7月1日、横浜スタジアムへ横浜vs中日10回戦に行ってきました。交流戦明けの対阪神首位攻防戦に三連勝し、再び首位に立った横浜。ところが、次の広島戦で三連敗。さらには前日の対中日三連戦の初戦も落とし、何と四連敗。特に前日はエース今永投手が好投しながら勝ちパターンが崩れ終盤逆転負け。何しろこの四連敗中は平均得点がわずか2点、この悪い流れを食い止めるため何としても勝ちたい一戦でした。
前回観戦の6月15日は雨でずぶ濡れになりながら、結局ノーゲーム。この日も雨の予報でしたが、幸運にも曇り。時には晴れ間も見え、少々日焼けするくらいでした。そしてこの三連戦は、「ポケモン・ボールパーク・ヨコハマ」と題する、8月に横浜で開催される「ポケモンワールドチャンピオンシップス2023」を記念したイベントが行われました。選手は、ピカチュウを模した、やや工事現場に見えなくもないヘルメットを着用し、試合に臨みます。
さて、横浜の先発は今年話題の選手、1年契約で来日した2020年サイヤング賞のトレバー・バウアー投手。YouTubeも毎週楽しみにしています。初登板初勝利の後連敗しましたが、その後徐々に日本野球に適応し6月は4戦4勝でした。
しかし、この日の立ち上がりは悪い時のバウアー投手。初球、高めに浮いたカットボールを大島選手に打たれ二塁打。大島選手、明らかに狙い打ちでした。
二番岡林選手は打ち取りますが、高橋選手にやや甘い内角真ん中のストレートをレフトに弾き返され失点。高橋選手は二塁走塁死で、二死走者なし。
ところが、続く細川選手に四連続ボールの四球を与えてしまいます。比較的四球の少ないバウアー投手ですが、5月27日の中日戦で二本塁打を浴びた細川選手に神経質になったのかもしれません。
さらに石川選手。これも落ちない真ん中高めのカットボールをセンターに弾き返されます。二死三塁・一塁。続く村松選手をショートゴロに打ち取り、追加点は許しませんでしたが、明らかに調子は良くなさそうでした。
一方、中日の先発はWBCパナマ代表でもあったメヒア投手。初登板の6月24日ヤクルト戦では、4回を投げ1安打5四球1失点という内容でした。しかし、この日は193㎝の長身から繰り出される150㎞のストレートが非常に強力でした。
2回表。中日は一死から龍空選手が8球粘ってショートゴロ。ところが名手大和選手がまさかの悪送球。これはバウアー投手としてはイラつく内容だったのではないかと思います。
メヒア投手は倒れますが、打順1番に返って第一打席二塁打の大島選手。これまた2球目の外角ほぼ真ん中に入ったスライダーをレフト前へ。好打者の大島選手とはいえ、いとも簡単に打たれている気がします。
そしてさらに岡林選手には、これも外角ほぼ真ん中のストレートをセンターに運ばれ二塁打。大島選手が生還し、2vs0。投球動作も序盤は観客席から見ていてストレートと変化球の違いが素人の僕にも見て取れました。打たれるべくして打たれたのではないでしょうか。
さらには高橋選手に四連続ボールの四球を与え、二死満塁。しかし、続く細川選手を三振に打ち取ります。これにはバウアー投手も、刀を鞘に納めるしぐさの「ソード・セレブレーション」。観客席も大盛り上がりでした。しかし、この時点でバウアー投手は早くも45球。
一方、横浜打線はメヒア投手の前に攻め手を欠き、7回わずか81球2安打に抑え込まれます。メヒア投手は与四球もわずか1とほぼ完璧な内容でした。
そして6回表。横浜に信じられないようなプレーが起こります。まず、先頭の石橋選手がセカンドへの内野安打で出塁。牧選手も良く止めましたが、これは仕方がありません。
すると続く龍空選手が三塁線へのセイフティ・バント。これが見事に決まり、無死二塁・一塁。これだけでもバウアー投手をイラつかせるには十分だったと思いますが、それでも送りバントを仕掛けるメヒア投手には冷静に内角高め集中でスリーバント失敗に打ち取ります。さらに大島選手には外の変化球を上下に四球散らした後、ど真ん中のストレートでセンターフライ。これで二死二塁・一塁。
そしてそれは起こりました。続く岡林選手が粘ってフルカウントからの7球目をセカンドゴロ。二死なので走者は共にスタートを切っており、二塁走者石橋選手は三塁へ、龍空選手は二塁を回ります。この時、二塁後ろで捕球した牧選手が龍空選手を追いかけます。そのまま三塁手京田選手にボールを渡して挟んでしまえば終わりではないかと思ったのですが(塁上に走者が残っていた場合、それができないルールがあるのでしょうか?詳しい方、教えてください)、牧選手はそれをせずあくまで走者を追います。龍空選手の方が足は速いので、龍空選手は三塁に到達。塁上に二人の走者がいることはできないため、その直前に三塁走者石橋選手が本塁へスタートを切ります。この時、牧選手は三本間の伊藤捕手に送球して、石橋選手を挟みます。これも単純に三塁手京田選手と挟んでしまえば終わりだったのに、伊藤捕手があくまで追っている間に石橋選手は三塁へ帰塁してしまいます。先ほどの二三塁間の時といい、三本間の時といい、京田選手は三塁で捕球姿勢も取らず、一体何をやっていたのでしょうか?仕方がないので、伊藤捕手は二塁へ戻る龍空選手を打ち取るため、二塁へ送球しようとします。ところが今度は二塁がガラ空き。結局、石橋選手、龍空選手、岡林選手が全員帰塁し、オールセーフ。二死満塁。
全く信じられないプレーです。僕も観戦していて起きたことが理解できませんでした。二死ですから単純なフォースプレーだったはずなのです。草野球ですら、考えられません。あまりの醜態に、バウアー投手は怒声を張り上げブチギレ。続く高橋選手には気の毒でしたが、159㎞、158㎞、159㎞の全てストレートで、ピッチャーゴロ。これをバウアー投手は一塁手を手で制し、自らベースを踏みます。
確かに、このプレーは得点には絡みませんでした。しかしながら、この回にベイスターズが長年抱えてきた、ディテールのお粗末さ、ノリは良いが大人しいといった問題点が凝縮して表れていたように思えてなりません。実際、このような失態を犯してなお、6回裏はわずか8球の三者凡退でした。試合後のインタビューで、バウアー投手が「優勝するチームの野球があのイニングはできていなかった」と述べていましたが、まさにその通りで優勝するために克服しなければならない課題だと思います。これから浮上するためのターニングポイントにできたのであれば、この試合は授業料だったと後に思えるでしょう。
さて、横浜は7回表から二番手上茶谷投手が登板。先頭の細川選手に二塁打を浴びるものの、後続を抑え無失点。
さらに8回は今シーズン初登板の田中投手。こちらも8番からの下位打線とはいえ、三人でピシャリと抑えました。
前述のように7回までメヒア投手に封じられていた横浜は、8回裏にようやく反撃。まず、ソト選手が二塁打で出塁します。
続く大和選手が四球を選び、無死二塁・一塁。
中日はここで二番手、清水投手が登板。代打宮﨑選手を三振に打ち取ります。一死二塁・一塁。
すると横浜は伊藤捕手に代えて代打楠本選手。5球目、真ん中低めの決して悪くないフォークボールを見事に掬い、右中間に落とすタイムリーヒット。2vs1、なお一死二塁・一塁。
さらに田中投手に代わる代打戸柱選手が四球を選び、一死満塁。
関根選手は最悪のセカンドゴロでしたが、併殺崩れの間にもう1点追加。ついに横浜が同点に追いつきます。二死三塁・一塁、さらに関根選手が盗塁を決め、二死三塁・二塁。しかし、桑原選手が倒れ、勝ち越しならず。中継ぎに好投手を揃える中日相手としては、ここで勝ち越せなかったのは痛かったです。
9回表。横浜は抑えの山崎投手が登板。前回同点の場面で登板した6月19日の日本ハム戦では、万波選手に痛恨の本塁打を浴び敗戦投手。しかしこの日は二番からの中軸を見事三者凡退。特に最後の細川選手へのストレートは生で見ていても目の覚めるような球で見事でした。
9回裏、横浜は一死満塁のチャンスを作りますが、柴田選手が当たりは良かったのですが不運なサードライナーでダブルプレー。
11回裏には先頭の桑原選手が出塁しますが、盗塁を試みた際に肉離れを起こし、一二塁間でタッチアウト。桑原選手は自力で歩くことができず、背負われて退場。
12回裏、中日は昨年のセーブ王にして、今シーズンもここまで25試合に登板し、未だ防御率0.00のマルティネス投手が登板。そのマルティネス投手相手に、横浜は簡単に二死まで追い込まれてから、柴田選手、楠本選手がヒットで出塁し、二死三塁・一塁。
一打サヨナラのチャンスに、戸柱選手はショートゴロ。必死のヘッドスライディングを試みますが、無念のアウト。足の速い選手であればというプレーでしたが仕方ありません、むしろピカチュウのヘルメットを叩きつけて悔しがる戸柱選手に、明日以降の希望を見たと信じたいです。
結果は2vs2の引き分けでしたが、限りなく負けに等しい引き分けでした。25年振りの「優勝するチームの野球」へ、一つステージを上がることができるか?数ヶ月後、今日の敗戦が必要な敗戦だったと言えるように。
繻るに衣袽あり、ぼろ屋の窪田でした