浜名史学

歴史や現実を鋭く見抜く眼力を養うためのブログ。読書をすすめ、時にまったくローカルな話題も入る摩訶不思議なブログ。

旅立たれる人々

2023-03-19 19:11:52 | 読書

 今朝、娘から義母が亡くなられたという連絡を受けた。

 最近、亡くなられる方が増えた。新型コロナ第八波では、世界で最も日本の死者が多く、またコロナ感染でない方の死者も多いと報じられている。

 先日、作家の大江健三郎さんも亡くなられた。今日、書庫から『大江健三郎同時代論集』(岩波書店)の1を持ち出した。出版されたときに、全巻購入してあったもので、ずっとしまい込まれていた。せっかく揃えているのだから、読まなければと思った。大江健三郎さんは、作家でありながら、戦後日本の民主主義を大切にしようと努力されてきた方である。政治社会状況に対しての発言を、しっかりと読み込もうと思う。

 書庫には、『山辺健太郎・回想と遺文』(みすず書房)があったので、これも持ち出し、寝転びながら山辺健太郎という人物に対する回想の数々を読み始めた。

 山辺健太郎は共産主義者であり、活動家であった。1926年の浜松日本楽器争議にも参加している。戦後は活動家というより、歴史研究者として知られている。『日韓併合小史』、『日本統治下の朝鮮』(いずれも岩波新書)、みすず書房の『現代史資料』の「社会主義運動」などを編纂・刊行している。

 さてその『・・・回想と遺文』であるが、活動家諸氏とともに歴史研究者も文を寄せている。遠山茂樹、松尾尊兊、犬丸義一・・らである。そこに寄稿された方々の多くもすでに鬼籍に入られている。これらの方々も戦後歴史学を担われてきた方々である。

 「戦後」というのは、平和と民主主義、経済成長で特徴づけられると思うが、今はそれらが消えかかっている。最近の軍備増強の動き、台湾危機などが叫ばれているが、平和と民主主義が無視され、「戦前」といってもよい大きな変化が生じている。

 私は、これら「戦後」を担ってきた人々がのこされた様々な著作をしっかりと読み、後に時代に引き継いでいかなければならないと思う。

 

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