「だまされるな!」は、『週刊金曜日』の巻頭、田中優子さんの「2025年の風景」の末尾にあることばである。
「見せかけの改革とその裏の何も変えようとしない怠惰が、25年の姿に思える。だまされるな!これが年の初めの呼びかけだ。」
しかし、ほとんどの人びとは、自分たちが「だまされている」なんて思っていない。こんなにも物価が上昇していても、それは自然現象と同じなのである。「物価が高くなる」、「今日は寒くなる」・・・「なる」のであって、誰かが「する」ものではないのだ。
昨日の『東京新聞』一面トップは、「別姓かなえた海外婚」「待ち続け40年 しびれ切らした」であり、なかなか日本で実現しない夫婦別姓を実現すべく、海外で夫婦別姓による結婚を行うという人がいる、という記事だ。
夫婦別姓というのは、世界では当たり前のこと。日本でも、以前に記したが、明治の初期までは別姓であった。夫婦同姓は、近代につくられた「新しい伝統」なのである。わたしがよくいうのは、源賴朝の奥さんの名は?と尋ねる。答えは北条政子である。日本でも、夫婦別姓の歴史の方が長いのである。
夫婦別姓にとってなにが障害となっているかといえば、超がつくほどの保守勢力(ウルトラ右翼)である日本会議(神社本庁など、近代日本で優遇された勢力、明治以後の夫婦同姓の時代にいい目を見た人びと)やかの統一教会(韓国では夫婦別姓があたりまえ、統一教会の教祖は文鮮明、奥さんの姓は韓であるのに、なぜか日本では夫婦同姓を支持する)、それに支援されている自由民主党の議員達が選択的夫婦別姓に強固に反対しているからだ。
「実現しない」のではなく、彼らが「実現させないようにしている」からだ。社会現象は、誰かが何らかの工作をしているから起きているのである。
最近ガソリン価格が上昇している。世界各地で紛争が起きていることも背景にあるが、ガソリン価格を引き下げることはできる。ガソリン価格には税金がたくさんかけられている。こんなことは常識であるが、とりわけ暫定税率といわれる1㍑あたりの25.1円をなくせばよいのだ。
また物価上昇に伴い、政府に入る消費税が大幅に増えている。庶民は、物価高騰に苦しんでいる。わが家も苦しくなっている。しかし自民党・公明党政権は、消費税を下げようとする気配もない。れいわ新選組だけが「消費税廃止」を主張しているが、これは正しい政策だ。消費税導入、消費税の税率アップに伴い、同時並行的に行われたのが、法人税の引き下げである。法人税の引き下げ分を消費税に肩代わりさせる、そういう政策がおこなわれてきたのだ。現在企業がウハウハしながら内部留保を増やしているのは、自民党・公明党政権の政策によるものだ。
現在の社会現象の内、庶民の生活を苦しめている事象は、すべて自民党・公明党政権が引き起こしているといっても過言ではない。
「だまされるな!」というとき、みずからがだまされているという認識がなければならない。日本の庶民がそういう認識をもつことができるか、わたしにはそれがわからない。