韓国を「敵」とする安倍政権

　もと徴用工の個人賠償の問題は、日韓条約によって決まっているわけではない。このことについては、何度もここに書いている。

　安倍政権は、韓国を「敵」とすることによって支持率をあげようとしている。メディアも積極的に安倍政権を支援している。それにより、国民も、韓国から不当な請求がおこなわれたと誤解して、安倍政権と歩調をあわせているようだ。

　しかし、安倍政権やメディアの公報戦略にのってはいけない。

　現在、“韓国は敵なのか”という署名活動が行われている。ぜひ賛同して欲しい。

フェイスブックの恐怖

　私はFacebookには手を出さない。Twitterにもである。そもそもネットに多くの時間をかけるのは、人生の上でムダだと思っているからだ。

　しかし多くの人々は、Twitterに次々と文を送っている。良心的な人びとは、有益な情報をきちんとだしていかないと思って、ある意味犠牲的精神で情報発信をしているのだろう。ごくろうさま、といわなければならない。

　そういう良心的な情報発信は、しかし多くはない。多くは個人的なつぶやきであろう。だが、その裏に、カネ儲けのために悪巧みをする者がいる。

　イギリスのEU離脱、トランプの当選・・・、FacebookやTwitterを駆使して、人びとの政治的志向などを変え、ある方向に世論を持っていこうという者が暗躍している。カネや政治力を持つ者たちだ。

　民主主義は、操作されているのだ。

退会者が続出？
人をつなぐどころか「兵器と化した」プラットフォーム─大手テック驚きの不道徳

days japanのこと

　月刊写真誌の　DAYS　JAPANのバックナンバーをすべて捨てた。リサイクルの箱に、残っていたものもすべて投げ入れてきた。昨日書庫の中に残っていたので引っ張り出してきた。

　最後の号で、検証委員会がどうのこうのと書いてあったが、DAYS　JAPANのホームページを見ても、その後の検証がない。結局、有耶無耶のうちに葬り去ろうということなのだ。

　傍目から見てDAYS　JAPANは立派なことをしていたのだから、広河氏がパワハラなどをしていたことについて、きちんと検証していれば、私もDAYS　JAPANのバックナンバーをすべて捨てることはしなかっただろう。しかしきちんと検証する気持ちはさらさらなかったようだ。

　ならば捨てるしかない、と私は思った。

　検証しないということは、広河氏がセクハラ、パワハラを繰り返し行ってきたことがそのままのかたちで残されるということなのだろう。広河氏の業績は、けじめをつけないことにより、より明確に歴史のくずかごに捨てられたということだ。

　私は準備号からの購読者であった。

昨日の『東京新聞』社説

　『東京新聞』社説（8月11日附）、なかなか格調高く、主張も明確である。

週のはじめに考える　強制隔離に抗った医師

2019年8月11日


　ハンセン病患者や元患者、家族に苦難を強いた国の強制隔離政策。医学的見地からその非人道性と闘った人がいました。京都帝国大の小笠原登医師です。

　小笠原登は、一八八八（明治二十一）年、愛知県西部の甚目寺（じもくじ）村（現あま市）の真宗大谷派円周寺に生まれました。

　祖父の啓実（けいじつ）は漢方医でもあり、小笠原は京都帝大で医学を学びます。一九二六（大正十五）年から大学病院でハンセン病（らい病）治療を担当。三八（昭和十三）年には、ハンセン病患者の診察・研究に当たる皮膚科特別研究室主任となりました。
◆臨床から「感染力弱い」

　感染力が弱く、特効薬で完治するハンセン病ですが、当時は感染力が強く、「不治の病」ともされていました。国は三一（昭和六）年、らい予防法（旧法）を制定して、すべての患者を強制的に隔離することを法制化します。

　患者らは家族との離別を強いられ、療養所への入所後には、本名を捨て改名することを余儀なくされました。非人間的な扱いをされた患者や元患者だけでなく家族も偏見や差別にさらされます。筆舌に尽くしがたい苦難や苦痛を、国の誤った政策が与えたのです。

　小笠原は祖父からの言い伝えや自らの臨床経験を通じて、ハンセン病に関して異なる見解を持ち、治療に当たっていました。

　強制隔離が法制化された三一年には「らいは不治の疾患である」「らいは遺伝病である」「らいは強烈な伝染病である」という三点を「迷信」だとして、国の強制隔離政策に挑戦するかのような論文を発表します。

　この年からはハンセン病患者の診断書には「らい性」という病名を抜き、「神経炎」「皮膚炎」などと書いて、患者が隔離されないようにした、といいます。
◆人権侵害、戦後も続く

　京都帝大医学専門部時代に小笠原に師事し、後に旧厚生省医務局長などを歴任した大谷藤郎（ふじお）さんは生前、本紙の取材に「小笠原先生はマスクも手袋も何も着けずに、普通の外来患者と同じにやるんです。当時の国立療養所では、宇宙服みたいなものを着て患者と接していましたから、あれには、びっくりしました」と語っています。

　強制隔離政策の歴史に詳しく、小笠原が残した日記を分析、研究している敬和学園大（新潟県新発田市）の藤野豊教授は「小笠原は、医学的知見から隔離する必要はない、体質を改善すれば一生（発症を）抑えられる、人生や生活を奪ってまで隔離する病気ではないと考えていた」と話します。

　感染力が弱い伝染性の疾患であれば、免疫力を高めれば予防、治癒できるのは、今では当然です。

　しかし、小笠原の学説は学界に受け入れられず、強制隔離政策は継続されます。国の指示で都道府県などによる「無らい県運動」も展開されました。全国で「患者狩り」が行われ、患者は療養所に強制的に収容されていきました。

　太平洋戦争が終わり、基本的人権の尊重が明記された日本国憲法の施行後も国の隔離政策は変わらず、元患者や家族に対する偏見や差別が続きます。有効な薬が開発され、治療法が確立されてからも強制隔離を正当化するらい予防法が新法として残ったからです。

　大谷さんは厚生省在官中、入所者の待遇改善に努める一方、らい予防法はそのまま存置していました。ハンセン病は解放され、法律は「死に法」と化したと考えていましたが、退官後、これが間違いだと気付きます。法律が存在する限り、結婚や就職、教育などの差別は残るからです。

　らい予防法が廃止されたのは九六年でした。大谷さんは廃止に尽力し、元患者が隔離政策を憲法違反と訴えた国家賠償請求訴訟では「人間の尊厳を傷つけるらい予防法の制定は誤りだった」と証言しました。非人道的な強制隔離政策と闘った小笠原の姿が、大谷さんの心を動かしたといいます。

　大谷さんは生前こう語っています。「憲法にはすべての国民が人間らしく生きる権利を持つと書いてあります。健常者も、障害や病気、経済的に困っている人も、互いに人権を認め合い、共に生きる社会を目指さねばなりません」
◆「共生社会」を目指して

　七月の参院選では重い身体障害がある二人が当選しましたが、二人の登院を「迷惑行為」とするインターネット上の投稿が、多くの賛同を得る事態が起きています。

　偏見や差別の芽は、国の政策だけでなく、私たち自身の中にもあります。それを克服しなければ、互いが人権を尊重し、共に生きる社会はつくれません。

　学界と対立する孤立無援の中、ハンセン病は治るという信念を貫き、国の隔離政策に抗（あらが）った医師、小笠原登。その生きざまは、私たちに進むべき道を示しています。