先日、キョンの生態を調べたくて来島した、Kさんを案内しました。
キョンは台湾産の小型(柴犬サイズ)の鹿です。
大島では動物園から逃げ出した個体が増え、農作物被害も出ています。
房総半島でも逃げ出したキョンが増え続け、防除対象になっているとのこと。
Kさんは大学時代、野生動物の研究をしていて、特にヌタ場(野生動物の水浴び場)について調べていたそうです。
「このぐらいのサイズの、枯れない水たまりがあると、鹿やタヌキなど色々な動物がやって来るんですよ。」とKさん。フムフム…。

と、言うことで、ツアー前半は普通に火山を回ったものの、後半は完全にキョン調査となりました。
三原山のふもとには、キョンの足跡がたくさん残っています。

今までは、ただバラバラの足跡があるようにしか見えませんでした。
でもKさんは「キョンには“いつも使う道”がある」と、教えてくれました。
足跡を丁寧にたどってみると、それは写真中央の三角の中に向かっていました。
奥は草がトンネルのようになって、藪の中に続いています。

キョンの目線になってみたら、立派な道がたくさんあるように思えて来ました。
キョンの足跡は、溶岩を避けて道を横断しています。

フカフカの、歩きやすいところが好きなのですね。
「あ、ここ、キョンが足滑らした跡ですよ」とKさん。

確かに、小さな足跡がついていました。
「道がいっぱいある!」と、薮に入って観察するKさんです。

「これ、キョンが食べた跡ですよ。背が届く高さのものは、みんな食べられてる!」

教えてもらって、道の両脇の植物に注目してみたら、本当にたくさんの葉が食べられていました。
特に“ツルマサキ”は、好物のようで…

ほとんど、茎だけに!
こんなに食べ尽されていのですね…衝撃!
この目線で見ると、衝撃度が増します(笑)

この日見た植物の中で、ツルマサキ以外にキョンに好まれていたのは、アオキ、モクレイシ、ヤブラン、等でした。また逆に低い位置にありながら、まるで食べられていないのは、オオシマカンスゲ、シロダモ、シダ類でした。
この中でシロダモは、虫除けにもなる樟脳を産出するクスノキ科だから納得できるとして、他のものはどうなのでしょう?固い、マズい、食べるとお腹をこわす等、何か理由があるのでしょうか?
以前カルデラ内の樹海で、キョンの死骸を見たことがあるのを思い出し、立ち寄ってみました。
道の両脇のアオキの葉は、このように少しかじられただけのものも、ありますが…

キョンの背が届くところのものは、ほとんどが茎だけになっていました。

この勢いでは、新しく芽生えるアオキは、成長する前にみんな食べられてしまいそうです。
鹿は、背の届かない高さの葉を食べるために、体で茎を倒すとのことで…

「こうやって、エイっとのしかかって、茎を倒して食べるんですよ。」と、実演してくれました。
なるほど~。
森の中には、キョンのコロコロの糞も落ちていました。
黒いのが糞です。

ちなみに赤いのは、前日の農作業の手伝いでできた、マメだそうです。
(同じサイズです~笑)
そしてこの日、森の中で不思議な風景に出会いました。
この形…

これはキョンのお腹がゆるい時の糞らしいのですが、これがある範囲に集中して落ちていたのです!
10数mの範囲に15cmぐらいの間隔で、落ちていて、糞を踏まずには歩けないぐらいでした。

ここでいったい何が、起こっていたのでしょうか?
キョンが便所の場所を決めている?
繁殖のため集まって、興奮して糞をした?
寝床にしていて、活動前に糞をする?
なんだか、どれも違うような…??
あ~、ここでキョンが何をしてるのか知りたい~!
すっかりキョンに取り付かれた私は、昨日の午後も山に行ってきました。
足跡のいっぱいある場所で待っていれば、キョンに会えるような気がしたのです。
しかし…

会えませんでした。
私より1時間以上前から粘っていた柳場、寒そうです。
夕方になったので、諦めて帰ることにしました。。

この景色の中に、何頭のキョンがいるのかなぁ…?
そして、車に乗って下山しはじめた時のこと…。
先に走っていた柳場が、牧場で車を停め、何かの写真を撮っていました。
キョンです!

夕日を浴びて、じっとこちらを見ているキョンの姿。
待っていた時間に報いるかのように、その姿を見せてくれたようです。
(待ち時間の短い私は、見ることができませんでした・笑)
写真に写っていたキョンの姿には、自然の中で生きる動物の凛とした気品が感じられて、ちょっと悲しくなりました。彼らはただひたむきに、生きているだけなのですが…。
大島動物公園で聞いたところによると、現在伊豆大島には推定4500頭のキョンが生息し、猟銃や網などで年間約800頭を捕らえ、処分しているとのこと。
それで現状維持の数を保っているとのことです。
実際には、増えているような実感がありますけれど…。
アシタバ畑のキョンの食害、野生の植物への影響、いちど崩れたバランスを、立て直すのはとても大変です。
これからのキョンの行く末を、見守りたいと思います。
(カナ)
キョンは台湾産の小型(柴犬サイズ)の鹿です。
大島では動物園から逃げ出した個体が増え、農作物被害も出ています。
房総半島でも逃げ出したキョンが増え続け、防除対象になっているとのこと。
Kさんは大学時代、野生動物の研究をしていて、特にヌタ場(野生動物の水浴び場)について調べていたそうです。
「このぐらいのサイズの、枯れない水たまりがあると、鹿やタヌキなど色々な動物がやって来るんですよ。」とKさん。フムフム…。

と、言うことで、ツアー前半は普通に火山を回ったものの、後半は完全にキョン調査となりました。
三原山のふもとには、キョンの足跡がたくさん残っています。

今までは、ただバラバラの足跡があるようにしか見えませんでした。
でもKさんは「キョンには“いつも使う道”がある」と、教えてくれました。
足跡を丁寧にたどってみると、それは写真中央の三角の中に向かっていました。
奥は草がトンネルのようになって、藪の中に続いています。

キョンの目線になってみたら、立派な道がたくさんあるように思えて来ました。
キョンの足跡は、溶岩を避けて道を横断しています。

フカフカの、歩きやすいところが好きなのですね。
「あ、ここ、キョンが足滑らした跡ですよ」とKさん。

確かに、小さな足跡がついていました。
「道がいっぱいある!」と、薮に入って観察するKさんです。

「これ、キョンが食べた跡ですよ。背が届く高さのものは、みんな食べられてる!」

教えてもらって、道の両脇の植物に注目してみたら、本当にたくさんの葉が食べられていました。
特に“ツルマサキ”は、好物のようで…

ほとんど、茎だけに!
こんなに食べ尽されていのですね…衝撃!
この目線で見ると、衝撃度が増します(笑)

この日見た植物の中で、ツルマサキ以外にキョンに好まれていたのは、アオキ、モクレイシ、ヤブラン、等でした。また逆に低い位置にありながら、まるで食べられていないのは、オオシマカンスゲ、シロダモ、シダ類でした。
この中でシロダモは、虫除けにもなる樟脳を産出するクスノキ科だから納得できるとして、他のものはどうなのでしょう?固い、マズい、食べるとお腹をこわす等、何か理由があるのでしょうか?
以前カルデラ内の樹海で、キョンの死骸を見たことがあるのを思い出し、立ち寄ってみました。
道の両脇のアオキの葉は、このように少しかじられただけのものも、ありますが…

キョンの背が届くところのものは、ほとんどが茎だけになっていました。

この勢いでは、新しく芽生えるアオキは、成長する前にみんな食べられてしまいそうです。
鹿は、背の届かない高さの葉を食べるために、体で茎を倒すとのことで…

「こうやって、エイっとのしかかって、茎を倒して食べるんですよ。」と、実演してくれました。
なるほど~。
森の中には、キョンのコロコロの糞も落ちていました。
黒いのが糞です。

ちなみに赤いのは、前日の農作業の手伝いでできた、マメだそうです。
(同じサイズです~笑)
そしてこの日、森の中で不思議な風景に出会いました。
この形…

これはキョンのお腹がゆるい時の糞らしいのですが、これがある範囲に集中して落ちていたのです!
10数mの範囲に15cmぐらいの間隔で、落ちていて、糞を踏まずには歩けないぐらいでした。

ここでいったい何が、起こっていたのでしょうか?
キョンが便所の場所を決めている?
繁殖のため集まって、興奮して糞をした?
寝床にしていて、活動前に糞をする?
なんだか、どれも違うような…??
あ~、ここでキョンが何をしてるのか知りたい~!
すっかりキョンに取り付かれた私は、昨日の午後も山に行ってきました。
足跡のいっぱいある場所で待っていれば、キョンに会えるような気がしたのです。
しかし…

会えませんでした。
私より1時間以上前から粘っていた柳場、寒そうです。
夕方になったので、諦めて帰ることにしました。。

この景色の中に、何頭のキョンがいるのかなぁ…?
そして、車に乗って下山しはじめた時のこと…。
先に走っていた柳場が、牧場で車を停め、何かの写真を撮っていました。
キョンです!

夕日を浴びて、じっとこちらを見ているキョンの姿。
待っていた時間に報いるかのように、その姿を見せてくれたようです。
(待ち時間の短い私は、見ることができませんでした・笑)
写真に写っていたキョンの姿には、自然の中で生きる動物の凛とした気品が感じられて、ちょっと悲しくなりました。彼らはただひたむきに、生きているだけなのですが…。
大島動物公園で聞いたところによると、現在伊豆大島には推定4500頭のキョンが生息し、猟銃や網などで年間約800頭を捕らえ、処分しているとのこと。
それで現状維持の数を保っているとのことです。
実際には、増えているような実感がありますけれど…。
アシタバ畑のキョンの食害、野生の植物への影響、いちど崩れたバランスを、立て直すのはとても大変です。
これからのキョンの行く末を、見守りたいと思います。
(カナ)