浜名史学

歴史や現実を鋭く見抜く眼力を養うためのブログ。読書をすすめ、時にまったくローカルな話題も入る摩訶不思議なブログ。

「なぜ」を問うこと

2015-01-26 08:34:41 | 政治

 事件というものは、それに連なる前史というものがある。このブログで何度も書いているように、なぜ「イスラム国」が存在しているのかというと、「イラクのアルカイダ」というものができたからだ。あの香田さんを殺害した集団である。ではなぜ「イラクのアルカイダ」ができたのかというと、イラクのフセイン政権が倒されて、イラクの政治秩序が破壊されたからだ。ではなぜフセイン政権が倒されたかというと、アメリカのブッシュ政権が、イラクは「大量破壊兵器」をもっているという虚偽を振りまいて軍事侵略を行ったからだ。

 アメリカのイラク侵攻が現在の中東の混乱を招いたのである。

 しかしこの混乱を自国がつくりだしたものだという自覚もなく、空爆によって「イスラム国」を「壊滅」にもっていくのだと、オバマは勇ましく語る。しかし、アメリカはフセイン政権のあとイラクの政治秩序をつくりあげることができないままに撤退していったのだ。地上軍ですらできなかったものを、空爆だけでできるわけがない。まったく無責任きわまりない!アメリカという国家はそういう国だ。

 そういう国に尾を振ってついていこうというのが日本だ。

 シリアの混乱も、シリアのアサド政権がアメリカの「敵」だから、アサド政権の「敵」は、「敵の敵は味方」だからというアホらしい論理で、シリアの反政府勢力に様々な支援を行ってつくりだしたものだ。

 「今」の事態だけに関心を抱くのではなく、なぜ「今」があるのかを知らなければ、本当の解決への途はわからない。

 なおイスラム世界の怒りは、イスラエル問題だけではなく、「イスラム国」が「十字軍」ということばをつかったが、まさに11世紀に開始されたキリスト教徒による「十字軍」の記憶もあるはずだ。キリスト教徒は、そのなかで多くのムスリムを虐殺している。歴史の中で蓄積された西欧世界によるイスラムへの差別・抑圧政策が、怒りの背景でもある。

 中東の問題は、世界史への関心を喚起している。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 I am not Abe. I am Kenji.

2015-01-25 21:32:55 | 政治

 金曜日の報道ステーションで、もと官僚の古賀氏が、フランスで行われた反テロのデモの際に見られたスローガンをまねて、I am not Abe.というアピールをすべきだと言っていた。

 安倍首相は、後藤さんが「イスラム国」に拉致されていることを知りながら、カイロで反「イスラム国」の演説をし。さらにイスラエルでネタニヤフとと並んでここでも演説をした。

 好戦的な安倍政権。アメリカやイギリスなどのキリスト教国が主導する反イスラム的な国々の一員となるべく、安倍政権はそのための政策を矢継ぎ早に展開している。それはもちろん安倍政権が開始したわけではない。それは下記の記事(部分)が記している。

 『毎日新聞』の報道-イスラム国拘束:「日本は十字軍に参加した」根強い敵対

毎日新聞 2015年01月24日 20時16分(最終更新 01月25日 20時50分)

 【カイロ秋山信一】イスラム過激派組織「イスラム国」とみられるグループが日本人2人の殺害を予告し、身代金を要求した事件で、犯行グループは、 日本政府がイスラム国対策として2億ドル(約235億円)の拠出を表明したことについて「十字軍(米欧)に参加した」と非難した。政府は難民支援など「非 軍事分野」と強調するが、日本を「米欧諸国の一員」とみなすイスラム過激派の敵対姿勢を変えさせるのは困難だ。多神教や無神論を蔑視する風潮も強く、今後も日本が過激派の標的から外れる可能性は低い。

 1997年に起きたエジプト南部ルクソールでの銃乱射事件で、日本人10人を含む62人が殺害されるなど、イスラム過激派のテロに日本人が巻き込まれるケースは以前からあった。だが2003年のイラク戦争後、自衛隊がイラクに派遣されたことを受けて、過激派の間で日本が米欧諸国に加担しているとみなす風潮が強まった。

 2004年10月、イラクを訪れた香田証生さん(当時24歳)がイスラム国の前身組織に拉致、殺害された事件でも、犯行グループは自衛隊の撤退を 要求した。国際テロ組織アルカイダを率いた故ウサマ・ビンラディン容疑者も04年、イラク駐留米軍の司令官らと並んで、日本人を殺害の標的に挙げた。

 イスラム国は従来、米国や欧州諸国、豪州などを「十字軍」と呼んで敵視し、日本を特に名指ししたことはなかった。だが、日本は対イスラム国の有志国連合を支持しており、敵対国の一つとみなされていた可能性は高い。日本人2人を拘束している犯行グループも、20日に公開した殺害予告ビデオで「自ら進んでイスラム国に対する十字軍に参加した」と日本を非難した。

 そのような経過の中で、今回の事件が起きた。この経過をさらに推進しようとしているのが、安倍政権と自民党・公明党である。だからボクらは、世界に向けて、I AM NOT ABE.といわなければならない。

 今日、安倍首相はNHKの討論番組で、「今回の事件のように邦人が被害にあった時に自衛隊が出動できるように法改正して・・・」と発言したそうだ。今回の事件に際して、もし自衛隊が「イスラム国」に侵入し、武力をもって救出に出動すればどうなるか。明確に自衛隊員に死傷者は出るだろうし、日本はまさに「イスラム国」と決定的な敵対関係に入ることになる。

 安倍首相は、平和憲法の下で築き上げてきた平和国家・日本への信頼を一挙に崩そうとしている。ボクたちは、今、危険水域に入ろうとしている。日本人は、テロリストと武力で戦うのか。その選択が迫られる時代に、突入しようとしているのだ。

 

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外務省設置法

2015-01-25 17:08:34 | 政治
 外務省は、日本人を保護する義務がある。

第三条  外務省は、平和で安全な国際社会の維持に寄与するとともに主体的かつ積極的な取組を通じて良好な国際環境の整備を図ること並びに調和ある対外関係を維持し発展させつつ、国際社会における日本国及び日本国民の利益の増進を図ることを任務とする。

(所掌事務)
第四条  外務省は、前条の任務を達成するため、次に掲げる事務をつかさどる。
一  次のイからニまでに掲げる事項その他の事項に係る外交政策に関すること。
イ 日本国の安全保障
ロ 対外経済関係
ハ 経済協力
ニ 文化その他の分野における国際交流
二  日本国政府を代表して行う外国政府との交渉及び協力その他外国(本邦の域外にある国又は地域をいう。以下同じ。)に関する政務の処理に関すること。
三  日本国政府を代表して行う国際連合その他の国際機関及び国際会議その他国際協調の枠組み(以下「国際機関等」という。)への参加並びに国際機関等との協力に関すること。
四  条約その他の国際約束の締結に関すること。
五  条約その他の国際約束及び確立された国際法規の解釈及び実施に関すること。
六  日本国政府として処理する必要のある渉外法律事項に関すること。
七  国際情勢に関する情報の収集及び分析並びに外国及び国際機関等に関する調査に関すること。
八  日本国民の海外における法律上又は経済上の利益その他の利益の保護及び増進に関すること。
九  海外における邦人の生命及び身体の保護その他の安全に関すること。

 以下略
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日本人人質事件をどうみるか

2015-01-25 17:03:52 | 政治
 大学時代の後輩であった早稲田大学の水島朝穂氏は、今回の事態を鋭く論じている。

http://www.asaho.com/jpn/bkno/2015/0126.html
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「イスラム国」の暴挙

2015-01-25 07:45:48 | 政治
 日本人は、戦時中、日本軍が現在のインドネシアを軍事占領し、ムスリムを抑圧したりしたことはあったが、植民地支配をしたり虐殺したりしたことはなかった。残念ながら、現在の安倍政権は、日本人の意思とはことなる対応をしているが、中東における平和や安定を望んでいることは確かである。

 だから、イスラミックセンタージャパンの声明に見られるように、「イスラム国」が日本人を殺害することは、まったくもって正当性もなく、日本とムスリムの関係を悪化させることはあっても決して良くはならない。

 昨夜、湯川さんが殺害されたような映像がアップされたようだ。下記にそれをみることができるサイトを紹介するが、残酷な写真があるので、注意して欲しい。

http://gigazine.net/news/20150125-is-japanese/

 「イスラム国」側は、要求を変えているようだ。しかし、ボクたちは、後藤さんらの解放を心から望んでいる。
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イスラミック センター ジャパン の声明

2015-01-24 21:54:07 | 政治
 感動的な文面です。これがアラビア語に翻訳されているとのこと。

イスラミックセンタージャパンは、2人の日本人の人質を殺害するというイスラム国の脅迫に対して、抗議します。

(2015年1月22日 東京にて)
イスラミックセンタージャパンは、2人の日本人の人質、後藤健二さんと湯川遥菜さんを殺害するというイスラム国の脅迫に対して、抗議します。イスラム国は数カ月に渡り、彼らを人質として拘束しています。

我々は、イスラム国が重大な過ちを犯しているとみなしています。そして、イスラム国が良識的な意見に耳を傾け、人質を即座に且つ無条件で解放するように要求します。

上記を主張するにあたり、以下の様な理由が挙げられます。
・日本は、パレスチナとイスラエルが紛争をしている際に、パレスチナに対して支援をする等、多くの場面において、相対的に公正な立場をとってきました。欧米社会から激しい圧力があったにもかかわらず、日本は長年このような公正な姿勢を貫いてきました。
・日本はパレスチナにとって、最大の援助国です。ガザ地区、及びヨルダン川西岸地区において、数多くの復興プロジェクトを実施してきました。それらは、日本政府及び日本の団体からのみの資金援助によりなされてきたのです。
・日本では、我々イスラム教徒は平和的に過ごしています。欧米諸国で見受けられる様な、イスラム教徒に対する差別やハラスメント、そして屈辱を受けるといったことも、日本ではありません。ヒジャーブ(頭につけるスカーフ)やニカーブ(目以外を覆い隠す格好)をしたイスラム教徒の女性に対して、危害を与えるといったような事例は一つもありません。
・日本にいるイスラム教徒は自由に宗教活動を実践しています。モスクを建てたり、イスラム教の啓蒙活動を行う際に、政府から干渉を受けることもありません。

・しかし、おそらく最も重要な理由は、日本はイスラム国を含め、いかなる国に対しても宣戦布告をしない世界で唯一の国であるということです。なぜならば、日本の領土が侵された際の自己防衛の場合を除いて、いかなる軍事活動も、憲法によってはっきりと禁止されているからです。
・よって、日本の首相は「テロと戦う為」に2億ドルを拠出することを表明しましたが、決してイスラム国に対する軍事的行為を支援するものではありません。その2億ドルの支援金は、長期の紛争によって住む所を失ったシリアとイラクの難民を支援するためのものだと、すでに計画されていました。日本社会そして日本のメディアも、今では、支援金を言い表すのに、首相は「テロとの戦い」という言葉を使うべきではなかったと認識しています。なぜなら、その支援金はテロとの戦いの為ではなかったし、そのような目的の為には支援金を使えないからです。

一方で、我々イスラミックセンタージャパンは、イスラム国に対して警告します。日本人2人の人質を殺すことで、日本人のイスラムに対するイメージ、そして日本に住んでいるイスラム教徒に、とても大きな影響を与えることでしょう。このような影響に対して、我々は全能のアッラーの前で、イスラム国が責任を負うべきだと主張します。なぜなら、日本人の人質を殺すことについて、いかなる弁解の余地もなく、正当性もないからです。

人質の殺害は、コーランの教えにも反します。アッラーが、コーランのAl-Mumtahana(試問される女)章8節で述べられています。

「アッラーは、宗教上のことであなたがたに戦いを仕掛けたり、またあなたがたを家から追放しなかった者たちに親切を尽くし、公正に待遇することを禁じられない。本当にアッラーは公正な者を御好みになられる。」

従って、我々イスラミックセンタージャパンは、ただちに、そして無条件で人質を解放するように、重ねてイスラム国に要求します。

イスラミックセンタージャパン
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動きはでている

2015-01-24 21:45:49 | 政治
 昨日の報道ステーションで、古賀さんが I am not Abeで、日本人が好戦的な ultra-nationalist である安倍とは違うのだ、ということをアピールする必要があると語っていたが、その通り。安倍とは違うボクたち日本人が、二人の救出のために何かをしよう。日本政府には任せられない。


https://www.facebook.com/islam.japan/posts/802492113156463
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後藤さんたちを救いたい

2015-01-24 21:43:25 | 政治
 二人を救うために、ボクたちに何ができるか。『読売新聞』の記事。


後藤さん・湯川さん解放を…ネットで発信の動き
2015年01月24日 14時32分

 イスラム過激派組織に拘束された後藤健二さんと湯川遥菜さんの解放を求めて、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)でメッセージを発信する動きが広がっている。

 交渉期限の「72時間」が過ぎても過激派側の反応がない中、ネットを舞台に世界各地から懸命の呼びかけが続いている。

 〈(後藤さんは)戦火に苦しむ市民の現状を報道してきた数少ないジャーナリスト〉〈後藤さんと湯川さんを殺さないように呼びかけます〉。写真や映像ジャーナリストでつくる「日本ビジュアル・ジャーナリスト協会」は、殺害予告映像の公開後の21日未明、日本語の声明文をアラビア語と英語でホームページ(HP)に掲載した。

 過去に後藤さんとヨルダンで一緒に取材したことがある会員の豊田直巳さん(58)は「何としてもイスラム国に我々の思いを伝えたかった」と、アラビア語への翻訳を友人に頼んだ。自身のフェイスブックにも声明を載せ、〈イスラム国の人々に届けるお手伝いを〉と閲覧者に転載を呼びかけている。ネットを重視するイスラム国関係者の目にとまるようにする狙いだ。

 声明を転載したのは、24日までに約450人。連帯の広がりは、イラクのテレビ局でも取り上げられた。

 フェイスブック上には、「Save Kenji Goto(後藤健二さんを助けて)」といったタイトルの掲示板が複数開設されている。

 政府も、安倍首相が表明したイスラム国対策の2億ドルの支援について「人道支援などの非軍事分野」とするアラビア語の説明を20日、外務省HPに掲載している。
2015年01月24日 14時32分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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選択したこと

2015-01-24 08:03:13 | 政治
 昨年末の総選挙で、日本国民が選択したのは、人命や社会保障など、人間を大切にする政治よりも、カネがたくさんはいったほうがよい、ということだ。実際に、お金持ち=富裕層(昔は、オダイサマと言っていた)だけにカネがはいるのだが、多くの国民は自分のところにも入るのではないかと期待して、自公両党への投票、棄権にまわったのだろう。

 しかし、消費税を8%にした、それもすべて社会保障につかうと政府は宣伝していたのに、今年の予算を見れば軍事費(防衛費)が増え、社会保障へは自然増額分は増えたものの、その他の社会保障費は減額となっている。まさに人を大切にしない政治だ。

 そして、安倍首相は世界各地を旅行し、カネがない、カネがないと国内では叫びながら、日本の経済界のために、そしてアメリカをはじめとしたグローバルな資本家たちの利益確保のために、カネをばらまく。

 そして、カイロでは「イスラム国」と戦っている国々のために大金を与えるという挙に出た。そして身代金要求。

 下記の、もと外交官の天木氏の主張に同感であるが、しかしこれは「大失策」なのか。ボクは、安倍政権がアメリカをはじめとしたグローバルにカネ儲けをする資本家の利益を守る国際的な国家連合に積極的に貢献することを選択したのだという「積極的な意思」なのではないかと思う。

http://www.amakiblog.com/archives/2015/01/22/#003096

 安倍政権や外務省は、国民の命を守ろうという気持なんか、さらさらもっていないということを如実に示しているのではないか。

 しかし、そういう政権を、日本国民は選択したのだ。「命よりカネ!」という選択。それが現在の日本の価値観なのだろう。
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救出したいが・・・

2015-01-23 17:16:32 | 政治
 イラクで人質になった高遠菜穂子さんらを救出しようと、日本からはたくさんのメールが中東に送られた。彼女、彼らは、平和のために活動している者たちだと、あちこちに投稿した。

 しかし今回は、その投稿先がわからない。

 安倍政権は、真剣に救出しようとしているのだろうか。

 イスラム国からのメッセージは、日本政府だけではなく、日本国民にも寄せられている。テレビなどが放映するのは、黒服の男がBritish Englishで話している場面だけであるが、その前に、安倍首相がカイロでの会見のもようが短い時間であるが映し出されている。まさに、安倍首相が、現在ひたすらカネは人道援助のためだと繰り返しても、以前紹介したように、

200 million U.S. dollars for those countries contending with ISIL, to help build their human capacities, infrastructure, and so on.

 とあって、contend with には、「~と戦う」という意味があり、「イスラム国と戦っている国々のために」カネを援助すると説明したのである。その部分が、例のビデオの最初に映し出されているのだ。

 そのオリジナルは、下記でみることができる。
http://jihadology.net/page/3/
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こういう記事もある

2015-01-23 08:17:51 | 政治

http://lite-ra.com/2015/01/post-810.html
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人質事件

2015-01-23 07:33:58 | 政治
 いろいろな情報を集めていると、後藤さんが「イスラム国」に拉致監禁されていることが、日本政府は知っていたようだ。「イスラム国」から、昨年、後藤さんの妻に対して身代金を要求していたことが報道され、それについては日本政府も事実を掌握していたようだ。

 安倍首相が、先日紹介したように、カイロでの「イスラム国」と敵対する発言ならびにその一環として2億ドルの供与をするという言明は、「イスラム国」を刺激し、その結果こういう事態が生じることは予想できたはずである。となると、今日本政府は人質の救出を・・・といっているが、どれほど熱心にやっているか疑問なしとしない。日本人でも「イスラム国」とコンタクトをとれる中田考さんや常岡浩介さんに仲介してもらうことも可能であるのに、昨日の時点でそうした形跡はない。

 今日の『中日新聞』には、外国人記者のコメントが載せられているが、中国記者のコメントはその通りだと思う。

 「イスラム世界で元々、日本は友好的な感情を持たれてきた。しかし日本は米国が始めたイラク戦争に自衛隊を派遣した。イスラエルを批判せずむしろ接近して安倍首相が訪問した。米国に加担し続けるなら、同様の事件やテロは今後も起きる」

 安倍首相の集団的自衛権行使容認やアメリカとの海外での軍事行動展開は、そうした事態を深化させるだけである。
 日本という「平和国家」のブランドを捨て去ろうという安倍政権の動きは、日本(人)を危険にさらすということでもあり、同時に調停役としての日本の存在をなくすことでもあり、世界平和にとってもマイナスといわざるをえない。

 安倍首相が、アメリカの外交政策・軍事政策と歩調を合わせようとすればするほど、日本は国際社会でその存在価値を失う。

 ついでにいっておけば、アメリカの外交・軍事政策は常に国益を最優先して行われるから、今までの敵対国と急に親交を結ぶということも平気でやる、それがアメリカという国家だ。アメリカに振り回されるのではなく、日本の「平和国家」としてのブランドを大切にした自主的な外交政策こそが、日本と日本人を守るのだ。
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まただされている「自己責任」論

2015-01-22 09:28:09 | 政治
 シリアでの、「イスラム国」による日本人拉致、身代金要求事件は、安倍首相が中東を訪問して、不用意な発言をしたことも原因となっている。にもかかわらず、ネットなどではまたもや「自己責任論」がでてきたそうだ。

 日本国民は、国に迷惑をかけないように、登山はすべきではないし、危険なところには行くべきではないし・・・・・ということになるのだろう。

 だいたいにして、メディアは、自社の社員には危険なところには行かせないで、フリーのジャーナリストに行かせている。そしてカネを払って映像などを入手している。福島原発事故の際もそうであった。そういう構図の中で、マスメディアも「自己責任論」を語り始めたようだ。

 とにかく二人を救出する、それが最大の課題なのだ。おめおめと「イスラム国」に殺させてはならないのである。日本国家には、その義務がある。

http://lite-ra.com/2015/01/post-807.html
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【本】NHKスペシャル『メルトダウン』取材班『福島第一原発事故 7つの謎』

2015-01-22 08:58:45 | 
 本書は、講談社現代新書である。

 福島原発事故は、すでに無視してもいいような状況がつくられていると思う。しかし、事故により、今まで住んでいたところから追われたり、あるいは家族がバラバラになったり、あるいは対立が起きたり、原発周辺で生活していた人びとの生活は完全に破壊されている。原発事故は、まったく収束していない。

 なぜこういう事故が起きたのか、事故はどのように拡大し、かくも異常な事態を引き起こしたのかは、真摯に検討されなければならない。安倍政権により原発の再稼働や輸出がもくろまれているが、福島の事故が、高度の放射能によりその真相究明ができない以上、安倍政権の企図はとうぜんストップされなければならないものだ。

 本書は、NHK科学部のスタッフが、ほんとうは東電や政府(経産省)がしなければならない検証をおこなった結果がしるされている。もちろんその内容は、NHKスペシャルとして放映されてはいるが、文字で読むとその追究の迫力にはぐいぐいと読ませるものがある。

 詳細には触れないが、まず「原発は安全であるべきだから、絶対に安全だ」という論理が、原発政策を規定していたのではないかと思う。アメリカでは行われている非常事態の訓練がなされていないことが本書でも記されているが、過酷事故は起きないという前提のもとで、日本の原発は稼動していた。だから事故が起きたとき、スタッフはまったく経験のない措置を手探りでさがさなければならなかった。吉田所長以下、事故対応にスタッフはよく頑張ったと思う。しかし、こうした事故が起きたときの対応はどこがするのか、どこが責任をとるのかということについては、今以て結論が出ていない。「絶対に安全だ」という論理が、今も一人歩きしているようなのだ。

 しかしそれ以前の、安全対策に関する情報があげられても、「絶対に安全だ」という根拠なき「信念」が、その対策をとらせないできた。同時に、今回NHK科学部のスタッフによる検証は、かなり念入りにおこなわれたことがよくわかるのだが、東電や政府はおこなわないのだろうか。事故の過程で様々な「なぜ」が生じた。しかしその「なぜ」を、なぜ解明しようとしないのか。NHK科学部の、それらの「なぜ」を解明しようという熱意が、本書にはつまっているといってもよいだろう。

 「安全神話」によりかかって、対策をしっかりとたててこなかった、訓練をしてこなかった、そのことが、今回の過酷事故を招いたことは明らかである。

 本書には、さまざまな教訓が記されている。ほんとうはもっとヒドイ状態が生まれる可能性があったのだが、東電のスタッフのがんばりもあるのだが、なぜかが解明されていない「偶然」もあったようだ。まだまだ福島原発事故は解明されていない、にもかかわらず再稼働がおこなわれようとしている。不可解!である。

 日本は、おめでたい国だ!
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日本人の人質について

2015-01-21 10:12:57 | 政治
 安倍政権は、昨日も記したように、経済界の連中を伴って世界各地を訪問し、日本国民には財政危機だとしているにもかかわらず、たくさんの国家のマネーを散布している。

 今回の人質事件も、安倍政権の不用意な発言や行動が招いたとも言えるだろう。カイロでの安倍首相の発言をみると(首相官邸のHP)、

 we shall do to help curb the threat ISIL poses. I will pledge assistance of a total of about 200 million U.S. dollars for those countries contending with ISIL, to help build their human capacities, infrastructure, and so on.

 「イスラム国の脅威を抑制(阻止)する」、「イスラム国と戦っている国々のために」などと発言している。安倍首相は中東を訪問して、日本はイスラム国と敵対する国々を助けると明言しているというわけだ。

 果たして安倍政権は身代金をだして救うだろうか。

 BBCは、以下のような解説をしている。

http://www.bbc.com/news/world-middle-east-30893735

 今まで日本政府は身代金を出してきたが、今回は事情が異なる(this time will almost certainly be different.)として、

 身代金の額が空前の額であることthe amount is unprecedented、安倍首相はみずからを毅然としていること、アメリカと親密な同盟関係にあることを誇っていること Mr Abe, who prides himself on being tough and a close ally of the US. 、そして日本人はこの二人の人質に対してあまり同情していないpublic sympathy for these two men is likely to be muted. 、を挙げている。
 BBCは、安倍政権がこの二人を見殺しにするのではないかと予想しているのかも知れない。

 さてこの文で、重要なことが指摘されている。

Mr Abe has been pushing to give Japan a much more active role in international affairs, but many in Japan oppose that, and will claim this is exactly the result they feared,

 安倍首相は、国際情勢のなかで、日本がより積極的な役割を果たすことを推進しようとしているが、日本人の多くは、恐れていた事態がはっきりと示されたとして、安倍首相のそのような方針に反対している、と。

 ボクも、その日本人のひとりである。


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