きになり、シンセを使っているプログレに興味を持った。当時はジェネシスしか知らなかったが、高校時代に『Fool's Mate』『マーキームーン』といった雑誌でレコメン系やユーロロックを聴きはじめた。いわゆる三大プログレ(イエス、フロイド、クリムゾン)は苦手だったが、大学の音楽サークルで先輩のプログレバンド「KNIFE」にギターで加入し、最初にコピーしたのがキング・クリムゾンの『太陽と戦慄』だった。直後に80年代クリムゾン再結成でエイドリアン・ブリューのギターに夢中になった。しかしイエスやピンク・フロイドを聴くようになったのは21世紀に入ってからだった。

King Crimson Moonchild



●ディープ・パープル『チャイルド・イン・タイム』


1970年6月リリース。第2期ディープ・パープルの幕開けを飾るハード・ロック・バイブル『イン・ロック』!テンション溢れるリッチー・ブラックモアのギター、イアン・ギランのヴォーカルが火花を散らす。

ギター少年が最初に覚えるロックギターのリフはディープ・パープルの『スモーク・オン・ザ・ウォーター』というのは万国共通らしい。筆者の中学時代、キッスとエアロスミスからハードロックに入ったギター少年のお手本はリッチー・ブラックモアだった。しかし筆者のヒーローはジョニー・ウィンター。さらにパンクロックを聴いてすぐにギターの練習を放棄してしまったので、リッチーのギターをコピーした経験はない。今聴くとパープルの音楽はいろんな要素が入っていて面白いことに気がつくが、如何せん歌い上げるヴォーカルがダメ。

Deep Purple - Child In Time - 1970



●T-レックス『チルドレン・オブ・ザ・レボリューション』


1972年9月リリース。イギリスのグラム・ロック・バンド、T.レックスの曲。1972年発表のシングルで、全英第2位を獲得。ストリングスとビブラートのきいたコーラスをベースとしたグラム・ロックのスタイルを広めた曲。

1977年9月T-レックスのマーク・ボランが自動車事故で亡くなった時は日本の新聞でも報道されそれなりに話題になったが、パンクロックに夢中だった筆者にとってはピンと来なかった。グラムロックではアリス・クーパーが好きだったが、何故かイギリスのデヴィッド・ボウイやT-レックスは聴かなかった。大学に入って結成したニューウェイヴ・バンド「鰺tation」の最初のライヴでT-レックスの「20センチュリー・ボーイ」をカヴァーしてギターを破壊した思い出がある。

T. Rex : Children of The Revolution (HQ) 1972



●エリック・クラプトン『マザーレス・チルドレン』


1974年7月リリース。ソロ活動のレギュラー・グループを率いて全米1位に輝いたロック史上名盤中の名盤『461オーシャン・ブールヴァード』。プロデューサーはトム・ダウド。ボブ・マーリーのカヴァー「アイ・ショット・ザ・シェリフ」収録。暗い隠遁生活に終止符を打ったエリック・クラプトンが、本作で力強いカムバックを果たした。

ギターの神様と呼ばれたエリック・クラプトンはクリームやデレク&ザ・ドミノスは好きだが、レイドバックしたソロ作品はのんびりしていて聴く気がしなかった。特にレゲエっぽい曲は、黒人音楽が苦手な筆者にとっては最早ロックには聴こえない。その一方でザ・ポップ・グループやPILのダブは大好物だったりするのだから、人種偏見も大概にしなければならない。

Eric Clapton - Motherless Children (1985) HQ



●エアロスミス『ラスト・チャイルド』


1976年5月リリース。エアロスミスによる1970年代を代表するモンスター・アルバムでもある通算4枚目『ロックス』。まさにアメリカン・ハード・ロックの頂点に上り詰めた瞬間を切り取った作品であり、異様なまでに張り詰めたテンションのなか縦横無尽に暴れまくるバンドが作りあげた完全無比の傑作。

中学2年の時に買ったキッス『地獄の軍団』に続くハードロック・アルバム。遊園地のアトラクションのように分かり易いキッスに比べて、猥褻な意味を持つ歌詞やダーティなサウンドが大人の世界を感じさせた。しかし何故かのめり込めなかった理由は、ローリング・ストーンズに似たユルさ/だらしなさが体質に合わないからかもしれない。大学卒業後にアロエスミスというカヴァーバンドで学園祭に出て人気を博したこともあるのだが。。。今でもそれほど好きじゃない。

Aerosmith - Last Child (from You Gotta Move)



●ガンズ・アンド・ローゼズ『スウィート・チャイルド・オブ・マイン』


1987年7月リリース。伝説はここから始まった。圧倒的なパワーと完成度を誇るガンズ・アンド・ローゼズ衝撃のデビュー・アルバム『アペタイト・フォー・ディストラクション』。彼らの代名詞である「ウェルカム・トゥ・ザ・ジャングル」、全米No.1シングル「スウィート・チャイルド・オブ・マイン」ほか、ロック史に堂々と聳える金字塔と呼ぶに相応しい作品。

ガンズがセンセーションを巻き起こした頃、筆者はサラリーマンをしながらバンドをやっていた。他のメンバーはガンズに影響を受けて革ジャン&バンダナでメタル風に着飾ったが、筆者はメタルには苦手意識しかなく、イギリスのネオサイケやゴシックパンクに傾倒し、モノクロスタイルを貫いた。90年代にセカンド・サマー・オブ・ラヴの影響でタイダイやインド布のヒッピースタイルに転身し、USオルタナのREMやフレイミング・リップスは好きだったが、グランジはほとんど聴かずじまい。そのためにカート・コヴァーン自殺の衝撃はまったく経験/理解していない。筆者にとってのロック革命は70年代パンクで終わっている。

Guns N' Roses - Sweet Child O' Mine


以上の妄想分析によって暴き出されたのは、筆者が成長する上で食わず嫌いしてきた王道の音楽の重要性と魅力に他ならない。王道忘るべからず。しかし逆に考えれば、過去にスルーした音楽が多いということは、これから新たに体験できる未知の音楽がたくさん残されているということである。瑛美がオレに教えたかったのは、音楽の王道はまだまだ掘り甲斐があるから、子供(チャイルド)の頃と同じトキメキを忘れる必要はない、ということだろう。一言で言えば「BE CHILD(子供であれ)」である。



大人でも
子供のママで
BE CHILD

▼瑛美やメンバーが童心に帰れる曲

【愛踊祭2018】でんぱ組.inc『ムーンライト伝説』(エリア代表決定戦課題曲)
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灰野敬二 生誕記念公演 不失者@高円寺ShowBoat 2018.5.3(thu)

2018年05月09日 02時41分20秒 | 灰野敬二さんのこと


5月3日(木祝)東京 高円寺ShowBoat
灰野敬二 生誕記念公演 不失者

開場 18:00/開演 19:00
前売¥4,300/当日¥4,800(税別・ 別途ドリンク代¥ 600)
【出演】不失者 Fushitsusha



1978年に灰野敬二と白石民夫のデュオとして始動したとされるバンド「不失者」について灰野は以下のように語っている。

灰野:不失者は77年くらいでしょう。自分の中での不失者はその前から始まっているから。ただメンバーがいない。ソロ名義でやったときも不失者というマークは入れていないけど、俺の中では「不失者」だったんじゃないかな、ひとりであっても。だからそれをはじめにやっていたから、後にソロで「不失者」をやってたんだよ。だって「不失者たち」じゃないでしょ、「不失者S」でもなく。
JazzToykoインタビュー 灰野敬二:デビュー・アルバム『わたしだけ?』を語るより

つまり「不失者」とはメンバーがいるいないに関わらず灰野の中に存在しているのである。2012年の映画『ドキュメント灰野敬二』で描かれたように、不失者のメンバーは灰野により独自の音楽理論(「不失者理論」と呼ばれることもある)をみっちりと体得させられる。具体的な演奏法もあるだろうが、むしろ「音」「間」「リズム」への意識の仕方が重視されるのではないかと想像される。



主にトリオ、ときには4人組または2人組さらにソロとして、実体としては40年目となる不失者の現在進行形のライヴ・コンサートが灰野の66歳の誕生日に開催された。あえて固有名詞で記せば、灰野敬二(vo,g)、ナスノミツル(b)、Ryusuke Kiyasu(ds)。バンドは生き物だから当然毎日変化する。構成する個人の内面の変化、一対一の二人称の関係性の変化、トライアングルの三つ巴のバランスの変化、または一人が入れ替わったときにも変化する。しかしその中で関係性の形が変わっても最もブレが少なく、中心に確固たる意志を注ぎ込むのが灰野の存在であることは間違いない。過去のエピソードで「俺、不失者」と語ったと言われる灰野の言葉に嘘はない。入場前から仄かに漂う香の芳りと、ヴァイオリンの調べは会場の隅々まで不失者=灰野の世界に溺れさせ、聴き手の魂のトロけ方を促す溶液の役割を果たしている。



開演予定時刻を30分程過ぎて数個のキャンドルが灯された暗いステージに現れた不失者の演奏は、重厚なギターのストロークが完全に消失し、心のさざ波が聞こえそうなほどゆっくりとした間のとり方で次のストロークへ移行する超スローテンポの楽曲で幕を開けた。テンポ感とは特定の長さの連続した鼓動に支配されるものではない。その意味で不整脈より無呼吸症候群に近いかもしれない。脳や身体の一部が麻痺するような感覚に時間が巻き込まれて、音という空気のさざ波が生まれてから消失するまでの波形を靄のかかった聴覚と触覚で感じ取る人間の知覚の神秘に初めて触れた30分であった。そのまま感情の起伏と、逆に凍結するような冷静さを貫く2時間強の演奏にため息をつく暇もない。



20分の休憩のあと始まった2nd setは神に対する灰野からの存在証明請求に始まり、世に溢れる言葉の砲弾からの避難場所を求めても虚しいことはわかっていても尚更求めて止まない俗世の欲望愛好家にとって、「音」と「間」と「リズム」の奔流は浄化の行に他ならない。言葉と音楽の切っても切れない問題意識にのめり込みそうになりながら、催眠的なベースの伴奏で、歌に聴こえない歌を囁く灰野の魂まで、まだまだ遠くに在りて思ふばかりである。

アンコール
求める拍手
なりやまぬ




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【告知】5/20sun開催DJイベント『盤魔殿 Disque Daemonium 圓盤を廻す會 Vol.13』

2018年05月08日 23時39分40秒 | 素晴らしき変態音楽


盤魔殿 Disque Daemonium 圓盤を廻す會 Vol.13
La deuxième hérésie


2018.5.20(sun)
18:00 Open/Start  
Charge ¥1,000 incl.1drink
Shibuya DJ BAR EdgeEnd
Te:03-5458-6385

異端音楽+映像、2年めの怪異
Avant-garde, Noise, Industrial, Dark Ambient, Neofolk, Punk, Hardcore, Idol, Black Metal, Middle-east, Ethnic, Ritual, Medieval, UnderGround,… Everything Weirdness About Music!

DJ Qliphoth a.k.a. 宇田川岳夫
DJ Necronomicon a.k.a. 剛田武
DJ Vaby aka 大場弘規
DJ BEKATAROU aka 伊藤元
DJ amy aka モリモトアリオミ
DJ Fujii Masahide a.k.a. FJ
DJ Ipetam aka 福田理恵

★自由参加FREE ZONE有り
★来場者にZINE『盤魔殿アマルガム』無料進呈


【異端DJたちの聴かせどころ】
●DJ Qliphoth a.k.a. 宇田川岳夫
カレント93祭り。カレント93とその周辺をたっぷりと



●DJ Necronomicon a.k.a. 剛田武
テーマはJazz and far beyond。ジャズ喫茶ではなく、クラブジャズでも、Jazz The New Chapterでも、解体的交感でもない、盤魔殿ならではの「魔ジャズ」のフォルムをターンテーブルから召喚します。「ノンイディオマティック」を超えた「アンチイディオマティック」即興DJに挑戦。



●DJ Vaby aka 大場弘規
今回は古今東西フィメール・アーティスト&ヴォーカル(ヴォイス)のみで地下音楽テイストに拘りつつも、幼き頃に聴いた懐かしいマテリアルを含めてあなたのハートにお届けします!(笑)

Diamanda Galás & John Paul Jones - Skótoseme (live 1994)


Lydia Lunch with Retro/Virus *No Excuse*


meredith monk "book of days"


とべたら本こ(1)




●DJ BEKATAROU aka 伊藤元
電子音楽や灰野敬二さん等の
圓盤につきまして、
恐れ多くもディランをバックに
廻させていただきます…




●DJ amy aka モリモトアリオミ
世田谷区出身。堕空、餓鬼道などのバンドで和製キース・レヴィンの異名をとるも、突如表舞台から姿を消し、2018年よりDJとして再起




●DJ Fujii Masahide a.k.a. FJ
普段は山崎怠雅、南部輝久とのハードロックバンド「バラナンブ」、藤井政英ソロなどで演奏活動。過去には末期のYBO2、Differance、堕空、などで活動。DJは2010年くらいから。CDJでPost Punk、New Wave、Disco、Nu Disco、Industrial、goth、traditional folk、KPOP、Old Rock、などなどをミックス。

藤井政英 Fujii Masahide 「サテツ」 2017.04.30 阿佐ヶ谷Yellow Vision



●DJ Ipetam aka 福田理恵
今回は歌物です。
時代にこだわらず、深い精神性と、探究心の前衛を感じる楽曲をお届けします


photo by eba chan

前衛の
 未来のパワー
盤魔殿

Univers Zéro - La Faulx - Heresie (Original CD master)
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【進化する即興JAZZ】2018年5月クリス・ピッツィオコス Chris Pitsiokos:ツアー・スケジュール&リリース

2018年05月08日 08時39分42秒 | 素晴らしき変態音楽


NY即興シーンの若きサックス奏者クリス・ピッツィオコスの2週間にわたるヨーロッパ・ツアーが決定。自己のグループCP Unit、ドイツのサックス奏者フローリアン・ヴァルターやNYの不定形デュオTalibam!との共演、そして大友良英とのデュオ。特にヴァルターとは音楽情報サイト『JazzTokyo』の記事で知って興味を持ったピッツィオコスが直接連絡して実現したコラボだという。国境を越えて広がるピッツィオコスの活躍に期待したい。
Chris Pitsiokos 公式サイト

クリス・ピッツィオコス
CHRIS PITSIOKOS


TOUR SCHEDULE

CP Unit Tour feat. Sam Lisabeth (guitar), Henry Fraser (bass) and Jason Nazary (drums)
May 15th Max Fish / NYC
May 17th De Riumte Amsterdam, Netherlands
May 18th Moers Festival, Germany
Disc Review 『CP Unit/Before the Heat Death』

*****

May 19th Duo with Florian Walter at Moers Festival
Live Report&Interview フローリアン・ヴァルター JAPAN TOUR 2017

May 22nd with Talibam! at Magasin4, Brussels, Belgium
Disc Review『Talibam! / Endgame of the Anthropocene』『Talibam! / Hard Vibe』

*****

Duo Euro Tour with Otomo Yoshihide. We will play solos and duos
May 24th Instants Chavires / Paris
25th Cafe Oto /London
26th KAIOLA FESTIBALA/ Bilbao
27th Sobre o Porto/Porto
29th Club ZDB/Lisbon
30th Florence/Tempo Reale Festival
Live Report クリス・ピッツィオコス JAPAN TOUR 2017 札幌公演『大友良英スペシャル3days』


NEW RELEASE


Philip White and Chris Pitsiokos / Collapse
https://philipwhite.bandcamp.com/album/collapse


進化する
即興JAZZの
五月祭

CP Unit - at Record Shop, Brooklyn - March 24 2018
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【JazzTokyo #241更新】橋本孝之+内田静男 UH/パティ・ウォーターズ Patty Waters 6.12.17

2018年05月06日 09時22分30秒 | 素晴らしき変態音楽


JazzTokyo No. 241が更新された。特集は追悼セシル・テイラー。剛田武は以下の記事を寄稿。

『橋本孝之+内田静男 / UH Takayuki Hashimoto + Shizuo Uchida』

#1513 『橋本孝之+内田静男 / UH Takayuki Hashimoto + Shizuo Uchida』

消失する残響の往方(ゆくえ)を求めて
日本地下音楽シーンの個性派二人による音楽の消失した先にある表現の地平を垣間見せるミニアルバム。即興音楽の深みと味わいを強く感じさせる宝石の一枚。


『Patty Waters / 6.12.17』

#1521 『Patty Waters / 6.12.17』

伝説と呼ぶには生々しすぎる異端表現者の美学
30年の沈黙ののち再び活動を始めた異端の女性シンガー、パティ・ウォーターズが盟友ピアニスト、バートン・グリーン等と繰り広げた最新ライヴ音源。「伝説」と言う過去の亡霊を吹き飛ばす迫真性に満ちている。

似て非なる
沈黙と音楽の
二形態

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【GWアイドルビデオ拝見】爆裂女子/MMM/神激/ハミシス/ゑんら/おやホロ/バンもん/モ!/IVOLVE/コロコル/さっきの女の子、/でんぱ組

2018年05月05日 00時42分30秒 | ガールズ・アーティストの華麗な世界


5月病の季節到来。ゴールデンウィークは病みの季節のスタートダッシュか?あわせて女子アイドルの新曲・新MVが多数公開された。その中から筆者の気になる女子アイドルの新MVを紹介しよう。

●爆裂女子-BURST GIRL- 『GREAT FXXKING MY WORLD』

2018/05/02 に公開

あばれまくりのパンクアイドル4人組アイドルグループ爆裂女子-BURST GIRL-(ばくれつじょし)のMV。ひたすら全力疾走の前半はメンバー自身が扮するスラップスティックコメディが楽しい。ファンを交えたライヴシーンはヤラセ無しの本気の臨場感が胸に迫る。

ライブ会場限定CD発売開始!
「BURST GIRL」
価格¥1000


●Malcolm Mask McLaren 『Light on!!』

2018/05/01 に公開

イージーコア/メロディックハードコアを歌うパンクアイドルの新PV。スケートボードとストリートファッションの青春パンク定番ビデオはひたすらポジティブで開放感に満ちている。マスクをしていた1年前から華々しく変身。

3rd SINGLE「Light on!!」
発売日:2018年5月15日(火)
価格:1,000円+消費税


●神使轟く、激情の如く。『新世界エクソダス』

2018/05/01 に公開

神に使わされし楽曲派ミクスチャーロックアイドル、通称「神激」の新MV。ダンスシーンとメンバーそれぞれの個性派イメージシーンの組み合わせは、王道メロディととオルタナサウンドを融合したコンセプトに相応しい。


●ゑんら『リンネ転生』 

2018/05/01 に公開

元Dropのメンバーを中心に結成され2018年2月にデビューした「けむりのように変幻自在。枠にとらわれない」アイドルユニットの新MV。学園ものだが男子を巡る恋の争いを描いたちょっとシリアスな内容はアイドルヲタクが望むところだろうか。


●おやすみホログラム『世界の終わり』

2018/04/27 に公開

二人組ロッキンダンスユニット通称「おやホロ」の新曲。カメラマンのドキュメントと音楽ビデオの融合は、経費が安く内容が面白い一石二鳥の美味しいアイデア。いつもとひと味違うメンバーの姿にも注目。

おやすみホログラム 4th full album「4」
Spotify、iTunes、Apple musicにて2018/04:28 00:00より公開!
2018/05/23 より全国発売! 各サイトにて配信中


●HAMIDASYSTEM『S』

2018/04/27 に公開

「メロディック・エレクトロニカ」を標榜する4人組ハミシスこだわりのステージを映像で体験。MVともライヴ動画とも異なる「パフォーマンスビデオ」は独特のライヴ空間を見事に再現。しかし実際のステージを体験するに勝るものはない。

2018年4月29日発売!
HAMIDASYSTEM 2nd mini album「DERO X」 ¥2,000(税込)


●ゆるめるモ!(You'll Melt More!)『おこらないで』(Official Music Video)

2018/04/26 に公開

ニューウェイヴガールズグループ「モ!」の新ビデオ。コマ割りシーンの寸劇はニューウェイヴ系PVの定番だった。キャラの立ったメンバーだからこそオシャレなコミック感が魅力的。

ゆるめるモ!ニューシングル『HIPPY MONDAYS EP』
ベストアルバム『音楽よ回れ!! MUSIC GO ROUND ~ゆるベスト!~』(通常盤と初回限定盤の2種)
5月9日(水)発売!


●バンドじゃないもん!『BORN TO BE IDOL/恋する完全犯罪』



2018/05/01 に公開

アイドル界のミクストメディア「バンドじゃないもん!」のダブルAサイドシングルのMV2本。王道アイドルグラビア風とサブカルコスプレコミカル風の相反する2つのイメージはメンバー個々の魅力を増幅する。

バンドじゃないもん!「BORN TO BE IDOL/恋する完全犯罪」
2018.05.09 Release!

●さっきの女の子、『に遊びに誘われて』

2018/04/30 に公開

東京都内で活動する4人組女性ユニット「さっきの女の子、」の1st MV。夜の東京ロケとスタジオでのガチダンスシーンは新人グループの自己紹介として効果的。グループ名のTo Be Continued感が興味深い。


●IVOLVE『Humanoid Human』

2018/04/28 に公開

2017年9月にお披露目されたアイドルユニット、IVOLVE(イヴォルブ)の1stMV。グループ名は"IDOL(アイドル)"と"REVOLVE"(廻る、回る)を組み合わせた造語。ダンスシーンに歌詞を散りばめた作りはグループコンセプトを伝えるのに効果的。

IVOLVE 1stSINGLE「Humanoid Human」
2018.05.2 Release!

●Kolokol『スコール』

2018/04/30 に公開

PassCodeの所属事務所からデビューした新グループ「Kolokol」(コロコル)の1stMV。やはりダンスシーン中心の作りだが、暗い照明や逆光が多用されるのはPassCode流れの特徴。

5/13 1st Album 「nostalgia」 Release
[WEBSK-001] ¥2,000(tax in)

連休に
アイドルビデオ
豊作だ

●でんぱ組.inc『ギラメタスでんぱスターズ』


2017.12.30 at 大阪城ホール。成層圏へカセットテープを飛ばすMVもライヴパフォーマンスは爆裂するのみ。
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【視聴動画公開】トークイベント『EXTREME MUSIC〜ジャパノイズと地下アイドルを聴く』@外苑前Art & Spaceここから 2018.5.1(tue)

2018年05月03日 02時03分35秒 | ガールズ・アーティストの華麗な世界


【トークイベント】
地下アイドルへの招待
<エクストリーム・ミュージックとしてのジャパノイズと地下アイドルを聴く>
2018年5月1日(火)
外苑前ギャラリー「Art & Space ここから」
20:00開演  参加費無料 / 飲食持込みOK
出演:剛田武×鶴田恵一



GWの中日、メーデーとは言え仕事のある人も多い平日にも関わらず10人を超える来場者があり感謝したい。トークの内容は来場者だけのお楽しみなので公開しないが、当日視聴した曲を幾つか紹介したい。

●19/Juke / Volcano


●Throbbing Gristle - Discipline - restored


●非常階段/蔵六の奇病


●マゾンナ


●BiS階段 / 好き好き大好き


●非常階段 featuring ゆるめるモ!「解体的交歓」


●あヴぁ階段


●のいずペンギン


●・・・・・・・・・・/のいずくみきょく


●テンテンコ / なんとなくあぶない


●MikaTen/Angel Noise


●ZVIZMO (Tentenko + Atsuhiro Ito)


●沖縄電子少女彩


●Tincy


●HAMIDASYSTEM - 夜の箱庭


●LiLii Kaona「雨音」


●みんなのこどもちゃん 『起きたら死んでたい』


●Timisoara


●C.C.C.C. - Amplified Crystal


●Rudolf Eb.er & Junko Hiroshige


●【ORIYON】BiSH-星が瞬く夜に-【歌って踊ってみた】


●十四代目トイレの花子さん / ROSE OF KILLER


●NECRONOMIDOL - psychopomp



<GWノイズ×アイドルおススメイベント>


5月5日(土) 秋葉原CLUB GOODMAN
GIGAIDOL2
op12:30/st13:00
予約¥2800+1D
詳細はこちら

ギャラリーと
ノイズとアイドル
親和性

▼外苑前ギャラリー「Art & Space ここから」にて開催中。5月5日にはスペシャル・ライヴも!




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ペーター・ブロッツマン+ヘザー・リー+灰野敬二@六本木SuperDeluxe 2018.4.27 (fri)

2018年05月02日 00時59分47秒 | 灰野敬二さんのこと


ブロッツマン/リー/灰野敬二 
BRÖTZMANN / LEIGH Japan Tour 2018


開場 19:30 / 開演 20:00
料金 予約3000円 / 当日3500 (ドリンク別)
出演:
ペーター・ブロッツマン(サックス)
ヘザー・リー(ペダルスチールギター)
灰野敬二



中学生の頃ペダルスチールギターを買おうと思っていた。ラジオで聴いた洋楽に憧れてギターを弾きたいと思って訪れた楽器屋にあったテーブルのような弦楽器の威容に、他人と違うものに惹かれる自意識過剰な少年は魅了されたのだ。弦を指で押さえなくても弾ける手軽さと、ペダルで音を変化させられるなんてシンセサイザーみたい、などと勘違いして本気で買おうと考えたが、一台10万円近い高額だったので諦めるしか無かった。70年代半ばの日本ではハワイアンやカントリーウェスタン専門のスチールギターが普通に楽器屋に並んでいたのである。そのときスチールギターを買っていたら、パンクやプログレをやることは無かったかもしれない。いや、もしかしたらスチールギターパンクスとして華々しくデビューしていたかも。

そんな筆者の妄想を身を以て実践するのがヘザー・リーというアメリカ出身女性アーティストである。スチールギターの不安定な音程を逆手にとった即興演奏は、心のゆらぎをそのまま音に転化した「イントロスペクション(内観法)」に他ならない。リーの奔放な歌声も過激さよりもエレガントに体内に蓄電されたアドレナリンを放電する。そんな「Calm(穏やか)」で「Fragile(こわれもの)」に見える彼女の世界が、「鉄人」「サックスのヘラクレス」と呼ばれる猛者ペーター・ブロッツマンの肉体派プレイと合体するとは意外だった。しかし2015年の初共演以来、二人はレギュラー・ユニットとしてツアーしCDを3枚リリースして来た。今年は3〜4月に灰野敬二を加えたトリオでヨーロッパツアー、そして4月はデュオで初の日本ツアーを敢行。日本の後はオーストラリア・ツアーだという。

10公演に亘る日本ツアーの最終日は灰野敬二をゲストに迎えたスーパーデラックスらしいプログラム。ヨーロッパツアーで培ったトリオ演奏への期待に満場の観客が集まった。組み合わせを変えて3セット、のべ約2時間の演奏。

■ 灰野敬二 × ペーター・ブロッツマン


ブロッツマンがテナー、灰野がドラムでスタート。豪快なブローに居合い抜きの打撃音が切り込む鋭角的な演奏。灰野がギターに持ち替え歪んだトーンで雷のように絡み、時に生々しいヴォーカリゼーションを聴かせる。ブロッツマンは動ずること無くバラード調の朗々としたメロディーを吹き続ける。最後に灰野がマイクをパーカッションのように叩き体内の鼓動で激情を突き上げる。

■ 灰野敬二 × ヘザー・リー


水が滴るようなスチールギターとエレキギターの爪弾きが厳か響く中、リーのファルセットヴォイスが天を舞う。しかしそれは天使の囁きではなく、遠い峡谷から木霊する邪神の呼び声のよう。聴き手の皮膚を通過して血液を濾過する静寂の嵐は、じわじわと心の臓に浸透し時間感覚を狂わす微睡みの中へ沈没していく。筆者の心の奥から10年以上前に早稲田ジェリージェフで観た灰野のソロライヴの感覚が蘇って来た。

■ ペーター・ブロッツマン × ヘザー・リー × 灰野敬二


ブロッツマンとリーのデュオでスタート。これまでの音源でも聴ける、サックスの咆哮とスチールギターのドローンが共存するメディテーショナルな演奏。灰野が二管の笛で加わり、素朴な音色で瞑想を自然界へと解放する。おもむろに「義務」についての灰野の弾劾の言葉が発せられ、瞑想の鎖が断ち切られる。覚醒した演奏家は徐々に音量と意志の鬩ぎあいを高めていくが、感情のままに轟音の嵐に突入すること無く、厳かに儀式の締めくくりの鎮魂歌が奏でられ、強固な意志の交わりは終焉を迎えた。アンコールの拍手は無かった。

来年78歳を迎える鉄人ペーター・ブロッツマンの創造の泉は若きヘザー・リーとの出会いによって新たな湧き水に潤っている。灰野の他にも大友良英、豊住芳三郎、本田珠也等と交歓した日本ツアーが彼らの今後の活動にインスピレーションを与えたことは間違いない。創造行為は年齢ではなく、魂の触れ合いによって深化するのだから。

Peter Brötzmann / Heather Leigh / Keiji Haino world premiere Porgy&Bess, Vienna, Austria 2018-03-30


流れ出す
創造の川の
水面かな

【灰野敬二ライヴ・スケジュール】


5月3日(木祝)東京 高円寺ShowBoat
灰野敬二 生誕記念公演 不失者
開場 18:00/開演 19:00
前売¥4,300/当日¥4,800(税別・ 別途ドリンク代¥ 600)
【出演】不失者 Fushitsusha




7月6日(金)六本木SuperDeluxe
<不失者はここから始まった>
灰野敬二
白石民夫

詳細COMING SOON
コメント (1)
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