窪田恭史のリサイクルライフ

古着を扱う横浜の襤褸(ぼろ)屋さんのブログ。日記、繊維リサイクルの歴史、ウエスものがたり、リサイクル軍手、趣味の話など。

悔やまれる投手への四球ー日本プロ野球2024 横浜vs阪神8回戦

2024年05月15日 | スポーツ観戦記


 5月12日、横浜スタジアムに今シーズンの初観戦、横浜vs阪神8回戦に行ってきました。前日は最大7点差をひっくり返すという劇的な勝利を収め、この三連戦を1勝1敗とした横浜。通算成績も16勝17敗と借金1の4位であり、シーズン初めから今ひとつ波に乗れない中、何としても勝ち越して勢いをつけたいところです。

 またこの日は母の日ということで、選手がピンク色のシューズやバットを使用し、審判もピンク色のユニフォームに身を包んでいました。バットなど、遠くから見るとイチゴポッキーのようです。



 さて、横浜の先発は防御率2点台前半ながらここまで2勝3敗の大貫投手。球場観戦の時、大貫投手が登板することが多いと思い調べたところ、過去6年で6試合ありました。これは過去9年で8回の今永投手に次ぎます。その大貫投手、先頭から二者連続三振を含む三者凡退で上々の立ち上がり。



 一方阪神の先発はここまで3勝1敗の才木投手。昨シーズンは8勝を挙げ、防御率1.82という素晴らしい成績。当然、僕の肌感覚としても苦手意識があります。こちらも初回わずか9球で三者凡退。



 しかし、横浜は2回裏、下位打線から先制のチャンスを作ります。二死から桑原選手が右中間を破る二塁打で出塁すると、続く山本選手も三塁へ当てただけのボテボテながらヒットで出塁。しかし、後続の前日大活躍した京田選手が6球粘りましたが凡退し、好機を逸してしまいます。



 すると3回表、今度は阪神の下位打線。梅野選手、木浪選手を討ち取り二死としますが、何と9番の才木投手に0-2と追い込んでからの4連続ボールで四球を与えてしまいます。しかも外角にスライダーを続け、どうして投手相手にあそこまで神経質になったのか、当事者でない僕には知る由もありません。因みに、8回表にも才木投手に3-2から再び四球を与えています。いずれにせよ、結果的にはこれが致命傷になってしまいました。



 打順1番に返り、井上選手にセンター前に運ばれ、二死二塁・一塁。



 そして中野選手にはライトライン際に落ちる二塁打を浴び、二塁走者の才木投手が生還。1vs0、これが決勝点となってしまいました。この試合、阪神のヒットはこの回の2本のみであり、かえずがえすも才木投手への四球が悔やまれてなりません。

 3回裏以降は両投手による素晴らしい投手戦。大貫投手はサードゴロとファーストゴロ、才木投手は詰まった当たりの外野フライでアウトの山を築いていきます。敗戦投手となったものの、大貫投手は今シーズン一番の出来だったと思います。



 すでに結果を言ってしまいましたが、7回裏、横浜は一昨日頭部に打球を受け、この日先発に復帰した宮崎選手が、久々のヒットで出塁します。そして続く牧選手が四球。無死二塁・一塁となり、前日の試合で劇的な勝ち越し本塁打を放った筒香選手を迎えるという、この試合一番の見せ場を作ります。



 しかし已んぬる哉、その筒香選手は併殺打に倒れ、続く桑原選手も凡退。



 9回表、横浜は二番手の伊勢投手が登板し、2番からの上位打線を三者凡退に抑えます。しかし、中野選手は7球、やられっぱなしの近本選手に至っては実に12球を伊勢投手に投げさせました。こういういやらしさが近年の横浜打線にはありません。



 9回裏、二死から宮崎選手がヒットで出塁し、代走森選手がすかさず盗塁を決め二死二塁とします。森選手の果敢な盗塁は良かったのですが、続く牧選手がわずか2球でキャッチャーへのファイルフライ。これで万事休す。こういうところです…。



 結局才木投手は大貫投手を上回る4安打を浴びつつも、128球5奪三振無四球の完封勝利。防御率は驚異の1.60まで下がりました。才木投手が素晴らしいのは確かですが、「横浜進化」が見たいものです。

繻るに衣袽あり、ぼろ屋の窪田でした
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大貫3安打11奪三振、宮﨑初盗塁!-日本プロ野球2023 横浜vs巨人23回戦

2023年09月26日 | スポーツ観戦記


 前回観戦時の試合前はまだ強い日差しが降り注いでいたのですが、気がつけばだいぶ夕暮れが早く、そして涼しくなりました。日中こそまだ気温が上がりますが、確実に秋の訪れを感じます。

 さて、今シーズン最後になるかもしれませんが、9月25日、横浜スタジアムに横浜vs巨人23回戦の観戦に行ってきました。

 この試合前時点で3位の横浜は2位広島と2ゲーム差、そして4位巨人とも2ゲーム差。残り7試合となってCS進出をかけた争いが熾烈になってきています。しかし横浜は2日前の中日戦に敗れ、前日の対巨人は今永投手を先発させながら6vs0となす術もなく、2位を伺うどころかこの直接対決の行方次第では3位すら危うくなる状況に追い込まれています。



 それだけに極めて重要な一戦となったこの試合の先発を担ったのは、ここまで3勝4敗の大貫投手。長く勝ち星から遠ざかっていますが、前回登板した対阪神戦では、勝ち星こそつかなかったものの、6回1安打7奪三振、3四球、自責点0の好投を見せました(ただし死球2)。その立ち上がりは、長野選手、門脇選手を連続三振、坂本選手を2球でサードゴロに討ち取るなど、上々でした。全体的に、145㎞前後のストレートに非常に力があったのと、外に逃げるスライダーが素晴らしかったように感じました。



 一方、巨人の先発は5勝4敗のメンデス投手。前回8月13日の対戦では、6回わずか2安打、8三振、1点に封じ込まれました。



 そのメンデス投手に対し、先頭の大田選手がいきなり初球をレフト前に弾き返します。前日零封され、とにかく先制点が欲しい中、球場が大いに盛り上がります。



 この日はソト選手を欠き、さらに攻撃力の低下したオーダーで、三浦監督としてもやはり先制点を重視していたのでしょう。初回から桑原選手は犠打の構え。ところが、あえなくキャッチャーフライ。続く佐野選手は8球粘ったものの、フルカウントからショートゴロ。牧選手もセンターフライに倒れ、無得点。何となく「今日もか…」という雰囲気が漂います。



 大貫投手は2回表、二死から丸選手、秋広選手に連続安打を浴び、二塁・一塁のピンチを迎えますが、吉川選手をセンターフライに討ち取り、この回も無失点。



 2回裏。先頭の宮﨑選手が、ひょっとしたらホームランかと思わせるレフトポール際へのファウルの後、造作もなく右方向に打ち返して出塁。



 下位打線に向かう局面でしたが、ここでもやはり6番伊藤捕手に犠打の指示。伊藤捕手が確実にこれを決め、一死二塁。



 知野選手は150㎞を超えるストレートで押してくるメンデス投手の前に三振に倒れますが、続くルーキー林選手が、初球の外角低め153㎞のストレートをセンター前に落とします。少し浅かったですが、一塁走者の宮﨑選手も必死に走りました。こうしてもぎ取った1点が、結果的には決勝点となりました。

 その後は大貫投手とメンデス投手による締まった投手戦が展開されます。3回表は、投手からの打順ながら2三振を含む三者凡退。



 4回表は二死から大城選手に安打を許し、続く丸選手にはストレートの四球を与え、二塁・一塁のピンチを迎えます。しかし、秋広選手の痛烈な打球をピッチャーライナーでここも無失点。一方、メンデス投手も5回4安打4奪三振2四球2失点でしたから、及第点の投球だったと言えるでしょう。



 4回裏。四球で出塁した宮﨑選手が、伊藤選手の空振りによるアシストがあったとはいえ、まさかの盗塁。宮﨑選手、プロ初盗塁を記録しました。



 先に継投に動いたのは巨人。6回裏からルーキー船迫投手が登板します。



 その船迫投手に対し、二死から伊藤捕手が左中間を抜く二塁打で出塁。継投によって試合が動く局面かと思われたのですが、続く知野選手が見逃し三振。



 すると逆に7回表、好投を続けていた大貫投手が先頭の大城選手にフルカウントから四球を与えてしまいます。その大城選手に巨人は代走重信選手を送ります。



 続く丸選手は、この日11個目となる、それも三球三振で切って取りますが、次の秋広選手の打席で重信選手が盗塁成功。



 その秋広選手にも四球を与え、一死二塁・一塁のピンチ。ここまでで投球数はちょうど100球。



 好投を続けていても、スタミナがまだあるように見えても、何故か100球を境に突如崩れることの多い印象のある大貫投手。そのイメージもあながち間違いではないのか、横浜ベンチはここで躊躇なく大貫投手に代え、力のある伊勢投手を投入します。とはいえ、大貫投手は6回3/1で100球3安打11奪三振3四球無失点と素晴らしい内容でした。この試合は偏に大貫投手の好投の賜物と思います。一方、巨人は秋広選手に代走増田選手を送ります。



 その伊勢投手は、チームとしてよくやられている印象のある吉川投手をファーストゴロに討ち取り、まず二死三塁・二塁とします。すると巨人は船迫投手に代え、代打梶谷選手を送ります。これに対し、横浜は梶谷選手と相性の良いエスコバー投手を投入。1点勝負にかける意思を示します。すると今度は巨人が左投手に代わったということで、代打の代打としてウォーカー選手を送ります。



 そのウォーカー選手にエスコバー投手は155㎞、155㎞のストレートで押し、最後は内角足元に落ちるスライダー。これをウォーカー選手ハーフスイングで三球三振。1発のある最後まで気の抜けない巨人打線とは言え、この7回表の1点をめぐる攻防を制した横浜が、一歩勝利に近づきました。



 8回表は4番手ウェンデルケン投手が登板。1安打と申告敬遠で二死二塁・一塁の局面とはなったものの、全体としてはしっかりと抑えました。



 そして9回表は昨季楽天から移籍し、今シーズンは途中から山崎投手に代わる抑えとなり、安定した活躍を見せている森原投手が登板。丸選手、岸田選手、吉川選手を全く危なげなく三者凡退に切って取り試合終了。しかし、森原投手はこの試合で足を痛めたようで、気がかりです。

 とにかく、これでこの日試合のなかった広島に1.5ゲーム差、巨人とは3ゲーム差となりました。翌日はここまで15勝を挙げ勝利数のトップを独走する東投手と、9勝のうち実に4勝が横浜という山﨑伊織投手との投げ合いです。横浜打線にはぜひやられっ放しではない、攻略の工夫を見せて欲しいところです。

 因みに僕の今シーズンの観戦成績は甲子園の1試合(阪神vs中日)を除き、2勝4敗でした(昨年はCS1試合を含め、4勝4敗)。

繻るに衣袽あり、ぼろ屋の窪田でした
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9月反攻を信じるしか…-日本プロ野球2023 横浜vs広島19回戦

2023年08月31日 | スポーツ観戦記


 5vs0、7安打8奪三振完封。追撃すべき8月二度目の上位2チームとの対戦。1日~6日の対広島、阪神6連戦は1勝4敗1分。18日からの阪神3連戦は1勝2敗で負け越し。追撃どころか4位巨人とCS進出をかけた3位争いさえ危うくなってきました。しかし、なす術なく完敗。何も得るところのなかった試合、「横浜頂戦」のスローガンが虚しい…。何とかして「頂戴」。

 先に結果を言ってしまいましたが、8月22日、横浜スタジアムに横浜vs広島19回戦の観戦に行ってきました。

 

 横浜の先発は、ここまで7勝2敗の今永投手。しかしながら、前回登板の16日ヤクルト戦では5回までに6失点で敗れています。前回を踏まえた調整を期待しての今回の登板だったわけですが…



 塁に出すとうるさい、最も警戒しなければならないはずの先頭菊池選手、つづく野間選手に判で押したように1-1からの3球目、真ん中に甘く入った変化球をレフト前に痛打され、あっという間に無死2塁・1塁。



 3番小園選手は初球を難なく送りバント。無死3塁・2塁。



 4番西川選手には真ん中低めのストレートをレフトに運ばれ、1死もとれぬ間に2失点。



 デビッドソン選手を討ち取りようやく1死とするものの、今度はめったにホームランなど打たない堂林選手にライトスタンドへ2ランホームラン。8月ここまで18試合の平均得点が3.5点というチーム状況にあって、初回の4失点はあまりにも重い。一気に萎えました。



 一方、広島の先発はここまで6勝3敗の九里投手。これまで対戦してきた感触からすると早い回の内に捉えておきたい相手です。



 すると横浜はプロ入り2年目、この日1番に抜擢された梶原選手が初球をレフト前に痛烈に弾き返します。これで横浜ファン、ワーッと盛り上がったのですが、



 その梶原選手、肉離れなのか足首を捻ったのか、負傷交代で関根選手が代走に立ちます。折角のムードに水を差す形に。そして後続の桑原選手、佐野選手、牧選手がレフトフライ、センターフライ、ショートゴロで凡退。打てない8月の打線を象徴するような展開、初回にして早くも大勢は決していました。



 それでも、今永投手は2回以降立ち直り、四者連続三振を含む無安打5三振で2回、3回を終えます。しかし、一方の横浜も九里投手の前に1安打に封じられます。

 そして迎えた4回表、先頭の堂林選手にカウント3-1から今度はレフトスタンドに1発。しかし、最早この1点はおまけのようなもので、珍しい堂林選手の2打席連続本塁打が見られたという程度。



 とはいえ、5回裏、横浜はようやく反撃の糸口をつかみます。1死から戸柱捕手がライトへの二塁打。



 そして続く京田選手もセンター前ヒットで1死3塁・1塁。



 しかし、その後の林選手、代打楠本選手がいずれも倒れ、無得点。



 唯一の収穫と言うべきものを無理やりひねり出すとすれば、この日2軍で活躍していた育成出身5年目の宮城投手が6回に1軍デビューを果たし、1四球こそあったものの、2イニングを無安打に抑えたことぐらい。



 7回裏、先頭の牧選手がセンター前ヒットで出塁。



 ソト選手は凡退しましたが、それでも戸柱選手がライト前ヒットで1死2塁・1塁。しかし、京田選手三振、高い得点圏打率を誇る期待の代打大和選手も浅いセンターフライに倒れ、無得点。



 腹立ちまぎれに積みあがるビール。喜ぶは、ビールの売り子ばかりなり…。



 結局このまま九里投手に完封を許す結果となりました。CS争い、さらには優勝争いをしていく中で上位の阪神、広島に力の差を見せつけられた8月。しかし、昨年は8月に猛烈なスパートをかけた結果、9月に力尽き、CSでも余力は残っていませんでした。根拠なく前向きに捉えれば、このゲーム差で何とか耐え、9月に追撃するための今は我慢の時ということなのかもしれません。

繻るに衣袽あり、ぼろ屋の窪田でした
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2年ぶり総合格闘技観戦③―超RIZIN2(さいたまスーパーアリーナ)

2023年08月09日 | スポーツ観戦記


 15分の休憩を挟み、RIZINパートも残りタイトルマッチの3試合を残すのみとなります。第六試合は女子スーパーアトム級(49㎏)タイトルマッチ、伊澤星花選手vsクレア・ロペス選手。伊澤選手は現スーパーアトム級王者。2020年にMMAでデビューして以来、未だ無敗の選手です。一方、ムエタイをバックグラウンドとするベテランのロペス選手ですが、MMA転向後は、むしろ組んで強さを発揮しています。

 ところが、試合はあっという間。開始1分足らずで伊澤選手がタックルでロペス選手を倒すと、マウントをとりフロントチョークでタップアウト。鮮やかな試合運びで勝利を収めました。



 第七試合はバンタム級(61㎏)タイトルマッチ、フアン・アーチュレッタ選手vs扇久保博正選手。この試合は元々アーチュレッタ選手と朝倉海選手が対戦する予定でしたが、朝倉選手の負傷欠場により、40日という短い調整期間ながら扇久保選手に白羽の矢が立ちました。アーチュレッタ選手のバックグラウンドはレスリング、一方の扇久保選手はフルコンタクト空手です。身長差9㎝、体重差4㎏、アーチュレッタ選手有利の下馬評の中、扇久保選手がどれだけ食い下がることができるか?



 1Rからアーチュレッタ選手がプレッシャーをかけ、再三グラウンドに持ち込みます。2Rも組み合いが続きますが、圧力をかけ続けているのはアーチュレッタ選手。終盤、倒れた扇久保選手にアーチュレッタ選手が上からパンチを浴びせますが、ゴングに救われます。



 3R、扇久保選手は左右のパンチからタックルを仕掛けます。しかし、アーチュレッタ選手はそれを逃れ、逆に扇久保選手の背後を狙います。その後、背後から攻め続けアーチュレッタ選手優勢のまま試合終了。判定3vs0でアーチュレッタ選手の勝利。



 最後は、フェザー級(66㎏)タイトルマッチ、朝倉未来選手vsヴガール・ケラモフ選手。国内屈指の人気を誇る朝倉選手に対するのは、第四試合のムサエフ選手と同門のケラモフ選手。この試合では、ムサエフ選手もセコンドについていました。ケラモフ選手はフィジカルが強く過去18回の勝利の内、11回が1Rと序盤に無類の強さを発揮しています。一方、序盤さえ気をつければ、カウンターを当てるのが上手い朝倉選手が有利なのではという声も多くあったようでした。



 試合は、1R早々、ケラモフ選手が朝倉選手の足をとりテイクダウン。マウントポジションから肘攻撃。これを何とか逃れ、朝倉選手は立ち上がりますが、流れの中でケラモフ選手は朝倉選手の背後に回ります。



 そして背後からリアネイキッドチョークで締め上げると、身体を回して体重を喉元に集中させます。たまらず朝倉選手はタップアウト。あっという間の展開、恐れていたケラモフ選手の土俵に引きずり込まれてしまいました。

 今回、堀口選手vs神龍選手が無効試合という残念な点はあったものの、2年前に観戦した時より、質が高く、見応えのある好カードが多かったように感じます。海外のMMA団体とも今後一層交流し、日本の総合格闘技界が質的にもっと高まっていくと良いなと思います。

繻るに衣袽あり、ぼろ屋の窪田でした
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2年ぶり総合格闘技観戦②―超RIZIN2(さいたまスーパーアリーナ)

2023年08月08日 | スポーツ観戦記


 Bellatorパートが終了し、以降のRIZINパートはリングで行われるため、ケージを天井に上げてリングを設置する作業が行われました。ケージを天井に吊るして(フライングケージ方式)、その後リングを設置するというやり方は世界初なのだそうです。

 ここで休憩に入りますが、海外放送との関係で何と1時間15分もの長い休憩。トイレに行くにも売店に行くにも人、人、人なので、飲まず食わずじっとしていました。



 RIZINパート第一試合は、58㎏級の伊藤裕樹選手vsヒロヤ選手。予想外と言っては失礼かもしれませんが、今回の中で最も見応えのある試合でした。

 1R、序盤からヒロヤ選手が果敢に攻めます。足を取りに行ったり、背後に回ったり、コーナーに詰めたりと再三攻勢に出ますが、一方の伊藤選手も打撃やカウンターでギロチンを狙うなどして応戦。激しい攻防に観客も沸きます。

 2R、伊藤選手の打撃にもヒロヤ選手は怯まずタックルに行きます。その後も再三バックを狙いますが、後半は伊藤選手が打撃で攻勢に出、形勢が逆転します。



 3R、伊藤選手がヒロヤ選手をコーナーに詰め、連打からヒザ、そしてテイクダウンに持ち込みます。伊藤選手はチョークを狙いますが、ヒロヤ選手はそれを逃れスタンディングに戻ると、伊藤選手の背後に回り、ジャーマンスープレックス。館内がどよめきます。それでも形成は伊藤選手有利の展開。結果は、2vs1で伊藤選手の勝利となりましたが、ヒロヤ選手の気持ちと根性がこちらにも伝わる好試合でした。



 第二試合は84㎏級、阿部大治選手vsイゴール・タナベ選手。前の試合が58㎏級だったので、非常に大きく見えますね。23歳のタナベ選手はブラジル出身ですが、6歳で来日しており、試合後のインタビューもポルトガル語、英語、日本語の3ヶ国語を使いこなしていました。一方の阿部選手のバックボーンは柔道ですが、キックボクシングの経験もあり、打撃にも定評があります。



 1R、序盤は阿部選手が的確なパンチを当てていたのですが、終盤、タナベ選手は阿部選手の打撃の一瞬のスキを突き、足をとります。そして逃れようとする阿部選手の動きを利用してのヒールホールド。180㎝71㎏の阿部選手の全体重が左足の脛にかかる形となり、見るからに痛そうでした。バーバルタップアウトでタナベ選手の勝利。



 第三試合61㎏級、瀧澤謙太選手vs太田忍選手。太田選手は言わずと知れたリオ五輪のレスリング銀メダリスト。2年前に観戦したRIZIN26での所英男選手との対戦がMMAデビュー戦でした。瀧澤選手もバックボーンはレスリングですが、MMAに転向してから10年のキャリアがあります。同じくRIZIN26では、佐々木憂流迦選手と対戦し、3R判定で敗れています。



 1R序盤、空手の経験もある瀧澤選手が後ろ回し蹴りで場内を沸かせます。しかし、背後をとった太田選手がさすがアマチュアレスリングの五輪銀メダリストと思わせるジャーマンスープレックス。その後も瀧澤選手の背後に回ったままコーナーに詰めると、背後からパンチそしてヒザの連打。レフリーストップによるTKOで太田選手の勝利。



 第四試合は71㎏級、2019年RIZINライト級GP優勝のトフィック・ムサエフ選手vsパンクラス現役王者のベテラン、アキラ選手。ムサエフ選手とファイナルのケラモフ選手はアゼルバイジャン出身。11月にはRIZIN初の海外開催がアゼルバイジャンの首都バクーで行われるそうで、アゼルバイジャン国会副議長と在日大使も来場していました。格闘技を通じて、両国の交流が深まると良いですね。下馬評はムサエフ選手有利ですが、アキラ選手は身長で11㎝劣るものの、打撃に活路を求めます。



 しかし1R、ムサエフ選手の方が身長差を活かした強烈なストレート。さらに中段の前蹴り、三日月蹴りとアキラ選手を入れさせません。むしろ、アキラ選手がよく耐えているなという印象でした。アキラ選手は懐に入らなければならない分、正面に立ち過ぎており、そこにムサエフ選手がパンチの猛攻を浴びせます。

 2Rに入っても激しい打撃戦。アキラ選手は果敢にパンチを繰り出しますが、ムサエフ選手に躱されます。逆にムサエフ選手が左右の連打。最終的には左フックでアキラ選手を沈めムサエフ選手の勝利。力量差もあったのかなと思います。



 第五試合は70㎏級、パトリッキーの弟、パトリシオ・ピットブル選手vs鈴木千裕選手。これは番狂わせと言って良い試合となりました。パトリシオ選手は、現Bellatorフェザー級王者。一方の鈴木選手はキックボクシングをベースに破壊力のあるパンチに定評があります。



 ピットブル選手もパワーはありますが、オールラウンドなピットブル選手に対し、自分のスタイルである打撃戦に活路を見出したい鈴木選手は1Rから徹底したボクシングスタイルで臨みます。時折見せるミドルキックはリスキーかなと思いましたが、基本的には恐れることなく体重を前に乗せ、パンチを繰り出していきます。自分の強みを信じる心、前へ出る勇気がこちらにも伝わってきました。徹底して連打を繰り出し、ついにはパトリック選手をとらえ、何と2分32秒でKO勝利。会場が最も興奮の坩堝と化した瞬間だったのではないでしょうか。

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2年ぶり総合格闘技観戦①―超RIZIN2(さいたまスーパーアリーナ)

2023年08月07日 | スポーツ観戦記


 7月30日、さいたまスーパーアリーナに2年前の大晦日以来となる総合格闘技「超RIZIN2」の観戦に行ってきました。

 今回の「超RIZIN2」は、アメリカの総合格闘技団体「Bellator MMA」との共同開催。前半はBellatorパートとして行われるため、リングではなくケージになっています。前半のファイナルでは、Bellatorライト級ワールドグランプリ1回戦の最終試合が日本で見られ、またセミファイナルでは新設されたフライ級王座めぐる、堀口選手と神龍選手とのタイトルマッチも組まれています。



 僕は3階S席で観戦したのですが、思いの外よく見えますし、グラップリングの時は目の前にモニターがあります。選手入場の際にファイヤーフレームが上がるのですが、その度に熱波がこちらまで伝わってきます。轟音は前回の経験があったので、慣れました。



 さて、初戦はウェルター級アンドレイ・コレシュコフ選手vsロレンズ・ラーキン選手。コレシュコフ選手は元Bellator王者。しかし、3年前の対戦時はラーキン選手が判定勝ちしているそうです。双方、打撃系を得意とするストライカー。それだけに組んだ時が見ものだったのですが、コレシュコフが再三テイクダウンをとったり、ラーキン選手を金網に詰めたりするものの、都度ラーキン選手が逃れる展開。3R、一進一退でしたが、コレシュコフ選手の方がパンチがまとまっていたのと、3Rにはラーキン選手はややスタミナが切れたように見えました。結果は2‐1の判定でコレシュコフ選手の勝利。



 第二試合は一転してレスラー対決。バンタム級のマゴメド・マゴメドフ選手vsダニー・サバテロ選手。序盤、サバテロ選手がマゴメドフ選手の背後をとりますが、マゴメドフ選手が振り払って逃れます。その後、サバテロ選手は度々タックルを仕掛けますが、一方のマゴメドフ選手はカウンターで相手の喉を絞める、もしくは抑えるチョークを狙います。最終的にはマゴメドフ選手のギロチンチョーク(相手の首を抱え、てこの原理で喉を絞めあげる技)が極まり、1R勝利。全体としては、小さいマゴメドフ選手の方が終始有利なように見えました。



 第三試合は女子フライ級、渡辺華選手vsヴィタ・アルテイガ選手。渡辺選手は元柔道、対照的にアルテイガ選手は打撃系を得意とする選手。アルテイガ選手はグラップリングも苦手ではないそうなのですが、観戦した限りでは力量差があるように見えました。1Rはアルテイガ選手が的確にパンチを当て、距離を取ります。しかし、終盤に渡辺選手がテイクダウンをとります。

 2R、タックルを狙っているせいか、渡辺選手のガードが下がっているように見えました。一方のアルテイガ選手もタックルを警戒してか、思い切って前に踏み込めません。



 3R、打ち合う気マンマンのアルテイガ選手。一方、渡辺選手もジャブで間合いを図りつつタックルの隙を伺います。ところが、一瞬の隙を突き、アルテイガ選手が渡辺選手の首を抱えてグランドに持ち込みます。アルテイガ選手が上からパンチを浴びせかけているところで試合終了。僕にはアルテイガ選手有利に見えましたが、判定は全て1点差の僅差ながら3‐0で渡辺選手が勝ちました。



 第四試合は個人的に今回一番楽しみにしていた堀口恭司選手vs神龍誠選手。2年前は朝倉海選手との対戦を見ましたが、バックボーンが伝統派空手ということもあり個人的に応援している選手です(そういう意味では全空連の全日本チャンピオンで地元横浜出身の五明宏人選手も応援しています)。

 超RIZIN2全体で見ても屈指の注目度だったと思いますが、試合は開始早々、堀口選手の指が神龍選手の右目に入ってしまい、試合続行不能ということでわずか25秒で無効試合に。仕方のないこととはいえ、非常に残念でした。



 第五試合は、Bellatorライト級ワールドグランプリの1回戦として行われる、パトリッキー・ピットブル選手vsホベルト・サトシ・ソウザ選手。「ピットブル(闘犬用の犬種)」はやはり愛称で、本名はフレイレみたいですね。バックボーンはブラジリアン柔術ですが、打撃も強い選手。一方のソウザ選手もバックボーンはブラジリアン柔術。18歳で日本に移住していることから、ミドルネームの「サトシ」で親しまれている様子が伺えました。身長は写真からも分かるように、ピットブル選手170㎝に対し、ソウザ選手180㎝と10㎝の差があります。

 1Rから両者激しく打撃の応酬。特にパトリッキー選手(後で弟のパトリシオ・ピットブル選手が登場しますので、以降パトリッキー選手と呼びます)は、パンチの他、飛び膝蹴り、カーフキック、後ろ回し蹴りなど多彩な蹴り技も繰り出し、見ている方も息つく暇がありません。

 2R、全体としてはパトリッキー選手がプレッシャーをかけ続ける展開。終盤、パトリッキー選手の飛び膝蹴りがソウザ選手の顎に入り、ソウザ選手ダウン。観客もどよめきます。

 3R49秒、パトリッキー選手のカーフキックが極まり、ソウザ選手再びダウン。パトリッキー選手が追撃に向かいますが、レフリーがストップをかけTKO。少し力量差があったのかなという印象でした。

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3位転落、それ以上に…-日本プロ野球2023 横浜vs広島14回戦

2023年07月20日 | スポーツ観戦記


 7月16日、横浜スタジアムへ横浜vs広島14回戦に行ってきました。前回観戦の7月1日から横浜は5勝6敗。あの試合がターニングポイントとはならなかったようです。得点力のなさは相変わらずで、この11試合で平均2.45点。前日の広島三連戦の初戦は、今永投手と大瀬良投手の投げ合いで8回まで0vs1とリードしながら、抑えの山崎投手が坂倉選手に本塁打を浴び同点。その後エスコバー投手で逆転を許し敗戦。気が付けば首位を追うどころか、広島に抜かれ、ゲーム差なしの3位に転落してしまいました。



 横浜の先発は既に8勝を挙げている東投手。今年の観戦は東投手の登板日が多く、降雨ノーゲームとなった5月18日のゲームも含め、これで3試合目です。その東投手、立ち上がりは13球で広島打線を三者凡退に退け、上々でした。



 一方、広島の先発はベテランの野村投手。結果から言いますと、この試合勝ち越されたのは8回だったのですが、僕はこの初回の横浜の攻撃が全てだったと感じています。



 まず、この試合で1番に抜擢された梶原選手が右中間を破る二塁打で出塁します。表の東投手の好投に応え、幸先の良い一撃。無死二塁。



 ところが、です。続く桑原選手のボテボテのピッチャーゴロに対し、二塁走者の梶原選手が飛び出し、二三塁間に挟まれてしまいます。この間のベイスターズではないので、梶原選手はタッチアウト。カウント1-1、どう考えても慌てて飛び出す場面ではなかったはずです。さらに、なぜ桑原選手は送りバントではなかったのか?確かに序盤の送りバントはデータに反するのかもしれませんし、また桑原選手自身あまりバントが得意でないのかもしれません。しかし、この場合は無死二塁です。送りバントで一死三塁とし佐野選手を迎えられれば攻撃のオプションが広がり、相手投手に与える影響も違ったはずです。まして、このところロクに点が取れていない、相手の先発は投げても6回あたりまでの野村投手、対するこちらが東投手であることを考えれば、何よりも先制点が大事だったはず。

 結果的には佐野選手ファーストゴロ、牧選手ボテボテのショート内野安打(これでは仮に三塁走者がいても還れません)、ソト選手ショートゴロで無得点に終わりました。相手の出鼻をくじく先頭打者の会心の二塁打も台無し(自身でその芽を摘んでしまったわけですが)。こうした小さな綻びが、試合全体の流れに影響を与えてしまう。素人とはいえ45年野球を観てきてそう思います。前回7月1日の試合も同様です。



 そうした流れの中で2回表の広島の攻撃です。この回先頭の菊池選手がど真ん中のツーシームをセンターに運び二塁打。今度は広島が四番打者から無死二塁の状況を作ります。つづく坂倉選手はセカンドゴロでしたが、右方向への進塁打ということで、最低限の役割は果たしました。



 そこで、です。ここまで打率わずか1割9分5厘のデビッドソン選手にライトスタンド上段への本塁打を浴びてしまいます。山本捕手は内側に構えていたので恐らく失投でしょう。ストレートがど真ん中に入ってしまいました。一発か三振かという87年のリック・ランセロッティ(通称、ランス)のようなデビッドソン選手、これを逃すはずがありません。

 嫌な予感がしたのは、デビッドソン選手のここまで8本塁打の内2本が横浜だったこともあるかもしれません(最多は巨人の4)。これで9本中3本が横浜となりました。

 無死二塁という同じシチュエーション。片や自らのミスで無得点、片や確実に一死三塁の状況を作って本塁打二点。しかも相手は三連勝中と勢いに乗る広島。「流れ」、曖昧な言葉ですが古より「善く戦う者は、之を勢に求めて、人に求めず」(『孫子』勢篇)と言うように、いかに流れを引き寄せるために状況を操作するかが勝負の要だと思います。



 流れをこちらに引き寄せるとすれば、信頼できる東投手が広島打線を抑えている間に、野村投手にできる限り球数を投げさせ、できれば5回あたりで捕えたいところです。

1回:26球(13球)
2回:15球(11球)
3回:9球(21球)
4回:8球(10球)
5回:11球(11球)

 ただ、1イニングの平均球数が15~16球と言われていることから考えると、2回以降むしろ野村投手は立ち直り、すいすいと投げていた印象です(カッコ内は東投手の球数)。結果的に野村投手は5回5安打、無四球、無失点という十分な内容でした。一方、東投手も7回5安打、無四球、2失点でしたから、2回以降は試合を崩すことなく粘り強く投げてくれたと言えるでしょう。



 横浜の反撃は6回裏。広島は二番手に栗林投手が登板。すると先頭の佐野選手が外角低めのストレートを上手くセンター前に弾き返し、出塁。



 牧選手は倒れますが、ソト選手がこの試合初めての四球で出塁。一死二塁・一塁。



 続く京田選手は良い当たりでしたが、一塁手のデビッドソン選手の好プレイに阻まれ、一塁走者がアウト。二死三塁・一塁。



 ここで代打楠本選手が、初球ど真ん中のストレートを左中間へ。打球はフェンス際、レフト末包選手のグラブを弾き二塁打。佐野選手が生還、しかし一塁走者の京田選手は本塁タッチアウト。しかし、とにかく1点を返しました。



 前述の通り、東投手は7回表まで好投。7回裏、広島は三番手ターリー投手が登板します。



 横浜は山本捕手に代わる関根選手。このところ調子下降気味でスタメンを外れた関根選手でしたが、詰まりながらもセカンドへの内野安打。どんな形であれ、先頭打者として出塁します。



 さらに東投手に代わる大和選手は確実に送り、一死二塁。



 当然ですが横浜はここを勝負と見て、さらに梶原選手に代わり代打宮﨑選手を送ります。しかし、期待の宮崎選手はセカンドゴロ。二死三塁。

 それでも続く桑原選手がフルカウントから四球で出塁します。確かに高めでしたが、154㎞のストレートをよく我慢して見送りました。



 すると、次の佐野選手はファウルで粘り、5球目の真ん中に甘く入ったスライダーを見逃さず、ライト線を抜ける二塁打。関根選手が還り、ついに同点。なお二死三塁・二塁。



 ここで牧選手を迎え浮足立ったのか、ターリー投手は全ての球が高めに浮き、一つもストライクが入らず四球。二死満塁。この二死とはいえ、相手の動揺で得た流れを掴めていれば…。タラレバになってしまいますが、ソト選手はど真ん中のスライダーを引っ掻け、サードゴロ。「幸運の女神は前髪しかない」ことをこの後知ることとなります。



 同点のまま8回表、横浜は二番手伊勢投手が登板します。伊勢投手は代打大盛選手、さらに代打田村選手を連続三振に打ち取り、掴み損ねた流れを再び引き寄せます。幸運の女神はまだ通り過ぎてはいなかったのです。というより、横浜はようやく振り向いた女神の前髪に手をかけていました。



 それにもかかわらず、その前髪を手放してしまったのです。何と続く上本選手の何でもないライトフライを、この回からライトの守備に就いた関根選手がまさかの落球。関根選手は手を挙げており、照明が目に入ったようにも見えませんでした。僕も何が起こったのか理解できませんでした。本来、ここでこの回は終わっていたはずなのです。それが一転して二死二塁のピンチに。



 そして野間選手にファウルで粘られたカウント1-2からの7球目。フォークボールが真ん中に甘く入り、センターに抜けるヒット。上本選手が生還し逆転。これが決勝点となりました。



 そうなれば広島は8回防御率1.91の島内投手、9回防御率1.98の矢崎投手と勝ちパターン継投。



 それでも横浜はその矢崎投手から9回裏先頭の大和選手が初球をレフト前に運び出塁。



 代打蝦名選手も初球を確実にバントし、一死二塁。



 さらには桑原選手がレフト前にポトリと落ちるヒットで一死三塁・一塁。土壇場でこれ以上ないお膳立てをしましたが、頼みの佐野選手、牧選手が倒れ、反撃もここまで。3vs2、しかし、惜敗という試合でも、明日へつながる粘りを見せた試合でもありませんでした。自滅、負けるべくして負けた試合。「神は細部に宿る」、小さな綻びこそ、幸運の女神が最も嫌うものなのかもしれません。

 今週末からオールスターゲーム後の後半戦が始まります。セ・リーグはここまで上位3チームが3ゲーム差内という混戦であり、9月が勝負の月となるでしょう。昨年は8月にヤクルトを猛追し、1997年と同じ2.5ゲーム差まで追い詰めましたが、そこで力尽きました。今年は9月そしてCSにピークを持ってくるため、8月は何とか食らいつきつつチーム状態を立て直して欲しいです。

繻るに衣袽あり、ぼろ屋の窪田でした
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バウアー、ブチギレ!ターニングポイントにできるか?―日本プロ野球2023 横浜vs中日10回戦

2023年07月06日 | スポーツ観戦記


 7月1日、横浜スタジアムへ横浜vs中日10回戦に行ってきました。交流戦明けの対阪神首位攻防戦に三連勝し、再び首位に立った横浜。ところが、次の広島戦で三連敗。さらには前日の対中日三連戦の初戦も落とし、何と四連敗。特に前日はエース今永投手が好投しながら勝ちパターンが崩れ終盤逆転負け。何しろこの四連敗中は平均得点がわずか2点、この悪い流れを食い止めるため何としても勝ちたい一戦でした。

 前回観戦の6月15日は雨でずぶ濡れになりながら、結局ノーゲーム。この日も雨の予報でしたが、幸運にも曇り。時には晴れ間も見え、少々日焼けするくらいでした。そしてこの三連戦は、「ポケモン・ボールパーク・ヨコハマ」と題する、8月に横浜で開催される「ポケモンワールドチャンピオンシップス2023」を記念したイベントが行われました。選手は、ピカチュウを模した、やや工事現場に見えなくもないヘルメットを着用し、試合に臨みます。



 さて、横浜の先発は今年話題の選手、1年契約で来日した2020年サイヤング賞のトレバー・バウアー投手。YouTubeも毎週楽しみにしています。初登板初勝利の後連敗しましたが、その後徐々に日本野球に適応し6月は4戦4勝でした。



 しかし、この日の立ち上がりは悪い時のバウアー投手。初球、高めに浮いたカットボールを大島選手に打たれ二塁打。大島選手、明らかに狙い打ちでした。



 二番岡林選手は打ち取りますが、高橋選手にやや甘い内角真ん中のストレートをレフトに弾き返され失点。高橋選手は二塁走塁死で、二死走者なし。



 ところが、続く細川選手に四連続ボールの四球を与えてしまいます。比較的四球の少ないバウアー投手ですが、5月27日の中日戦で二本塁打を浴びた細川選手に神経質になったのかもしれません。



 さらに石川選手。これも落ちない真ん中高めのカットボールをセンターに弾き返されます。二死三塁・一塁。続く村松選手をショートゴロに打ち取り、追加点は許しませんでしたが、明らかに調子は良くなさそうでした。



 一方、中日の先発はWBCパナマ代表でもあったメヒア投手。初登板の6月24日ヤクルト戦では、4回を投げ1安打5四球1失点という内容でした。しかし、この日は193㎝の長身から繰り出される150㎞のストレートが非常に強力でした。



 2回表。中日は一死から龍空選手が8球粘ってショートゴロ。ところが名手大和選手がまさかの悪送球。これはバウアー投手としてはイラつく内容だったのではないかと思います。



 メヒア投手は倒れますが、打順1番に返って第一打席二塁打の大島選手。これまた2球目の外角ほぼ真ん中に入ったスライダーをレフト前へ。好打者の大島選手とはいえ、いとも簡単に打たれている気がします。



 そしてさらに岡林選手には、これも外角ほぼ真ん中のストレートをセンターに運ばれ二塁打。大島選手が生還し、2vs0。投球動作も序盤は観客席から見ていてストレートと変化球の違いが素人の僕にも見て取れました。打たれるべくして打たれたのではないでしょうか。



 さらには高橋選手に四連続ボールの四球を与え、二死満塁。しかし、続く細川選手を三振に打ち取ります。これにはバウアー投手も、刀を鞘に納めるしぐさの「ソード・セレブレーション」。観客席も大盛り上がりでした。しかし、この時点でバウアー投手は早くも45球。



 一方、横浜打線はメヒア投手の前に攻め手を欠き、7回わずか81球2安打に抑え込まれます。メヒア投手は与四球もわずか1とほぼ完璧な内容でした。



 そして6回表。横浜に信じられないようなプレーが起こります。まず、先頭の石橋選手がセカンドへの内野安打で出塁。牧選手も良く止めましたが、これは仕方がありません。



 すると続く龍空選手が三塁線へのセイフティ・バント。これが見事に決まり、無死二塁・一塁。これだけでもバウアー投手をイラつかせるには十分だったと思いますが、それでも送りバントを仕掛けるメヒア投手には冷静に内角高め集中でスリーバント失敗に打ち取ります。さらに大島選手には外の変化球を上下に四球散らした後、ど真ん中のストレートでセンターフライ。これで二死二塁・一塁。



 そしてそれは起こりました。続く岡林選手が粘ってフルカウントからの7球目をセカンドゴロ。二死なので走者は共にスタートを切っており、二塁走者石橋選手は三塁へ、龍空選手は二塁を回ります。この時、二塁後ろで捕球した牧選手が龍空選手を追いかけます。そのまま三塁手京田選手にボールを渡して挟んでしまえば終わりではないかと思ったのですが(塁上に走者が残っていた場合、それができないルールがあるのでしょうか?詳しい方、教えてください)、牧選手はそれをせずあくまで走者を追います。龍空選手の方が足は速いので、龍空選手は三塁に到達。塁上に二人の走者がいることはできないため、その直前に三塁走者石橋選手が本塁へスタートを切ります。この時、牧選手は三本間の伊藤捕手に送球して、石橋選手を挟みます。これも単純に三塁手京田選手と挟んでしまえば終わりだったのに、伊藤捕手があくまで追っている間に石橋選手は三塁へ帰塁してしまいます。先ほどの二三塁間の時といい、三本間の時といい、京田選手は三塁で捕球姿勢も取らず、一体何をやっていたのでしょうか?仕方がないので、伊藤捕手は二塁へ戻る龍空選手を打ち取るため、二塁へ送球しようとします。ところが今度は二塁がガラ空き。結局、石橋選手、龍空選手、岡林選手が全員帰塁し、オールセーフ。二死満塁。

 全く信じられないプレーです。僕も観戦していて起きたことが理解できませんでした。二死ですから単純なフォースプレーだったはずなのです。草野球ですら、考えられません。あまりの醜態に、バウアー投手は怒声を張り上げブチギレ。続く高橋選手には気の毒でしたが、159㎞、158㎞、159㎞の全てストレートで、ピッチャーゴロ。これをバウアー投手は一塁手を手で制し、自らベースを踏みます。

 確かに、このプレーは得点には絡みませんでした。しかしながら、この回にベイスターズが長年抱えてきた、ディテールのお粗末さ、ノリは良いが大人しいといった問題点が凝縮して表れていたように思えてなりません。実際、このような失態を犯してなお、6回裏はわずか8球の三者凡退でした。試合後のインタビューで、バウアー投手が「優勝するチームの野球があのイニングはできていなかった」と述べていましたが、まさにその通りで優勝するために克服しなければならない課題だと思います。これから浮上するためのターニングポイントにできたのであれば、この試合は授業料だったと後に思えるでしょう。



 さて、横浜は7回表から二番手上茶谷投手が登板。先頭の細川選手に二塁打を浴びるものの、後続を抑え無失点。



 さらに8回は今シーズン初登板の田中投手。こちらも8番からの下位打線とはいえ、三人でピシャリと抑えました。



 前述のように7回までメヒア投手に封じられていた横浜は、8回裏にようやく反撃。まず、ソト選手が二塁打で出塁します。



 続く大和選手が四球を選び、無死二塁・一塁。



 中日はここで二番手、清水投手が登板。代打宮﨑選手を三振に打ち取ります。一死二塁・一塁。



 すると横浜は伊藤捕手に代えて代打楠本選手。5球目、真ん中低めの決して悪くないフォークボールを見事に掬い、右中間に落とすタイムリーヒット。2vs1、なお一死二塁・一塁。



 さらに田中投手に代わる代打戸柱選手が四球を選び、一死満塁。



 関根選手は最悪のセカンドゴロでしたが、併殺崩れの間にもう1点追加。ついに横浜が同点に追いつきます。二死三塁・一塁、さらに関根選手が盗塁を決め、二死三塁・二塁。しかし、桑原選手が倒れ、勝ち越しならず。中継ぎに好投手を揃える中日相手としては、ここで勝ち越せなかったのは痛かったです。



 9回表。横浜は抑えの山崎投手が登板。前回同点の場面で登板した6月19日の日本ハム戦では、万波選手に痛恨の本塁打を浴び敗戦投手。しかしこの日は二番からの中軸を見事三者凡退。特に最後の細川選手へのストレートは生で見ていても目の覚めるような球で見事でした。



 9回裏、横浜は一死満塁のチャンスを作りますが、柴田選手が当たりは良かったのですが不運なサードライナーでダブルプレー。



 11回裏には先頭の桑原選手が出塁しますが、盗塁を試みた際に肉離れを起こし、一二塁間でタッチアウト。桑原選手は自力で歩くことができず、背負われて退場。



 12回裏、中日は昨年のセーブ王にして、今シーズンもここまで25試合に登板し、未だ防御率0.00のマルティネス投手が登板。そのマルティネス投手相手に、横浜は簡単に二死まで追い込まれてから、柴田選手、楠本選手がヒットで出塁し、二死三塁・一塁。



 一打サヨナラのチャンスに、戸柱選手はショートゴロ。必死のヘッドスライディングを試みますが、無念のアウト。足の速い選手であればというプレーでしたが仕方ありません、むしろピカチュウのヘルメットを叩きつけて悔しがる戸柱選手に、明日以降の希望を見たと信じたいです。

 結果は2vs2の引き分けでしたが、限りなく負けに等しい引き分けでした。25年振りの「優勝するチームの野球」へ、一つステージを上がることができるか?数ヶ月後、今日の敗戦が必要な敗戦だったと言えるように。

繻るに衣袽あり、ぼろ屋の窪田でした
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17安打、13得点、7者連続奪三振、5安打2名!-日本プロ野球2023 横浜vs広島9回戦

2023年05月28日 | スポーツ観戦記


 投稿が遅くなってしまいましたが、5月18日、横浜スタジアムへ横浜vs広島9回戦に行ってきました。前回5月2日時点では首位だったベイスターズ。翌週の9日に2020年サイヤング賞投手で話題のバウアー投手がメッタ打ちに遭ったのを皮切りに6連敗。首位も陥落して前日ようやく連敗を止めました。4月で貯金10としながら5月に7勝18敗で貯金を使い果たし、結局5位に終わった1996年シーズンを思い起こさせる展開。このままズルズルいかないためにも絶対に落とせない一戦となりました。



 横浜の先発は、ここまで1完投を含む2勝1敗の東投手、計算できる先発の一角を担っています。その東投手ですが、一番不安定だったのが2四球を出した初回。その後は9安打を打たれながらも大量援護に助けられ、8回3失点と試合を作りました。ただ、打たれる場面はちょっと簡単に打たれ過ぎているなという印象があります。



 試合が動いたのは2回裏。一死から桑原選手がレフトライン際に入る二塁打で出塁。



 続く京田選手はセカンドへの高いバウンドでしたが、気迫のヘッドスライディングを見せ内野安打。これで一死三塁・一塁。



 さて8番山本選手。次が投手かつ三塁走者が桑原選手なのでスクイズも考えられますが、まだ2回裏。浅い回から仕掛けてくるかな、という疑問はありました。ラミレス監督時代今までの横浜であれば100%打たせてきたと思います。恐らく広島バッテリーもそう思ったのでしょう、スクイズを警戒して1球外してくる様子もありませんでした。その初球は真ん中のツーシーム。これを山本選手が見事にバントを決め、スクイズ成功。横浜が鮮やかに先制します。これがその後の猛攻の流れを呼び寄せたと言っても過言ではありません。



 動揺したのか、広島の先発コロニエル投手は続く東投手にフルカウントから四球を与えてしまいます。これで二死二塁・一塁。



 そして打順1番に返り、5月に入って本塁打を量産している佐野選手。そこに内角高め、佐野選手にとってはおあつらえ向きのツーシーム。これを逃すはずもなく、バックスクリーン右に打った瞬間それと分かる8号スリーランホームラン。これで0vs4。



 三回裏。横浜は先頭のソト選手がフルカウントからの四球で出塁します。



 続く桑原選手もフルカウントから、今度はレフトフェンス直撃の二打席連続二塁打。これで無死三塁・二塁。



 続く京田選手はセカンドゴロに倒れ、走者動けず。しかし、先ほどスクイズを決めた山本選手を今度は警戒し過ぎたのか四球を与えてしまいます。これで一死満塁。東投手見逃し三振で二死となるものの、佐野選手には四連続ボールで押し出し。さらに1点追加、0vs5



 一方の東投手は、4回表に先頭の秋山選手を三振に切って取ります。これで2回の先頭打者から

堂林選手
磯村選手
韮澤選手
コロニエル投手
菊池選手
上本選手
秋山選手

とセ・リーグ記録にあと1と迫る7者連続奪三振(因みに、プロ野球記録は昨年佐々木朗希投手が記録した13)。



 広島の反撃は5回表。先頭の磯村選手がレフトライン際の二塁打で出塁。



 続く韮澤選手はサードフライに倒れますが、コロニエル投手に替わる代打会澤選手。会澤選手にはよくやられている印象があるのですが、その会澤選手の三遊間への当たり。途中でバウンドが変わったのか、三塁手の宮崎選手が後逸し、二塁走者磯村選手が生還。これで1vs5.



 6回裏。広島は5回から登板した二番手大道投手が回跨ぎで登板。横浜はその大道投手から先頭の佐野選手がまずライト前ヒットで出塁。これが大量得点の始まり。



 続く関根選手は一塁へのゴロでしたが、一塁手マグブルーム選手が送球できず内野安打。関根選手は早くも三安打の猛打賞。無死二塁・一塁。



 宮崎選手には死球で無死満塁。



 そして牧選手が真ん中低めのストレートをセンター前に弾き返し、2点追加。1vs7。



 大道投手はソト選手にも死球を与えてしまい、再び無死満塁。



 さらに桑原選手には平行カウントから打って下さいと言わんばかりのど真ん中のストレート。これをセンター前に弾き返した桑原選手に至ってはこれで四打席連続安打。1vs9。



 広島はここで大道投手から三番手塹江投手に交替。



 ところがその塹江投手も京田選手に四球を与え、三度無死満塁。



 それでも塹江投手は8番山本選手、9番東投手を連続三振にとり、二死までこぎつけます。しかし、打者一巡となり佐野選手にまた四球を与えてしまい、ソト選手の代走神里選手が生還。ついに1vs10。



 そして関根選手が投手強襲でセンター前に抜けるタイムリー。1vs11。関根選手も4安打目。



 とどめはここまで打率4割3分7厘と驚異的な成績を残している宮崎選手がレフト前ヒット。これでこのイニング8得点、1vs13。



 東投手は大量援護に守られた中ではありましたが、7回表は二安打を浴び、二死・三塁一塁から上本選手にレフト前に打たれ、2vs13。



 さらに8回表にはマクブルーム選手にバックスクリーンへホームランを浴びます。マクブルーム選手は4本塁打中、2本が横浜戦。



 9回表。横浜高校出身、昨年支配下登録された石川投手が登板。今シーズンは主に点差の開いている場面での登板ですが、安定した成績を残しています。この日も1四球こそ出しましたが、2三振無失点と大量得点の試合の中で目立たなかったものの、中継ぎ・抑え投手の負担軽減に貢献する投球をしてくれました。

 17安打、13得点、7者連続奪三振、5安打2名(関根選手、桑原選手)、東投手8回3失点4勝目と非の打ち所のない試合でした。首位阪神タイガースが絶好調、気が付けば後ろに広島・巨人が迫ってきていますが、何とか堪えて交流戦を迎えて欲しいものです。

繻るに衣袽あり、ぼろ屋の窪田でした
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憧れの甲子園初観戦!ー日本プロ野球2023 阪神vs中日6回戦

2023年05月05日 | スポーツ観戦記


 5月4日、阪神vs中日6回戦の観戦に阪神甲子園球場へ行ってきました。来年開場100周年を迎え、当時「東洋一の球場」と謳われた甲子園球場。高校野球の聖地であり、プロ野球発足前から日本の球史を刻んできた伝統ある野球場に、かねてから一度は行ってみたいと思っていました。



 しかもこの日は、球場9階にあるロイヤル・スイートにお招きいただくという幸運にも恵まれました。ちょうどバックネット裏だったので、フィールド全体が見渡せたばかりでなく、バッテリー間の球筋もとてもよく見え、最高の観戦場所でした。ご招待いただき、本当に感謝申し上げます。ロイヤル・スイートの様子は上のフォトチャンネルにまとめましたので、ご覧ください。



 さて、我らが横浜と3ゲーム差で首位を争う阪神。一方、現在最下位の中日は、先制はするのですが勝ちきれない試合が続いています。この日はこどもの日を前にした主催試合ということもあってか、スコアボードの選手名を全て平仮名で表記していました。



 阪神の先発は横浜高校出身、甲子園での連勝記録11を継続中の伊藤(将)投手。立ち上がりは上位打線をわずか10球、三者凡退に退け、上々でした。



 一方、中日の先発も横浜高校出身、好投を続けながら未だ勝ち星に恵まれない柳投手。こちらもやや球数は擁したものの、三者凡退の立ち上がり。

 

 ということで1回の攻防だけ見れば伊藤、柳両投手の投げ合いということもあり、投手戦を予想していたのですが、2回からは中日が一方的に攻め立てる展開となります。まず2回表、一死からビシエド選手、福永選手の連続ヒットで二塁・一塁。しかし、後続が倒れ無得点。



 3回表は何と先頭の柳投手がセンター前ヒットで出塁。



しかし、1番の岡林選手がバント失敗。



 それでも続く大島選手は流石のレフト前ヒットでまた一死二塁・一塁。しかし、またしても後続が倒れ無得点。



 試合が動いたのは4回表。一死から福永選手が早くも2本目のヒットを放ち出塁。



 続く木下選手もレフト前ヒットで一死二塁・一塁。



 村松選手はショートゴロで走者が入れ替わり、二死三塁・一塁となりますが、ここで柳投手が二打席連続、それもタイムリーとなるヒットで先制。自らを助けます。



 5回表。先頭の大島選手が二打席連続となるヒットで出塁。



 細川選手倒れ、一死一塁となりますが、続く石川選手が左中間を破る二塁打。これで2点目。



 6回表。先頭の木下選手が倒れた後、村松選手がピッチャー強襲のヒットで出塁。



 さらに柳投手はここでも送りバントを決め、役割を果たします。そして二死二塁から岡林選手がライト前に弾き返し、二死三塁・一塁。しかし、期待の大島選手がピッチャーゴロに倒れ、無得点。



 先に先発を降ろしたのは阪神。7回表から二番手鍛冶屋投手が登板します。先発の伊藤投手は6回を投げ、11安打2失点。一方、阪神は6回終了時点で柳投手にわずか2安打、1四球、6三振に抑えられていました。柳投手が投打に活躍し、ここまではどう見ても中日優位の展開。伊藤投手の甲子園連続勝利記録もこれで途絶えるかに思われました。強いて言うなら、中日も11安打を放ちながら2点止まり。2日に観戦した横浜打線のような効率の悪さは引っかかりました。



 ところが7回裏、ようやく阪神の反攻が始まります。まず、先頭の大山選手がセンターに豪快な二塁打。しかし、続く佐藤選手、小野寺選手が倒れ、二死三塁。



 球場は溜息でしたが、ここで2三振に討ち取られていた坂本選手が柳投手の101球目を値千金のタイムリーヒット。阪神が1点を返します。



 これまでも先制しながら勝ち切れない中日。潮目が変わったのは8回表でした。阪神は三番手及川投手が登板。ここで一死走者なしから、既に107球を投じていた柳投手が打席に入ったのです。恐らく観戦していて「えっ、まだ投げさせるの?」と思った方は多かったはず。

 確かに、中日は過去7試合で実にのべ26名の中継ぎ投手を投入しており、祖父江投手に至っては内5試合に登板、マルティネス投手、砂田投手、田島投手、勝野投手が4試合と、さらに翌日から三連戦があることを考えれば、少しでも中継ぎ投手を休ませたいという考えがあったのだと思います。ただ、この判断が結果的に逆転の引き金となってしまったのは恐らく間違いないでしょう。



 8回裏、一死からこの日抑えられてきた近本選手が四球で出塁。



 続く中野選手はピッチャーゴロ。ところが当然左からセカンドに入ってくるショート村松選手への柳投手の送球が右に逸れ、ボールを取りに行きながらの動作となったために一塁走者を刺すのが精いっぱい。ここで併殺がとれていれば、8回裏の逆転はなかったのです。ここぞというところで出た綻びが命取りとなってしまいました。逆に、一瞬の隙を見逃さなかった阪神は見事でした。

 そして、二死一塁からノイジー選手がレフト前へ。また、これをレフトの大島選手が弾いてしまったために、一塁走者が三塁に。これで二死三塁・一塁。



 続く大山選手が初球をレフト前へ。これでついに同点。伊藤投手の敗戦はなくなり、甲子園連続勝利記録が復活しました。



 とどめは佐藤選手が内角低めの球をライト前へ。129球力投の柳投手、ついに力尽く。あまりにも気の毒ではありました。



 結局試合は2vs3と阪神の見事な逆転勝ち。



 大阪の皆さんには最高の展開となりました。

繻るに衣袽あり、ぼろ屋の窪田でした

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